2023.01.04

読書会の読書感想(12/27-28)

 参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。27日(火)は7名、28日(水)は10名の参加でした(主催者含む)。
 なお、2023年の読書会は1/11(水)の10:00からを初回として始めていきたいと思っています。

12月27日:読みたい本を気ままに読む読書会

よしださん『生きるということ 新装版』エーリッヒ・フロム著/佐野哲郎訳
 ちょっとだけ読み進めていたのですが、よくわからなくなったので、また最初から読み始めました。なんとなく、物質的に豊かになっても幸福にはならない、と嘆いているように感じた著者・フロムとこの本の背景を調べたくなり調べていました。
 原著が書かれたのはおそらく1976年(はじめに、の日付がそうでした)なので、アメリカではたぶん日本よりもさらに自動車や家電などは行き渡っていたように想像します。フロムが生まれたのは1900年・ドイツで、1933年にアメリカに渡り帰化したとのこと。ナチ党が政権を握ったのが1933年らしいので、それをうけてのアメリカへの帰化なのだと理解しました。
 フロムは精神分析を専門とするようなので実際に患者さんに向き合ってもいたのではないかと思います。物質的には豊かになってはいるのに、幸福になっているようにはみえない(本の中では幸福ではなく福利と表現されています)。これは僕の解釈も含まれますが、モノにひたすら豊かさを求める様は、ナチス時代に起きた全体主義とも重なってみえていたのではないかとも思いました。
 今回読んだなかで印象に残った言葉は「徹底的快楽主義」。中世までは衣食住などにおいて欲しいだけ得ることができたのは、一部の限られた階級の人たちだけでした。それが産業革命以降は大衆がそれを求めることができるようになります。そうした背景もあり、社会は徹底的快楽主義を社会思想として敷いていくことになる。
 産業革命以前は、徹底的快楽主義を(物質的豊かさという意味で)唱える哲学者や思想家はいなかったのだそうです。それは大衆がそれを求めるのが不可能だったからなのか、それを求めても幸福にならないのが明らかだった・既に分かっていたからなのかは分かりません。後者が理由で唱えられなかったとするのがきれいな話ですが、その世界観がみえていないのに自明とするのは少し無理があるようにも思えます。
 今は何主義なのだろうなと思いました。バブルの頃は、先日もテレビでその頃の様子を見ていましたが、徹底的快楽主義であったように思えます。しかし今はそこまで徹底してもいないし、モノに快楽を求めるようなところもあるようには思えません。今は何主義なのだろうか、ということをぼんやりと考えて終わりました。

12月28日:読みたい本を気ままに読む読書会

ハラ タカシさん『食べものから学ぶ世界史 人も自然も壊さない経済とは?』(平賀 緑)
 この本は、岩波ジュニア新書、つまり、高校性向けの本です。
しかし、その内容は大人の私にも目を開かせてくれました。
 ジュニア新書ですから、本の内容を解説するのではなく、本文冒頭と「おわり」の一部を紹介するだけで、この本の面白さが伝わると思います。
 以下の冒頭で、いきなり「拳骨」を食らいました。

農耕の「神話」と穀物の役割

 学校ではこう教わったと思います。
 人類は長い年月、狩猟採集によって。つまり野生の動植物を集めて採って、捕まえて、食を得ていた。その後、今から約1万年前に農耕と牧畜を開始した。(中略)人びとは村をつくって定住するようになり、農耕と牧畜によって食料を増産できるようになったことから、王や貴族、神官、商人、職人など自らは食料を生産しない人たちも支えることができるようになり、やがて文明が起こり、都市、そして国家が成立した。このように農耕と牧畜によって人類は発展することができた、などと。
 「神話」のように信じられてきたこの歴史観に、疑問を打ち出した説があります。(中略)日本語にも翻訳され『反穀物の人類史』というタイトルで出版されています。
 こ(れら)の本は穀物に逆らって、つまり、農耕を始めたことによって人類は文明を発展させ前進させてきたという通説に逆らって、問い直しています。むしろ穀物が選ばれたのは、支配する側にとって都合が良かったのではないか。
(中略)
 考えてみてください。この地球上には人間が食べられる植物が多種多様に存在するのに、なぜ、小麦、大麦、コメ、トウモロコシという4つの作物が「主食」と呼ばれ、世界のカロリー消費の過半数を占めるほどになったのでしょうか。多様性に富む方が自然にも人にも健康のためには望ましいのに。作物も動物も人間も、単一栽培や家畜化や都市化によって「蜜」になることで、病原体の繁殖と変異を許してしまうのに。

目次を紹介します。

はじめに
序章・食べものから資本主義を学ぶとは
1章・農耕の始まりから近代世界システムの形成まで
2章・山積み小麦と失業者たち
3章・食べ過ぎの「デブの帝国」へ
4章・世界の半分が飢えるのはなぜ?
5章・日本における食と資本主うの歴史
6章・中国のブタとグローバリゼーショーン(1970年代~現在)
おわりに

以下は、「おわりに」の書き出しです。

 私は農家の出身でも、有機栽培や自然食品を選んでいた家庭の出身ではありません。父はサラリーマン、母は専業主婦で、子どものころの朝ご飯は、白い小麦パンにマーガリンやジャム、卵料理、果物、それに多国籍アグリビジネスの商品「強い子のミロ」という、戦後日本の典型的な食生活?でした。ただ、広島の田舎へ引っ越したあと、両親は素人ながらも家庭菜園はじめてくれました。(中略)私が東京の大学に入り下宿生活を始めたとき、スーパーで買ったきたホウレンソウを炒めて食べて「マズイ!」と思ったのが原体験のひとつでした。・・・

著者の平賀緑さんは、以下のYoutubeで知りました。
平賀緑×宮台真司×神保哲生:この食料危機に食のグローバル化リスクを再考する【ダイジェスト】(10分25秒)https://www.youtube.com/watch?v=g7oc3MfGLMo
ビデオ開始から1分10秒あたりで、著者の紹介が始まります。


 過去の読書感想はこちらに載せています。

読書会参加者に投稿いただいた読書の感想です(2022年10月-)。

 

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