2023.04.10

読書会の読書感想(4/5-8)

 参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。5日(水/午前)は5名、7日(金/夜)は6名、8日(土/午前)は7名の参加でした(主催者含む)。
 9日及びそれ以降の読書会について急遽キャンセルしてしまい申し訳ありませんでした。Zoomの規約・仕様変更によりこれまでの方法では読書会を開くことができなくなったためです。ただ、別の方法はありますので、なるべく早く再開できるように準備を整えていきます。引き続き、よろしくお願いいたします。

4月5日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会

よしださん『つながりの作法 同じでもなく違うでもなく』綾屋紗月・熊谷晋一郎著
 僕が読んでいた本ともつながる話で、「共感」の話で少し盛り上がりました。似たような体験をしていると、あるいは体験をじっくりと共有できるとなんとなくわかる部分もあるから、共感できる。共感し合えると安心感が生まれる。そしてそうした安心感があって初めて多様性に目を向けられるのではないか、みたいな話になりました。
 その安心感のような土台なく多様性を尊重しようということになると、自分とは違う他者は敵に映ってしまう可能性があり、多様性の尊重どころではなくなります。不安な状態・状況では、まずは自分の身を守ることを第一に、他者を敵とみなし身構えることが安全へとつながると捉えるようだからです。なので、まずは共感し合える時間があるとか、ひとりひとりに安心感があるとか孤独ではないとか、そういうことが順番的に大事なのではないかという話が出てとても納得しました。

4月7日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会

tetsuさん『<責任>の生成―中動態と当事者研究』 國分功一郎 著/熊谷晋一郎 著
今日は、第1章の「『意志』の誕生」、「意志と無からの創造」という節を中心に読みました。かつては能動態と中動態が対立していたのが、中動態の中の一つの意味に過ぎなかった受動態が下剋上を起こして現在の能動態と受動態が対立する言語に移り変わっていったこと、そしてこの言語は「自分の意思でやったのかどうか?」を強く尋ねてくる性質があることから、この「中動態の消滅」と「意志概念の勃興」には平行線があるのではないかという國分さんの仮説が展開されています。
普段、「自分の意思で決めた」と思っている事柄も、実は周囲の意見であったり、これまでの人生経験であったり、様々な因果が影響を及ぼした結果だと言えます。それなのに、なぜあえてその因果関係を断絶するような概念を用いているのか、ここに「責任」の概念が絡んでくる…というところまでで今日は時間切れでした。中動態のお話がいよいよ面白くなってきたところでこの先が楽しみです。「自己決定」を個人の権利と尊重しつつ、もれなく「自己責任」がセットでついてくるこの社会の息苦しさの正体は何なのか、かつての中動態からどんなあり方が見出せるのか、そしてどのように当事者研究とつながってくるのか。先は長いですが、読書会の場の力を借りて挫けずに読み進めていきたいと思います。

ほかの参加者の方が読んでおられた本では、うつ病の診断基準を知ることがセルフケアにつながること、また、精神症状は今の生き方では無理が生じていることを教えてくれるものという考え方が前向きで、こころの健康を保つために参考にしたいと思いました。今日もありがとうございました。

yuさん『サイボーグになる』 キム・チョヨプ×キム・ウォニョン
二人の作者は、聴覚しょうがいと、骨格系の病気があり車椅子。その二人が科学技術と障害について、語る。小説でなく交互に語る。小説家であり女性であり・・・。この話を読んでいたら私のかけているメガネも体の一部のようになっていてそういう論点から言えば私もサイボーグ。って思いました。

4月8日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会

こやまさん『ウクライナの心』
他の参加者の方のご闘病について、言及してしまい、
たいへん申し訳なく思っております。ご本人はあまり
気にしないとおっしゃると思いますが、
あれだけ考えてお話しされていたので、読書会のあとは
たいへんお疲れになったと思います。

うつは甘え ということなど、
極端なご意見もありまして、しかしながら、本を読むということは
そういう間違った意見を含有せざるを得ない、
リスクを背負うものと思います。

頭に浮かんだのは、やはり読書するにおいても、
日本社会というのには、かなりの縛りが前提にあるものだなと
思いました。

よろしければ、また参加させていただきたく存じます。

tetsuさん『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』 ブレイディみかこ/著
ほかの参加者の方が紹介されていた「芸術を感性の眼で見ること」という言葉が印象的でした。著者のパートナーが「この絵(ラス・メニーナスのことだったと思います)は思想的だ」と話したことに対して、著者自身が大事にしたい考えを示したものとのことです。近頃、絵画を楽しんでいる方からお話を伺うことが続いていて、一度美術館に足を運んでみたいと思っていました。私は「絵のことはわからない」と決まり文句のように言ってしまうのですが、わからないからこそ素直にその絵を感じることができるのだと思います。また、「絵を見ることは本を読むことと変わらない」と教えていただいて少し気が楽になりました。まずはその作品を感じてみる、さらに深めたくなったら画家のことを知る、作品の時代背景を知る、そういった順番で楽しんでみたいと思います。今日もありがとうございました。


 過去の読書感想はこちらに載せています。

読書会参加者に投稿いただいた読書の感想です(2022年10月-)。

 

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