読書会に参加した人とのちょっとした振り返りの時間として、参加できなかった人への読書会の様子や話題のシェアとして、読書会に参加いただいた方の読書の感想をこの場所に載せていきたいと考えています。「気が向いたら」という任意でいただいた感想です。引き続き更新していきます。
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〈読書会について〉
事前読書のいらない、その場で読んで感想をシェアするスタイルの読書会を開いています。事前申込をあまり求めない、出入り自由な雰囲気です。スタンスや日程などについてはこちらをご覧ください。
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2024年9月28日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『ヨーロッパ近代史』君塚直隆
ヨーロッパの近代を1つの本・物語としてまとめている本です。さすがに急ぎ足なので各時代や出来事のことは深められませんが、流れをつかむという意味ではとても良い体験です。
今日はもう終盤に差し掛かっていて、日露戦争後・第一次大戦前のロシアについてでした。ロシアのことも詳しく理解できたわけではありませんでしたが、感じるのは日本との違い。
ヨーロッパ諸国は、国境間のいくつもの戦争や思想のぶつかりのなかで今のような民主主義の形態になってきている。市民革命が成功しても、また専制政治に戻ったり、その過程で哲学者の本がベストセラーとなり市井に出回ったり。その過程をみていると、体制について思考する機会が幾度もあったのだろうと思いました。
それに対して日本は、領土の奪い合いはあっても、思想のぶつかり合いや新しい主義を築くためのクーデターはあまりなかったような…。一つの思想のなかで生きてきて、ある日突然民主主義が輸入され上書きされた。それは素早さはあったけど、根付くというのとはまた少し違うものだったのだろうと思いました。
2024年9月24日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』ハンナ・アーレント
前回までは、アイヒマンが整然と容疑を否認するところでした。感情的にというよりも、理路整然としている主張でした。今回はアイヒマンの生い立ちについてアーレント調べなのか、書かれていました。
父親は会社の役員で家はおそらく裕福、そのなかでアイヒマンは学業など今いちパッとせず父親に高校を辞めさせられる。就職は親戚の紹介で何とか入ったという感じのようですが、最終的には解雇されます。その後、秘密結社のような集団に属しますが、無礼を働いて追い出される。その後に行き着いたのがナチ党の党員でした。
アイヒマンはナチ党に入りたかったわけではありません。ヒトラーの書いた『わが闘争』も読んでおらず特に心酔などはしていなかった。それでも任務を忠実にこなし中佐にまでなったようです。
アイヒマンは、どこかに属せずにはいられない、それは誰でもが感じるであろう孤立を避けたいという気持ちが強かったようです。そして何かを成したいという気持ちもそれなりに強かったようにも書かれています。それで所属できる先として行き着いたのがナチ党でした。
2024年9月22日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『19世紀ロシア奇譚集』より 『指輪』 エヴゲーニー・バラトゥインスキー (1832)
ロシアの貧しい貴族が農民たちを助けることを義務と心得て借金をすることになり・・頼み込んでも誰も貸してくれない中、隣人のつましい生活をしている大地主の所に行ってお願いする話でした。なぜか貧しい貴族の持っている指輪が元大地主の指輪だった!と話がくるくる展開していきました。登場人物も作者も名前が長すぎて覚えられないなあ。短い短編が文庫の中に7つ収められています。
2024年9月22日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』ハンナ・アーレント
アイヒマンは、罪を認めない。しかし、それは自分では殺人行為をしていないし、命令も出していないから。だけど、(確か)毒ガス室の設計には携わっているから、殺人幇助であるとは認める。そして、殺人行為はしていないが、それはその命令が自分にはなかったからであって、命令されていればそれもやっていたと認める。
精神鑑定などでは異常は認められないし、特に危険な思想を持っているわけでもないとされた。エルサレムでの裁判は1960年で戦後15年経っているが、その間妻と子供とごく普通にかは分からないが生活を続けていた。模範的な父親であったとの報告もある。
組織の外では、普通の人である。非人道的な行為に加担している人間であるとは思わないだろう。人そのものには善も悪もない。ある状況、あるシステムの中において、客観的に善とか悪とか言われる行為をするに過ぎないのだろう。アイヒマン、そこらへんにいたらどうしよう、と思った。
2024年9月21日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー
新潮文庫下巻の最初の方、早熟の13歳の少年コーリャがカラマーゾフ3兄弟の末っ子アリョーシャ青年と会話する部分を読みました。
恐ろしく高度な議論をふっかけるコーリャ少年が、心の中では「大人に見られたいという気持ちを見透かされたくない」と思うところや、アリョーシャ青年から「君はまだ13歳だよね」と言われて「あと二週間で14歳です!」と思わず言ってしまうコーリャの子供っぽさとか、ドストエフスキーはほんと上手いなあ~です。
2024年9月15日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『緋色の研究』アーサー・コナン・ドイル
シャーロックの知識の入れ方の部分が興味深かったです。
この本は2部構成でシャーロックとワトスンが初めて出会ったところで1部のワトスンの回想でした。事件がおきて犯人を特定しているところを読みました。
会話で、なんのために生きるのか・東洋思想・幸せとはなどの話になりました。心とはなにかと思いました。うまくいくとはどういう状況かなと考えました。
2024年9月10日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』ハンナ・アーレント
読んでみたいけど、高い本、そこで図書館で借りました。
まだ序盤ですが、戦後の戦犯を裁く(?)裁判にアイヒマンが登場し、ユダヤ人の大量殺人について罪を認めるか否か、被告のアイヒマンが問われるところ。アイヒマンは認めません。なぜなら、当時のナチスの法律には違反していないから、などなどの理由によって。
言われてみれば、戦勝国であればおそらく裁判にかけられることもありません。敗戦国だから裁判にかけられている、当時の法律には違反していないし、上からの命令に従っただけ。さらに、たぶんアイヒマンは自分では直接殺人はしていないのだと思われます。
戦争にも節度はあり、一般庶民を巻き込む攻撃や、原爆などの甚大な被害を及ぼす兵器の利用は禁止されているはずです。そういう意味では、ナチスの行為は許容されるものではありません。しかし、アイヒマンという個人を、敗戦国であるからという理由も合わさって裁判にかけるのは、確かに言われてみれば少し公平ではない気も…。
アレントは、自らもユダヤ人でありながら、冷静にこの裁判をみていくのだと思います。そして誰におもんばかることもなく、レポートをする。別の本で読んだのですが、そのような忖度のないレポートでユダヤ人の友人をなくしていく。朝ドラでも今戦後のことが描かれていますが、戦後復興していく傍らで、まだ戦後ではない人たちもいるし振り返らなければいけないこともあるのだと感じました。
2024年9月15日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『緋色の研究』アーサー・コナン・ドイル
シャーロックの知識の入れ方の部分が興味深かったです。
この本は2部構成でシャーロックとワトスンが初めて出会ったところで1部のワトスンの回想でした。事件がおきて犯人を特定しているところを読みました。
会話で、なんのために生きるのか・東洋思想・幸せとはなどの話になりました。心とはなにかと思いました。うまくいくとはどういう状況かなと考えました。
2024年9月10日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』ハンナ・アーレント
読んでみたいけど、高い本、そこで図書館で借りました。
まだ序盤ですが、戦後の戦犯を裁く(?)裁判にアイヒマンが登場し、ユダヤ人の大量殺人について罪を認めるか否か、被告のアイヒマンが問われるところ。アイヒマンは認めません。なぜなら、当時のナチスの法律には違反していないから、などなどの理由によって。
言われてみれば、戦勝国であればおそらく裁判にかけられることもありません。敗戦国だから裁判にかけられている、当時の法律には違反していないし、上からの命令に従っただけ。さらに、たぶんアイヒマンは自分では直接殺人はしていないのだと思われます。
戦争にも節度はあり、一般庶民を巻き込む攻撃や、原爆などの甚大な被害を及ぼす兵器の利用は禁止されているはずです。そういう意味では、ナチスの行為は許容されるものではありません。しかし、アイヒマンという個人を、敗戦国であるからという理由も合わさって裁判にかけるのは、確かに言われてみれば少し公平ではない気も…。
アレントは、自らもユダヤ人でありながら、冷静にこの裁判をみていくのだと思います。そして誰におもんばかることもなく、レポートをする。別の本で読んだのですが、そのような忖度のないレポートでユダヤ人の友人をなくしていく。朝ドラでも今戦後のことが描かれていますが、戦後復興していく傍らで、まだ戦後ではない人たちもいるし振り返らなければいけないこともあるのだと感じました。
2024年9月8日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
こはくさん『花まんま』朱川湊人
2025年の春に『花まんま』が映画化すると知り、原作を読んでみました。短編小説で、
とても読みやすく頭に情景が浮かび、昭和の懐かしさや切なさを感じました。何度、読み直しても面白い本だと思いました。
他の参加者の方も、映画化を知っていらっしゃって、気になっていたと話されていたので、参加して良かったと思いました。
yuさん『結婚/毒』トーヴェ・ディトレウセン
デンマークの女性作家の回想録です。3部作のうちの青春時代を読みました。感想のシェアのときに同じ時代(100年前くらい)に私小説は珍しかったとお聞きしました。労働者階級の女性と子供について書いた作家はそれまでいなかったそうです。今日読んだのは青春時代で、堅信礼という儀式が終わったら大人で高校にはいかせてもらえずにメイドの仕事をすることになったところです。抑圧的な家族環境が描かれています。
2024年9月8日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー
早熟な少年コーリャ・クラソートキンの話を50ページくらい読みました。
思春期の少年の成長は速く、大人への対応の変化にいち早く現れます。これをドストエフスキーは非常にきめ細かく且つ端的に描いていきます。その分展開が目まぐるしいので、ついつい読み飛ばしてしまっていた部分も多いと気付きました。この部分を読んだのは2度目でしたが、けっこう新鮮に(笑)読むことが出来ました。
2024年9月8日(日/午前):『死に至る病』本章最初の4ページを読む会 #6
よしださん
神がマネージメントする世界から自分でマネージメントする世界へ、その変化のあとの人間の精神性が描かれているように感じました。
私も本当に最初の方だけ読みましたが、やはりかなり難解で…。先に読まれた方が解説してくれるのはありがたいです。
ただ、この本に人生を変えてもらった(変えられた?)という方もいて、要旨を掴みつつも、やはり自分で読むことでしか得られないことがあるのだろうとも思いました。すぐに読み切るのは難しいですが、少しずつでも気が赴いたときに読んでいこうと思います。
ありがとうございました。
2024年9月7日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『傲慢と善良』辻村深月
終盤を読んでいます。今日読んだところからは、自立というテーマが浮かびました。それは子供が大人になるという意味ではなく、しがらみのない世界に身を置いて自立が促されるというような意味合いです。
地元にいれば両親がいて、昔から浸かっている空気感がある。東京にきたら東京にきたで、都会に飲まれる感じもある。それを経て、今また別の場所にいる。仕事もやめてボランティアのような感じで来ているから、義務や、ここでミスしたらやばいみたいなのもない。ただ、思うが通りに動いて、目の前のことに力を掛けます。周りの人たちも、同じように事情があって来ているから何を聞いていいのかダメなのか探り探り。それは、決められた関係があるわけでもなく、押し付けも依存の促し(誘因)もなく、自立を必然的に求められるものであるように思いました。
2024年9月6日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
こはくさん『闇の中のオレンジ』
短編集のお話しで、不気味で不思議な物語に引き込まれました。他の参加者から100年の孤独に似たワードがあると聞いて、そちらの本も読んでみたいと思いました。
2024年9月4日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
kayoさん『ヘルシンキ生活の練習』朴沙羅
「問題なのは、私が「私が何者なのか」と悩まなければならないような状況のほうではないか」(p.8)
相手は、こちらと比較して優れているわけでも劣っているわけでもなく、単に違うだけではないか。その違いは、ときに腹立たしく、ときに面白いものではないか。(p.13)
この辺り、自分が生活の中で感じていたことが言語化されていて、読み進めるのが楽しみになりました。
よしださん『傲慢と善良』辻村深月
この本を読んでいると、小坂井敏晶という人が「二人称の関係」ということについて書いていたことを思い出します。一人称は自分、三人称は彼・彼女でありどこかの誰かです。二人称とはあなたであり、自分と直接関係を結ぶ人です。二人称の関係というのは、比較のしようもない唯一無二の人であり、主観的なもの。たとえば、友達や仲間というのは二人称の関係。俺の友達よりお前の友達の方が優れていていいな、ということにはなりません。自分はただその人たちと仲がいいのであって、そこは比べられないし比べようとも思わないはずです。
この本は恋愛というか婚活を軸にして話が展開されていくのですが、ここに登場する二人の関係はどこか三人称的だなと思って読んでいます。二人称の関係というのは、考えてみるととても説明しがたいものです。
2024年8月25日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『穴持たずども』ユーリー・マムレーエフ
「ソ連地下文学の巨匠の怪作、ついに翻訳成る!」と紹介されていました。ロシアの小説です。
舞台は1960年代のモスクワ郊外。作者は長く移民として暮らしてきたため型にはまった人でなく、ユジンスキーサークルというのを結成してそこにいた人をモデルにして物語を書いたそうです。思いもよらない行動をする人々がでてくるので人には勧めにくいしストーリーもどうと言えなかったんですが、参加者の中に訳者の講演会に参加された方がいて心強かったです。理解されるとはおもってなくてこれ紹介していいものかなと迷うような種類の本です。「消費社会に覆われた西側でニューエイジが生じたのと時を同じくして、表向き窒息するような社会主義体制下のソ連ロシアのアンダーグラウンドで息づいたもうひとつの精神世界。」「」は白水社ホームページより引用
2024年8月24日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『複雑な世界、単純な法則』マーク・ブキャナン
ネットワーク科学の研究者の本です。
今日は二つのネットワーク構造についてその生成過程と特徴について書かれた部分を読みました。
書評では、事例の列挙で深い議論に至っていない、という意見が幾つかあったのでそういう本かなと思っていました。しかし、読んでみるとそこに至る過程の記述が面白いことが分かりました。書評だけで判断してはいけないですね。
yuさん『久生十蘭短篇選』川崎 賢子 編
