こんにちは、よしだです。このたびサイトをリニューアルしました。このサイトをどのように使っていきたいのか、あるいは使っていただきたいのか考えを書いていきたいと思います。サイトの紹介であると同時に、作って満足しそうになっているのであらためて私のなかで整理しておきたいという気持ちもあります。
なにかのきっかけで来てくれた人に知ってもらうこと
まず、サイトをリニューアルしようと思った理由はここにありました。PeatixやSNSなどなんらかの経緯でアクセスしてくれた人に対して、この読書会やリベルというものを知ってもらう場が必要だと思っていました。謎のままだと参加もしにくいだろうと思っていたからです。
以前は、Peatixに読書会の予定をあげて、noteに読書会の感想やお知らせをあげて、SNSでシェアしていました。そして、読書会よりも前に始めた短編本というコンテンツを載せるサイトがありました。つまり情報がバラバラになってインターネット上に置いてありました。一応短編本を載せていたサイトがサイトではあるので、リベルのサイトといえばそこになります。でも作った短編本を載せていくための本棚のような位置付けで作ったサイトだったので、読書会についてやリベルについて知っていただくにはあまり適した作りにはなっていませんでした。色も黒で暗い感じもありましたし。
ところで、色が黒から白に変わったことは大きな変化です。なんといっても真逆の色です。黒にはもちろん意味がありました。「普段」とは離れて考えるというか、こころを働かせる時間が欲しかった。それを読書で得ようとするならば、私のなかでは歴史や心理学や生物学などの本が合っていて、すぐに使える実用書ではありませんでした。実用からは遠い、けれどもどんどんと深く潜っていきたくなるその体験は、気づいたら異世界にいるような感覚のものです。そして異世界から普段の世界をみると、いろいろなことに気づいたり興味が湧いたり不思議に思ったりする。黒いサイトのデザインコンセプトは「有機的な異世界」でした。
そこから白にイメージを変えたのは、参加をしやすくするためです。あるとき友人に言われたのは「なんかこのサイトこわい(笑)」でした。それを聞いて「たしかに」と思ってしまった。その後、読書会が始まりました。読書会は近所のお店に立ち寄るような気軽な参加スタイルとしたいと思っていたので、黒はイメージにさらに合わなくなっていきます。読書会を始めたのは2020年の5月ですから、イメージを変化させるまでにかれこれ3年以上かかりました。
新しいサイトは、リベルを介して出している情報やイベントを一つの場所に集めるということをまずは意識しました。読書会の情報や詳細、読書感想やお知らせ、これまで作ったコンテンツなどを一つのサイトで見られるようにしました。これには情報の集約という意味だけではなく、リベルというものを雰囲気も含めて知ってもらいたいという意味があります。
どのようなものとして知ってもらいたいのか、それは大きく次の3つであるように思っています。
いつでも誰でも参加できること
「いつでも誰でも参加できること」は最初の頃から意識においてきたことです。読書会はオンラインで無料ですし、日程もバリエーションをなるべく広くとっています。読む本のジャンルも自由で、その場で読むので事前に読書をする必要もありません。コンテンツ作りのときも、難しい用語などは使わずに身近なテーマで作るように意識していました。
なぜいつでも誰でも参加できるようにしたいのか、それは大きく3つの理由にもとづいています。
1つには、その方が世界が広がると考えているからです。私は科学書あたりをメインで読みますが小説やほかのさまざまなジャンルの本を読む人がいること、住む場所をはじめとして普段の自分とは違うところで生きている人が参加していること。普段自分が重心をおいているところとは違う方に重みがのって傾いたときに、〈私〉はどう思うのか。そういった揺れのなかで〈私〉の枠が徐々に広がっていくことは、すなわち〈私〉の世界が広がるということなのではないかなんて思っています。
2つには、人それぞれに忙しさがあるなかで、それでも参加できるようにというのは初めの頃から思っていました。この点はなかなか実現が難しいのですが、たとえば事前読書なしでその場で読むようにしているのには、そのような意図もあります。忙しいというのは外に主体をおいている時間である気がしていて、内に主体をおいている時間というのもバランスを保つ上では必要なことだと思っているからです。
3つには、別の世界に触れたいと思ったり忙しい時間から離れられたりするタイミングは人それぞれに違うと思うからです。そのタイミングや長さや頻度はそれこそバリエーションが多様なので完璧にフィットさせることは難しいですが、参加できる・参加したいと思ったときに開いているのは理想だなというのはあります。とはいえ、無理をしないというのも大事な運営上のポイントにしているので、徐々にでも広げていけたらと思っています。
このような考えを読書会の開き方やコンテンツの作り方だけではなく、サイトのデザインや文章などからも感じてもらえたらと思いました。逆にいうと、そのようになるように全体を整えていくということをこれからも試みたいと思っています。
対話的であること
「対話」というのは初め私は知らなくて読書会のなかで教えてもらいました。私の理解では対話は、相手は自分とは違う他者であるという認識をもちそれぞれの人に上下や優劣はないことを前提として始まるものなのではないかと思っています。そのうえであるテーマに沿って言葉を交わしながら思考を広げたり深めたりしていく。私とは違う他者であるという認識であるから相手がどのようなことを言っているのかに耳を傾け、立場の上下や優劣がないから無批判に相手に従うということにも一方的に誰かが教えを説くということにもなりません。どうなのだろうかと思考を巡らせて出てきた言葉を共有し合うという感じです。
