2020.05.30

求めたいブックレットの使われ方

 先日のリベルのブックレット『感情と功利の不調和』を使った読書会でこんなことがありました。
 読書会では、もくもくと読んだ後に感想や思ったことをシェアするのですが、ある人のシェアにみんな引き込まれていったのです。その人は、企業で人事をされている方で、経験や実践していること、自ら学ばれたことを踏まえてシェアしてくれました。なんだか私まで楽しくなって、いろいろと教えてもらいました。

 リベルのブックレットは、生物学・歴史学・社会学など、普段とは少し異なる視座に立ち、そこからそれぞれの仕事や生活について思い考える時間になればと思って作っています。いつもとは違う立ち位置に立つことで、ものの見え方が変わり、新たな発見や気付きにつながると考えているからです。

 しかし、生物学・歴史学・社会学などは抽象度高く人間や社会を理解するにはいいのですが、「今自分が直面している具体」に結びつけるには少し距離があります。その距離をなるべくたどれるように書いているつもりではありますが、スキル不足もさることながら、私自身の経験に引きずられてしまいます。先生からいただいた抽象度の高い論理に具体を結びつけようとすると、どうしても自分自身の経験や見聞きしたことに限定されるのです。私が思い考えたこととフィットする人はスムーズに具体に結び付けられるのかもしれませんが、それぞれ経験も感性も違うため、そうではない人も多くいるのは当然のことです。

 そんな前提を踏まえると、読んでいただいた方がそれぞれ感じたことをシェアすることで、「そういう見方もあるんだ」とか「そんなことに結びつくんだ」といったような広がりが生まれることは作者としてうれしい限りです。
 そして、リベルのブックレットとは、そんな使われ方をされることを求めて作っていたのかもなんてことも教えてもらったような気がしました。いろいろな人の経験や知識、感性によって肉付けされて、思い考える源泉として豊かに発達していくような使われ方です。

 たとえば、『感情と功利の不調和』とは、人間の社会性や感情の必要性を明らかにしながら、それと相反するけど現代社会には必要な、功利主義の限界性を説明していくブックレットです。功利主義がどうすればうまくいくかという内容というよりは、人間の感情と功利主義が対立するということを理解することで、どのような振る舞いや文化作りが望ましいのかを考えられればと思って作りました。
 読書会では、組織の文化作りや、ご近所づきあいのあり方、または功利主義が受け入れられないという難問自体などへと、話題は多岐に渡ります。それぞれの関心事に紐づけて利用していただき、またシェアすることで他の人の気づきや自身の深まりにつながっていけばうれしく思います。

 最近は、ブックレット作り、もくもくオンライン読書会(各自持ち寄り/リベルブックレット使用)、月1回程度のオンライン飲み会をやっています。あとは、散歩なんか始めてみたいななんて。歩いていると何か浮かぶし、いろんなこと感じられるし、あとは大変じゃないし、ということで。
 いろいろと模索しながら、異なる視点から思い考えるいいお休みの時間をつくっていければと思っています。では、また何かの機会にお会いできることを楽しみしております。

(吉田)

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