昨日は各々が読みたい本を持ち寄る読書会、今日はリベルのブックレット『遺伝的探訪 〜挑戦するすべての人へ〜』を使った読書会でした。
今日のブックレット『遺伝的探訪』は、遺伝子の知見から、自分の才能とはどのように見つかっていくものなのかを先生に伺い、考えまとめたものでした。私個人としても思い入れのあるテーマでしたので、私自身がこのブックレット作成から見えたものを紹介することで、内容の振り返りに代えさせていただきたいと思います。
まず前提としまして、このブックレットでは「遺伝子によってすべてが決まる」というような極端な立場はとりません。と言いますか、適切な立場・姿勢・考え方ではないと考えます。
なぜなら、遺伝子により現れる能力・性格・行動などの特徴は多様であり、周りの人はもちろん自分でも全てを把握することは困難だからです。遺伝的特徴は、その特徴が必要な環境に直面した時に、表に出てきます。つまり、これまでの環境で出てきた特徴が全てではなく、これからの環境次第でまた新たな特徴が現れることが十分に考えられるのです。
したがって、「遺伝子によってすべてが決まる」、というその「すべて」をそもそも把握することが困難であるため、これからの自分自身の才能や人生がどう決まっていくのかなどとは誰にも分からないということになります。これはつまり、親兄弟と遺伝子的には似ているとしても、違う環境を経験すれば別の特徴が表に出てくる可能性もあるということも言えます。
また、遺伝的特徴は、環境によって評価が変わってきます。
たとえば知的好奇心旺盛で新しいものどんどん試したいというような性格の特徴は、変化の局面では力を発揮しますが、安定期にはそれほどでもないかもしれません。このように、遺伝的特徴が才能として昇華するかどうかは、時事刻々と変化し、また面的に広がる環境によっても影響を受けるということになります。
さらには、私たちがいくつも抱える遺伝的特徴は、一つの特徴だけで評価されるわけではないということも言えます。
たとえば、スポーツの才能はそこそこで選手としては大成できなかったけれど、論理的思考力には優れるため、科学的指導が一般化した近年では一気に評価されるようになった、というようなことです。
つまり、才能として昇華し認められるには、多様な遺伝的特徴の組み合わせと面的な広がりを持つ環境がフィットすることが必要になってくるということになります。
これらのことから見えてくる才能の見つかり方とは、旅のようなものであるということです。
自分でも把握しきれていない遺伝的特徴を、様々な環境に身を置いてみることで確認し、どんな環境なら力を発揮できるのだろうかということを探していくことになります。また、遺伝子はできることだけではなく、やりたいことにも影響を与えると考えられるため、できること探しであると同時にやりたいこと探しでもあると言えます。
人生の中でいろいろな環境を経験することで、段階的に(人によっては一足飛びに)見つかっていくということになります。したがって、才能は見つかるタイミングも人それぞれであり、自分の才能が何だったのかとは振り返った時に初めて分かるということでもあると考えられるのです。
それは長く、楽ではない旅なのかもしれませんが、自分の可能性を信じるという意味では私はとてもポジティブに捉えられました。そして日々の生活を送りながらも、可能性を信じて自分のやりたいこと・できることを探し続けるということは、人生の一つの目的になり充実につながるのではないかとも思いました。
ブックレットの中では、遺伝子と才能のことや、才能の見つかり方などにもう少し詳しく触れています。もしよければ手にとっていただければと思います。
(吉田)