一昨日は読みたい本を気ままに読む読書会、昨日はリベルのブックレット『社会関係という土作り』を使う読書会でした。他の方の話を代弁するのもはばかられるので、またまた私が一昨日読んだ本の読書感想を書きたいと思います。
私は引き続きマズローさんの『人間性の心理学』を読みました。おそらく年内はこの本で終わりそうです。
一昨日読んだところは、他の心理学研究に対する批判的論述でした。それまでの様々な研究に対して、こういうところは間違っているのではないか、もっとこうあるべきではないかという論述です。様々な批判的論述はありましたが、その元の研究内容に詳しくない私にとっては、どうもちんぷんかんぷんでした。
さて、それでも印象に残ったこととしては、動物的な欲求がある方が健康的だとする記述です。動物的な欲求とは、食べたい・寝たい・あれを手に入れたいというような、私たちがいわゆる欲望としてイメージするものだと今のところは解釈しています。なぜ、この部分が印象に残ったのかというと、マズローさんの言う自己実現とは仏のような無欲な状態を言うのではないかと思っていたからです。その無欲性と、動物的な欲求がある方が健康的であるという記述は矛盾するように思えました。もちろん、私がまだ理解できていないだけだと思いますが…。
ただ、よくよく考えると、そういう動物的な欲求があることが健康的であるとは、とても納得感があります。食べたい・寝たいは欲求としてなくなれば当然そのまま命に関わりますが、あれを手に入れたいがなくなるのも不健康的であるのではないかと感じます。なぜなら、あれを手に入れたいという感情が、人を突き動かしているのではないかと考えているからです。つまり、この部分に関するマズローさんの見解には賛成です。
しかしながら、マズローさんは、欲求は満たされるとまた次の欲求が生まれるから、健全ではないと行っています。だから、自己実現のステージを目指すことが健全で幸せな人生につながっていくと言うのです。人の健全や幸せを求めて心理を探求する姿勢にはとても好感が持てるのですが、「動物的な欲求があることが健康的である」という見解と自己実現は矛盾するように思えます。
一体自己実現とはどのような状態のことを言っているのでしょうか。欲望に忠実なんだけど、他者と比べず、満たされるという概念のない目的を据えて生きる活動をする人、といった感じでしょうか。人にとってどういう状態がいいと言えるのだろうか、そんなことを考えるにはとてもいい本であり、それを求めていたマズローさんは探求者としてすごいという点に疑いはありません。
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(吉田)