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このテーマで先生を訪れた時の関心事は、古代において人々は、何のためにどのようなデザインを施していたのか、ということでした。
現代とは異なり衣食住を整えることに精一杯であったにも関わらず、人々はモノにデザインを施していたらしい。たしかに言われてみれば、学校で習った土器にも青銅器にも古墳にも、デザインは施されていたことを思い出しました。
生きるのに精一杯な環境の中で施されたデザインからは、人間がデザインに求める、その本質が見えてくるのではないかと思ったのです。
デザインには、社会背景や、人間が生まれながらに持っている性質(本能)が影響を与えていました。
社会が変わり、人々の生活様式や価値観が変わるたびに、デザインは変化しました。
他方で、人間にとって普遍的に良いデザイン、心を動かすデザインというものも、人間の本能に基づいて規定されているようです。
そして、私たち人間がデザインに求めてきたこと、生きるのに精一杯な中で半ば衝動的にデザインを施してきたその目的は、時代を超えても一貫していると感じられます。人間にとってデザインは、付加的なものではなく、根源的なものでした。
縄文、弥生、古墳の、その時代ごとの社会背景や人々の生活様式、価値観の変遷と、デザインの変遷を重ね合わせて描いています。
(吉田)