15編のうちの1つ「黒い手帳」を読みました。
目の前にある一冊の手帳。それには、ルーレットに関する研究が書きつけられている。
パリの街での東洋人の暮らしは厳しく、ルーレットの勝ち方を知りたい夫婦がその手帳を狙う?ところを読みました。
こうなったらいいなという人間の欲とうまくいかなさで滑稽なかんじだなと思いました。
松本清張「黒川の手帳」とリンクするか聞かれました。が松本清張の本は読んでいないのでいつか読んでみたいです。
よしださん『傲慢と善良』辻村深月
本屋に立ち寄ったときにモニターで映画化のCMが流れていて、気になるフレーズが耳に残って買いました。『正欲』がおもしろかった朝井リョウさんが解説で登場するのも後押しに。
タイトルの意味はまだわかっていませんが、善良であると思っていると傲慢になるのかななどと想像しています。それを恋愛ミステリーというかたちで描くのか!?と思うと、やっぱり作家はすごいなと思わざるをえません。まだ全然序盤ですが…。
2024年8月23日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『八つ墓村』横溝正史
金田一耕助ファイル1の「八つ墓村」は実際に日本であった事件と戦国時代の8人の武者を元に書かれた小説です。鳥取県と岡山県の県境にある一寒村。山の中の村の出来事。
そこは戦国時代の落武者惨殺の伝説に彩られた地であり、やがてそこで謎の連続殺人事件が勃発。一度読んで初めのいわれを読書会で再読しました。怖いだけではない、夢もあるし、鍾乳洞のひんやりとした感じが夏にいいかも。
何物かの力かわからないことは確かにあるんだろうなとぼんやりと考えました。
m.shibaさん『効果的な利他主義宣言』
他の方に本の内容を説明することで自分の思考が少し整理された気がします。ありがとうございました。
2024年8月18日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『複雑な世界、単純な法則』マーク・ブキャナン
クラスターが連結して形成されるスモールワールドの相似形を見つけていくうちに、ランダムなものからある種共通のものが立ち上がる特異点を探る方向に話が進んでいます。まだ途中ですが、このへんの突っ込んた説明を期待しています。
2024年8月18日(土/午前):『死に至る病』本章最初の4ページを読む会 #3
yuさん
「措定」と「関係」について書かれていました。措定は聞きなれない言葉で、物事をその定義として提示することのようです。キルケゴールが没した翌年にフロイトがでてきていてこの時代に無意識の概念がなかったのではないかなどと参加者が意見されたりしていました。肉体と魂の関係・・はっきりしないものだから表現も抽象になるかもしれないけれどキルケゴールがいったいなにを考えていたのかが少しでも知れたらいいなと感じました。
2024年8月17日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『複雑な世界、単純な法則』マーク・ブキャナン
別の読書会の課題本になったので読み始めたところです。
おそらく学術書ではないので数式は無く物語風に話が進みます。ネットワークモデルは友人知人から蛍の明滅の同期、電力系統、俳優社会のつながり、脳神経などなど色んなところに応用が効くということが書かれていました。
とりあえず今日はこんな感じです。
2024年8月14日(水/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん村上春樹全作品1979-1989 8巻より 「ねじまき鳥と火曜日の女たち」
今公開中のアニメーション映画の原作の6つの内の1つです。失業中の30歳のぼく。火曜日につまから電話がかかってきて4日前にいなくなったねこを探しに行く。高い塀を乗り越えないといけない路地のおくの空き家にいるんじゃないかと奥さんは言う。いったいいつそんな路地につまはいつ行ったのか?ねこがみつかったとしてどうするのか・・アニメは微妙に6つがからみあっていました。
2024年8月13日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『ダーウィン 「進化論の父」の大いなる遺産』鈴木紀之著
今日読んだところでは、ダーウィンがいよいよビーグル号で世界一周に出かけるところが書かれていました。イギリスからアフリカの西を経由して大西洋を渡り南アメリカへ。南アメリカの南側をぐるっと回って南アメリカの西側の赤道直下にあるガラパゴス諸島へ着きます。
ダーウィンの進化論構築においてよく出てくるのはガラパゴス諸島ですが、著者はそれまで立ち寄った地でのダーウィンの観察も重要であると言っています。たとえば、アルマジロを発見する。と同時に、そのアルマジロより明らかに大きなアルマジロの化石を発見する。この時代は神が、人なら人、猿なら猿、アルマジロならアルマジロを今の形態のまま生み出したと考えられていました。そのような生み出し方をするのに、わざわざ同じ場所に小さなアルマジロと大きなアルマジロという生み出し方を神はするのだろうかとダーウィンは不思議に思います。それよりも、時代を経て変化してきたと考える方が自然ではないかと。
ダーウィンは、降り立つ地でこのような体験をし、その都度不思議に思い仮説を立てます。元々、いろいろと不思議に思い、何かに無批判に迎合するタイプの人間ではなかったというのもあるでしょうが。ただ、世界に出て、そのような多様な経験をすることで、進化論を構築するための目が養われていったのだろうと感じさせてくれる話でした。色々な違う体験をするって大事だなと思いました。
2024年8月11日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『ダーウィン 「進化論の父」の大いなる遺産』鈴木紀之著
ダーウィンは『種の起源』や進化論で有名です。そして人柄は、純粋な研究者というかあまりお金とか権威とかに興味がなさそうな人という印象でした。なのですが、割とビジネス環境で引用されて登場するし、ナチスの優生思想にも利用されたりもしています。なんでなのかなぁと思っていました。なんでといっても利用しやすかったから、時の権力者に都合が良い理論だったからということ以外にないのかもしれませんが。
今日は初めの方で、ダーウィンの生い立ちのようなところから。いきなり驚いたことに、父方の祖父は医者でありながら研究者的な側面もあったようで、本も出していたそうです。そしてその本の中には進化論ともとれるような記述があるのだとか。この時代(イギリス)はキリスト教的世界観なので、神が人間なら人間、猿なら猿のままこの世に生み出したというのが常識です。そこに、一つの種の形質が変化していくみたいな記述をしていたので、それだけでかなりチャレンジングな投げかけなのです。そして母方の祖父は、今も続く陶器メーカー・ウェッジウッドの創業者なのだとか。ネットで検索するとティーカップ22,000円。
大学などには属さずに研究をしていたそうです。世俗から離れて生きられたことが、そのときの世界観から外れた理論の構築に至ることを可能にしたのではないかなんて思いました。
2024年8月7日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『自由論』ミル著/斉藤悦則訳
ミルは割と冒頭から結論を書いています。それは、他の人の安全を守る場合にのみ統制をしてもいいということです。分かりやすい例でいうと、人を殴ろうとか精神的に傷つけようとする人に対しては止めたり罰則を課してもいいという考えです。それ以外は社会や世間は干渉してはならないということが書かれていました。
しかし徐々にその干渉して良い範囲が拡張されていくような印象を受けました。たとえば、「個人の行動がほかのひとびとの利害に関係するとき、そのときだけは、外部からの統制にしたがわなければならない」(P32)と書かれたりしています。利害とは安全と必ずしも意味を同じにしないと思います。たとえば、大事な商談があっても今日は行きたくないと思ったとき、他の人の安全には影響しません。しかし、利害には影響します。ですので、拡張されたミルの統制の範囲にドタキャン禁止というのは入るのだと思います。
ミルはなぜ、統制や干渉の範囲を拡張していっているのか。それは現実的に考えて、安全の範囲だけでは社会が回らないと思ったからなのか。なんだかいろいろ気になります。この本は、社会や世間が個人への統制をどの程度行なっていいものなのかという観点から書かれている自由論なのだと今のところは理解しています。自由のための統制論と言い換えることもできるのかもしれません。
2024年7月28日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『百年の孤独』G・ガルシア・マルケス
1967年にアルゼンチンの出版社から刊行され日本では1972年発売されたようです。今年度文庫化されました。今日読んだところはアウレリャノ・ブエンディア大佐の死による喪とメメの卒業が重なったところです。メメは一人前のクラビコード奏者になり演奏をしました。 メメがでてきたので多分今第5世代?のブエンディア家の様子かなあと思いながらを読んでいるところです。
他の方はシベリア抑留やアダルトチルドレンなど社会問題がテーマの本を読んでありました。映画をみるきっかけにもなった気がしました。
2024年7月27日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『自由論』ミル著/斉藤悦則訳
まだ第一章の「はじめに」ですが、いきなり主題の結論めいたことが書かれていました。それは、個人や集団が他の人間の行動に干渉することが正当化されるのはどういうときなのか、という問いに対するものです。その問いに対する応えは「ほかのひとびとに危害が及ぶのを防ぐためである場合に限られる」(P30)と書かれていました。その一方で、その人のためになると思って干渉することは正当化されないということも同時に書かれています。つまり、例えば誰かが他の人に石を投げようとしていたらそれを止めるのは正当化されるけど、社会人はゴルフが出来た方が絶対にいいからと半ば無理やり打ちっぱなしに連れて行くみたいなことは正当化されないということです。あくまでもミルの厳格な議論のなかにおいてということですが。
しかしながら、そのあとに目を疑うような指摘もあります。それは、その正当化の適用範囲についてです。この論理の適用範囲は、未成熟な民族や未開社会には適用されないというのです。「改革の精神にあふれた統治者は、その目的を達成する手段がそれ以外になさそうなら、どんな手段を用いてもよいのである」(P31)とまで書かれています。これは子供に対しては教育として介入して良いというのと並列で書かれているので、未熟な社会には教育的な意味で介入してあげた方がいいと受け取れます。
ミルはイギリス生まれで、『自由論』は1859年に出版されたそうです。ですので、ミルの自由論はその頃のヨーロッパ諸国やアメリカにしか適用されないということなのでしょう。その頃は日本もまだ江戸時代ですから、日本もおそらくミルの自由論の適用範囲には入らない。未開社会から成熟した良い国とするために権力を行使して干渉しても良い対象であったのだろうと思いました。いつの時代のどんな哲学者も偏見や見落としはあるのだろうと思いました。あとの時代になって言えることではありますが。
2024年7月24日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『自由論』ミル著/斉藤悦則訳
まだ序盤ですが、この本はミルが社会の様々な物事の、自由に関係することについて論じていくもののように思っています。
例えば、民主主義社会では物事を多数決で決めることがあり、その決め方を疑うことはあまりありません。しかし、多数決で決まっても少数の反対の者はいます。これをミルは「多数派の専制」だと言っています(P19)。専制とは、独断で思う通りに行うことを言い、独裁者による政治を専制政治などと言ったりします。つまり、少数派にとっては、独裁者が多数派になり変わっただけで、独断で行われている専制政治であることに変わりはないということです。
たぶんミルはこの先もこんな調子で、疑いなく正しいと思われている、これが自由な社会のあり方や決まり事なのだと思われていることを、一つ一つ取り上げて再考していきます。
読書会では、他の方の本の話のなかでアメリカの建国の話にもなりました。人は生まれながらに平等であると宣言した。しかし、そのとき奴隷はいたしその後も差別は残り続けた。その最中にいると気づかないかもしれないけど、おかしいことはある。だから誰もが疑わないことに疑いの目を持つことは当然にされた方がいいことなのだろうと思いました。
2024年7月28日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『百年の孤独』G・ガルシア・マルケス
1967年にアルゼンチンの出版社から刊行され日本では1972年発売されたようです。今年度文庫化されました。今日読んだところはアウレリャノ・ブエンディア大佐の死による喪とメメの卒業が重なったところです。メメは一人前のクラビコード奏者になり演奏をしました。 メメがでてきたので多分今第5世代?のブエンディア家の様子かなあと思いながらを読んでいるところです。
他の方はシベリア抑留やアダルトチルドレンなど社会問題がテーマの本を読んでありました。映画をみるきっかけにもなった気がしました。
2024年7月27日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『自由論』ミル著/斉藤悦則訳
まだ第一章の「はじめに」ですが、いきなり主題の結論めいたことが書かれていました。それは、個人や集団が他の人間の行動に干渉することが正当化されるのはどういうときなのか、という問いに対するものです。その問いに対する応えは「ほかのひとびとに危害が及ぶのを防ぐためである場合に限られる」(P30)と書かれていました。その一方で、その人のためになると思って干渉することは正当化されないということも同時に書かれています。つまり、例えば誰かが他の人に石を投げようとしていたらそれを止めるのは正当化されるけど、社会人はゴルフが出来た方が絶対にいいからと半ば無理やり打ちっぱなしに連れて行くみたいなことは正当化されないということです。あくまでもミルの厳格な議論のなかにおいてということですが。
しかしながら、そのあとに目を疑うような指摘もあります。それは、その正当化の適用範囲についてです。この論理の適用範囲は、未成熟な民族や未開社会には適用されないというのです。「改革の精神にあふれた統治者は、その目的を達成する手段がそれ以外になさそうなら、どんな手段を用いてもよいのである」(P31)とまで書かれています。これは子供に対しては教育として介入して良いというのと並列で書かれているので、未熟な社会には教育的な意味で介入してあげた方がいいと受け取れます。
ミルはイギリス生まれで、『自由論』は1859年に出版されたそうです。ですので、ミルの自由論はその頃のヨーロッパ諸国やアメリカにしか適用されないということなのでしょう。その頃は日本もまだ江戸時代ですから、日本もおそらくミルの自由論の適用範囲には入らない。未開社会から成熟した良い国とするために権力を行使して干渉しても良い対象であったのだろうと思いました。いつの時代のどんな哲学者も偏見や見落としはあるのだろうと思いました。あとの時代になって言えることではありますが。
2024年7月24日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『自由論』ミル著/斉藤悦則訳
まだ序盤ですが、この本はミルが社会の様々な物事の、自由に関係することについて論じていくもののように思っています。
例えば、民主主義社会では物事を多数決で決めることがあり、その決め方を疑うことはあまりありません。しかし、多数決で決まっても少数の反対の者はいます。これをミルは「多数派の専制」だと言っています(P19)。専制とは、独断で思う通りに行うことを言い、独裁者による政治を専制政治などと言ったりします。つまり、少数派にとっては、独裁者が多数派になり変わっただけで、独断で行われている専制政治であることに変わりはないということです。
たぶんミルはこの先もこんな調子で、疑いなく正しいと思われている、これが自由な社会のあり方や決まり事なのだと思われていることを、一つ一つ取り上げて再考していきます。
読書会では、他の方の本の話のなかでアメリカの建国の話にもなりました。人は生まれながらに平等であると宣言した。しかし、そのとき奴隷はいたしその後も差別は残り続けた。その最中にいると気づかないかもしれないけど、おかしいことはある。だから誰もが疑わないことに疑いの目を持つことは当然にされた方がいいことなのだろうと思いました。
