参加者それぞれが読みたい本を持ち寄んで読むもくもく読書会の話です。
ムハマド・ユヌス氏が書いたソーシャル・ビジネスに関する本から、ソーシャルとビジネスの融合について考える時間にもなりました。
個人的に不思議なことなのですが、ソーシャルビジネスという括りがなぜ必要なのだろうかと思ってしまいます。社会にとっていいことをしているのは、基本的には通常のビジネスも同じなのではないかと思うからです。
たとえば、「いいものをどんどん安く」のキャッチフレーズで有名だったダイエーは、戦時中兵士として飢餓に苦しんだ中内功氏が創業者です。戦後まもない頃は、生活に関するものが大量にいつも安く売られていることは、ものすごいありがたいことだったのだと思います。そのような価格を実現することは、社会にとっていいソーシャルビジネスであると言えるのはないか、と。私のソーシャルビジネスに関する括り方や理解が足りないのかもしれませんが、何かそういう分け方をしなければいけないことに違和感を覚えます。
今書きながらの思ったのですが、ソーシャルビジネスという括りが誕生した背景には、富の偏在化があるのかななんて。持つ者・持つ企業が明らかになっている現代においては、持つ企業は持つ者からより多くの収益を上げられるような事業しか行わなくなっていく。あるいは、資本主義のもとでは、利益追求の観点からいくと「行えなくなっていく」という言い方の方が正しいのかもしれません。
本の中では、富を追求する企業がいることは効率の追求や新たな何かを生み出すという点ではいいこと、その結果一部に蓄積された富を還流させるのが自分(ユヌス氏)の仕事、というようなことが書かれていそうということでした。なんだかユヌス氏は、富の再分配をしようとしているという点で、ビジネス界の政府のような存在なのかなぁなんて勝手に思いました。
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(吉田)