暖かくなりはじめる春、いろいろな花が咲いているのを見て楽しむことができます。
しかしもう一方で、花たちは必死です。なぜなら、花をめがけて昆虫に来てもらい花粉を運んで欲しいのに、ライバルとなる大きくて綺麗な花たちが多いからです。ビジネス用語を使えば、レッドオーシャンです。
そんななかで、他の花たちに先駆けて、まだ肌寒い早春に咲く花もあります。なるほど、まだライバルが少ない頃に咲かせれば、昆虫の注目を集めやすくなります。いい戦略です。
ただ、話はそう単純ではありません。
なぜなら、花を咲かせるには、その前に芽を出し、葉を広げ、光合成をしながら栄養を蓄えなければいけないからです。早春に花を咲かせるには、このような準備を冬に行わなければなりません。本当は、寒い冬は種のまま土の中で眠っていたいのに。
まだ肌寒い早春にいち早く咲く花は、ライバルと戦わなくて済むように、寒い冬に芽を出し、葉を広げています。そうして咲かせた花に、昆虫も私たちも、いち早く注目をします。
先駆けとして注目を浴びるためには、寒い冬を耐える時期が必要だということなのかもしれません。
(吉田)