2024年7月16日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『神の亡霊 近代という物語』小坂井敏晶著
今回読んだなかで印象に残っているのは以下の部分です(P81)。
「神を殺して人間は自由を勝ち取った。だが、その必然的結果として世界の意味を見失う。」
「これは意味のあることだ」と思うとき、その水面の底には善や正義を見ているのではないかと思います。しかし、それが善や正義である根拠はどこにあるのか。ある時代には神の教えであるところにあったということなのだと思います。しかし、それを否定した近代は必然的にさまざまなことへの意味を失います。
神というところまで意識しなくても、人は意味があると信じてこそ継続や努力ができるのだと思います。もっと突っ込んでいけば、生きることも継続的な行為なので、そこにもなにか意味を必要とするのかもしれません。だから、神や神に類するものから離れて生きていこうとする人は、必然的に意味を探求し続けることを余儀なくされるのかもしれません。
そんなことを考えさせられるこの本とこの著者は、やっぱりやばいなと思います。読む人は自己責任で…。
2024年7月14日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『サラジーヌ』バルザック
1930年に書かれた短編。
2度目に読んでいます。一読目は一向に頭に残りませんでした。その後、「ゴリオ爺さん」を読んでもう一度読むと不気味な老人は爺さんでは?など。サラジーヌは、フランス人の彫刻家でイタリアの歌姫に恋をしました。しかし、その歌姫には秘密があり・・・その秘密はイタリア人でないと見抜けないかも。ソプラノ歌手の伝統。いろんな歴史があるものだなあと思いました。他の方は墓じまいや3千円の使い方など身近な話題で興味がわきました。
2024年7月13日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『神の亡霊 近代という物語』小坂井敏晶著
今日はプラシーボ効果について書かれているところを読みました。
詳細は割愛しますが、理論的にほとんど効果がないであろう薄〜い濃度の薬を(たしか)販売しているケースがあるそうです。その販売が認められているのは、その薬を飲んで症状が改善することが確認されているから。つまり、プラシーボ効果です。
これは詐欺なのか。理論的には効果はないのだけど、実際には効果がある。求める人がいる。もちろん、理論的に効果がないことを公表したら効果がなくなるのだけど、それが明るみになるまでは効果がある。詐欺といえば詐欺かもしれないけど、悪いことをしているかと言われると悩ましい。
こんなことは割と世の中に数多くあるのかもしれません。
今、古墳を見れば、あんなものを作る労力と祈る時間があるならば、稲作でもなんでも生産活動をしていればいいのにと思うかもしれません。しかし、あの時代には大きな力に守られているという安寧の心や、次はこの王のもとでこんな国家プロジェクトへ邁進するのだという決起の心をもつために、古墳は必要なものだったと考えられています。まったく合理的ではないし生産的でもない。それ単体をみるとそう思うかもしれませんが、その時代の人々のあいだでは確かに必要だった。一つのものに焦点を当てて是非を問うのでは不十分で、やっぱりそれに関係する全体を見ないと物事は語れないよなと思いました。
2024年7月10日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『神の亡霊 近代という物語』小坂井敏晶著
人は何かを信じたり、べき論や正しさを携えたりして、それを拠り所にして生きているように思います。たとえば、物事を進めるときは必ず計画性をもって進めるべきだと信じている人は、計画や計画を立てる行為自体を拠り所にして生きていると言えるかもしれません。それがある時、計画がまったく立てられないことに出くわし、しかもそれから逃れられないとなったとき、非常に不安定な状態になると思います。
なにかを信じられている・拠り所にできているということは、とても安定していて安心感があります。しかし、この著者はいっつもその一般的に信じられていることを覆してきます。それが、確かにそうかもしれないとすんなり受け入れられたらいいのですが、もしかしたら〈私〉の核に近いものを覆してくるかもしれません。というか、この著者ではない人でもそれに近しい指摘をしてくる人はいますが。
では、なぜこのような本を読むのでしょうか。ひとつには勘違いをして他者を蔑んだり否定したり攻撃したりしないようにするためかもしれません。ふたつには、信じているものから逃れられない・つまり縛られることを避けるためかもしれません。なのですが、人は何かを信じることで安定するし、力を発揮できるような気もします。だから、常にあらゆる常識や真理的なものへ疑いの目をもって一定の距離をとることは、良いことなのかは分かりません。ただ、ひとつ目の理由は結構大事なことのような気がします。
2024年7月7日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『おいしいごはんが食べられますように』高瀬隼子
芥川賞を最近読んでいないなと思い手にとりました。複数で働いている人によんでほしいです。些細な違和感が言葉になっていて日常なのにざわざわしました。立場の違う人が集まって働く、あたりまえのようだけど分かり合えると思うのも違うかもしれない。軽いのにすごく重いような気がしました。
また、死について話題があがりました。キリスト教の死と仏教の死、2人称の死。パーソナルなものだけど普遍的でもあり考えるのが難しいなと思いました。
大場祐紀子さん『逆ソクラテス』
久々の読書会!
皆さんとお話をすると知的好奇心が刺激されて、
日頃、話さない哲学や未来の話をしたくなります。
これから暑い季節到来で、
家にいることが多くなると考えられる今日この頃。
これからは読書会に参加される人が増えるのではないかと思いました。
2024年7月2日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
こりんさん『Whole Brain』
「感じる左脳」は、ウザいキャラっぽい印象だったが、深く愛したり幸せを感じたりもする部分なので、切り捨てていいものではない。結局コントロールするのが一番っぽい。
よしださん『神の亡霊 近代という物語』小坂井敏晶著
一文一文がはっとさせられる、そして重いのがこの著者の特徴です。だから読むのはたまにでいい…。
今日もいろいろと印象に残りましたが一つだけ紹介するとするならば、「真理への道は法則であり、自由ではない」(P1)でしょうか。言われてみると、真理というのは一つであり絶対普遍のものだから、それの探究は「私の自由でしょ」というわけにはいきません。真理や普遍というのは自由とは反することになります。
しかしなぜか普遍を求めることと自由とは心理的には相反することのように思えません。なぜかと考えてみると、完全な自由・自由度が超高い・何でもありな状況というのは、人間にとって自由を感じられるものではないからなのかもしれません。ある程度の真理や普遍性を拠り所として、その安心感のなかで人間は自由を感じられる、だから普遍や真理を探究するのかもしれません。
2024年6月30日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん「いただき少女りりちゃん」(本ではなくWeb)
これは現在パパ活詐欺で罪に問われている女性が販売していたテキストです。一時期(今も?)Web公開されていたので読んでみたところ、私の心にぐっときました。
りりちゃんが探すカモおじさんの特徴は「他責より自責、奪うより与える、質素な生活」などです。これって良い人の素質だと思うんですが、りりちゃんにかかると良い事とは関係ない方向に行ってしまいます。
私は、気付かないうちに孤立してリアリティを喪失しているおじさんが、孤立を演出する架空(リアリティのない)の女の子にシンクロする話だと思いました。切なくて怖い話です。
2024年6月29日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『成瀬は信じた道をいく』宮島未奈
「成瀬は天下を取りにいく」の続編。中2だった成瀬が高校生→大学受験。成瀬の精神のつよさはどこからくるのだろう。こうと思ったらやり遂げる。「やめたいクレーマー」の呉間氏は成瀬に救われている。滋賀県の大津が舞台。気か付けば声を出して笑っていた。
そのほか、古田徹也:「謝罪論」で、人の心象というものを考えた。事象ではなくて人は心情に左右されてそれがなにかと行動に影響を与えてしまいがちなのが何なのか考えています。
よしださん『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆著
明治頃からの読書というものの歴史を振り返るようなフェーズを読んでいます。
読書の意味合いは勉強から娯楽までさまざまであったのでしょうが、近代化のなかでサラリーマンという新しい階層はどちらかというとエリート層になり、教養としての読書を求めたのだとか。読んでいる感じでは、社会や人間について勉強しようというよりは、それを読んでいることで労働者層との差別化を図る・周囲にも認めてもらうという意味合いが強いのかなと思いました。大正時代には「円本」という1冊1円だけど、60巻とかシリーズでまとめ売りする戦略を出版社がとり大成功したのだとか。それは、お得だし読むものがこれで事足りるという利便性だけではなく、60冊もずらりと書棚に並んでいると壮観である、みたいな部屋の装飾の一部としてもウケたのだとか。
まだ本書の趣旨にまでたどりつけていませんが、とりあえず本や読書というものにはいろんな意味合いが絡められてきたのだなと思いました。そこまで無理して本を読ませなくて(買わせなくて)もいいのではないかと思いつつ、そうやって部数を稼げるからこそ1冊1000円程度でこれだけの内容のものが読めるのだろうとも思ったり。いつも思いますが、1000円2000円でこれだけのものを読めるなんて、お得です。
2024年6月26日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『黄色い雨』フリオ・リャマサーレス
スペインの作家。山奥の村で人がいなくなってしまう。犬と奥さんと暮らす男。
生きているのか死んでいるのかだんだんわからなくなってくる。作者は詩人のようで文体は美しい。男が最後に犬にした行動はどういうことだったのだろう。滅びていくものと人の営み、ハリエニシダとイラクサ。
本が読めなくなるを分析した本では、現代の感覚と本を読むという行為のスピード感が違うのではなどと話しました。わかりやすいものはすぐ忘れてしまうかもしれないなと考えました。
よしださん『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆著
前にどこかのweb記事でこの著者が登場していて、「本を読めなくなるなんてこの社会はおかしい」みたいなことを言っていて、ユニークだなと思って買いました。普通は不公平とか理不尽さとかに「おかしい」と異を唱えるのに、「本を読めなくなること」に異を唱えるとは。まだ序盤なので真意とかそこにいたるまでの文脈まで読めていませんが、先が楽しみです。
今日読んだところでは、読書の歴史みたいなことに触れられていて、主に明治時代の自己啓発書について書かれていました。一般大衆が本を手に取れるようになったのは活版印刷機が普及した頃で、それが明治頃なのだとか。そしてベストセラーになったのは自己啓発書。身分の違いがまずは建前としてでもなくなった時なので、努力次第で成功できるという本・主張は大切なものだったのだと思います。
僕のなかではなんとなく、メディアは既に持っている情報の確認や一部修正で、自己啓発書は既に一歩を踏み出しかけていることの最後の後押しで、今の自分の方向性と大きく違わない。それに対して本を読むというのは、「なんじゃこりゃ?」みたいなところから始まる、未知だったり常識の書き換えが伴うもののような気がしています。だから、本を読むには「どこへ行くか分からないですけど、それでもいいですか?」ということへの了承が必要というか、それでもいい・むしろそれがいいみたいなマインドでないとなかなかできないことのような気がしています。
2024年6月22日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『複雑な世界、単純な法則』 マーク・ブキャナン
私が参加している別の読書会の課題本ということで、今日から読み始めました。
本書はネットワーク科学について書かれた本です。人類はたった6人を介してつながっているという話が冒頭に出てきます。だけど、45人の6乗が80億人とか、そんな単純な話ではなさそうです。
2024年6月16日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『百年の孤独』G・ガルシア=マルケス
読み始めて3日目くらいです。読みたいと積んでいたところ、書店の読書会の課題本になっているのをみつけて読めたら参加したいと思い読み始めました。ラテンアメリカの一族の「家」の話。マコンドという村の、百年をかけた生滅の物語。1日10ページくらい読めたらいいなと思っています。
また、今日はインゲボルクバッハマンが紹介されていて「30歳」詩人の小説を読んでみたいと思いました。
Takashiさん『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー(新潮文庫)
名作長編にはサイドストーリーが沢山あって、しかもサイドストーリーの方が心に残ったりする。
今日の読書会ではそんなサイドストーリーの一つを読み直した。神父さんに自分の過去の犯罪を打ち明けた人の話だ。正しいとか間違いとかの話の裏にある、どう処理していいのか分からない感情が描かれている。
こんな細かい部分は、簡単な解説記事やまとめ動画では決して取り上げられることはない。本当に面白いのはこういう所なのに。
2024年6月15日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『ブッダの言葉』中村元
わらしべ長者は、観音様から大事にしなさいと言われたわらしべを、なぜ簡単に手放してしまったんだろう。
この本『ブッダのことば』には何事にも執着するなと繰り返し書いてある。わらしべ長者はわらしべに執着していなかったということだろうか。
わらしべ長者を成功譚として見る場合は、見返りを前提とした付加価値と交換タイミングの話だ。しかし私は極めて仏教的な寓話としてわらしべ長者を理解したい。
よしださん『なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか』ジョナサン・マレシック著/吉嶺英美訳
大学教授だった著者が自身のバーンアウト経験をもとにさらに理解を深めながら書いている本です。
バーンアウトはよく、アスリートがオリンピックを終えて燃え尽きた、みたいに上まで昇り詰めたり・やりきったりしたときに語られることが多い気がしますが、この本での意味合いは違います。まだ途中ですが、頑張っても理想とのギャップが埋まらないときに起こる心理的な事象として書かれています。あとは、例えば給料が上がらないのに物価が上がるみたいな理不尽とか不公平とかいう環境によっても起こるとも書かれています。つまり、理想があり勤勉な個人と環境の両方の作用によって起こるということのようです。心理学的な用語で言い換えると、自己効力感の欠損によって起こるということに近いのかもしれません。
言ってしまえば、理想がなければバーンアウトにはならないということなのかもしれません。本の帯を見ていると、バーンアウトには文化的な側面がありそれを終わらせようとも書いています。ですので、たぶんですが、理想をもつのは良いけど、バーンアウトを引き起こす文化・環境との接し方みたいなところへ展開されていくのかもしれません。
2024年6月14日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『ゴリオ爺さん』バルザック
ゴリオ爺さんが死にかけているのに娘たちが会いに来ない、お金をもらうときだけ会いに来る。社交界で成功することばかり考えている。
お金の存在って。親子の愛とは。貧乏と金持ちと。爺さんは娘たちから冷たくされていることから目をそむけていたけど・・・。生きるとは?
