2020.04.09

オンラインの街づくりへの期待。 〜目に見えない大切なもの〜

 ここ1,2週間の不要不急の外出自粛要請により、街での様々な活動が自粛されるようになりました。他方で、それらの鬱憤を解消してくれるようなwebサービスも登場しています。
 たとえば、イベントのテーブル座席を模したUIを持ちイベントなどに活用されている「Remo」や、オンライン飲み会サービスの「たくのむ」などです。これらは見方によっては、街の活動を代替するサービスであり、今後はオンライン上に街が作られていくのではないかとも想像してしまいます。

 かつて、高度成長期、街づくりにおいて失われたものがありました。その一つが、合理的には説明しにくいけれども人間にとって必要な「とびきり居心地よい場所・サードプレイス」です。
 仕事や家庭のことは忘れて、無目的に会話を楽しみ、人とのつながりを感じられる場所です。その必要性が人の効率的な収容や商業的な利益とは結びつけにくいことから、街の開発に伴って失われていったのだと考えられます。

 このサードプレイスの喪失は同時に「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」も失わせていったと考えられます。社会関係資本とは、人々の協調活動や安心感の元となる社会に内在する見えない資本です。有事の際の人々の協調活動だけではなく、地域の健康や政治の効率にも作用すると考えられています。
 この資本は、格差によって大きく毀損されると言われており、近代の資本主義・自由主義によって大きく損なわれてきたと考えられています。しかし、以前リベルのブックレットにご協力いただいた先生によると、ネット上に築かれた社会に社会関係資本の再構築が期待できるのではないかというお話も伺いました。

 今、世の中は大きく変わろうとしていると感じられます。これまでも歴史的な脅威の後、社会的なインフラやシステムは大きく変わってきました。ただ、その大きな変化の時においても、目には見えないけれども私たちにとって大切なものに目を凝らしてみなければいけないのではないかと考えています。それによって、さらに良い世の中に変えていけるのだと考えています。

(吉田)

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