2020.10.07

「弱い」とは自己完結していないということ | ブックレット作成日記①「弱さ」

 『不便視点』というブックレットを作り終え、次は「弱さ」をテーマの種としてブックレットを作っていきたいと思っています。今は、その題材となる本『弱いロボット』などを読んでいるところです。ちなみに、『不便視点』は今週の土曜日にリベルに載せる予定です。

 「弱いロボット」とは、豊橋技術科学大学の岡田美智男先生が研究を進めるロボットのコンセプトです。高機能でなんでもできる人間よりも優れたロボットではなく、なんだか頼りなくて人間側が助けてあげたくなるロボットのことです。先生はソーシャルロボットとも読んでおり、弱いロボットを介して人同士のコミュニケーションや協力活動などが生まれやすくなるのだそうです。

 本を読みながら考えていたのは、「弱さ」とは何なのだろうかということです。
 コミュニケーションや協力活動を促すものが弱さ、、、なにかピンときません。余白や余地があるものが弱さ、分かるようではありますが、他にも余白や余地を生み出すものはあります(例えば「不便」とか)。なんとなく気になってしまった「弱さ」とは一体何なのか、そんなことを考えていました。

 今日、一つの答えが見つかったような気がします。
 それは、「弱さとは、それ単体では完結していないこと」を言っているのではないかということです。例えば、赤ちゃんは弱い存在と言って差し支えないと思います。大人に比べて、ご飯やお風呂、寝ること、移動することなどに関して、一人ではできません。でも、だからといってご飯を食べられないかというとそうではなく、周りが気にかけてくれてご飯にありつくことができます。時には、親に懇願されてご飯を食べていただく、ということも珍しくありません。つまり、完結はしていないのだけど決して力がないわけではなく、見方によってはものすごい力を持っているとも言える代物が弱さなのです。

 さて、では大人になったら弱さはなくなっているのでしょうか。言い換えると、一個体で完結している強い存在が大人なのでしょうか。
 「そうではない」ということが、「弱いロボット」の本から感じとることができました。例えば、日常会話をするにしても、何気ない一言を発するところからキャッチボールが生まれ、時にはアイディアの創発や笑いなどにつながります。他にも、散歩をしていたら思わず新しくできたお店に入り、買うつもりもなかったものを買ってしまい嬉しく思うこともあるでしょう。もう少し日常的ではないところでは、進路の相談をしたら自分の全然知らなかった道を勧められて、想像もしていなかったことを今ではやっているということもあるのかもしれません。

 これらの例はいずれも、自分の行動や意思決定は、自分一人では完結しておらず、周りの人や環境の介在もあって初めて完結していることを示しているのだと考えられます。

 日常の行為一つ一つで、おそらく私たちは弱さ(=不完結さ)をいかんなく発揮しています。弱さによって、周りの人や環境も巻き込んでいるとも言えるでしょう。それによって、自分の持つ力以上のことができたりしているのかもしれません。
 その一方で、意識的に強くありたいと思う時もあります。例えば、進路選択やライフイベントの時など、人生や仕事で失敗をしたくない大きな判断の時です。しかしながら、自分だけで完結していないという前提に立つのであれば、大きな決断の時も弱さを持って考えたり行動したりすることが大切なのではないかとも思ったりしました。

 先生は、日常の一つ一つの行為は、一種の「賭け」であると言っています。
 とりあえず一歩を踏み出してはみるものの、それによって周りがどう反応しどう自分に返ってくるかは分からないということです。一歩を踏み出して応答が返ってきてはじめて、その一歩が完結するということです。そういった「弱さ」を常に内包しているのではないかということです。「賭け」が普通である、という考え方もおもしろいなと感じました。

 「弱いロボット」という研究から見えてくる「弱さ」は、人とロボットの関係性を考える中で導き出されたものであるため、ある種の客観性や機能的観点も踏まえられているように感じており、新しい視点をくれるのではないかと思っています。弱さや不完結さから何が見えそうか、もう少しテーマを深めてブックレット作りを進めていきたいと思います。

 このテーマに関してご感想やご意見があれば教えてください。広げたり深めたりしていきたいと考えています。
https://forms.gle/HHiqDPBw8pLY72XD7

(吉田)

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