読みにくくもないし話の筋もおいやすいです。
2024年6月12日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
こりんさん『チーズはどこへ消えた?』
他の方の話は興味深いものの自分に前提知識がなさすぎてわからないことも多く、もっと勉強したいと思いました。
よしださん『記憶のしくみ(下)』ラリー・R・スクワイア/エリック・R・カンデル
今日はマウスの実験から、「場所」の記憶が海馬に確かにあるということが書かれているところを読みました。
記憶というのは知れば知るほど不思議です。例えばビデオ映像を見て、「あーそうだった、あれはあそこにあるんだった」ということを思い出したりするのではありません。あくまでも神経のネットワーク、あるいはそのネットワークを流れる電気信号や化学物質の流通の仕方で記憶というものが形成されています、たぶん。それを私たちは、映像や体験や知識として想起し扱っている。たとえば、タイムカプセルを埋めた記憶とか。
2024年6月1日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『国家(上)』 プラトン、岩波文庫
この本の最初は「正義」についての議論が書いてある。「正義」を考える上でここに書かれていることは避けて通れない。
両極は「揺るがない正義はこれだ」説と「正義って人それぞれだよね」説だが、どちらにも落ち込まない様にするためにも、これを何度か読み直したい。
2024年5月31日(金/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『ゴリオ爺さん』バルザック
下宿屋に入ったゴリオ爺さん。どんどん小さい部屋へ移動していき貧乏になっていくよう。どうしてなのかわからない。下宿屋の女主人に初めは言い寄られるがうまくいかなくて虐げられてる。フランスの小説。
読書会ではアナキズムが話題にあがりました。
まきさん『くらしのアナキズム』
「無政府主義」と訳され、怖い印象を持たれがちなアナキズムですが、結局のところ「国や政府に頼らず、自分たちで助け合うこと」なんだなと。生活レベルに落とし込むと、すごく優しい思想なんじゃないかと感じました。
参加者の方から似た雰囲気の本をたくさん紹介していただいたので、早速読んでみたいと思います!素敵な会でした!
2024年5月25日(土/午前):読書のもやもやについて話す時間
今回は本ではなく「玄海町の文献調査」のニュースに関連して、政治や行政について気になることなどについて話しました。
よしださん
今回は本ではなくニュースを切り口に話されました。放射性廃棄物の処理の地域選定をめぐって調査を受け入れた行政があり、それが身近なエリアだった方からの話題の提供でした。住んでいる場所によって関心の度合いが違う話題だったので、行政の判断への向き合い方みたいな話で展開されました。
今回は人数が少なかったので雑談のように進みましたが、改めて日本は広いなと思いました。つまり、関心があったり自分事であったりする問題というのは人それぞれに異なり、それでも日本という国としてまとまっているということです。選挙のときも、特に国会議員(市長や知事ではなく)のときは言っている問題が大きすぎていまいちピンとこないというか、選ぶのに困ることがあります。重要な問題というのは数多くあるけれど、「私」がそれに労力や時間を費やせるかというとまた別問題です。ただ、自分にとってどうしても無視できない問題が出てきたら、それに時間を使っていくことも大事なのだろうと漠然と思いました。
2024年5月22日(水/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『友情』武者小路実篤
厚い友情で結ばれた2人。同じ人を好きになり。一方だけが友に告げている。片方は応援する側になるが。読みながら嫌な予感がしていました。辛い話だなと思いますが人間の心理をついているのかもしれないとも思いました。
夏目漱石の「こころ」と通じるところがあるような気がしました。
福ちゃん『任せるコツ』山本渉著/すばる舎
本読書会にドキドキしながら初参加しました。
セレクトした本は、本屋さんで出会った平積み本の中の1冊。仕事の悩みを解決してくれそうに感じ即決購入しました。
概要として、世の中は『間違った丸投げ』が横行しているが、丸投げする相手の事を理解し信頼関係を気付きながら『正しい丸投げ』を行えば個人も組織も劇的に成長させる。とのこと。
これから取組むプロジェクトを若手に『正しい丸投げ』するべく、本の内容を指針としたいと素直に受け止められました。
短い時間での読書でしたが、すぐにOutputするんだと意識すると、ダラダラ読むより内容が頭に入りやすいと感じ、日常得られない刺激を受けました。
主催者さんが温かく、一生懸命読まれた本を説明して下さり、またこちらの本のブレゼンを全て肯定して受け止めて下さる雰囲気が初参加でも大変心地良かったです。またタイミングが会う時に参加させて頂きます。ありがとうございました。
2024年5月21日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『記憶のしくみ(下)』ラリー・R・スクワイア/エリック・R・カンデル
記憶のしくみが書かれているのですが、脳科学というか、分子生物学(?)的に書かれています。
今のところの理解では、記憶とはシナプス部のニューロンの変化なのかな?という感じです。シナプスとは神経細胞であるニューロン同士の接合部を言いますが、その部分がある刺激を受けたときに構造的に変化する、そしてそれが不可逆的な変化として維持されたときに記憶になるのかな?という感じです。まだまだ先があって憶測もありますが。。
読書会では、PCなどにある記憶媒体は過去データを編集せずに保持しておくことができるけど、脳内の記憶はそういった意識的な保持はできないですよねみたいな話になりました。何らかの外的・内的な刺激は「これは今のまま変えずに保持したい」などという気持ちとは関係なく、脳内を駆け巡っているはずです。そうであるならば、ある時点の記録とも言えるかもしれない記憶はその記憶の時点から常に変化の可能性にさらされていることになります。ただ、本ではそこまで書かれていないのであくまでも推測ですが、記憶とは何かということはやっぱりすごい大事な問いなのだろうと思いました。
2024年5月19日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『枕草子』清少納言
本文を読む前の宮廷生活の前提知識を読みました。宮廷の主な年中行事や清少納言と定子サロンのこと。丁寧に解説されていてこれから読むのが楽しみです。
2024年5月18日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん『100分de名著フロイト「夢判断」』
まだ全く読んでないです。読書タイム中に所用が出来、途中退出してすみませんでした。
2024年5月7日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん『Work is Life 宇宙一チャラい仕事論』
毎日をご機嫌に生きるために、よく働き、よく勉強し、よく遊べという、なかなか常人には、真似の出来ない本。
よしださん『記憶のしくみ(上)』ラリー・R・スクワイヤ,エリック・R・カンデル
今日は短期記憶と長期記憶の違いについて書かれているところを読みました。短期記憶とはその言葉通り、昨日とか1週間前とか比較的最近の記憶のことを指します。それに対して長期記憶とは1年前とか子供の頃の記憶とか時間的に大きく遡った記憶です。
最近か昔かという違いがあるのはそうなのですが、記憶されるメカニズムが違うのだといいます。短期記憶は海馬を含む内側側頭葉が関係してくるのだそうです。それに対して長期記憶は脳の表面を覆う皮質が関係しているのだそうです。しかも、内側側頭葉から皮質へと移行されるような過程を経て長期記憶へとなっていくようです。パソコンなどのイメージだとデータ移行ということですが、脳は神経ネットワークの塊だと思うので脳内で長期記憶とするべく皮質へのネットワーク形成がされているということです。
すべての短期記憶が長期記憶となるのか。あるいは、そもそも短期記憶も五感で捉えられる全てを蓄積しているわけではないはずです。であるとすれば、その取捨選択はどのように為されているのか。それはヒトとしての普遍的な基準もあるでしょうし、個人による違いもあるのだと思います。記憶のメカニズムを学びながら、そんなことも考えてみたいと思いました。
2024年5月5日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん『力なき者の力』
チェコの劇作家、大統領を勤めた、ヴェーツラフ・ハヴェルの政治的エッセイです。パンピーが、権力とどう渡りあったらいいかが書かれているようです。
Takashiさん『死に至る病』キェルケゴール
「自己とは自己自身に関係するところの関係である」
これは、本文冒頭(『死に至る病』、第一編、一、A、P22、岩波文庫)に出てくる自己の定義だ。関係が「自己自身に関係する」場合、それは自己となる。
例えば、私に好きな人がいたとしよう。その人と私の関係が私自身に関係する(私がとても気にしてる)場合、その人と私との「関係」は自己であるとキェルケゴールは言っている。
こんな風に身近な例で説明できれば良いのだが、本書P22~25はほぼ例え話がないので難しい。しかし、理解してしまえば極めて適切な説明に違いないだろう。
2024年4月28日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『別れも愉し』宇野千代
他の方の紹介された本です。是非読んでみたいと思いました。自分を題材にした小説において自分の業を引き受ける様が志賀直哉的に潔くぶっ飛んでる感じがしたからです。
2024年4月23日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
ゆうこさん『リフレクション内省の技術』
つい外のツールに救いを求めがちだが、自分自身と向き合うことが足りてないことがほとんどである。振り返らなければ、人に伝授して任せることができず成長が止まる、過去の成功体験にしがみついて変化に耐えられない。今までの体験には学びが詰まっている、リフレクションはネガティブな行為ではなく、未来のための建設的な行為。
よしださん『記憶のしくみ(上)』ラリー・R・スクワイヤ,エリック・R・カンデル著
今日は即時記憶と長期記憶のところを読みました。即時記憶とは例えば目の前にパッと5桁の数字を出されて次の瞬間隠されて「5桁の数字を言ってみて」となったときに使う記憶の機構です。他にも何か考え事をするときに頭にあれこれ浮かべると思いますが、そのときも記憶しながら思考していると言え、その記憶も即時記憶に分類されるようです。それに対して長期記憶は、思い出す作業が必要になる記憶です。昨日のことや10年前のこと、あるいはさっきまで考えていたんだけど電話などがきて中断してしまった場合など思考を再開するときにも長期記憶から記憶を引っ張り出してきます。
即時記憶と長期記憶とは違う部位?機構?で動いているので、長期記憶に障害があったとしても即時記憶は十分に働いているということもあるようです。あたりまえかもしれませんが、脳とは一括りには言えないなということが分かります。
僕が興味があるのは、記憶の保存のされ方というか思い出され方です。パソコンのハードディスクのように0/1の数字によって普遍的に保存されているわけではないはずだとすると、記憶とはもう少し曖昧で、場合によってはいい加減なものなのだろうと思ったりします。そしてその記憶を使って考えて何かを判断したり、私とは・あなたとはこういう人間であるということを思っていたりします。そんな思考の根源になりそうな記憶に興味があります。
2024年4月20日(土/午前):テーマのある読書会「競争」
よしださん『二つの「競争」 競争観をめぐる現代経済思想』井上義朗著
序盤を読みました。著者の専門が経済学なので、経済を切り口に書かれています。
経済にとって競争とは、より効率的な生産方法を見出すための手段、みたいに書かれていました。競争があることで、効率的な生産方法やサービスの提供方法を各企業は求め確立していく。それはある一つの企業の独占を生むのではなく、その効率的な方法が他の企業や業態にも転用されていく。だから、競争とはそれ自体が目的というよりも、効率的な方法を見出すための手段として働くということです。
さらに続くのは、競争に負けて仮に倒産する企業が出てきても、そこで働く従業員は非効率的な企業から解放されて効率的な企業で働くことができるから人一人一人にとっても有益であると考えられているのだそうです。給料も上がりやすいかもしれないし非効率による疲弊も起きにくいのかもしれません。
では現実はどうかと照らし合わせると、いろいろと乖離が見られるように思いました。あとは読書会のなかで他の方が言っていたのは、効率を究極的に追求すると朝一の会議で出た課題が午後一には改善されていることが要求される、そしてそれを永遠に繰り返していくということもあるようです。いい塩梅でというコンセンサスがあればいいのかもしれませんが、そうともならないのが問題としてあるようにも思いました。
2024年4月19日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
ゆうこさん『サピエンス全史(下)』
人の幸福は相対的に決まるのか絶対的に決まるのか?他人に影響されない人は幸せかもしれないけど、それってどういう人がなれるんだろう。。
yuさん『恋するアダム』イアン・マキューアン
冴えない男が最先端のAIロボを購入して恋愛や家族といった私生活に入り込んできた話です。Aiロボは「クララとお日さま」のクララよりもより人間に近い感じだなあと思いました。心があるのか。恋をしたらしいです。それは恋なのか。
2024年4月17日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん『インテンション』アンスコム
アンスコムは、ウィトゲンシュタインの高弟で、「哲学探求」の影響を受けていますね。
本書はアリストテレスの行為論を、2千年ぶりに刷新したらしいです。哲学的行為論の古典ですね。
よしださん『記憶のしくみ(上)』ラリー・R・スクワイヤ,エリック・R・カンデル著
「記憶のしくみ」というタイトルの通り、どんどんとしくみに迫っていきます。でもそれは、脳に迫ることでもあり、脳を構成するニューロン・神経細胞の働きに迫ることで、とても化学や分子な話です。つまり、細かくて難しい話です。。
おもしろいなと思ったのは、記憶をつくり出す機構はとても複雑で精緻に感じられるのだけど、その機構は単細胞生物でも持ち合わせているものだということ。単細胞生物は記憶ではなく飢餓の伝達に使われているようですが、それはつまりその機構の汎用性を意味します。生物はある一つの機構を別の事に使ったりしている。進化とは、その都度その生物としての機構が再構築されることではなく、既存の機構を別の用途に使ったり少し改変したり付け足したりしながら外見上は全く新しいものへと変化するということだと書かれていました。
2024年4月7日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん『心の論理』金子裕介
ホストの方が、キルケゴール「死に至る病」を読まれて、とても盛り上がりました。
我々の多くは、絶望しながらそれに気付いていないようです。
2024年4月7日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『日本人とユダヤ人』 イザヤ・ベンダサン
個人的に私は自分自身を理解したいという気持ちがあって、そこを読み取れる本には強く興味を惹かれてしまう。本書もそんな本の一つだ。自分の中にあるもやっとしたロジカルでない部分を言語化してくれていて面白い。ちなみに著者イザヤ・ベンダサンは『「空気」の研究』でお馴染みの山本七平のペンネームだ。
2024年4月7日(日/午前):ハンナ・アレント『人間の条件』のプロローグを一緒に読む会 #8
yuさん
仕事は単数、労働は複数。言論こそが人間を政治的存在たらしめる。
言語と政治。ふだん政治のことをあまり考えに入れていないけど無関係ではいられないんだよなぁと考えたりしました。
2024年4月6日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『狂人日記』魯迅
