世の中には驚くような生き方をしている人を見かけることがあります。
しかし、ナマコには勝てないかもしれません。
ナマコは砂を食べます。
もちろん本当に砂そのものを食べているわけではなく、砂と一緒に飲み込んだ海藻の切れ端や有機物の粒子を食べているようです。そして砂をそのまま排泄するので、ナマコの後ろにはソーセージのような砂の糞がつづきます。
ナマコは時に液体のようになります。
シカクナマコを両手ではさんで強くもんでみると、ドロドロになって指の間から垂れ流れてしまうそうです。さながら粘り気のある中華あんかけのように。
体の硬さを変えられることで、岩の割れ目にもぐり込んで海の荒れをやりすごしたり、魚に噛みつかれても融けてしまうこともできます。また、時には硬くなって敵から身を守ることもできます。
さらには内臓を差し出す場合もあります。
ナマコは魚に噛みつかれると、その部分を融かして皮に穴をあけ、穴から腸を吐き出すというのです。魚は喜んでそれを食べるので、その間にナマコは逃げることができます。
ご心配には及びません。1〜2週間で腸は再生するそうです。ちなみに、ナマコの腸を塩辛にしたものは、「コノワタ」という珍味として人間も食しています。
沖縄などの南の海で、ナマコが砂の上にたくさん横たわっているのを見たことはないでしょうか。
ナマコをおそるおそる手で持ってみると、意外とふかっとしています。逃げようと抵抗してくることも、毒などで攻撃してくることもありません。
それでも自然界で生存し繁栄しています。私たちからすると不思議なナマコの生き方や生活スタイルは、ナマコにとっては合理的なもののようです。
〈参考〉
1.本川達雄著『「長生き」が地球を滅ぼす ー現代人の時間エネルギー』(CCCメデイアハウス,2006)
2.画像元のフリー写真提供者:https://www.photo-ac.com/profile/459947
(吉田)