2021.10.31

読書会の読書感想(10/25-31)

 参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。10月25日(月)は2名、28日(木)は5名、30日(土)は5名、31日(日)は8名の参加でした(主催者含む)。


10月25日:読みたい本を気ままに読む読書会。

よしだ『ソフィーの世界』ヨースタイン・ゴルデル著/池田香代子訳
 14歳の少女宛に届く手紙には、哲学の歴史が記されている。古代ギリシャで哲学が盛んになる前には、神話によって世の中の現象が説明されていた。哲学は、そこに疑問を投げかけていく。

 ひとつには、いつも周りにある、木や花や虫などは、何で構成されているのだろう、分解していくと何が根元として残るのだろうかという疑問。

 ほかのひとつには、運命はあるのかという疑問。運命があると考えるならば、おそらくそれを知る方法があると考える。今も昔も人は占いが好き。だけれども、哲学はそこに疑問を投げかけていく(おそらく)。

 思ったことは、人は、原因を知りたいという気持ちと、未来を知りたいという気持ちを持っているということ。原因も、原因がわかれば同じ失敗をくり返さないで済むから、ある意味では未来に対する願望の表れのように感じる。人はいつも未来を見てきたらしい。

10月28日:読みたい本を気ままに読む読書会。

原有輝さん『思想史としての「精神主義」』
 江戸時代の「歎異抄」解釈と、明治以降の「歎異抄」解釈との違いや、福沢諭吉の宗教観や井上毅の宗教政策がどのような影響を及ぼしているか、興味を持ちました。まだ序章を少し読んだだけですので、続けて読もうと思います。

yuさん『ノーベル文学賞のすべて』
 ノーベル文学賞とは何かを読みました。ノーベルの生涯とノーベル賞設立の経緯。遺言に「最も卓越した理想主義的な作品」に与えるとあるが、その解釈も難しいようです。せっかくだからいろいろ読んでみたいなと思いました。

 長い本を再読している人がいらっしゃり見習いたいものだと思いました。

だいぽんさん『テスカトリポカ』
 メキシコからアメリカに向かう人もいれば、南に下る人もいる。最初に出てくる女の子ルシアは後者だった。それからペルーで働き、太平洋の端、日本という国の存在を知り、太平洋を渡ることになる。大阪の違法カジノで働く中、警察のガサ入れを幸運にも免れ、川崎のキャバクラで働くこととなり、何とか暮らしていくことになったが。

10月30日:テーマのある読書会「価値観の色々」

yuさん『マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か』
 他人事のように誰かを非難し槍玉にあげるのは理解が足りないからなのか。世界には性・民族・障害など複合差別を交差的に問うことがもはや回避できなくなっているそうだ。今日は、ジョーカー、パラサイト、バーニングと見た映画の読み解きの部分を流し読みしました。この世界は何て複雑なんだと思いました。

 「反教育論」を3巡目読んでいる方がいて、皆で小学校や高校の頃の教育環境について話したりしました。塾など久しぶりに思い出しました。

つやまさん『落ちこぼれ、バンザイ!-スヌーピーたちに学ぶ知恵』河合隼雄+谷川俊太郎
チャーリー「ぼく退屈なやつだと思われるのがすごく怖いんだ・・」
チャーリー「退屈するのもすごく怖い・・」
チャーリー「いままで一番何に退屈した?」
ルーシー「たったいまはぬきにして?」

 アメリカ社会では退屈している人間や相手を退屈させる人間は魅力がないと見なされる風潮が強く、みんな強迫観念的に楽しいことや新しいことを求めているところがあるそうだ。上のチャーリーの問いかけに対するルーシーの返答はひどいが、ひどすぎて笑ってしまうようなところに、そういう強迫観念から抜け出せるような効用がある気がする。また、日本と比べて弱さや悲しさなどのネガティブな感情を日常の中で出せないので、その代償行為としてスヌーピーが長く愛されているという面があるそう。日本でも近年は大人の漫画として受け入れられてきている背景には、西洋化による心の問題の増加という事情もあるのかもしれないというのに複雑な思いがします。読書会前の時間にちょうど暇と退屈について雑談していたのもあって、なんとも考えさせられる漫画と二人の対談でした。