サイトのデザインに限った話ではありませんが、リベルでは活動の目的や主張みたいなものはあまり前面に出していません。いつでも誰でも参加できるようにとか対話的であるようにとか、そういうありたい雰囲気は表に出していこうと思いますが、参加する目的は人それぞれであるという前提でいます。目的などを出しすぎることは程度によっては一方からの要求のようになり、他者性に反することであるように思うからです。
サイトはそのような考えを踏まえてデザインしており、これからも企画やコミュニケーションなどにおいて意識していきたいと思っています。
知を交えていること
これはあえて言うまでもないことなのかもしれませんが、知を交えることも重要視していきたいと思っています。知とは、分かりやすいところでいうと例えば本に納められたそれなのですが、おおむね他者性のようなものを言うのではないかなんてことも考えています。あくまでも私のイメージですが、知とはある程度まとまりのある結晶のようなものであるという感覚をもっています。だから本のように著者が唸りながら捻り出したものはまさに結晶なのですが、じっくりと人の話を聞いていると話のなかから感じられるその人なりの感覚や論理がみえてくることがあるように思います。もうそれは知と呼んでいいのではないかと思ったりするのです。反対に、友達と毎日する同じ話からは知は生まれませんし、相手の話をしっかりと聞いていなかったり自分の言葉で話せていないときも知は生まれにくいように思います。相手が他者であることを認識し話を聞き自分の言葉で話しているとき、そこに知が登場するのではないかなどと思うのです。そのような他者性のある知を交えながら〈私〉の日常をかえりみると、新しい気づきがあったり不思議さを感じることができたりします。
他者性のある知と向き合うことはストレスがかかることだと思います。今の〈私〉のなかにはないものですから、〈私〉の常識のとおりに思考を進めることができません。ズレが出現し、できるだけそのズレを理解で埋めようと努めながら前に進んでいきます。それは大変なのですが、筋トレもランニングもストレスかかるしなぁなんて言い聞かせながらやっていると、なんだかすこしだけ世界が広がったような感覚を覚えられるのです。そして、これはあくまでも私のなかの目的ですが、そのような他者や知との対話のなかで〈私〉という人間の自由は生まれていくのではないかと考えています。ただ、これはあくまでも私個人の問題なので、参加いただいて知を交えた対話のようなものを楽しめれば、それがいい時間であると言えると思っています。
長くなりましたが、なにかのきっかけでこの読書会やリベルを知ってくれた人がサイトを訪れて、このような雰囲気を感じとってくれたらと思って作りました。もちろんデザインだけがそうあっても仕方がないので、イベントやコンテンツやコミュニケーション全体で意識していきたいと改めて思います。
このサイトからできること
特殊な機能は備わっていませんが、このサイトでこんなことができるといいなと思いながら構成を考えました。
まずは上から週刊あいさつのようなものがあるので、ここでコミュニケーションができます。いつでも参加できるようにと言っているので、来た人に営業中を知らせるようなコミュニケーションボードのような意味合いで付けました。
その下にはイベントのバナーがあるので、普段の読書会とは少し違うイベントを開くときなどに載せていきたいと思っています。
その下には「最近のこと、コンテンツ」があり、今は読書感想やお知らせがメインですが、ブログ的な綴りやまとめてみた考えや疑問に思っていることをシェアしてみてもいいかもしれません。
さらにその下には読書会のイベント一覧があるので、予定を確認することができます。Peatixをフォローすると読書会の予定がプッシュされてしまうので、それが煩わしい人は気が向いたときにここに来て予定を確認して参加するというスタイルでもいいかもしれません。
その下にはブックレットが並んでいます。短編本という名前をブックレットに改めました。これまでは私が大学の先生に協力いただいて作ったものをブックレットとしていましたが、そこらへんはもうすこし定義を広げてもいいかなと思っています。ある程度の企画・編集が伴った気合いの入ったコンテンツという位置付けでしょうか。縦書きにしているのですが、その理由は一般的なweb記事と同じ横書きスタイルでは速くスクロールする癖が付いているような気がしていて、ブックレットは速いスクロールで読むにはやや難儀な内容だからです。
その下にはコンテンツに紐づけられたタグの一覧が並び、SNSなどのリンクがあったりします。
コンテンツもライトなものから重めのものまで幅広く掲載でき、会も定例のものからイベント的なものまで掲載し告知できます。そういう幅をもたせることで、先にあげたような雰囲気やスタンスは保ちつつも思い立ったことを幅広く実現していけるような場でありたいなと思っています。
さいごに
リベルというものは言うまでもないくらい私一人が作ったものではありません。読書会は参加者のみなさんによって作られていますし、進行も最初は私がやっていましたが今は交代しながらやっています。コンテンツとして載せている読書感想も参加者の方からいただいたもので、それに惹かれて参加する人もいることだと思います。
このサイトも作ってもらいましたし、デザインの柱にもなったコンセプト「知と明日を織り合わせる時間」も私が考えたものではなく最初の頃に読書会に参加してくれていた友人が考えてくれたものです。そしてリベルという名前も私ではなく友人が考えてくれました。
そうやって協力してもらって作っていくと、到底一人では出来なかったなというものが出来ていきます。協調性のない私にとっては新しい体験です。今回も製作過程のサイトデザインを見ながら「そうそうこんな感じ」と思っていましたが、それは私の中に元々あったものが具現化されたというよりはサイト作りを通してイメージが膨らんでいったという方が適切なのだと思います。作ることと思考することととは表裏一体で、それは大変だけれども楽しい体験でした。ここからまたいろいろ始めていきたいと思っています。
(よしだ)