2023.12.13

私にとっての今年の一冊。

 今年読んだり手に取ったりした本を紹介し合えればと思います。読みきった本でも気づいたら積読になっていた本でも、名著でも誰も知らないような本でも。読んだ感想や振り返って今思うことでもいいですし、来年こそは読むぞ!という宣言でもいいかもしれません。今年も一年が経とうとしているので、今年の読書の振り返りになればと思っています。
 応募フォームはこちらですので、お気軽にご投稿ください。

2023年12月

Takashiさん『人間の条件』ハンナ・アレント/講談社学術文庫
ハンナ・アレントの切り口は一般的な理解と比べると独特で斬新ですが、説得力があってとにかく面白いです。それから講談社学術文庫版は注釈の量が多いのでおすすめです。

よしださん『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』ジューディア・パール,ダナ・マッケンジー著/夏目大訳
 読み終わっていないし理解もしきれていないけど、今年の一冊に選びました。
 あたり前のように思っていても実はよく考えたことがなく分かっていなかったことというのはあるように思います。この本のタイトルのキーワードである因果推論と科学というのはあたり前に結びつくようでいて、あえてタイトルにしているということはあたり前ではないということなのだと思います。科学というのが再現性を求めることを一つの価値だとするならば、結果の原因を求めるというのはあたり前に結びつくことのように思います。その結果の原因が分かれば原因を操作することで結果を操作することができるということだからです。
 しかしこの本を読んでいると、因果ではなく相関の方が科学的であるのであるということがその世界での常識なのだと書かれているように理解しています。相関とは、事象Aが変化すると事象Bが変化するというような関係性のことを言うのだと思います。因果関係との違いはAが原因でBが起きるというような起点・基点を求めるかどうかというところにあるのでしょうか。相関関係ではAとBは関係していると言うに留まり、どちらが起点・基点であるというところまでは求めないのだと思います。
 物事は相互に影響するとか循環するとかいう前提にたつのであれば、相関関係に留める方が妥当なのだと思います。あるいは、原因を求めるという思考よりも、事象の関係をひたすら機械的に探っていく方が視野が狭まらない・バイアスに支配されないと言われればそうなのでしょう。しかしこの本は、そのような因果の限界を超えて、因果関係を推論できることこそが人間の素晴らしさなのであるみたいなことを書いているのではないかと思っています。
 僕は「なんでだろう」と因果関係を探すことが癖のようになっています。それがあたり前だと思っているのですが、どうやらそう簡単にあたり前に思っているのも違うようです。相関関係というのとはあまり親しみがないのですが、そちらにも目を向けつつ色々な思考方法というかものの捉え方みたいなことを求めていきたいなと思いました。来年またどこかでこの本を開いてみようと思います。

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