参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。8日(水/午前)は4名、11日(土/午前)は12名、12日(日/午前)は5名、12日(日/夜)は6名の参加でした(主催者含む)。
日曜日の「質問「 」について考える時間。」の質問は、
間違い電話の相手と長く話したことがありますか
田中未知著『質問』(文藝春秋)
でした。
2月8日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『生きるということ 新装版』エーリッヒ・フロム著/佐野哲郎訳
この本は「持つこと(to have)」と「あること(to be)」を対立させながら書かれています。
「持つ」ことは、あらゆるものを名詞化したうえで「持つ」という観念的な行為にいたります。物やお金はもちろんそうですが、もしかしたら人脈というものも持つ側の考え方によるものなのかもしれません。
「ある」ことは、ただあるのですから、自然と動詞的なもの言いになります。持つ側の例で出した人脈で比較すると「ある」側では、人と会った・話した聞いた・一緒に活動した、などと言うことになるのだと思います。
個人主義的な社会では、いろんなものを持たざるをえないし、思い返してみれば学歴などというものを持たされてきたな、などと。「ある」ことの方が変化に富んでいるのだろうと思いました。
2月11日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん『慈悲』中村元
慈悲は仏教の道徳ですが、その萌芽は友情や愛情など、誰でもありそうな気がします。多くの人は、誰かに何か与えたい気持ちを少しは持っているでしょうから。しっかり愛された人は、しっかり愛せる人になるでしょうから。愛し愛されることで、社会秩序が成り立っていると思います。ただ無関心ということも大切で、何にでも心を動かされる訳にもいきませんが。
Takashiさん『思考の整理学』外山滋比古著
言わずと知れたベストセラーだ。
読書の種類や読み方について書かれており、大変面白かった。論旨の展開も分かりやすいし、とにかく簡潔だ。読み始めたらやめられないとまらない、である。昔何度か読んだはずなのに新鮮な印象を受けたのは、私の記憶力の無さと文章の素晴らしさの両方に理由があるのだろう。
個人的には、難解な文章であってもあきらめずに読んでみようという気持ちになった。
Haruoさん『夢も見ずに眠った。』
結婚や一緒に暮らすことへのハードルが上がっているという趣旨のつぶやきが、登場人物から漏れるのだが、そうなのだろうか?と思う。それは、その人がどういう階層にいるか?とか、どういう信条を持っているか?等によるだろう、と思った。そうか、そういうことか。この言葉を漏らしたのは、仕事をバリバリこなし、単身赴任となっても家族と離れて転勤できるくらいの女性だ。なるほど、こういう人物が所属する社会のルールにおいては、そうなんだろう。そして、そういう女性が離婚した男性と縒りを戻そうとする時の、面倒なことには関与しないよ、というのがこの話のラストだろうか。
2月12日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yukaさん『群集心理』ルボン
今回読んだ本の3世紀ほど?前に書かれた本や逆に少しあとのヨーロッパにまつわる本について他の方が紹介されており、関連するかも/違いがあり面白いかもというポイントがありました。今回読んだ著者の主張や論考は、その著者が生きた時代背景や地域性(19〜20世紀初頭の、市民革命や産業革命を経験したフランス)にも影響を受けていると思われますが、歴史的な背景や教訓、考え方を知るひとつの読み物として、手にとってよかったかなと感じました。
2月12日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『侍』
「沈黙」の次に書かれた遠藤周作さんの小説です。鎖国前にローマ法王への親書を携えて海を渡った侍がいたそうです。史実とフィクション交えているそうですが、侍の行動はそのほとんど全てが事実と後書にありました。
作者も戦後最初の留学生で、ヨーロッパに向けて海を渡ってありその時の体験が船の描写に生かしてあるそう。鯨が出てきたり嵐にあったりして港にたどり着いたところを今日は読みました。急に君主に命令されて異国へ行くってどんな気持ちだろう。急に転勤を命じられるようなものかもしれないですが、なんせ昔なので未知すぎて、生きて戻れるかもわからないし、怖かっただろうなと思います。
神はいるのか。日本にはキリスト教は根付かないのか。
過去の読書感想はこちらに載せています。
〈読書会について〉
事前読書のいらない、その場で読んで感想をシェアするスタイルの読書会を開いています。事前申込をあまり求めない、出入り自由な雰囲気です。スタンスや日程などについてはこちらをご覧ください。