参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。11月11日(木)は3名、12日(金)は5名、13日(土)は6名の参加でした(主催者含む)。
11月11日:読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん『100分de名著 ガンディー「獄中からの手紙」』
ガンディーの断食で、宗教対立が止むのは、何とも不思議な話です。ガンディーは身体を張ったから、インド人に支持されたのでしょうか。そこまで身体を張るのは、常人の真似ができることではないですが。そこまでできるのは、ガンディーはやはりすごい人だったということでしょうか。
yuさん『青い麦』
夏休みに毎年過ごす海辺の町での10代の恋愛の話。植物や海の情景描写がとても綺麗だと思いました。半分くらいよんだところで、解説を読みました。青い麦が発表されるまで1920年代のフランスでは同じ階級同士の若い恋愛を描いた小説はなかったそうです。ありふれた題材のようで、そうではないところが意外でした。
他のかたの話の中で、科学者は宗教を信じてた。サイエンスじゃわかんないこともあるというのが印象的でした。目に見えないものの存在って宗教を信じていたら感じるものなのかなあ?と思いました。
11月12日:読みたい本を気ままに読む読書会
つやまさん『居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書』東畑 開人
臨床心理学が専門の著者が実体験を描いたエッセイで、最初の部分を読みました。著者は博士号をとって大学院を卒業し就職先を探しますが、著者の希望として、クライアントの話し相手になったり身の回りの世話をする『ケア』ではなく、心理学の高い専門性を生かして心の深い領域での交流を通じてサポートをする『セラピー』を中心にした仕事がしたいというこだわりがあり、そこに家族を養えるだけの安定した収入という条件をつけると就職先がほとんどないという現実がありました。苦労の末にようやく条件に合う精神科を沖縄で見つけて勤めはじめますが、そこは治療による回復が難しそうな重度の患者が多く、まともな会話も成り立たないため、ただそこに『居る』ことだけが求められます。役に立たない自分に対する周囲の目や、学んできた専門性が活かせないもどかしさに、「これに意味があるのか?価値を生んでいるのか?」と自問自答をせずにいられなくなるさまが、生々しくも面白おかしく描かれています。経済性や効率が重視され、何もしないことは悪とみなされがちな世の中ですが、患者や職員たちとの関わりを通して著者の価値観がどう変わっていくのか(いかないのか)、読んでいる自分はどうなのか、先の展開が楽しみです。
よしだ『ソフィーの世界』ヨースタイン・ゴルデル著/池田香代子訳
哲学にまつわる歴史が、手紙を通して順々に14歳の少女に教えられていきます。今日は、ローマ帝国の衰退から中世に突入し、1000年にも及ぶ長い中世を経て、ルネサンスに突入する前夜のところでした。
人々は、お金を手にしたりしながら、すこしずつ自由を手にしていきます。違うクニの人と話す機会も出てきたようです。活版印刷機も登場し、教会に閉じたかたちで収容されていた聖書も身近なものになっていくはず。きっとここから、封建的な社会や、聖書に書かれた世界の成り立ちなどに、疑問を抱いていくのではないでしょうか。
読書会では、それまでは人々は考えることをしなかったのか、という質問をもらいました。そこについては描かれていませんでしたが、一つの考えが記された本が手元になければ、それを基礎として対峙することもできず、抽象度や複雑性が高い問題を考えることは難しかったのではないかと思ったりします。もちろん、農業などの日々の仕事がよりうまくいくようにとか、目の前にある問題については考えていたはずです。でも引いた目線で世の中をみて疑問に感じたり、論を組み上げたりということは難しかったのではないか、などと思っていますが、どうなのでしょう。
11月13日:読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『哲学入門』ラッセル著
哲学の価値という最終章まで来ました。読了したら読了記念パーティーを開かなきゃ。一人で。
畑を耕すみたいに少しずつ読んでまとめて感想を書いて、なんとなく理解したなと思って最初の方を読み直すと、あら不思議、全然わかってなかったことがわかるっていう、そんな感じです。
人を自分の都合で見るな、自分の都合で人を見ていることに気付け、そういう風に読んでいます。今のところは。
過去の読書感想はこちらに載せています。
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(吉田)