中国の小説。魯迅は国費で日本に留学して芥川龍之介や夏目漱石を読んだそうです。本の内容は周りのものが皆僕を食おうとしている!と疑念を抱いた主人公の心のうちです。思い込み?って人を追い詰めるなあ。何かの比喩かもしれないけど誰が狂人かはわからないかもしれない。「犬がどうして僕をじろじろ見るのだ。」
2024年4月3日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん『100分de名著ナオミ・クライン「ショック・ドクトリン」』
アメリカの暗部を見た感じで、とてもショックを受けました。純粋な資本主義を目指す、
新自由主義が怖すぎます。
よしださん『記憶のしくみ(上)』ラリー・R・スクワイヤ,エリック・R・カンデル著
脳系の話は難しいといつも感じます。なんで難しいのかは分かりませんが、既存の理解との類似性が低いからのような気がしています。例えば記憶や思考といえばコンピューターの構造を思い浮かべるかもしれませんが、それとも違う気がする。というよりも、機械のような機能や構造がきっちりと分かれていないような説明のされ方がする。まだまだ未解明だからというのもあるのでしょうが、あいまいで複雑な働きをするその系にまた生命の神秘を感じる予感がしています。
2024年3月31日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん『100分de名著 ジーン・シャープ「独裁体制から民主主義へ」』
軍事思想も研究しながら、普通の人が計画的に
非暴力を実践するという発想に感銘を受けました。
2024年3月31日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『人間の条件』ハンナ・アレント
本書の魅力はハンナ・アレントの批判の鮮やかさと、それが極めて端的なところだ。哲学、科学、経済、宗教を古代ギリシアから近代までを互いに関連付けながら解説してくれる。2ページに一回は線を引きたくなってしまう。
2024年3月27日(水/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
ゆきさん『噛み合わない会話とある過去について』
皆さん社会問題への関心が高いのを感じました。
原有輝さん『リンリのロンリ』
著者の金子裕介さんは、明治大学の非常勤らしいですが、難しい内容を明快に説くな、と思いました。同じ著者の違う著作も是非読みたいと思いました。
2024年3月26日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『記憶のしくみ(上)』ラリー・R・スクワイヤ,エリック・R・カンデル著
今日から読み始めました。まずは記憶に関する思考の歴史みたいなところからでした。
何かを考えるときに、そういえばあの時ああだったなとかこんなことを感じたよなとか、そんなことを思い起こしながら考えることがあります。そしてそこから教訓というか、少し大袈裟にいうと人や世界への認識を更新していくのかもしれません。その思考のもとになる材料が記憶だとしたら、その材料としての記憶のことをよく知っておいた方がいいのかもしれません。いつも適切で・正確で・変わらない記憶だったらいいのですが、なんとなく気分や価値観の変化などによって想起される記憶は変わる気がする。実際にそんなことを匂わせる記述を読んだこともあって記憶については気になっていました。
記憶が他者や世界に対する見方に影響するのではないかと思って、あるいは自分自身に対する見方にも影響しているのではないかと思って、読んでみようと思っています。
2024年3月24日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
たまねぎさん『石は元素の案内人』
元素が90種あることや石が鉱物と岩石に分けられる等石に詳しくなれました。特に、綺麗な鉱石を見れたことは記憶に強く残りました。
2024年3月23日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『Science Fictions あなたが知らない科学の真実』スチュアート・リッチー著/矢羽野薫訳
著者は心理学者で、過去にあった超能力的な人間の能力に関する科学雑誌掲載を序文に挙げています。おかしいけど本当ならすごい実験結果が権威ある雑誌に掲載されて、他の大学の研究者とそれぞれの場所で同じ条件で実験を試みたそうです。しかし再現されませんでした。そしてその結果を同雑誌に寄稿したところほんの2,3日で採用しないとの返答が。
科学的に証明されたと実験結果とともに書かれていると信じてしまいます。でも本当にその言葉を信じていいのか、というのがこの本で示されることなのだと思います。科学的な手続きや査読等の仕組み自体は再現性・信憑性を高めるものだけれど、それがしっかりと運用されていないことがあるということなのだと思います。しっかりと運用されない理由や背景まで書かれていそうな気がしていて少しずつ読み進めたいと思っています。
2024年3月22日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『少女、女、他』バーナディン・エヴァリスト
黒人女性で初めてブッカー賞を受賞した作家の本です。小説で劇をしている黒人女性が50代にしてナショナルシアターで上演という栄光をつかんだところ。まだ初めの方ですが12人の10代から90代のいろんな境遇の人びとが出てくるようです。文章が軽快です。
他の参加者が読まれた「花の知恵」モーリス・メーテルリンクは弁護士でノーベル文学賞も受賞した人。花の命がどのように繋がれているかが書かれている。水生植物の話。雄花がどうやって雌花の元に行くか。この作者の人の表現力や比喩がすごい。ただ学術的だけでなくドラマチックという話をお聞きして読んでみたくなりました。
2024年3月17日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
Yamamotoさん『本心』平野啓一郎
他の参加者の方が紹介していた「バウルを探して」という本が気になりました。仕事等をしていて、そこに”リアリティ”を感じられるかどうかは、個人的にも仕事をやるうえで一つのテーマだと感じているので、時間を見つけて読んでみたいです。
2024年3月10日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『ギリシア・ローマ神話』 ブルフィンチ、岩波文庫
今日は神話の中の大戦争、トロイア戦争のきっかけを読んだ。
不和の女神アテナが結婚式に招待されなかったのを根に持って、「一番美しい方へ」と書かれた金のりんごを式に投げ込む。それを巡って3人の女神が喧嘩し、仲裁すべき神のゼウスはめんどくさくなってトロイア国の王子に仲裁を丸投げしてしまう。そこから大戦争に発展・・・。
神々に思わず突っ込みたくなるような、何とも人間くさいお話でした。
2024年3月9日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『正欲』朝井リョウ著
今日は最後の解説のところを読みました。臨床心理士の東畑開人さんの解説でした。
まず「正欲とは何なのか」という理解が難しいのですが、仮に正しくあろうとする欲・あるいは他者に正しくあれと強いる欲だとしておきます。その場合、正しいとするカテゴリーが生まれるわけですが、そうなるとその正しさから外れる人が出てきます。最近では多様性として正しさの枠を広げているのだと思いますが、この本ではその拡張された枠からも外れる人が描かれていました。さらには(ネタバレになりますが)、正しいど真ん中に当てはまる人が、正しくないと蔑んでいたカテゴリーの人たちの繋がりに狼狽する。その人はそのとき、正しさを貫いていたはずなのに繋がりが壊れていたからです。
正しさを持ち出すとロクなことがない。正しいと主張している向こう側で「この人は全く理解できてない」と嘲笑されているかもしれない。だから、人それぞれだよねとしておいた方が無難なのだ。だけれども、それだと人は孤立していく。多様性というテーマを持ち出したら逆に分かっていないことがよくわかって目指すところと違うところに行き着くかもしれない。だからなのかは分かりませんが、東畑さんは「何かあったら話し合おう」と書いていました。
多様性というのは社会の問題として扱われているけど、一人の人を理解するのだけでも難しいのだから、〈私〉の周辺に広がる問題であるように思いました。広く一般に言われる拡張された正しさを漠然と理解するのには無理があって、〈私〉なりに広げていくものであるように思いました。
2024年3月5日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
irisさん『注文の多い注文書』小川洋子/クラフト・エヴィング商會
希少な商品を探し求めるお客様と、その注文を受ける商會とのやりとりが収められています。注文書と納品書に添えられた手紙という形式に惹かれました。注文に至るまでの経緯、やりとりの中で流れる時間の経過、納品までに変化するお客様の思考や状況など、「時間」というものを意識させられます。
架空のお客様が注文される商品には、それにまつわる別の小説(これは現実にある小説)が存在しており、また、架空のお店である「クラフト・エヴィング商會」は、現実に存在するデザイン制作ユニットでもあります。1つのエピソードの中に、架空と現実が入れ子上に存在し、物語を支えています。
ひとつの物語が生まれるまでに、長い長い時間を経ていること、多くの別の物語が複層的に存在していることを感じる、奥行きのある読書体験でした。
ほかの参加者さんのお話を受けて
「金持ち父さん貧乏父さん」(ロバート・キヨサキ)は、読もう読もうと思いながら、なかなか読めていない本のひとつです。これが20年前の本だったら、今の日本はもう少し進んでいるかな?お金に対する意識は少しは変わっているかな?と思います。なにしろ、成長しない30年を過ごしてきた日本人ですから、今、自分たちがいかに貧乏になっているかくらいは、気づいているに違いありません。その間にお金では測れない豊かさを手に入れていればよかったのですが、そうでもないようです。
「正欲」(朝井リョウ)は、多様性がテーマの本であることを初めて知りました。すべての人は内面にマイノリティを持っているというのが私の持論ですが、多様性はそんな甘いもんじゃないという言葉にどきりとしました。私たちは自分が嫌悪を感じるような欲望の存在を、認めることができるのでしょうか。たとえば小児性愛とか、動物や物体への性欲など。多様性という言葉のみ肯定し、その中身に何があるかは考えていないのではないか。飛躍しますが、欲と、支配やコントロールとの関係についても考えたいと思いました。
よしださん『正欲』朝井リョウ著
つい1週間前くらいに読み始めたばかりなのに、あっという間に終盤です。それくらいどんどん読み進めてしまう。それは読むなかで深まる自分への疑念をどうにか解消してほしいとこの本の結末に求めるような動機づけであるようにも思います。
2024年3月1日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『少女、女、ほか』バーナディン・エヴァリスト
2019年のブッカー賞作品です。いろんな女性が小見出になっています。第1章のアマを読みました。アマはイギリスで演劇をしている有色人種。仕事の話がきたところを読みました。作者はナイジェリア人の父とイギリス人の母の元ロンドンで生まれたそうなのでアマは作者なのかな?と想像しました。
読書会では、恋愛を中心としていない話を「juvenile」ジュブナイル(青春時代)と独自に呼んでいる方がいらっしゃってもっと話をお聞きしたいと思いました。
2024年2月28日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『正欲』朝井リョウ著
まだ序盤だからか淡々と書き進められています。多様性みたいな話なのですが、登場する人たちはほとんど普通の生活をしている人たちなのだけれど、どこかで生き心地の悪さみたいなものを抱えている。そんなのみんなどこかにあるよね、というところがこの本の狙いなのか、それとも伏線なのか。それでもそんな普通のなかに実は抱えている負の面が描かれているから、やっぱり人間、外からじゃ分からないよねというのはよく分かるような気がしました。
2024年2月24日(土/午前):読書のもやもやについて話す時間
今回はこちらのテーマについて話されました。
「第三者的な空間ってどんな空間?どんな態度で?(対話ってなんだろう)」
『正欲』(朝井リョウ著)を読んだ方から出されたもやもやです。少し独特な表現ですが話すなかで文脈を感じるとることができ、はっきりとは言葉としてまとめられないけどイメージは共有しながら話すことができたと思います。
yuさん
もやもやの会に初めて参加しました。風邪で声も出にくかったので聞いておくだけにしようと思ってはいました。
第3者的な目線や話をしたいというテーマが3つくらい出て興味深かったです。自分は正しい問題。なかなかそうじゃないかもしれないなという境地にたどり着くことは遠い道のりだなと思いました。
よしださん
「第三者的な」と言う言葉は普段から使う言葉なのでその印象で話していましたが、もやもやを出した人の話を聞くうちにそうではないのだなと気づいていきました。例として出たのが、政府がLGBTQというワードを出して多様性の尊重と言っている時点では、おそらく言っている側は「こっち」にいると思っている。ここでいう「こっち」とはマジョリティのことです。人は無意識のうちにこっちとあっちというふうに分けていて、何かを軽々に言えるというのはこっちだと自分で思っているからなのかもしれない。そんなところがこのテーマのスタート地点だった気がします。
「なんでそんなこともできないのか」「普通できるでしょ」みたいにリアルでなのかメディアをみていてなのか思うということは、自分を「こっち」に置いているということなのだと思います。でも、こっちにいると思っている自分がひっくり返ってあっちになる場合もあるという話も出て、僕もそうだなと思います。そういうことを実感しているとき、他者のことを上にも下にも見られなくなるし、その人のキャラによるかもしれないですが口に出すことも憚られるようになる気もします。自分が向き合える多様性などというのはごく限られた領域に対してなのだろうと思いました。
2024年2月23日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
eimiさん『アル・ジョルスンが眠る墓地で』著者エイミー・ヘンペル MONKEYvol.31号掲載
過日の読書会でもこの作品を読んだ。今回で2回目の通読。
前回はどんよりしていた自分の気持ちを落ち着かせてくれた。
今回は爽やかな読後感を感じた。
でも、(多分)お話としては「死」がテーマ。
しかし何故か重苦しくならない。
諦めているというよりも、壁を抜けて見通せているような世界観。
3回目は何を感じるのか楽しみなので、またそのうちに再読したい。
エイミー・ヘンペルの翻訳されたものは他にはないようで残念。
別の作品も読んでみたいと思った。
yuさん「ウエークフィールド」(ホーソーン短編小説集より)
1804年生まれのアメリカの作家。一人の男がロンドンに妻と住んでいる。ある時ふと出かけそのまま20年戻ってこなかった・・。それから・・・ある雑誌か新聞に紹介されたって体で始まっていますが実話??となりそうでした。男目線だなとも思いました。
ボルヘスが短編小説の中でも最高!と誉めたらしいです。
2024年2月20日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論』カルロ・ロヴェッリ著/富永星訳
今日はかの有名な「シュレディンガーの猫」が出てきました。でも、やっぱり何度聞いても分からない。シュレディンガーの猫は思考実験ですが、それよりもその前に出てきた実際の実験結果から説明がされている方がまだ分かりやすかった。地道にコツコツと一つずつ分かろうと思って読んでいくしかないなと思いました。
2024年2月14日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論』カルロ・ロヴェッリ著/富永星訳
著者は、高校で(?)物理学を習っていた頃、ニュートン力学は退屈であると感じていて、量子力学の話が出てきたらおもしろいと感じたらしいです。僕は、ニュートン力学は身近な運動を記述できておもしろいなと思っており、量子力学が出てきたらワケがわからなすぎて匙を投げました。そこらへん、全然違うなと思いました。今は興味を持てているので、もう少し読み進めようと思います。本自体は、厳密に説明するというよりも、全体のイメージというか量子の世界への招待みたいな書かれ方がしています。著者が「どう?意味わかんないでしょ?」みたいなテンションで書いてくれているのが救いです。