だいぽんさん『インスタグラム 野望の果ての真実』
 価値観の表現としてインスタグラムに代表されるSNSを利用される方が多いと思われます。わざわざ、インスタ映えする写真を撮るために食べきれないほどの大きさのものを頼んだり。最後まで読み進めたいと思いました。

10月31日:読みたい本を気ままに読む読書会。

mtさん『あなたもこうしてダマされる』ロバート・レヴィーン著、忠平美幸訳
 著者の関心事として「人はいかに操られ、自分がやると思ってもいなかったことをやってしまい、あとになって悔やむのか」が挙げられていました。仮に操られたとしても悔やむことがなければ「ダマされた」とは思わないのかもしれません。そこには、なにかしらの心理的負担が潜んでいそうです。本書は社会心理学の立場から、合法・非合法を問わず「ダマす」ことを分析したものですが、世の中には思った以上に「ダマす」テクニックが蔓延していそうです。

 一方に「ダマす」側があるとするならば、他方に「ダマされる」側があります。「ダマされる」側は、なぜ「ダマされる」のでしょうか。本書では、得ることの喜びよりも失うことの心理的負担のほうが大きいことが述べられていました。「ダマす」側にとっては、最初の扉を開けてしまえば、というわけです。そして、有名なミルグラム実験やスタンフォード監獄実験が取り上げられていました。自分の行為によって他者が死ぬ可能性があったとしても、権威による命令があればそのまま実行してしまう被験者が、全体のうち65%存在したミルグラム実験。看守役の被験者が逆らえない立場の囚人役の被験者に対し、攻撃的になり理不尽な命令を強要することが明らかとなったため、警察沙汰になったスタンフォード監獄実験。どちらも怖い話です。どちらも途中で役目を降りること、つまり失うことの心理的負担を受け入れれば大事には至らないであろうことが指摘されています。

 他国の話だからと一概に言い切れない内容でした。「ダマす」テクニックはコミュニケーションを逆手に取っているので、なかなか避けがたいもの。「ダマされないゾ!」とがんばるよりも、受け流せるようにしたほうがいいのかなと思いました。

よしだ『ソフィーの世界』ヨースタイン・ゴルデル著/池田香代子訳
 今日はソクラテスとプラトンが登場しました。名前しか知らない二人です。

 ソクラテスは、奴隷から知識人から、ときには政治権力にも、対話をふっかける人。ソクラテスと相対した人は、自分が物事をわかっていないことを実感せざるをえなくなっていく。人によっては、ソクラテスに怒りを覚える。政治権力は自分たちの立場が危うくなるので危険人物と見なしていく。

 ソクラテスは「無知の知」を自覚していた。自分はなにもわかっていない、それが怖かったらしい。だからいろんな人にいろんなことを聴いていった。

 しかしその結果、処刑されてしまう。ソクラテスが弁明すれば処刑は免れたとされているが、ソクラテスは自分の主張や行動を変えようとしなかった。

 「無知の知」がソクラテスの生き方の核であるように感じられ、どんな価値観だよと理解が追いつかないでいる。一度でいいから、いや二度目は結構だから一度だけ、会ってみたいものだ。

Yukikoさん『幸福の資本論』
 幸福には三つのインフラが必要なんだそうです。
①金融資産
②人的資産(仕事など)
③社会的資本(家族、恋人、地元など)
 この三つの中の二つを持っていることが貧困女子(一番不幸な状態)にならない秘訣なんだそうです。

 一つしか持っていないと幸福のヒエラルキーの最下層になってしまう可能性が高いので二つ持っているという状態が大事だということです。

 ①~③の状態を組み合わせると8タイプの人間にカテゴライズすることが出来るそうですが、ではその中で自分はどのタイプだと思うとどれにも当てはまらない事に気づいて、人ってそんな単純なものじゃないよねと思いながら読んだ本でした。
 でも読み物としては面白かったですよ。



 過去の読書感想はこちらに載せています。

読書会参加者に投稿いただいた読書の感想です(2022年10月-)。

 

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(吉田)

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