2023.12.25

読書会の読書感想(12/20-24)

 参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。20日(水/午前)は2名、23日(土/午前)は2名、24日(日/午前)は7名の参加でした(主催者含む)。

12月20日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会

よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
 今日はシャルル・フーリエという人が出てきました。フランス革命で財産を奪われ投獄されるというひどい目にあって、革命ではない方法での社会の変化を目指した人のようです。
 おもしろいなと思ったのは、この人は人間には個人/集団/社会全体のそれぞれで合計12の情念があると考えて、それが阻害し合うのではなくうまく働かせることができれば労働も喜びになると考えていたらしいこと。たとえば、移り気の情念というのは一つの仕事に飽きるという管理者からしたら好ましくないことも起こしえますが、新しいことに取り組むというチャレンジにもつながりえます。そういったそれぞれの情念と労働の関係や、それぞの情念同士の関係がうまく働くようなシステムになっていれば、労働も喜びになると考えていたみたいです(僕の解釈ですが)。
 それはすごく納得できるのですが、人それぞれで日によっても違うであろう情念の質や量を鑑みると、それを誰かが管理するのは大変なこと。必然的に、個人の判断や感覚に委ねるということにもなりそうな気がします。そうなると、たとえば会社としての目標の達成が不確実になる。しかしながら個人がその目標達成への意欲をもっていれば目標の達成される確率は高くなる。
 そんなことを考えると、個人が基点でも目標達成を目的とした集団というのは成り立つのだと思いますが、恣意的に操作したいという気持ちが強い人にとっては不安で仕方ないのだろうなとも思います。ある程度はしょうがないという気持ちをもちながらそこに合わせていく必要もあるのだろうと思いました。

12月24日(日/午前):ハンナ・アレント『人間の条件』のプロローグを一緒に読む会

yuさん
3回目でした。神の概念が私には難しく思います。哲学の神とキリストの神は違うと教えられたことがありそのことも引っかかっています。また人間は「3者の間による」はなんとなくイメージが湧きました。労働は一人でもできる・・でもは矛盾しているようでまだまだ掴めません。労働者の社会について,労働とは。人間の条件は難しい:いつもありがとうございます。

12月24日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会

Takashiさん『パラレルな知性』鷲田清一
本書は3・11の震災後に書かれたエッセイ集だ。今日はP127の”ボランティアという文化” を読んだ。

ボランティアの定義の一つが「じぶんをヴァルネラブル(vulnerable、攻撃されやすい)にする行為」だと言った人がいて、著者はそれに共感している。

攻撃されること自体は賃仕事でもあることだが、ボランティアとはどう違うのか。

金銭を介する仕事は、「自己決定・自己責任」という他者への非依存だったり、(税金を介した)政治や行政への丸投げによる他者への無関心が起こりがちだという。

一方、ボランティア文化は相互依存がベースであり、その目指すのところは他者との関わりを通じた開かれたネットワークなのだそうだ。

そう考えると、攻撃されるにしても対処するにしても、賃仕事とボランティアでは似て非なるものになりそうだ。

賃仕事はある閉じられた関係の中で解決しなければならないが、ボランティアは開かれた関係の中で解決しなければならない。

賃仕事はお金を目標としているので、個人個人は交換可能であることが前提だが、ボランティアはネットワーク化を目標としているので、個人個人の関係を作ることが前提なのだ。


 過去の読書感想はこちらに載せています。

読書会参加者に投稿いただいた読書の感想です(2022年10月-)。

 

〈読書会について〉
 事前読書のいらない、その場で読んで感想をシェアするスタイルの読書会を開いています。事前申込をあまり求めない、出入り自由な雰囲気です。スタンスや日程などについてはこちらをご覧ください。

関連するタグ

#読書会

このページをシェアする

読書会

 本を読んだり、なにか考えごとをしたり、ゆっくりと使える時間になればと思っています。事前読書のいらない、その場で読んで感想をシェアするスタイルの読書会です。事前申込はあまり求めていませんので、気が向いたときに来てください。

詳しく見る >>