2024年2月11日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『うるさいこの音の全部』 高瀬隼子(たかせ・じゅんこ)
文学賞受賞後の作家の身の回りにおきたことを多分リアルに書いてある。割と友達はいない(いらない?)と思い込みたい?タイプの主人公。
「この世には悪い人しかいない」と言い切っているところにそうかもしれないなと。何の辛いことがあったかな?と。人との微妙な距離感や違和感の表現が細かく書かれていました。
eimiさん『舞踏会へ向かう三人の農夫』 著者リチャード・パワーズ
450頁弱(しかも二段組)で全27章で構成されているの長編小説。
今日で第3章まで読み進めたが、ここまで各章で時代、舞台になっている土地、登場人物が違う。
え?これは短編集の間違いじゃないの???と思ったり…。
こ…これは何の物語なんだろう???戸惑いつつも、こういうのは後々になって「この話に繋がっていたのか~!」という興奮が来るものと期待が膨らむ。
が、読書会で述べた感想はしどろもどろでお恥ずかしい限り。
良ければ後で本の表紙だけでも見てみてくださいと申し上げたら、進行のゆかりさんがチャットにみすず書房のサイトを貼ってくださり、私も初めて見たのだがそこに物語の概要が書かれていて少し理解できた。
これはまだ第3章まででは理解が追い付かない…、かなり壮大な展開となるらしい。
主人公が一人ではなくて、主軸なる人物が複数いて絡まりあっていく様子なので冒頭から斜め読みすると後々後悔しそう。
頑張って読了したい。
読書会の後のお話タイムでは今年の大河ドラマを皆さんもご覧になっていらっしゃってて、そちらの感想も共有でき楽しかったです。
まだ初々しいまひろと道長がこれからどんな風に心持ちが変遷していくのか楽しみですね。
登場人物のほとんどが「藤原姓」ですが、こちらはゆるゆる観てもそんなに混乱しなさそうです、多分。
『舞踏会へ向かう~』の方は…、入り組む人々の名前を頑張って覚えます。
2024年2月11日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『ギリシア・ローマ神話』
岩波文庫の本です。何だか短編集を読んでる気分になりますが、その娯楽性の高さに驚かされます。
それだけじゃなく、言葉や慣用句の元ネタとか聖書や多くの哲学書にも引用される話があるので知識面でもおすすめです。
よしださん『世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論』カルロ・ロヴェッリ著/富永星訳
量子力学を使って話が展開されていくのですが、著者は分かりやすく書いてくれています。なのですが、分かりやすく比喩的に描かれるほど理解が遠くなる気もしていて、やっぱり数学とかしっかり使った説明を読まないといけないのかな、とも。
世界というか現象というか、そういうものの説明に量子力学が用いられることも何度かあり、それを知らないとそれに対して思考することもできません。直感的にはなんだか良くわからない分野なのですが、知ったらどうなるのかなという好奇心もあり、少しずつでも理解を深めていきたいと思っています。
2024年2月10日(土/午前):ハンナ・アレント『人間の条件』のプロローグを一緒に読む会。 #6
yuさん
未来人は人間に与えられた存在条件に対する反逆に取り憑かれている。って?
そうした真理は首尾一貫して語ることはできない、知識と思考が永遠に別れたままになるって?前回の復讐も交えて。社会という領域について表で示していただきました。
2024年2月6日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
今日はもう終盤で、労働の分類がされて、それらがAIに代替されるのかという話までいきました。ただ、AI代替話はほんの少しにとどまり、なんとなく時代に合わせて後付けされたのかな?という印象でした。それでも、各時代を追うことができたことには変わりなくこの本自体には満足です。
労働の分類については、肉体労働・精神労働(知的労働)・感情労働(サービス業)・依存労働・承認労働などが提示されていました。読書会では主に依存労働について話されました。
依存労働とは、幼児や高齢者や障害者などの自律して生活することができない人たちへ必要なサービスを提供することという定義でした。主には福祉関係の仕事や、あとは賃金労働ではありませんが家事・育児全般ということになります。本の中ではこの仕事の大変なところは、(表現はあまり良くありませんが)依存労働からは手を離しにくいところだと書かれていたような気がします。なぜなら、それなしに生活できない人が相手の仕事ですから「やっぱりやめた」というわけにはいかないからです。法人としてサービスが提供されている場合などは代わりの人にやってもらうということもできますが、育児などはそういうわけにはいきません。この点において、依存労働は他の仕事とは一線を画するなと思いました。必要性が高いが故に一度手を結んだら離すことができない。やりがいがあるとなる場合もあるとは思いますが、一人で背負い込むのではなく複数人で協力するというのが前提の労働なのではないかと漠然と思いました。
2024年2月2日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
eimiさん「アル・ジョルスンが眠る墓地で」エイミー・ヘンペル(MONKEY31号掲載 スイッチ・パブリッシング出版)
入院中の女性と、彼女を見舞った主人公との会話で進む短編小説で、話の中に精神科医のギューブラー・ロスの名前も出てくるので「死」はそこまで来ているらしい。
会話には皮肉的要素を含むものや寓話がいくつも出てくるが、読んでいて不思議と鬱々としない。
寧ろ救いに思えるのは何故か。
病気の当事者の女性よりも、その相手をする主人公の方が何かを(それは死そのものか分からないが)受け入れているのは何故か。
明るいストーリーではないのに、決まりきったことを受け入れている彼女達の物語を読んで、何故私は気持ちが楽になったのか。
とりあえず今は挿絵のカナダドライ・ジンジャーエールを飲みたい気分。
文学誌は挿絵があるから楽しいな、と今更思った。
他に進行役の西野さんと柴田元幸さんのこと、物理学数学哲学のことを語り合えて楽しい時間でした。
西野さんオススメの柴田元幸さんが翻訳された『舞踏会へ向かう三人の農夫』が以前から積読本にあるのでこれはそろそろ読みなさいという合図だと思いました。
課題図書のある読書会も良いですが、読みたい本をそれぞれが読んで感想をお話しするスタイルのこの読書会がとても気に入っています。
2024年1月20日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『パラレルな知性』鷲田清一
この本を読んで考えました。
支え合う社会が大事だということは分かるけど、仕事と家でいっぱいいっぱいなのによく知らない人を自分が「支える」ってピンとこない。税金払ってたまに募金するくらいで勘弁してよ、支えて欲しいのはこっちの方だよと思う。でもそれじゃ寂しいかもね。どうすりゃいいのかな。
そんなことを考えました。
2024年1月19日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『タマネギのひみつ』黒柳徹子・糸井重里
対談本です。ほぼ日の事務所に黒柳さんが訪問して糸井さんと対談するのを社員が聞く形式を本にされたものです。黒柳さんがゲストなのは徹子の部屋とが反対ですが糸井さんがゲストのような気持ちになったそうです。酢卵の存在を知りました。「窓ぎわのトットちゃん」を読んで黒柳さんについてもっと知りたくなり読んでみました。
2024年1月17日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
今日読んだところにはたぶんこんなことが書かれていました(P260あたり、個人的意訳)。
石油でも原子力でも、あらゆるものを地球から搬出している人間は、自然エネルギーを搬出するようにシステム化されている。そういった原理のなかに組み込まれている。
人間は柔軟な生き物だと思います。学習によっていろんなことを学び、知識や技術として身につけられる。誰かが学び体系化したものを後世に受け継ぐことで、次世代の誰かはものすごく高い下駄をはいてスタートすることができる。ヒト以外の生き物も学習はするけど、他者に教える生き物はそういないと『なぜヒトは学ぶのか』(安藤寿康著)で読んだことがあります。
子供の頃に、なぜ記憶は受け継げれないのだろうかと考えたことがあります。たぶん学校の勉強で暗記が面倒でそう考えたような気がしますが。その結論として時代時代に適応するためだと思ったことがありました。ゼロからの方が適応がしやすいのではないかということです。
柔軟である人間はあらぬ方向に行ってしまうこともあるということなのかもしれず、そんなことを考えると少し恐くなりもします。哲学とか倫理学というのはそのためにあるのだろうと今急に思いました。
2024年1月13日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
今日はフォーディズムが出てきました。T型フォードで有名な、自動車の生産を効率化させ、大衆へ自動車を行き渡らせたアレです。
フォーディズムは苛烈な労働というよりも、人を生産ラインに沿わせることでその人の感性やリズムみたいなものを奪ってしまったみたいに書いてありました。
読書会では、でも自動車製造に個性のようなものを発揮されたら品質に問題が出てきそうで怖いという話も出て確かにそうだなと思いました。
どのような考え方が社会的に注目されるかはその時の社会環境によって違うのだろうなと思いました。数十年前は正確に速くというのが価値の一端だったのは間違いないのだと思います。ただ、価値にはそんな社会性があるのだとしても、私なりの価値というのももっておいてもいいのだろうと思ったりもします。それが社会的な価値と合致すれば仕事になったりもするのでしょうが、合致しなければ趣味になるのだろうな。
2024年1月7日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『万延元年のフットボール』大江健三郎
小説です。小見出し:スーパーマーケットの天皇:谷間の村のスーパーマーケットの様子の場面を読みました。正月の餅を僧侶が買いに来ていたり、スーパーマーケットの店主は朝鮮人。その店主が資本の青年団の鶏が全滅してしまったり。谷間の村の個人的な出来事だけど、その時代の社会構造を描いているのかなと思い始めてきました。閉鎖的で息苦しくジメジメした雰囲気で臭いがしてきそうです。
終了後の雑談で「ニューヨーカー」物語の話がニューヨークの小説集のような感じかと思ったら「ニューヨーカー」(雑誌)発行の人々の話だったなど、ノンフィクションも読んでみたくなりました。(ダブリナーズをイメージしたりしました)
eimiさん『「ニューヨーカー」物語』ロスとショーンと愉快な仲間たち ブレンダン・ギル 新潮社
言わずと知れたアメリカの有名な雑誌ニューヨーカーに執筆していたブレンダン・ギルが、初代と二代目の編集長や編集者達を生々しく書いたノンフィクション。
次々に採用される編集者が出てくるので名前を覚えるのが大変だが、今日読んだところでは作家スコット・フィッツジェラルドの娘が出てきた。
夫が徴兵されて働く必要があり編集部に採用されたのだ。
彼女は美しく聡明な人だったらしいが、初代編集長のロスは「女はバカな方がいい」という考え方の人物だったらしく(今なら即アウト)、そういう意味ではお眼鏡にかなわなかったという感じだろうか。
ロスは文章にも細かいこだわりが強かったらしく、作家との喧嘩は日常的だったよう。
今のところは、オシャレな雑誌ニューヨーカーのイメージとは大違いの舞台裏。
副題に「愉快な仲間たち」とあるので、これからどんな登場人物が出てくるのかが楽しみ。
2024年1月7日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『万延元年のフットボール』大江健三郎
山村の村に向かう。大江健三郎さん30代の時の小説。約450ページ。安保闘争の頃に、四国の谷間の村に向かう。友人が自死をした私と、障害児を出産した菜採子、殴り殺されたS男。S男のその時の様子を空想する鷹四(現実にみたと信じてその記憶を更新し続ける)星男に蜜。
これでもかと不幸のようなものを突きつけてくるような気がしました。
2024年1月7日(土/午前):ハンナ・アレント『人間の条件』のプロローグを一緒に読む会 #4
yuさん
「人間が作った世界の工作物は単なる動物の生活環境から人間を切り離しているが、人間の生命そのものは人工的世界の外側にあって・・・」
我々は、世界の工作物に囲まれて生きている。そんなこと考えてみたこともなかったような。3つも活動も復習しました。仕事と労働が違うと書かれていてそこを見返してみたいと思いました。
2024年1月6日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『パラレルな知性』鷲田清一
今の世の中、私的な領域がどんどん排他的になっているという。なんとなく自分もそんな感じがする。でも、自分を守ることで精一杯な生活ばかりじゃ、これも面白くないなあという感じもあるし。答えとかないですよね。
よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
今日読んだところはいろんな人が入り乱れていました。そんな中でも印象的だったのは、次のような記載です(P218)
「ブルジョワジーはプロレタリアートにたいして勤労の道徳を押しつけ、それによって労働者の労働意欲を高めようとしていたのである。」
ブルジョワジーとは、成り金・資本家的な人のことを言っており、昔から裕福であった貴族的な人ではなく産業革命によって成功し経済的・政治的地位を急激に上げた人のことを指しています。プロレタリアートとは労働者階級であり、雇われ人であると言えます。ですので、資本家が労働者階級に、雇い主が雇われ人に勤労の道徳を説き、それによって(苛烈な)労働を促そうとしていたということになります。
この話を受けて、労働の素晴らしさを説く人は怪しいと思ってしまうかもしれません。働かせようと思ってそう言っているのではないかと思ってしまうからです。なのですが、その一方で様々な哲学者が労働そのものの素晴らしさや労働が人間を人間たらしめるみたいなことを言っていたともこの本には書いています。ですので、相手を働かせるために労働は素晴らしいと言っているのではなく、純粋にそう思って言っている人もおり実際に労働や仕事というのはただ辛いだけでも生活の手段なだけでもないように思います。誰かと一緒に働くとき、その人や組織の労働観みたいなことも気になるように思いますが、それに共感してもいいものなのかどうかの見極めは大変だけど必要なのだろうなと思いました。
2023年12月27日(水/夜):読みたい本を気ままに読む読書
yuさん『高慢と偏見』ジェーン・オースティン
1813年出版のイギリス小説です。地方の田舎の3つくらいの家族のふれあいが描かれています。身分や年収や将校がたくさんでできます。戦争があっていたのかもしれませんがそのことはでできません。長い手紙を皆が共有して読むことは今にはない感覚だと思いました。読了しました。話の展開が飽きさせないなあと感じました。
そのほか、ミシェル・フーコーのエピステーメー (フーコーの哲学概念)人間は時代の思考に支配されている。ってなかなか気がつけることじゃないよねと思いました。今の当たり前はそうじゃない。
eimiさん「夏の読書」 ケン・リュウ (MONKEY31号 スイッチ・パブリッシング)
以前別の回の読書会で読んだバーナード・マラマッドの「夏の読書」と同じタイトルの小説で、今回はケン・リュウが著者です。
時代設定は人間が地球には住まなくなり、宇宙の星々に散り散り?になった頃。
本もあまり収蔵されてない図書館の管理人らしいロボットが、ある夏の日にひょっこり現れた地球への旅行者の女の子に本を読んであげるお話です。
ストーリーよりも、今現在地球が抱える温暖化や環境問題を考えるとやはり宇宙に移民する日も来るのかなぁ、などとそっちばかり考えてしまいました。
どうも宇宙暮らしの人は本をシムで読むらしいです。
(シムってSIMカードのことかな?)
