参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。4日(水/午前)は3名、7日(土/午前)は7名の参加でした(主催者含む)。
日曜日の「質問「 」について考える時間。」の質問は、
あなたが数えることのできないものを三つあげてください
田中未知著『質問』(文藝春秋)
でした。
10月4日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
いろいろな哲学書を翻訳してきた中山元氏が、哲学者の労働についての思考をつなぐことで働くことについて考えさせてくれる本です。とても読みやすいです。
今日気になったところは、労働は辛いことでありその辛いことに耐えることで人間の品位を高める考えていた哲学者がいたと紹介されていたことでした。辛いこと・ストレス・苦労に直面することで、感覚が研ぎ澄まされたり新しい発想が生まれたり自信がついたりするという肯定的な面があることは理解できます。でも、人間の品位を高めるとまで言われると、辛いことに耐えることを目的化してしまいそうで、本当にそうなのかなぁそれでいいのかなぁと思いました。まだ途中なのでこれから展開されていくことではありますが。
記憶があいまいですが、フロムが『自由からの逃走』のなかで、人間は苦役が続くとそれを美徳として昇華させることがある、みたいなことを書いていたことを思い出しました。苦労も努力もいいのだけれど、ときには少し引いて見て、本当に必要な苦労なのか確認することも大事なことのように思います。
10月7日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『スタインベック短編集』大久保康雄 訳 新潮文庫
本書は1930年頃のアメリカの庶民を描いた短編集だ。
例えば「朝めし」というタイトルの短編は、一所懸命働いた後、おいしい朝めしを見ず知らずの人たちと食べ、朝日のあたたかさと美しさが楽しい思い出として残るという話だ。
労働は労働後の癒しがあるから明日も頑張ろうという気になる。こんな事は皆知っている。しかし、こんな風に清々しく見せられると何だか感動してしまうのだ。
スタインベックの小説は社会のやりきれなさを描いているが、ひどいことばかりが起きるわけじゃない。時に描かれる庶民の崇高さと善意が読み継がれている理由の一つだと思う。
過去の読書感想はこちらに載せています。
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