昨日、初めての試みとして、「ブックレットのテーマを考える読書会」を開きました。ここでは、この読書会を始めたきっかけを書き残してみたいと思います。
リベルでは、考古学や心理学、社会学、生物学などの、普段あまり触れることのない学問の見地から、生活や仕事の身近な課題を考えるブックレットを作成しています。
例えば、サンゴが創り出す生態系からどうすれば小さな力で豊かな世界を創ることができるのかを考えたり、縄文時代に始まった定住の歴史から定住生活はこれからも続くのだろうかと考えたり、身体の働きからコミュニケーション・学び・判断といった知的活動のあり方を考えたりしています。普段とは異なる視点で考えるブックレットが、自分なりの考えやものの見方を養う時間のお供になればと思って始めました。
(少し難しそうな内容ですが、なるべく負担にならないように、分かりやすく書くことを心がけています。)
ブックレットなので、普通の本よりは短くなっています。
大体、新書の30〜40ページ分くらい、1/10〜1/5くらいの文量です。週末の小一時間くらいで読めるものが欲しい、だけれどもある程度の体系的な思考の軸は欲しい、ということを願望をふまえた長さや内容になっています。
また、ブックレットは、結論を伝えるということよりも、一緒に考えるということを心がけて作っています。なぜなら、置かれている状況や持っている感性が人それぞれに異なるのであれば、何かに結論を求めることは難しいため、考える時間を持つこと自体が大切なのではないかと考えているからです。
リベルは、社会がどうあるべきかというようなことではなく、「自分がどうありたいか・どう考えるか」というような主観的で個人的なテーマについて考える時間となることを目指しています。ですので、なおさら何らかの結論を出すような作り方はふさわしくないと思っているのです。ちなみに、ブックレットの作成には大学の先生にご協力をいただいており、決してリベル単体で考えたものではありません。
これまでは、リベルの内側でブックレット作成の過程を完結させていました。
テーマを考え、先生にお話を伺い、再びテーマを練り直し、内容を考え、ブックレットにまとめていくという過程を、時には好奇心に胸を踊らせ、時には少し頭を抱えながらやっていました。
しかしブックレットを作る中で、ブックレットにまとまっていることよりも、作る過程の方に、自分なりに考えるきっかけが多く詰まっているのではないかと感じていました。
作る過程は、今の自分にはない視点や考え方に浸ってみたり、自分の普段の生活と照らし合わせながら振り返ったりする機会になっていました。ブックレットを読むよりも広く深く、そのような機会を得ることが出来ていました。
つまり、作成者自身が一番得しているのではないか、と感じていたということです。これでは少しもったいないですし、考える時間を作成者が独り占めしていたことになります。
そこで、作る過程から共有できないかと思い、ブックレットのテーマを考える読書会を開いてみることにしました。
初回となった昨日は、テーマの種となるキーワードを「弱さ」と定め、参考図書として『〈弱いロボット〉の思考法』を選書させていただき、読書会を開きました。その様子はこちらに書いていますが、まだまだ試行錯誤が必要となりそうです。考えるとはとてもあいまいな行為であるため、どうすればより良い考える時間になるのか、これから模索していきたいと思います。
なお、「ブックレットのテーマを考える」と名付けている読書会ですが、ブックレットを作るためではなく、自分のために考える時間にしていただきたいというスタンスに変わりはありません。
〈読書会について〉
事前読書のいらない、その場で読んで感想をシェアするスタイルの読書会を開いています。事前申込をあまり求めない、出入り自由な雰囲気です。スタンスや日程などについてはこちらをご覧ください。
(吉田)