2021.04.18

読書会の読書感想(4月17,18日)

 参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。4月17日(土)は6名、18日(日)は5名の参加でした(主催者含む)。


2021年4月17日:読みたい本を気ままに読む読書会

ねねさん『The Color Purple』
 最初この本を開いた時、買って後悔した。全然英語わからん!でも、落ち着いてよく見ると、this, thatがdis, datになっていたりする。文法無視して、口語がそのまま文字になってる。thをdと発音し、スペリングも分からずそのまま書いているのだ。書き手は教育の無い黒人だろう。。。
 その日あったことをDear Godと神に語りかける形で綴っている。14歳から父親にレイプされていること。2度子供を産んでいるが、すぐに取り上げられてしまっていること。たくさんの弟や妹の面倒をみていること。太っていて頭が悪く醜いこと。そして、あまり学校に行ってないことなどが日記から分かる。
 驚愕だったのは、妹の彼氏が求婚しに来た時に、父親が「妹はダメだ。姉にしろ!」と言ったことだ。ありえーん!とビックリしていたら、もっとビックリしたことは彼氏はあっさり姉の方である主人公Celieと結婚してしまうことだ。
 こうして、結婚したCelieは夫の4人のワガママで意地悪な子供たちを世話しながら暮らしていく。そして、夫からは暴力を振るわれている。。。
 まだ20ページしか読んでないのに、大変なことになっている。主人公はどうなっちゃうの?
 一番驚いたのは、これほど酷い目に会いながら、彼女自身は理不尽な目に遭わされていると怒っていないことである。「私は戦わない。言われた所にいて、生きているだけ」と、ただただ日々を周りに振り回されながら過ごしている。
 この本を読みながら、「貧しく生まれ、教育も受けず、酷い親に育てられた子たちはどうやって生きていけばいいのだろう?」と、考えてしまった。もし、サッカーがめちゃ上手いとか、歌が上手いとかだったら、酷い世界から抜けられるかもしれない。でも、そうじゃない子たちは?
 世界は、自分の生きる環境は、自分自身で変えていくことができる。自分にはその力がある。そう信じることが希望を生み出し、努力する意思とパワーを生む。そして、きっと世界は変わっていく。でも、そんな風に考えることの出来ない過酷な環境で生きている人たちもたくさんいるのだ。主人公もその一人。

 物語はこの先どう展開していくのだろう?彼女は自分自身の力に気づくことができるだろうか?希望を持って未来を自分で切り開いていけるのか?それともただただ運命の被害者で終わるのか?
 英語分かんないから読むのやめようかしら、と始めは思っていたが、今は先が気になって仕方ありません。。。

Yukikoさん『ゴールデンスランバー』
 以前、読書会で伊坂幸太郎さんの逆ソクラテスを読んでいられる方がいましたが、その時から気になっていた作家さんではありました。
 今日は何の情報もなく「ゴールデンスランバー」を読みましたが、さすが皆さんがオススメする作家です!面白いです!これからは頭カラッポにしてエンタメに浸りたい時はこの作家さんの本を読もうと思います。
 作家紹介を読みましたら年もほぼ同い年ですし、地方在住というところにも親近感が湧きました。
 現在、2/3くらい読みましたが本日で一気読みです。
 こういう本の出会いがあるのも読書会の楽しみですね。

2021年4月18日:テーマのある読書会「人の欲」

つやまさん『無意識の構造』河合隼雄
 物理のエネルギーと同じように、心が活動するもとになる心的エネルギーというものがあり、意識(自我)と無意識の間を循環している。無意識にコンプレックスがあると、エネルギーがそちらに捉えられてしまい自我の活動に支障が出る。これを退行といい病的な状態なものもあるが、創造的な退行というものもある。発明や芸術を創作する行為とは、相反する2つの要素を統合してより高次のものを生み出すことであるが、その過程で自我はどちらか一方に傾くことができない矛盾のために停止状態に陥り退行を起こす。このとき外見的にはぼんやりしているだけのように見えるが、無意識の中では仕事が行われていて、やがて統合されたものが意識に上ってきて、発明や作品になる。
 相反するものを統合するのに無意識が使われているというのが興味深かったです。音楽や絵画などで、なぜかよくわからないけど心を打たれるという体験をすることがあって不思議に思っていましたが、あれは無意識同士での対話のようなことが起きているのだな、と腑に落ちました。

けいこさん『「利他」とは何か』
 東工大の「未来の人類研究センター」における「利他プロジェクト」のメンバー5名が、それぞれ専門の立場から利他について考えるところを述べた論考集。美学、哲学、政治学など切り口は様々だが、己の感情や意志とは関係なく、人知を超えたところから自然に生まれるのが本来の「利他」だというあたりが共通しているようである。わたしたちが通常、利他的な行動をとろうとすれば、そこにはどうしても相手の反応を期待したり、見返りを求めたりする気持ちになりがちなものである。そうではなく、展開や結果は相手に任せて自分はあくまでも受動的な姿勢を崩さず、「うつわ」になることが大切ということだ。中島岳志氏の言葉によれば「オートマティカル」に発生するものが利他の本質だと述べていて、この考え方のベースには性善説があるのではないかと思った。

Takashiさん『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵著
 最強の自己啓発本と言うべきか、あるいはすべての自己啓発本は本書を読んだ後に読めと言うべきか。
 著者は片づけで物を残すかどうかは触った時にときめくかどうかで決めなさいと言う。大事なことはそれだけである。しかしこれは恐るべき魔法だ。
 物の有用性とその背後にある人間関係が自己自身にどう関係するかを再認識し、自己を再定義せよ。頭だけで考えるな。五感を使え。再定義された自己はすべて過去である。自分を知れ。話はそれからだ。そして明日をときめく心で過ごしなさい。
 本書にこんな威圧的で概念的な言葉は一言も出てこないが、そんな感じで読むことができた。凄いなあ。


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(吉田)

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