知的活動は、体の動きと密接な関係があるのではないか、という話です。
生態心理学者・佐々木正人氏の研究によって、こんなことが分かりました[1]。
私たちは何かを思い出そうとするとき、「あれ」などと言いながら腕を動かしたり、手で空中に文字を書くようにしたりします。その体の動きを妨害すると、記憶の想起率が悪くなるというのです。つまり私たちの知的活動は、頭だけで行われているわけではないのではないかと考えられます。
臨床心理学・身体心理学を専門とする山口創氏は、これを「知的活動を導く体」と表現しています[2,kindle133]。
おそらく私たちは何かに対面したとき、目で見たり耳で聞いたりするだけではなく、体も大きく・小さく動いています。驚いてのけぞったり、思わず触ってみたり、全身の筋肉が緊張して震えたり。そういう体の動きがセットで記憶されているのでしょう。体を使って覚えろとは、何も運動に限った話ではないようです。
そう考えると、体を大きく使ったブレストなんかもありなのでしょうか?ちょっと恥ずかしいですが…。
〈参考図書〉
1.佐々木正人著『からだ ー認識の原点』(東京大学出版会,1987)
2.山口創著『子供の「脳」は肌にある』(光文社新書,2004)
(吉田)