参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。7日(水/午前)は2名、10日(土/午前)は2名、11日(日/午前)は4名でした(主催者含む)。
8月7日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『自由論』ミル著/斉藤悦則訳
ミルは割と冒頭から結論を書いています。それは、他の人の安全を守る場合にのみ統制をしてもいいということです。分かりやすい例でいうと、人を殴ろうとか精神的に傷つけようとする人に対しては止めたり罰則を課してもいいという考えです。それ以外は社会や世間は干渉してはならないということが書かれていました。
しかし徐々にその干渉して良い範囲が拡張されていくような印象を受けました。たとえば、「個人の行動がほかのひとびとの利害に関係するとき、そのときだけは、外部からの統制にしたがわなければならない」(P32)と書かれたりしています。利害とは安全と必ずしも意味を同じにしないと思います。たとえば、大事な商談があっても今日は行きたくないと思ったとき、他の人の安全には影響しません。しかし、利害には影響します。ですので、拡張されたミルの統制の範囲にドタキャン禁止というのは入るのだと思います。
ミルはなぜ、統制や干渉の範囲を拡張していっているのか。それは現実的に考えて、安全の範囲だけでは社会が回らないと思ったからなのか。なんだかいろいろ気になります。この本は、社会や世間が個人への統制をどの程度行なっていいものなのかという観点から書かれている自由論なのだと今のところは理解しています。自由のための統制論と言い換えることもできるのかもしれません。
8月11日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『ダーウィン 「進化論の父」の大いなる遺産』鈴木紀之著
ダーウィンは『種の起源』や進化論で有名です。そして人柄は、純粋な研究者というかあまりお金とか権威とかに興味がなさそうな人という印象でした。なのですが、割とビジネス環境で引用されて登場するし、ナチスの優生思想にも利用されたりもしています。なんでなのかなぁと思っていました。なんでといっても利用しやすかったから、時の権力者に都合が良い理論だったからということ以外にないのかもしれませんが。
今日は初めの方で、ダーウィンの生い立ちのようなところから。いきなり驚いたことに、父方の祖父は医者でありながら研究者的な側面もあったようで、本も出していたそうです。そしてその本の中には進化論ともとれるような記述があるのだとか。この時代(イギリス)はキリスト教的世界観なので、神が人間なら人間、猿なら猿のままこの世に生み出したというのが常識です。そこに、一つの種の形質が変化していくみたいな記述をしていたので、それだけでかなりチャレンジングな投げかけなのです。そして母方の祖父は、今も続く陶器メーカー・ウェッジウッドの創業者なのだとか。ネットで検索するとティーカップ22,000円。
大学などには属さずに研究をしていたそうです。世俗から離れて生きられたことが、そのときの世界観から外れた理論の構築に至ることを可能にしたのではないかなんて思いました。
過去の読書感想はこちらに載せています。
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