2022.11.28

読書会の読書感想(11/23-27)

 参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。23日(水)は7名、25日(金)は3名、26日(土)は9名、27日(日)は11名の参加でした(主催者含む)。
 土曜日の「質問「   」について考える時間。」の質問は、

情報は正確さと早さとどっちが重要でしょうか

田中未知著『質問』(文藝春秋)

でした。

11月23日:読みたい本を気ままに読む読書会

おおにしさん『世界史との対話(上)』小川幸司
「世界史の対話」は高校教師が書いた全3巻70講の世界史講義録で、長い間積読本になっていた本。
1つの講義が13ページほどで、読書会のもくもくタイムに読むのにちょうどよい長さであることに気づいた。そこで今後は、読書会で一つずつ読んでいきたいと思う。

本日は第4講「古代民主政をになった人々」でアテネの民主政について学んだ。
アテネに民主政が生まれた背景には強力な軍隊を維持してきた共同体意識があった。
最初、貴族が牛耳っていた血縁的部族を解体し地縁的部族に再編して、階層・職業などを平均化して、平等に参加できるような基盤を作った。
国会にあたるアテネの民会は、18歳以上の男子市民全員に参加義務があった。
また、役人はくじ引きで任期1年であり、任期完了時には執務審査で不正の有無を厳しくチェックしていたそうだ(重大な罪はあれば死刑にあり)
このようにアテネの民主政は市民の「参加と責任」が特徴であった。

素晴らしく見えるアテネの民主政であるが、奴隷、在留外人や女性の参政権はなくギリシャ人はオリエント世界の一員でありながら、非ギリシャ人をバルバロイと呼んで蔑視していた。
そのせいかどうかアテネは北のマケドニアに敗れ、都市国家アテネは消滅してしまった。
しかし、アテネ市民はその後もデモクラテイア(民主政)を女神に見立てて民主政を守ろうとした。
その女神が後のフランス革命ではドラクロア描く「民衆を導く自由」となり
アメリカへ渡り「自由の女神」になったという話はなかなか感動的だった。

日本の民主主義は自ら作り上げたものではなく、戦後アメリカからもらったものであるため政治への「参加と責任」という意識からほど遠いところある。
今こそアテネに始まる欧米民主主義の歴史を学ぶ意義は大きいと思う。

小澤さん『思考の体系学 分類と系統から見たダイアグラム論』
本書はダイアグラム論という言葉が副題にあるとおり、図形を基にした思考に関する話をしています。プロローグにも記載されているのですが、「図形言語」を使うと人類共通の認識が得られやすいということは感覚的にも分かります。個人的には最近リモートワークが主流になって、図を使ったホワイトボードでの会話がしづらくなり、認識齟齬が起こりやすくなったと感じます。

第1章では図形を使った体系図の歴史的な話をしています。たとえば、昔は貴族などの祖先の図であったり、善悪を二分にした図を表したものがあったりしたようです。12,3世紀の外国の言葉で書かれた資料であっても、なんとなくニュアンスが分かってしまうのは図の力であると感じます。今回は第1章までが主に読んだところですが、第二章はチェイン、ツリー、ネットワークの話をしていて、図という言葉をもう少し構造的な観点から分類しています。

また、本書の中で分類と系統に関して「わける」と「つなぐ」という言葉に置き換えて話をしている章があります。思考とは「わける」と「つなぐ」を行うことであり、すなわち図形とは思考の具現化であるなと思い、本の表題の意味を改めて理解しました。

11月25日:読みたい本を気ままに読む読書会

yuさん『ソラリス』
惑星ソラリスは、生命体のようなもの。ゼリー状の海で覆われていていてたくさんの人が研究している。わたしたちの想像を超えた世界観を描きたかったのかな?死んだはずの恋人に付き纏われる。ハリーがいる。ソラリスのような巨大な概念を考えていると人間ってちっぽけな存在に思えてくる。

幽体F・ミモイド・弁証法。独自の世界観の作品でした。「未知の存在とのコンタクト」なんだけど未知すぎて頭がついていっていないと感じました。

11月26日:読みたい本を気ままに読む読書会

Takashiさん『ギリシア・ローマ神話』ブルフィンチ作、野上弥代子訳、岩波文庫
 ゼウス、クロノス、エロス、クピド(キューピッド)、パンドラ、アポロン、プロメテウス、ポセイドン・・・。神々の名前はどこかで聞いたことのあるものばかり。これからも商品、イベント、建造物や乗り物にこれら神々の名前が冠され続けるんだろうな。

 名前には何層にも重なった意味がある。気付くことができれば理解も深くなるかもしれない。

(おまけ)
 本書(岩波文庫)の序文はなんとあの夏目漱石。知らなかったけど翻訳者は漱石のお弟子さんらしい。買った後に気付いてちょっと得した気分です。

11月27日:読書のもやもやについて話す時間「生きることと死ぬこと」

 今回のテーマは「生きることと死ぬこと」でした。

〈出されたテーマとメモ〉
・「生きることと死ぬこと」
人間にはいろんな出会いと別れがある。自分自身の死についてどう考えるのか。死について考えづらい。死の話題がタブーになっている。死ぬのが怖い。突然死と病死は考え方が違う。死に関して、違う意見があまりない。概念的な死と実際の死を分けていたい。
トルストイ『イワンイリッチの死』。死は考えにくいもの。自分がいる状況で死に関する認識が変わる。医者と一般人で死の認識が変わる。自分が死んだ後の世界についての想像。死と生の関係。生物学的な死と、物理学的な死。

・「テレビを見ていれば読書しなくてよいのでは」
本は時間がかかる。読書は知識を得るだけのものなのか?読書をすることによって。本は読み返すことができる。時代を超えて評価される本。テレビは人とつながるために。オーディオブックについて。スピード感の違い。


 過去の読書感想はこちらに載せています。

読書会参加者に投稿いただいた読書の感想です(2022年10月-)。

 

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