参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。17日(水/午前)は3名、19日(金/夜)は5名、20日(日/午前)は5名でした(主催者含む)。
土曜日の「質問「 」について考える時間。」の質問はこちらでした。
百ワットの光源はどこまで明るさをバラまくでしょう
田中未知著『質問』(文藝春秋)
4月17日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん『インテンション』アンスコム
アンスコムは、ウィトゲンシュタインの高弟で、「哲学探求」の影響を受けていますね。
本書はアリストテレスの行為論を、2千年ぶりに刷新したらしいです。哲学的行為論の古典ですね。
よしださん『記憶のしくみ(上)』ラリー・R・スクワイヤ,エリック・R・カンデル著
「記憶のしくみ」というタイトルの通り、どんどんとしくみに迫っていきます。でもそれは、脳に迫ることでもあり、脳を構成するニューロン・神経細胞の働きに迫ることで、とても化学や分子な話です。つまり、細かくて難しい話です。。
おもしろいなと思ったのは、記憶をつくり出す機構はとても複雑で精緻に感じられるのだけど、その機構は単細胞生物でも持ち合わせているものだということ。単細胞生物は記憶ではなく飢餓の伝達に使われているようですが、それはつまりその機構の汎用性を意味します。生物はある一つの機構を別の事に使ったりしている。進化とは、その都度その生物としての機構が再構築されることではなく、既存の機構を別の用途に使ったり少し改変したり付け足したりしながら外見上は全く新しいものへと変化するということだと書かれていました。
4月19日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
ゆうこさん『サピエンス全史(下)』
人の幸福は相対的に決まるのか絶対的に決まるのか?他人に影響されない人は幸せかもしれないけど、それってどういう人がなれるんだろう。。
yuさん『恋するアダム』イアン・マキューアン
冴えない男が最先端のAIロボを購入して恋愛や家族といった私生活に入り込んできた話です。Aiロボは「クララとお日さま」のクララよりもより人間に近い感じだなあと思いました。心があるのか。恋をしたらしいです。それは恋なのか。
4月20日(土/午前):テーマのある読書会「競争」
よしださん『二つの「競争」 競争観をめぐる現代経済思想』井上義朗著
序盤を読みました。著者の専門が経済学なので、経済を切り口に書かれています。
経済にとって競争とは、より効率的な生産方法を見出すための手段、みたいに書かれていました。競争があることで、効率的な生産方法やサービスの提供方法を各企業は求め確立していく。それはある一つの企業の独占を生むのではなく、その効率的な方法が他の企業や業態にも転用されていく。だから、競争とはそれ自体が目的というよりも、効率的な方法を見出すための手段として働くということです。
さらに続くのは、競争に負けて仮に倒産する企業が出てきても、そこで働く従業員は非効率的な企業から解放されて効率的な企業で働くことができるから人一人一人にとっても有益であると考えられているのだそうです。給料も上がりやすいかもしれないし非効率による疲弊も起きにくいのかもしれません。
では現実はどうかと照らし合わせると、いろいろと乖離が見られるように思いました。あとは読書会のなかで他の方が言っていたのは、効率を究極的に追求すると朝一の会議で出た課題が午後一には改善されていることが要求される、そしてそれを永遠に繰り返していくということもあるようです。いい塩梅でというコンセンサスがあればいいのかもしれませんが、そうともならないのが問題としてあるようにも思いました。
過去の読書感想はこちらに載せています。
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