2020.12.14

読書会の話。ボクシングの戦術と中動態。

 一昨日は「いいライフスタイルについて考える」読書会、昨日は読みたい本を気ままに読む読書会でした。ここでは昨日の話を少しだけ。

 昨日、私は『中動態の世界』というものを読んでいました。倫理学の目線から研究や執筆活動をしている國部功一郎氏の本です。倫理学とは、ごく簡単に言えば、「どのように生きるか」を考える学問だと言います。
 中動とは、能動でも受動でもないということです。中動に関しては正直まだ理解できていないのですが、自分が起点となって行動や思考をする能動と、他者が起点となって自分が行動を思考をする受動の、その間が中動ということなのでしょうか。おそらく、もっと深い意味があるはずなので、これから理解を深めていきたいと思っています。
 なぜ中動態に関する本を手に取ったかというと、能動的になろうと意識するだけではどうもうまくいかなかったり、空回りするようなことがあったりすると感じていたからです。たとえば、自分で何かアイディアや企画を捻り出そうとしても、どうも思い浮かばない、けれども思い浮かばないながらもほんのすこしのアクションをするだけで、そこから返ってきたフィードバックからどんどんアイディアが湧いてくるとか。
 あと、すこし話はとびますが、余暇を能動的にとろうとしても、どうも余暇をとっている気にならない。能動的に余暇をとろうとすると、余暇の目的や、求める効用のようなものに思考が及んでしまう。余暇とは、こういうものではないはずだと思うにいたり、考えるのが面倒になって結局昼寝だけして時間が過ぎていく。昼寝だけでもいいのかもしれないけど、本当は余暇と呼ばれるものを堪能したい、というようなこともあるのではないでしょうか?(ないでしょうか…?)。余暇を能動的にとるというのも少し違うと感じますし、かといって受動的にとるのも余暇とは呼べないと思います。そこらへんの能動と受動の二分類に感じる違和感や限界に、中動というものが光明をくれるのではないかと感じています。

 さて、そんなきっかけで読み始めた『中動態の世界』ですが、感想をシェアすると、参加者の方から、こんな話が返ってきました。

 先日、ボクシングの井上尚弥選手の試合があった。井上選手は、一発で相手をノックアウトできるほどの力を持っている。しかし、相手はその一発を入れる隙を見せなかった。そこで井上選手はどうしたのかというと、相手に攻撃をさせるように仕向けていった。この試合の戦術と中動が重なるように思えた。

 たしかにこの話は、中動態の理解へヒントをくれたように思えました。おもしろいのは、井上選手もその相手選手も、どちらも能動的であり受動的でもあるということです。井上選手は、相手に攻撃を仕向けているから能動的でもあり、でも相手の攻撃を待っているから受動的でもある。相手選手は、自分から攻撃を仕掛けていく(ことになる)から能動的でもあり、でも実は井上選手に攻撃することを仕向けられているから受動的でもあるということです。このように、自分と周囲がそれぞれ能動的でも受動的もあるということが中動態ということなのかもしれません。
 このような中動態(と思われるもの)に関する話は、様々な気づきをくれそうです。たとえば、自分が完全に能動であることは、相手は完全に受動であるということを意味します。極端な話でいうと、完全な能動と受動の関係とは、相手の手足を自分の手足で押さえつけて動かすというようなものでしょう。当然、そのようなことをすれば相手は抵抗するので労力がかかります。井上選手は、そこを相手も能動にしてしまうことで、効率的な勝ち方をしたと見ることもできます。また何よりも、自分が完全能動・相手が完全受動という関係では、自分の|一《イチ》の行為で相手も一の行為をするだけということになり、二人で一の行為しか生まれません。1+1の2すら生まれないということです。これはとてももったいないことのように思えます。
 自分だけが能動的であろうとしてもうまくいかないのかもしれません。自分も周囲も能動的で、ときには周囲の能動によって自分が能動態になれるというような、中動態でいるということを意識すると、なにかうまい方向にいくのではないかと想像が膨らみました。

 なお、他の読書会の参加者の感想をこちらに載せています。
https://note.com/liber_community/n/nb55ffa0e9cb8

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(吉田)

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