14世紀のペスト大流行以前と以後とでヨーロッパはガラリと変わったようです。『人類が直面する新たな感染症の脅威』(長崎大学 山本太郎教授著)をもとに紹介します。
==引用・要約始め==
具体的な変化として以下の3点が挙げられています。
①労働力の急激な減少による賃金の高騰。それに伴い労働力(農民)が流動的になり荘園制の崩壊が加速。
②教会が権威を失い、国家というものが人々の意識中に登場。
③既存の制度の中では登用されることのないような人材が登用され、社会や思想の枠組み組み替える原動力となった。
加えて、ペスト大流行の後の平穏な時間が人々の内面的な思索を促したと見る歴史家もいます。
その後、ヨーロッパは封建制度が解体されていき、イタリアを中心にルネサンスを迎えました。中世に終わりを告げ近代に突入し、新大陸やアメリカへの進出を果たしていきます。
==引用・要約終わり==
現在と照らし合わせると、上記3点の内で当てはまるのは主に③ではないでしょうか。
①に関しては、当時のペストによる死者数が人口の1/3〜1/4と言われ現代とは比べものにならないくらい甚大でした。従って当時ほどの影響は受けにくいのではないかと考えられ、また労働力・生産性の減少はテクノロジーが補うことができると考えられます。
②に関しては、国家が権威を失うようなことがあれば何か代替するものが出てくるのかもしれませんが、現状そのような兆しが見られるかと言われれば疑問です。
いずれにしても、大きな変化が今後起きることが考えられ、歴史に学び想定していくことも大事であると言えそうです。
参考:『人類が直面する新たな感染症の脅威』(長崎大学 山本太郎教授著)
(吉田)