2024.07.15

読書会の読書感想(7/10-14)

 参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。10日(水/午前)は4名、13日(土/午前)は2名、14日(日/午前)は4名、14日(日/夜)は4名でした(主催者含む)。
 土曜日の「質問「   」について考える時間。」の質問はこちらでした。

心も年をとるのでしょうか

田中未知著『質問』(文藝春秋)

7月10日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会

よしださん『神の亡霊 近代という物語』小坂井敏晶著
 人は何かを信じたり、べき論や正しさを携えたりして、それを拠り所にして生きているように思います。たとえば、物事を進めるときは必ず計画性をもって進めるべきだと信じている人は、計画や計画を立てる行為自体を拠り所にして生きていると言えるかもしれません。それがある時、計画がまったく立てられないことに出くわし、しかもそれから逃れられないとなったとき、非常に不安定な状態になると思います。
 なにかを信じられている・拠り所にできているということは、とても安定していて安心感があります。しかし、この著者はいっつもその一般的に信じられていることを覆してきます。それが、確かにそうかもしれないとすんなり受け入れられたらいいのですが、もしかしたら〈私〉の核に近いものを覆してくるかもしれません。というか、この著者ではない人でもそれに近しい指摘をしてくる人はいますが。
 では、なぜこのような本を読むのでしょうか。ひとつには勘違いをして他者を蔑んだり否定したり攻撃したりしないようにするためかもしれません。ふたつには、信じているものから逃れられない・つまり縛られることを避けるためかもしれません。なのですが、人は何かを信じることで安定するし、力を発揮できるような気もします。だから、常にあらゆる常識や真理的なものへ疑いの目をもって一定の距離をとることは、良いことなのかは分かりません。ただ、ひとつ目の理由は結構大事なことのような気がします。

7月13日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会

よしださん『神の亡霊 近代という物語』小坂井敏晶著
 今日はプラシーボ効果について書かれているところを読みました。
 詳細は割愛しますが、理論的にほとんど効果がないであろう薄〜い濃度の薬を(たしか)販売しているケースがあるそうです。その販売が認められているのは、その薬を飲んで症状が改善することが確認されているから。つまり、プラシーボ効果です。
 これは詐欺なのか。理論的には効果はないのだけど、実際には効果がある。求める人がいる。もちろん、理論的に効果がないことを公表したら効果がなくなるのだけど、それが明るみになるまでは効果がある。詐欺といえば詐欺かもしれないけど、悪いことをしているかと言われると悩ましい。
 こんなことは割と世の中に数多くあるのかもしれません。

 今、古墳を見れば、あんなものを作る労力と祈る時間があるならば、稲作でもなんでも生産活動をしていればいいのにと思うかもしれません。しかし、あの時代には大きな力に守られているという安寧の心や、次はこの王のもとでこんな国家プロジェクトへ邁進するのだという決起の心をもつために、古墳は必要なものだったと考えられています。まったく合理的ではないし生産的でもない。それ単体をみるとそう思うかもしれませんが、その時代の人々のあいだでは確かに必要だった。一つのものに焦点を当てて是非を問うのでは不十分で、やっぱりそれに関係する全体を見ないと物事は語れないよなと思いました。

7月14日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会

yuさん『サラジーヌ』バルザック
1930年に書かれた短編。
2度目に読んでいます。一読目は一向に頭に残りませんでした。その後、「ゴリオ爺さん」を読んでもう一度読むと不気味な老人は爺さんでは?など。サラジーヌは、フランス人の彫刻家でイタリアの歌姫に恋をしました。しかし、その歌姫には秘密があり・・・その秘密はイタリア人でないと見抜けないかも。ソプラノ歌手の伝統。いろんな歴史があるものだなあと思いました。他の方は墓じまいや3千円の使い方など身近な話題で興味がわきました。


 過去の読書感想はこちらに載せています。

読書会参加者に投稿いただいた読書の感想です(2022年10月-)。

 

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