参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。27日(水/午前)は3名、29日(金/夜)は3名、30日(土/午前)は7名、1日(日/午前)は4名、1日(日/夜)は2名の参加でした(主催者含む)。
土曜日の「質問「 」について考える時間。」の質問はこちらでした。
人生はくたびれるに値するものでしょうか
田中未知著『質問』(文藝春秋)
11月27日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『矛盾と創造』小坂井敏晶著
これの前に読もうと思っていた同じ著者の『答えのない世界を生きる』にはこのようなことが書かれています。「ナチスも、正しい世界を作ろうとした。その構想を誤ったのではない。普遍的真理や正しい生き方がどこかに存在するという信念自体が危険なのだ。」(意訳)
世界は正しい方向に進んでいると考える、そうするとある時そうとは思っていなかった人たちからの逆襲にあう。これは言い換えると、ある人たちは倫理的だと思っていたことが、他のある人たちからすると非倫理的であることだったとも言えるのかもしれない。『自由論』を書いたジョン・スチュアート・ミルは、未開人は自分たちが教育しなければならない、みたいなことを書いていた。
最近は正しさを非倫理的なものにしないためにはどうすればいいのかということを考えることがある。
11月29日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『別れを告げない』ハン・ガン
作家のキョンハは2014年の夏、虐殺に関する本をだしてから悪夢をみるようになる。一人っ子のインソンは、認知症の母親の介護をして看取った。20年来の付き合いの二人。疎遠になりかけていたところに、インソンがキョンハに身分証明書を持ってすぐきてくれる?とメッセージがはいったところを読みました。韓国の病院では看護師は医療以外の任務を担わないそうです。
12月1日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
かめさん『ミセス・ハリス、モスクワに行く』ポール・ギャリコ著
シリーズ四作目、最終話。そろそろ終わりという所から会で読み、読了。
1970年代のオイル・ショックの話で日本についても出てきますが、この件が事件?を解決する鍵になっています。
奇想天外にも思える筋運び、どんな立場の人とも通じ合ってしまう掃除婦のミセス・ハリス。今回は鉄のカーテンの向こうで、体制に引き裂かれた恋人たちを結びつけられるのか。大丈夫だろうと思いつつ、いやさすがに無理かもと読み進めていました。
大人のお伽話のようなこのシリーズ、なぜ作者が主人公をこのような人物に書いたのか考えていたのですが、参加者の方から、実際にあった社会的な事柄を取り入れている事が面白いと言われ、執筆時の社会の中で作者が言いたいことが、現在の私たちが感じる以上にあったのではないかと思いました。時代背景を調べ直そうかと考えています。
初めての参加でしたが、自分では読まない分野のお話が聴けて、楽しかったです。(小松左京が書店からなくなっている、というお話はショックでした)
Takashiさん『内田百閒』内田百閒(ちくま日本文学)
内田百閒は夏目漱石の門下生だった小説家で、本書は短編集です。
今日読んだのは「件』(くだん)です。件(くだん)という伝説の化け物になってしまった男の戸惑いを、どたばた喜劇のように書いた面白い短編でした。
私は件(くだん)の伝説を小松左京の『くだんのはは』で知りましたが、それよりも前に内田百閒が書いていることを今日まで知りませんでした。
過去の読書感想はこちらに載せています。
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