2022.03.14

テーマ「会うこと」読書会の読書感想

 3月4月は、テーマを「会うこと」においた読書会を隔週で開いていきたいと思っています。ここでは参加者に任意でいただいた読書感想を載せていきます。

〈読書会について〉
 事前読書のいらない、その場で読んで感想をシェアするスタイルの読書会を開いています。事前申込をあまり求めない、出入り自由な雰囲気です。日程などについてはPeatixなどをご覧ください。
Peatix

2022年5月1日

yuさん『緑の天幕』
 リュドミラ・ウリツカヤのはロシアで最も活躍する人気作家らしいです。読むのは初めてです。709pで辞書みたいに分厚いなと思いました。ソヴィエトからロシアへ。この国で人々は何を愛し、どう生きたのかが描かれているそうで、6人の男女の生まれた時から老年に至るまでが描かれています。今大学生くらいのところを読んでいます。不穏な空気が立ち込めてきました。

よしだ『手の倫理』伊藤亜紗著
 触れることは会わないとできないのでテーマ「会うこと」の読書会では触れることをキーワードに読書をしていました。といっても相手に物理的に触れるって相当な仲の人でないとできないのですが。
 今日読んだところでは、著者の考えを述べていく前段として西洋哲学における触覚の位置づけが紹介されていました。あまり違和感がないことかもしれませんが、西洋哲学では触覚は下位の感覚として扱われていたそうです。上位は視覚と聴覚で、下位は触覚と嗅覚と味覚です。僕はいつも目だけに頼るのはどうかと思いつつ、「ものの見方を変えてみる」などと認識全般に関して「見る」という視覚的な言葉を伴わせてしまいます。かといって他に適した言葉も見つけられない。視覚とはなんとおおきな感覚なのだろうといつも感じています。
 でも博物館などに行けば触れてはいけないものに反射的に触れたくなってしまいます。目で見るだけでは物足りない。実際に触れてみてその存在を確認したいのです。さすがに匂いを嗅いだり舐めたりはしないけど…。
 目や耳は最初にものの存在を捉えるものなのかもしれません。でもどうしてもその後に手で触れたり、口に入れたり、鼻を近づけてみたくなる。そうやっていくつもの知覚を駆使して存在を確かに感じ、経験として自分のなかに蓄積しているように思いました。

2022年4月9日

yukikoさん『ほどよく距離を置きなさい』
 1か月ぶりの読書会でした。
 やっぱり話をすると自分の頭が整理されて、対話って大事だなあと再確認した次第です。

 紛争の渦中にいると大事なものが見えなくなり、俯瞰でものを見ると見えなかったものが見えてくるらしいです。
 話す=離すという考えは、問題の解決にはならないかもしれないけれど、一度、問題を手放すことで先に進んで行けるという視点は今後の人生の指針になるかもと思いました。

つやまさん『他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学』磯野 真穂
 帯の「自分らしさはあなたを救うか?正しさは病を治せるか?生の手ざわりを求めて」という言葉に惹かれて手に取ってみました。現代社会で一般的な通念となった個人主義やリスク管理が徹底されることによって、私たちは他者や世界の「手ざわり」を感じることが難しくなってしまっているのではないか、というようなことがテーマのようです。
 人間にとっての「現実」は、実際に自分が体験していることだけではなく、個人を超えた文脈からも影響を受けて形作られます。また、「経験」には、自分や身近な人の実際の体験に基づく「近い経験」と、専門家の知識などが体系化された「遠い経験」の二つに分けられます。予防医学が発達した現代ではメディアなどを通して様々な「遠い経験」が共有されるため、病気になるリスクを現実の苦しみとして感じやすくなります。また、リスクの感じ方はどのような文脈を選ぶかによって変動するため、情報や選択肢が多い現代では不安定になりがちです。結果として、現代人はリスク回避に多くの労力を割くのが当たり前になってきています。例として、食べ物に含まれる食品添加物の情報に敏感になるあまり、もはや味そのもので食事の美味しさを判断できなくなってしまった人の話などが紹介されていました。
 環境をコントロールしたいという欲求によって人類は進歩してきたのだと思いますが、それによって生きている実感が希薄化してしまうのは皮肉だなと思います。著者はどんな対処法を提案しているのか楽しみに読み進めたいと思います。

2022年3月13日

つやまさん『THE LONELY CENTURY なぜ私たちは「孤独」なのか』ノリーナ・ハーツ
 孤立させられたマウスはお互いを攻撃するようになるが、人間も孤独になると共感能力が低下し他者に敵意を感じやすくなる。近年各国で(極右)ポピュリズムへの傾倒が起こり民主主義社会に深刻なダメージを与えているが、その大きな原因のひとつに孤独があると著者は言っている。数十年にわたる新自由主義、脱工業化、コロナ禍などによる不況により、社会や為政者から見捨てられているという孤独感や疎外感を感じる人が増えており、ポピュリズムが主張する排他的で分断的な社会に惹かれやすくなるという。哲学者のハンナ・アレントは、ナチスのユダヤ人虐殺に加担・追随した人々の背後にも孤独という要因があり、自己をイデオロギーに捧げることにより自尊心を取り戻すという心理があると指摘している。2016年の大統領選でドナルド・トランプが勝利したのは、収入や尊厳を奪われたと感じていた白人労働者階級に、自分たちの声を代弁し救済してくれると信じ込ませるのが巧みだったところに勝因があった。また彼らがはく奪され切望していたコミュニティへの所属意識を、熱狂的な政治集会で愛国心を煽ることを通して満たしてやることでも支持を高めていった。このような人々の孤独感につけ入って煽動する手法は、その後ヨーロッパのポピュリスト政党でも一般的になってきているという。これ以上疎外や不信が広がらないよう、政治家はコミュニティの再建に努める必要があるし、人々は多様な人々を受け入れる寛容さを身に付ける努力が必要である。
 読書会での会話についてですが、人間は孤独なときに不安や恐怖を煽られると抵抗しにくいので、手口を知っておくことが対策かなと思いました。「貧乏」より「貧困」の方が深刻な感じがするのは、関係性の欠如が含まれているからなのかと納得しました。孤独への対処として、コミュニケーション力を高めるより考え方を変える方が有効だったというのは興味深く、徒然草を読んでみたくなりました。あと、大食い動画が世界中でブームになっているのも孤独と関係があると書かれていました。

よしだ『皮膚は「心」を持っていた!』山口創著
 今日は耳以外でも音を聞いている、というところを読みました。割とよく知られた骨伝導では、耳が聞き取れる周波数(可聴域)外の音も聞き取れるそうです。そしてそうした可聴域外の音が心を動かす要素だったりもするようです。つまり、イヤホンで耳からだけ音を聞いていては感動が半減している可能性があるということです。
 耳だけで音を聞いているわけではないというこの例の他にも、目だけで色を感じているわけではない、頭だけで記憶しているわけではない、という例も示されています。人間は全身をフルに使っているのだと思いました。


 過去の読書感想はこちらに載せています。

読書会参加者に投稿いただいた読書の感想です(2022年10月-)。

 

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(吉田)

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