参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。20日(火)は3名、21日(水)は7名、24日(土)は9名、25日(日)は9名の参加でした(主催者含む)。
9月21日:読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『蚤と爆弾』
大戦末期に実在していた軍医をモデルに書かれた小説だが、史実中心のほぼノンフィクションの内容で構成されている。北満洲ハルピンでの人体実験と細菌兵器開発。
今日読んだところは、昭和16年12月、日本が米英蘭3国と先頭状態に突入、ハワイ奇襲に続いて南方作戦が開始されたところでした。この小説は何を問うているのか。
映像にもなっているようです。眠れなくなりそうです。
各自の感想では、孤独について、他人を理解するということについて、理解されないということについてなど。そういえば孤独は1日タバコ15本に匹敵する健康被害をもたらすとどこかで聞いたけどほんとかな?などと考えながら聞いていました。
9月24日:読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『同潤会アパートメント生活史』同潤会江戸川アパートメント研究会
昨日図書館に行って、目的の本を見つけてカウンターに向かっていたところ、横目にこの本を発見。思わず手に取りました。団地に住む自分にとっては興味深い内容です。
今日はこの本の舞台となる同潤会江戸川アパートメントについてネットで調べて、その後少し読んだところで終わりました。258戸もあった団地は、共用風呂があり、屋上には共用の洗濯物干し場があり、食料が乏しい頃は中庭で野菜を作ったりもしていたそうです。住人同士の交流が自然と生まれる造りになっていました。しかしそれは協力し合わなければ生きていけない時代であったからであるとも読み取れます。
コミュニティが失くなることを問題視する考えをそれなりに多く見かけます。それはコミュニティが、犯罪の抑止や災害時の助け合いや孤独の解消につながっていくから。江戸川アパートメントの構造は古き良きコミュニティのある生活を想起させます。でも嫌なこともあったはずです。
屋上に干された洗濯物は盗まれることもあったそうです。そして「同潤会アパートメント生活史』の題材となっている「江戸川アパート新聞」は住人同士のいざこざをいさめるために作られたようです。そして現代、少なくとも今私が住んでいる団地には住人同士の交流はありません。
災害時などは別にして少なくとも毎日の生活で共用するものが過度に少なくなった現代では、昔とは違うやり方でコミュニティをつくり維持していくことが必要なのだろうと思いました。
9月25日:読書のもやもやについて話す時間「本を読む意義って何か?高校生からの疑問」
今回のテーマは「本を読む意義って何か?高校生からの疑問」でした。
〈出されたテーマとメモ〉
1. 読書、本を選ぶのに季節性はあるか。秋は小説多めなのか。テーマ性はあるのかな。
・小説好きの人は夏はこれ、秋はこれ、みたいなもの決まっている。クリスマスとかなら決まっているけど。季節がテーマになっているわけではなく、自分のなかでテイストとして決まっている。
・どうして読書の秋なのか。秋は気候がいいから?
・夏はレゲエ聞いていた方がいいかもしれない?
・行楽シーズンって秋な気がする。
・読書の春とかあるのかな。冬に哲学書読むと病む?
2.安定剤的な本はあるか?
・読みかけの本を読む、読むこと自体を安定剤にしている?
・江國香織なら読める、ビブリオマンシエって占いの本。
・突き詰める本を読み続けていると宇宙の本、哲学者の本でバランスをとっている。
3.★本を読む意義って何か?高校生からの疑問
・本を読む目的を設定する人は読書に向いていない?時間を味わい深くなれる。
・他の人の会話に触れられる、簡単に他の人の会話に触れられる。
・動画じゃなくて本の本質を見極められる時代なのかもしれない。
・言葉の直接性が高い、それによる効果高くて、人が思考する考えるところは大きい。言葉を直接受け取ってやるのがいい悪い。尖った体験な気がしている。
・本は人と向き合う、その人と向き合う体験。まとまった行の文章があって、情報量が多い。抽出されたもの。
・動画は本60冊分の内容。情報媒体として見ると動画と本は別物。
・毎日読む本を探している。救いを求めているので、本ない生活の方が幸せかもしれない。図書館の主人、悩んでいる人たちに本をすすめる。悩める人が本に行き着くのではないかと思った。
よしださん
高校生からそう質問された人がいたということから始まりました。最近は動画も豊富にあるので、読書とは何を指すのかということがまた一段と定義が難しくなったように思います。知識を得ることも他者の考えを知ることも動画でできるようになったからです。でもそこから考え始めていては先に進まないので僕の中では結論を知るだけではなく過程をたどることという定義(?)で読書について考えていました。あくまでも切り抜き動画や要点をまとめたweb記事との比較ですが、本は著者と対等に思考の過程を追える媒体であるように思います。
僕は人の認識とは、過去の経験や知識や記憶が複雑に絡まりあったものなのではないかと思っています。だからそれを変えていくためには、一つ一つ解きほぐしていく過程が必要であり必然的に時間がかかるものだと思います。過程のない答えをただ放り込まれても自分のなかには入ってこないのではないかと思います。
あるいは全く無垢な領域に(例えば高校生にとっての「仕事とは」という問い)明確な答えが投げ込まれたらそれをただ信じることにもなりかねません。アニメの悪役がよく明確な答えを示して若者を洗脳していくのを思い出します。
読書とはめんどうくさい面もあると思いますが、でも世の中もなかなかめんどうくさい面もあるので、めんどうくさい読書をしながらもやもや生きていくのもありかなと思ったりします。
https://note.com/embed/notes/nc83d83de1ff2
過去の読書感想はこちらに載せています。
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(よしだ)