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古墳が、奴隷的な労働によってではなく、人々の前向きな参加によって造られたと知ったとき、その見方が180度変わりました。古墳という墓に祀られるほどの人とは、どのような人だったのだろうか。人々は古墳の何に意味を感じていたのだろうか、何を思ってあれほどの巨大建造物造りに精を出していたのだろうかと。
古墳築造には、当時の日本列島の情勢に影響を受けた、政治的な意味合いもありました。しかし、それとは別に、人々の心をまとめ上げる大きな力を発揮していました。ただもちろん、古墳は求心力の増幅装置に過ぎず、求心力の根源はその地域首長のリーダーシップにありました。その人と、その人が成す事に対して、人々は期待していたのです。
今回は、古墳時代の中央地域ではなく、地方地域にフォーカスを当てています。
この時代、中央は国家成立に向けて奔走していましたが、そのような政治活動から離れた地方は、地域の発展に注力できていました。そのような分かりやすい一つの目的に向かう地方の方が、より純粋なリーダーシップを学べると思ったのです。
現代よりも中央の力が弱く地方に権限があった時代、リーダーは何を成し、古墳に祀られるに至ったのでしょうか。人々は何を思い古墳を築造していたのでしょうか。
飛鳥時代の一つ前の時代、まだ国家や法律が成立する前の定まっていない時代だからこそ、リーダーと人々のより純粋な関係を見ることができます。古墳時代の地域首長は、かっこいいと思いました。
(吉田)