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シジュウカラは、実際に子育てできるヒナの数よりも、2,3割少ない卵しか産みません。たくさん産んだ方が子孫繁栄の面では合理的なのに、なぜ少なめに産むのでしょうか。
肉食獣は、自然界では力の強い生物で、食物連鎖のピラミッドの上位にいますが、その数は決して多いわけではありません。それよりも、草食動物や昆虫、なんなら植物の方が地球上に繁栄していると見ることもできます。他方で人類は、力はそれほど強くはありませんが、ここ数千年の間に爆発的に人口を増やしてきました。
生きていく上での強さとは何なのでしょうか。
このようなテーマを考える上でポイントとなるのは、「環境は変化する」という前提です。生物は、その長い歴史を激烈に変化する環境と共に生き抜いてきました。その変化する環境を生き抜いてきた生物は、環境変化に対応する戦略を有していると見ることができます。
現代は、「変化が激しい時代」であると言われます。グローバル化が進み、テクノロジーの発展速度が上がっている人類社会では、様々な変化が個々に降りかかってくるようになりました。それに伴って、「変化できる者、変化に対応できる者が生き残れる」という言葉もよく耳にするようになりました。
しかし、変化したり、変化に対応することに追われていたら、自分の目指すことを成し遂げることに時間を使えなくなってしまうのではないか、なんてことも思ったりします。
生き残ることが全てだと言われればそれまでですが、やっぱり生きているうちに何か事を成し遂げてみたいと思うのも、人の性ではないでしょうか。
今回は、変化する環境を生き抜いてきた生物の生存戦略から、変化する時代を生きる私たちの仕事や人生に活きる示唆を得られるよう学び、まとめてみました。
生物の生存戦略・戦術は多様ですが、変化する環境を生きるには、「変化の影響を受けないようにすればいい」というシンプルな発想の転換が見られました。人類も含めた生物という世界から、長期で良い人生とするための、または事を成すための戦略コンセプトについて考える機会になれればと思っています。
尚、今回のブックレットは静岡大学創造科学技術大学院教授などを務める吉村仁先生にご協力いただいています。
(吉田)