だから女の子が本を手に取りたいと望んだ時に、ロボットは経年劣化してる本が壊れやしないかと心配がるのですが。
地球が人が住めなくなる前に宇宙に移民できるかどうか分かりませんが、遠い未来は紙の本って少なくなるんですよね、きっとね。
小説の方は図書館に紛れ込んでいた女の子を両親が見つけ、一緒に宇宙に帰っていくのですが、ロボットは読んだ本を女の子にさしあげました。
それで終わります。
ちなみにその本のタイトルは『ソフィアのぼうけん サバービアでいちばんはやいカメ』です。
Amazonで探してみましたが、ありませんでした。
翻訳されてないのか、実際に存在しないのか、ちょっと分かりません。
他の参加者の方が読まれた『高慢と偏見』は私もすごく好きな本で感想共有できて嬉しかったです。
本のタイトルのイメージと違って、中身はとっつきやすい小説だと思います。
オースティンの他のもあんな感じなのでしょうか。
ちょっと気になっています。
今年は初めてリベルさんの読書会に参加させていただき、多分これで三回目くらいです。
気楽に参加できる運営スタイルと雰囲気とが気に入っております。
来年もどうぞよろしくお願いします。
それでは、皆様良いお年をお迎えください!
2023年12月24日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『パラレルな知性』鷲田清一
本書は3・11の震災後に書かれたエッセイ集だ。今日はP127の”ボランティアという文化” を読んだ。
ボランティアの定義の一つが「じぶんをヴァルネラブル(vulnerable、攻撃されやすい)にする行為」だと言った人がいて、著者はそれに共感している。
攻撃されること自体は賃仕事でもあることだが、ボランティアとはどう違うのか。
金銭を介する仕事は、「自己決定・自己責任」という他者への非依存だったり、(税金を介した)政治や行政への丸投げによる他者への無関心が起こりがちだという。
一方、ボランティア文化は相互依存がベースであり、その目指すのところは他者との関わりを通じた開かれたネットワークなのだそうだ。
そう考えると、攻撃されるにしても対処するにしても、賃仕事とボランティアでは似て非なるものになりそうだ。
賃仕事はある閉じられた関係の中で解決しなければならないが、ボランティアは開かれた関係の中で解決しなければならない。
賃仕事はお金を目標としているので、個人個人は交換可能であることが前提だが、ボランティアはネットワーク化を目標としているので、個人個人の関係を作ることが前提なのだ。
2023年12月24日(日/午前):ハンナ・アレント『人間の条件』のプロローグを一緒に読む会
yuさん
3回目でした。神の概念が私には難しく思います。哲学の神とキリストの神は違うと教えられたことがありそのことも引っかかっています。また人間は「3者の間による」はなんとなくイメージが湧きました。労働は一人でもできる・・でもは矛盾しているようでまだまだ掴めません。労働者の社会について,労働とは。人間の条件は難しい:いつもありがとうございます。
2023年12月20日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
今日はシャルル・フーリエという人が出てきました。フランス革命で財産を奪われ投獄されるというひどい目にあって、革命ではない方法での社会の変化を目指した人のようです。
おもしろいなと思ったのは、この人は人間には個人/集団/社会全体のそれぞれで合計12の情念があると考えて、それが阻害し合うのではなくうまく働かせることができれば労働も喜びになると考えていたらしいこと。たとえば、移り気の情念というのは一つの仕事に飽きるという管理者からしたら好ましくないことも起こしえますが、新しいことに取り組むというチャレンジにもつながりえます。そういったそれぞれの情念と労働の関係や、それぞの情念同士の関係がうまく働くようなシステムになっていれば、労働も喜びになると考えていたみたいです(僕の解釈ですが)。
それはすごく納得できるのですが、人それぞれで日によっても違うであろう情念の質や量を鑑みると、それを誰かが管理するのは大変なこと。必然的に、個人の判断や感覚に委ねるということにもなりそうな気がします。そうなると、たとえば会社としての目標の達成が不確実になる。しかしながら個人がその目標達成への意欲をもっていれば目標の達成される確率は高くなる。
そんなことを考えると、個人が基点でも目標達成を目的とした集団というのは成り立つのだと思いますが、恣意的に操作したいという気持ちが強い人にとっては不安で仕方ないのだろうなとも思います。ある程度はしょうがないという気持ちをもちながらそこに合わせていく必要もあるのだろうと思いました。
2023年12月9日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
今日はこの一節が気になってずっと考えを巡らせていました(P200)。
「人間労働の節約のために機械を取り入れることが、現在のように労働者から搾取する労働量を増大させ、その代償として与える生活資料を減少させる不幸な結果」
これは18世紀前後を生きたロバート・オーウェンを取り上げたところで出てきた文節です(他の本の引用の紹介なので引用の引用になっています)。
引っかかったのは、機械を取り入れることが労働者から搾取する労働量を増大させると書かれている部分です。僕は機械を入れることで人間の労働が減るので少ない労働量で生産量が上がるから労働者にとってもいいだろうという前提で読んでいたので引っかかりました。おそらく言っていることは、労働力として人間は機械よりも劣っている、なので機械を入れることで人間の評価は相対的に下がり働いても大した給料をもらえなくなったということなのではないかと推測しました。
僕は楽観的にも機械を入れることで生産性が上がり、過酷な労働から解放されると考えていたわけですが、少なくとも当時はそうはならなかったということなのだと思います。そして現代でもAIが出てくることで労働が奪われると恐れています。
なのですが、現代は少なくとも産業革命期よりも良い環境だよねという話にもなりました。たしかに当時は法律で15時間/日まで労働が認められていたようで、とんでもないブラックな環境だったようです。機械による生産性の向上は必ずしも搾取や労働者の地位低下の方向へだけではなく、幸福的な方向にも向かっているのだと思いました。
なんとなく、機械を導入することで自分だけ富んでやろうという野望と、人間全体の幸福度を上げようという善意が並存しているのではないかと思いました。後者だけの方がいいようにも思いますが、前者がないと技術革新などは起きにくいのかもしれないとも。その並存をある程度は受け入れつつ、でも全体的に良くなるにはどうすればいいのかということを地道に行っていくのかななどと思いました。
2023年12月8日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『ミライの源氏物語』山﨑ナオコーラ
1000年前の話は差別表現などもあり現代の私たちは読みにくいけど読みにくさをどうやって超えるかということが書いてあるエッセイのような本です。ナオコーラさんの抜粋の訳文もあります。十三の項目があり、今日よんだところは「受け身のヒロイン」です。桐壺の更衣と浮き舟が挙げられていました。浮舟は受け身かな?と思いました。平安の時代は見目麗しく身分の高いことがとても重要だったようです。
6人で感想を共有しました。マッカラーズ短編を読んでいる方がありよくわからないとおっしゃっていたところが気になりました。
eimiさん『天才少女』著者カーソン・マッカラーズ 『マッカラーズ短編集』掲載作品 筑摩書房
今回は1時間弱で読める短編小説を選びましたが、正直ストーリーがよく把握できないままに読了してしまいした。
感想を共有する時間に「さて、なんと話そうか…」と困ってしまいましたが、そのまま「よくわかりませんでした」とお伝えさせて頂きました。
誠にお恥ずかしい限りです、すみません・・・。
でも、この短編集に収録されている『悲しき酒場の唄』はすごく好きなので後でじっくりと味わいながら読んでみます。
『悲しき酒場の唄』は昔白水社から文庫本が出版されていましたが、今は入手困難な本です。
村上春樹さんがマッカラーズの小説を2作翻訳されたことで、再度注目が集まりこの筑摩書房からの短編集発刊となったのでしょうね。
マッカラーズは寡作の人なので、一作一作を味わって読みたいところです。
今日は他の参加者の方が読まれた本で自分が知っている作品、読んでみたいと思っていた作品、それから胸に響く台詞などがあって中身の濃い1時間でした。
ありがとうございました。
2023年12月6日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
最近はずっとこの本を読んでいます。今日はロバート・オーウェンという人が出てきました。
この人は哲学者というよりも実業家なのですが、産業革命期の労働環境や労働者の待遇や扱いに問題意識をもってそれを変えていくような動きをとった人のようです。その時代は、人間は機械に劣る労働力とみなされてロクな扱いをされていなかったようです。人間だから機械に劣ろうがどうだろうが人間として接するというのではなく、労働力=価値みたいな価値観を全面に出して人を見ていたように本からは感じられました。
オーウェンは、自分の会社が大きくなった頃に、閉鎖的な共同体を作ります。閉鎖的というのは悪い意味ではなく、住居や衣服や食料を共同体内で分配するような仕組みが整えられた共同体です。外の市場とは分けられた、おそらく従業員とその家族くらい(?)の共同体を作りました。分配は労働時間に応じてなされ、きちんと働いていれば衣食住に困らない・日々の生活への不安がないという状態を作ったのだと思います。
しかしうまくいかなかったのだと言います。正確には読み取れませんでしたが、食料や衣服などは共同体の外から調達するのですが、その調達物はおそらく共同体内の生産物と交換される形で為されていたのだと思います。そしておそらくですが、外の世界は市場原理に基づいて価格などが変動しますが、共同体の中の世界は労働時間に対して一定の衣食住が提供されていた、つまり市場原理が働いていなかったのではないかと思います。そうなると、労働者が頑張って働くほどに外部からの調達物を提供しなければならないのですが、労働によって生産されたものがいつも同じ価値で外部で買い取られるわけではありません。需要が落ちれば生産調整をする、つまり本来であれば労働時間を減らすようなことも行わなければならない。そのような市場原理にもとづいた調整が内部で行われなかったために齟齬が起きて仕組みとして破綻してしまったのではないかと思います。
区切られた理想的な世界を作るとき、外との齟齬を調整する仕組みを整えるか、中で完全に循環させるようにするかなどの選択が求められるのだと思いました。なのですが、一つの社会のあり方としてはオーウェンの実践に興味が湧きました。
2023年12月3日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
eimiさん『喋る馬』に収録されている『夏の読書』バーナード・マラマッド作
この本を翻訳された柴田元幸さんのオンライン朗読会でこの短編小説を知りました。
僅かな読書量ですが、少なからず読書という文化的営みに支えられている者として、これからも本を読んでいきたいと思わされる一作です。
16歳で高校を中退して毎日部屋でラジオを聴いて夜中に近所を散歩するくらいしかしていない20歳のジョージが、あるひと夏の出来事で「よっしゃ!読書するぞ!」と心の中に内なる炎が燃えあがる、そんなお話です。
派手な出来事は起こりませんが、ジョージの未熟さに共感を覚え、分かる分かると思いながら読みました。
また近所のおじさんがジョージに放った一言は自分に向けられたもののように感じます。
だからこそ、ジョージがラストに図書館で本に囲まれた時の感情に強く励まされます。
小さな作品なのに、自分を見つめ直すために時折読み返そうかな、そう思わされる力がこの小説にはあるように感じました。
余談ですが、柴田先生の朗読は抑揚が効いていてお芝居を観ているかのようです。
本の朗読を聞くのも悪くないものですね。
yuさん『ウォーターランド』グレアム・スウィフト
沼地に住んでいる少年が子供の頃(9歳くらい)を回想している。父は水門番をしている。父は信深く、読み始めたばかりですが、イメージとしてはスタンドバイミーのような不穏な雰囲気。田舎の自然。今日は主人公が列車で学校に通っているところを読みました。兄弟で教育に差をつけるのはなぜなのか謎です。兄は読み書きもできないままで良いとされていました。沼地と聞くと他の参加者から「ザリガニの泣くところ」を連想したと言われました。川や星やウナギが出てきます。
今日の小説は水門番や両替屋など聞きなれない職業が出てきた読書会でした。
2023年12月3日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『ウォーターランド』グレアム・スウィフト
2002年に訳本が出たイギリスの小説です。殺人ミステリーであり、一族の歴史であり、イングランドの水濠フェンズの土地の記録。今日は、語り手が10歳の頃の父との出来事を回想している場面でした。父はうなぎをとる罠を仕掛けている。父の管理する水門に、何かが流れ着いてくる。不吉な空気が漂っていて物語だとわかっているはずなのになぜこうもハラハラするのかと思いました。
感想のシェアでは学校教育と格差や、サイエンスとか科学技術の場でコミュニケーションって可能だろうかなどと書かれた本についてなど。
Takashiさん『パラレルな知性』鷲田清一
