参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。17日(火/午前)は3名、21日(土/午前)は4名、22日(日/午前)は5名の参加でした(主催者含む)。
10月17日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
今日はカントの労働に対する考えが紹介されているところを読みました。すごくざっくりと印象に残ったところを紹介すると、労働は人間を精神的に向上させるという考えが示されていました。これには、経験やスキルが身に付くという意味といわゆる精神力が向上するという意味が含まれているように記述からは感じられました。
経験やスキルというのはわかるとして、精神力の向上とはどういうことか。カントは労働とは辛いことを前提としているようですが、辛いことを続けているといつしか自信へと昇華するタイミングがくるように思います。なんとなくそんなことを言っているのかなと思いました。
少し話はそれますが、今僕たちは何のために世の中を便利にしようとしているのかと思うこともあります。それは楽をするためではないのかと。生産の効率を上げることで、労働時間が少なくて済むようになり余暇時間が増えてハッピーです。かと思えば、余暇時間ができたらその時間を使って他の人がもっと良い商品を出してきて、それに対抗するためにこちらも付加価値をつけるために労働をしなければいけなくなるのではないかとも。となると、労働は新しい労働を生むために行なっているような気もしてきて、さて何を目指しているのだろうかと疑問に思ったり思わなかったり。
ただ、カントのいうように労働や仕事は別に嫌なだけではありませんから、それ自体に人としての成長などの意味を見出して、辛いけれどもどこか楽しむ・求めるという認識をもってもいいのではないかとも思いました。何のために仕事をするのか、とは本当にいろんな視点がありそうで最近の関心ごとです。
10月22日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『矛盾と創造 自らの問いを解くための方法論』小坂井敏晶著
久しぶりに開いたら思いがけずタイムリーな内容で感想の共有もすこし憚られました。民族の問題です。
民族とは、長い時間を脈々と受け継がれてきた何らかの同一性があるという前提があると思います。遠い祖先もどこか自分と同じなのだろうと思う。
しかし今紛争の中心になっている民族は、その地を離れざるを得なくなってからさまざまに混血したのだといいます。同教と家族を形成する割合はさほど高くはないともいいます。さらには、隣国が不安定になったときには同じ民族とみなされる人とその配偶者もそこに逃げ込む権利をもっていました。だから詐称して入り込む人もいたのだといいます。
よくよく確認していくと同一性というのは崩れていく。だけれども、それをあるものとするのには理由があり、その同一性を強化するのは周囲の迫害であったともいいます。世界に矛盾はあるのだけれども、その矛盾で世界の論理が成り立ち活動が起きることがある。自分の常識や価値観だけで物事をみていてはそこにある現実には近づけないのだろうと思いました。
過去の読書感想はこちらに載せています。
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