「いいライフスタイルを考える」読書会は、昨年の12月頃から始まりましたが、あと2,3回くらいで終えたいと思っています。もともと何かのゴールを定めて始めたわけではなかったので、終わるときも〆のようなものは特に考えていません。それぞれが思いを巡らせたり考えてみたりしたいことがあり、そのペースも人によっていろいろなのだと思っています。ライフスタイルというゆったりとした括りの中で、何かを考え、話したり聞いたりしながら、想像や興味関心が膨らんでいけばいいなと思って始めました。リベルの読書会は、そういう、なにかを思ったり考えたりするときに使ってもらえればと思っているところもあります。
さて、なにかについてある程度時間をかけて考えていると、煮詰まってくることがあります。頭の中がいっぱいになっているような、熱を持っているような、スライドパズルの空の部分が埋まってしまったような、そんな感覚です。
そういう時は、一度空っぽにする時間を設けるといいようです。
哲学者の野矢茂樹さんは、まるで小さな子どもに教えるように考えることについて書いている『はじめて考えるときのように』の中で、次のようなことを言っています[1,kindle1450]。
問いを巡って、いろんなものをつめこんで、ゆさぶりをかける。
でも、いちばんむずかしいのは、つめこんだものをいったん空っぽにすることだ。つめこんで、空っぽにしないと、新しいものは入ってこない。こぶしを、開けないと。
空っぽにする間は、歩くことや電車に乗ること、テレビを見ることなどをしているのだと言います。はっきりとした方法を実践しているというよりは、ふつうの生活をしているということでしょうか。
ただ、空っぽにしながらも、罠を張っているような感じで、問いやテーマに関する注意は働かせておくようです。完全に忘れるわけではなく、テーマを脇に抱えながら生活をしているのでしょう。この間は特に収穫はなくてもいいのだと言います。
そこからもう一度、注意が働きにくくなるくらいのタイミングで、つめこんでゆさぶりをかけることを始めるのだそうです。そう、「はじめて考えるときのように」。
つまり、考えることというのは、くり返しであり、続いていくものだということです。
抱えているテーマや関心によって、それがどの程度くり返されるかは変わってくるのでしょう。また、考えることが生きることの中心にありそうな哲学者に比べると、そこまで明確な問いを抱いていなくてもいいのかもしれません。ただ、なにかテーマや関心事を抱いている時は、考えることが続いていくことを前提に、空にしてみる時間も必要なようです。
〈参考図書〉
1.野矢茂樹著『はじめて考えるときのように ー「わかる」ための哲学的道案内』(PHP文庫)
〈読書会について〉
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(吉田)