2020.11.16

読書会の話。「最初」はどう始まるのだろうか。

 一昨日は読みたい本を気ままに読む読書会、昨日はリベルのブックレット『サンゴの選択 〜小さな力で一つの世界を創る方法〜』を使った読書会でした。ここでは昨日の話を少しだけ。

 『サンゴの選択』は、サンゴ礁の豊かな生態系の築かれ方から、ゼロから何かを築き上げていくためにはどうすればいいのだろうか、ということについてイメージを膨らませる内容になっています。サンゴの生息する熱帯の海は、実は栄養の観点で貧しいとされています。植物が育つのに必要な栄養が乏しいのです。植物は食物連鎖の基礎となるので、植物が生きられなければそれを食する動物も生きていくことができません。したがって、食物連鎖や生態系の形成などということが起きにくい環境であると言えます。

 しかし、そんな海で、個体長が1cmにも満たない“動物の”サンゴが生態系の基点になっているのです。サンゴはどんな方法を使ったのでしょうか。

 少し不思議な話なのですが、動物のサンゴは、褐虫藻かっちゅうそうという植物プランクトンを、なんと“細胞の中に”住まわせているのです。この共生関係によって、サンゴと褐虫藻は初めて生きていく環境を手に入れることができます。

 サンゴは、褐虫藻が光合成によって作った炭素化合物を食料として直接もらいうけます。また呼吸に必要な酸素も褐虫藻の光合成によって直接もらうことができるのです。

 褐虫藻もサンゴから多くの恩恵を受けています。熱帯の海が植物にとって貧栄養であるという問題は、サンゴの排泄物によって解決されます。最近は化学肥料が一般的になりましたが、昔は牛などの家畜の糞などを肥やしとして畑にまき、作物の栄養としていました。植物が育つには糞に含まれる窒素やリンが必要なのですが、褐虫藻はそれらの栄養をサンゴの排泄によって直接もらっているのです。海にただよっているよりも確実に得ることができます。また、光合成に必要な二酸化炭素も、サンゴの呼吸によって得ることができます。さらには、サンゴは褐虫藻が光合成をしやすいように、自身の身体を光の方向に伸ばしていくと言います。さらにさらに、サンゴの身体は石灰でできており、刺胞という毒針も持っているので、褐虫藻は安心安全です。サンゴは、褐虫藻にとって快適きわまりない住み処なのです。

 このように、サンゴと褐虫藻はガッチリと手を組み、誰も棲むことができなかった海で生きてく方法を見つけ、さらには現在見られるような多様な生物が住む一つの世界を築くことに成功したのです。ちなみに、サンゴと褐虫藻のようなお互いどちらかが欠けても生きられないというほどの共生関係を「絶対共生」と言います。生物の世界では、絶対共生が起こることで、未開の地への生物の進出が起きるとされているそうです。

 読書会ではいろいろな話が出ましたが、一つ私も興味深いと思ったのは、最初のイチはどうやって生まれたんだろうね、ということです。ゼロだった海に、どうやってサンゴと褐虫藻が現れ、しかも共生関係を結んだのかということです。これは、その瞬間が記録されていたわけではないので、断定は困難な問題なのではないかと思います。

 そんな中でも、共生環境を結んだきっかけは、「サンゴが褐虫藻を食べちゃったから」という説があるそうです。ここからは想像になるのですが、食物連鎖が起きにくい海でもサンゴや褐虫藻は、そこで偶然生まれたのか流れ着いたのかで、ふらふらと漂っていた。でも、お互いに生きる術を持たないから、少しの間生きては死んでの繰り返しの毎日。そこにある時突然偶然に、サンゴが褐虫藻を食べちゃって、これがいいコンビネーションを果たし生き永らえた。以来、そのような行動特性を持つサンゴが生き残り繁栄していった、という感じなのではないでしょうか。

 このようなサンゴの世界の起源を想像すると、何かが生まれる瞬間というのは、あれこれ試している毎日の偶然の中にあるのではないかと思ったりしました。奇跡などという言葉は容易には使いにくいですが、奇跡的だと思います本当に。もしよければ、ブックレットを読んでみてくださいませ。

『サンゴの選択』


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(吉田)

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