「コミュニケーションの最低限の条件は、相手の話を聞くということである。いや、聞くだけではない。(中略)相手の話を聞いて、自らの意見も変える覚悟がなければ、コミュニケーションとはいえない。しかし、科学技術の場合に、そんなコミュニケーションは可能だろうか」(『パラレルな知性』P71より引用)
これは今読んでいるハンナ・アレントの『人間の条件』にも出てくる主要なテーマの一つだ。コミュニケーションに使われる共通語は言語であるが、科学技術の共通語は数学だ。また、コミュニケーションには複数の結論があり得るが、科学技術の結論は(限定された条件において)一つだ。科学技術が自らの意見を変えるのは再現性が得られない事象に対して蓋然性の高い異説が適合した場合に限られる。よって科学技術は言語によるコミュニケーションとは明らかにベクトルが違う。
つまりコミュニケーションと科学技術は相容れない。擦り合わせは必要だが、それは相容れないことからスタートしなければならない。
2023年12月3日(日/午前):ハンナ・アレント『人間の条件』のプロローグを一緒に読む会
yuさん
プロローグを。主催が画面に言葉を写してくださり皆で考えました。「科学は人間が夢の中で予見していたことを実現して、それが荒唐無稽でも無益でもないことを・・・」参加者から意見を伺ったりして進められました。地球から月へ。スケールの大きい話だと思います。実際には、地球生まれの物体の発射は、目撃していないから言われるがままですが。
2023年11月28日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
フランス革命あたりの哲学者の労働に関する考えが紹介されていました。それを紹介しつつ、著者の批判的思考も展開されています。
なんとなく、社会的な方向性とか革命による変革とか、そういう全体感も必要なのだと思いますが、もっと自分のこととか周辺をどうしていくかみたいな身近なところで生きていく思考みたいなことも大事な気がしました。産業革命以降は資本家に雇われて長時間労働を強いられていて、その仕事・職業しかできない世界観だったのだと思います。その頃に比べれば、まだ一般的ではないとは言え副業を推奨する企業が出てきたり、個人で何かを仕入れて作って売ったり、個人の考えを発信したりすることもできます。社会の改革みたいなことを志向したり待っていたりすると対象が大き過ぎたり時間がかかり過ぎたりするけど、ある種の自己中心的な感じで求める生活や世界を周辺につくっていくこともできるのではないかなんて。
いずれにしても200年前からはずいぶんいい世界になったんだなと思いながら読んでいます。
2023年11月26日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『ダブリナーズ』ジェイムズ・ジョイス
ダブリン市民を過去に読もうとして挫折していた。ユリシーズも挫折している。
今日は、恐る恐る「カーレースが終わって」を少し読んだ。「群衆は虐げられたるものたちの声をあげた。」ダブリンでの欧州の豪華なカーレースは何を?
対話の時間に、一番好きな小説は何かという話になりました。また資本主義の3つの要素など。思いもよらない3つでした。
2023年11月25日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『知と愛』ヘルマン・ヘッセ
原題が「ナルチスとゴルトムント」人の氏名がタイトルとなっている小説です。460pくらい。精神に生きた人と愛と欲望・芸術に生きた人。二人の子供時代から老年に至るまでが描かれています。読後感が美しい人生の物語を読んだなという気になりました。詩人の小説で栗の木やカエデなど自然豊かで文章表現も美しいなと感じました。今日は再読でゴルトムントが修道院に入り仲間と禁忌をおかすことに躊躇しながらも行動を共にする場面を読みました。
他の方は哲学に関する本を読んでありました。ヘッセの小説の中にも人生とはがふんだんに盛り込まれていた気がしました。
Takashiさん『パラレルな知性』(鷲田清一・著)
本書は、異なる専門性と専門性、あるいは専門性と一般常識を如何に擦り合わせるかというヒントについて書かれたエッセイだ。
科学技術の進歩と一般常識との乖離を埋めることは大事だが、一方で分かりやすくするために断言できない部分を断言してしまうのも良くない気がする。複雑なことは時間をかけて理解し合うしかないのかもしれない。
2023年11月25日(土/午前):ハンナ・アレント『人間の条件』のプロローグを一緒に読む会
yuさん
人間の条件 (ちくま学芸文庫 ) より数段分厚くなって新刊がでている。人間の条件は難しいよと言われていて、ちくまで挫折していました。
本日はプロローグの一部を12名くらいで共有しました。
読んでもなかなか頭に入ってきにくいアーレントに触れる時間を作るという意味において貴重だったと思いました。
よしださん
今回は一度じっくり読んだことがある方の補足説明を交えながらじっくりゆっくり『人間の条件』のプロローグを読む会でした。
僕もプロローグまでは一人で読んだことがあったのですが抽象的で、その意味するところまでは理解が至らずただ字面を追っただけな感じで積読になっていました。補足があることで意味が分かりおもしろいなと思うことができました。
人間というのは常にその枠組み自体を自らの手で更新し続けてきたのだなと思いました。
補足が入る・一冊の本を一緒に読む読書会はあまり実施されたことがなく、今後も試行錯誤が続きそうです。いつもとは違う体験ができる会だったので、今後も続いていければと思いましたし、より楽しいものにしていきたいと思いました。
2023年11月22日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
今日はマルクスのところを読みました。
全体として、労働は衣食住の手段ではなく本来は人間としての目的であるのだという前提で論が進められています。どういうことかと解釈をすると、何か食べたいと思ったときに、どこならば獲得できるかあるいはどうすればよりおいしいものがたくさん育てられるかと考えます。そして、自分のなかで学習し「こうなのではないか」という仮説をたてて試してみて、時には失敗しながらもうまくいくこともあり、どんどんいい食べ物の得方を身につけていきます。そして実際に得たものを食べ物として食べることができます。ときには道具も生み出し、それは自分の理性を表出させたものであるともいえ、自己表現であるとも言えるかもしれません。仲間とも協業し、それ自体が喜びです。このように労働とは本来、自分のなかの表現であり仲間との協調の創出のきっかけでもあり、当然のことながら労働によって得られたもので自分は生きていきます。
しかし産業革命以降は資本家の誕生や分業の進展により、限られた範囲の仕事をするにとどまり、生産したものは自分で活用するのではなく召し上げられてお金だけが渡されます。他者は仲間というよりも競い合う対象になり、協調も生まれないということです。
マルクスはこのような労働環境において労働者による革命が起きるだろうと考えたのだと思います。そして必要なものを自分たちで考え創出していくコミュニズムという考えに落ち着くだろうと。しかし今はそうなっているようにはあまり思えません。
なぜそうならないのか疑問が湧きました。一つには国家という大きな集団単位が必要で、それを維持するのに税金のような仕組みは必要だったのかもしれません。国家が必要なのは敵が強大になれば自分たちも集団として大きく強大にならなければならなかったからでしょうか。二つには、企業も大きくなければ出来ない仕事が出てきたからかもしれません。鉱山開発をするとか発電所を作るとかは、個人では出来ず、集団を形成する必要があります。そこに集まったリソースは誰かが管理する必要があり、それをうまく扱える人が権力を持つようになったのかもしれません。
では、誰かが権力をもち搾取が生じないようにすればいいだけなのか。そんな気もするしそんな単純な話ではない気もします。コモン・コミュニズムという考えに則って、それぞれが必要なものを考えて、ときには話し合いで協力関係を結びながら、生産者と消費者が同一ななかで生産の恩恵を自ら享受するというシンプルな図式が成り立つのか。それでは出来ないことがあるから今のかたちがあるのではないか、そんな疑問が湧いてきました。
2023年11月19日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源 上』ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン著/鬼澤忍訳
国家というよりも組織や集団について考えたくて読み始めました。
今日は序文の最初の方だけ読みましたが、エジプトについて触れられていました。エジプトはアメリカと比べると所得が低く貧困であると言えるのだといいます。その理由を学者はどう考えるのかというと、地勢的に作物が育ちにくいとか、経済成長に適した文化や宗教ではないとか、政治的トップが経済成長のさせ方に関する知識をもっていないとか、そんな視点で考えるのだといいます。
それに対してエジプト国民は国家・政治に原因をみます。トップ層が搾取しているとか、国家にあるリソースをうまく使えていないとかいうことです。学者と国民の言うことのどちらが正しいのか。この本では国民の言うことに真理があるという方向で進みます。つまり政治的腐敗や、あるいはその腐敗を招くシステムに原因があるということです。
そこにいる人々や諸条件やリソースの問題ではなく、適用するシステムによって状況は大きく変わっていく。集団や組織というものはそこかしこにあるので、いろいろと思索を巡らせてみたいと思います。
2023年11月18日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
eimiさん『アサイラム・ピース』アンナ・カヴァン
初めての参加で緊張しましたが、皆様の感想や質問を聞いていて楽しかったです。
自分の読書もいつもよりも真剣になって読みましたが、感想は上手くまとめられませんでした。
「アサイラム・ピース」は短編集で半分以上読み進みましたが、終わってしまうのが悲しいのでもっとアンナ・カヴァンの本を読みたくなっています。
アンナ・カヴァンの作品は全て読破したいと思わせる作家です。
2023年11月12日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『エマ』ジェイン・オースティン
下巻の最後の方をちくま文庫で読みました。エルトン牧師夫妻の下品な感じやおしゃべりなベイツ夫人などユーモラスだなと思います。そしてお互いに勘違いしていた二人がついにというところですが最後までどうなるかわからないなと思いながら読んでいます。
2023年11月8日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
今日はいよいよ(?)マルクスの労働への考え方の部分に入りました。人間とそれ以外の動物の労働の違いが書かれており、とても気になったので自分なりに解釈してみます。
動物は自分や子供のためのすぐ必要なもののためにしか労働をしないといいます。これは獲物を獲得したり巣を作ったりといったことです。しかし人間はそうではない。
その違いの一つとして「類として」と表現されていたのですが、これは高度な分業化と高度な連携を意味しているのではないかと推察しました。誰かが築いた論理をもとに誰かが道具を開発し、それを大量生産する仕組みを作り、販売し、労働者はそれを使って生産する。みたいなことが、特に産業革命以後は行われいたのだろうと想像し、人類と括られる種は基本的には互いに連携する対象であるとして直接的・間接的に協業するということです。
違いの二つとしては、衣食住の直接的な充足以外のことでもやるみたいに僕は勝手に解釈しました(言葉使いが難しくて…)。例を挙げれば古墳を作るみたいなことです。「自己を外化する」とか「普遍的な労働」とか、そして「類として」というのは、人類が共感できるものを有形・無形にかたちにしてしまうみたいなことのように感じました。古墳は人々の労働により作られましたが、それはその地域の人々の結束や安寧につながっていたとも言われています。
これら二つとも動物からすれば直接的なものではないのですが、いずれも人間のこころの性質には合うもので生きることの助けになってきたものなのだと思います。人間の労働というのは幅が広いものだなと思いました。
2023年10月31日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
けいすけさん『ハコヅメ仕事論』
アニメ化されたマンガの著者と編集者へのインタビュー。過酷で突発的でハチャメチャな仕事だからこそ、仕事論に芯が通っている。「労働者の思想史」ともリンクして、「働くってなんだろう」「上司と部下ってどうあるべきなんだろう」と考えが深まりました
よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
今日は労働による主(しゅ)と奴(ど)の逆転のことが書かれていました。解釈も交えて紹介してみようと思います。
時流に乗るなどしてお金などを得た資本家は、そのお金を使って労働者を雇います。労働者は生活のためにお金が必要ですから、賃金の対価として労働を資本家に差し出します。この時点では資本家が主で労働者が奴となります。
しかし労働を与えられた労働者は、その労働をするなかで知識やスキルを身につけたり、時には労働を効率的に行うための道具や仕組みを考えだしたりすることがあります。資本家は単に労働を与えただけですが、労働者は現場で力をつけ始めます。
この時点で労働者と資本家の立場は逆転している可能性があります。つまり、資本家は労働者の労働がなければ製品などを作ることができなくなっているので、労働者に依存しているということです。
とてもきれいな逆転で、今の日本でも職人さんを大事にするとか、そういうところにこのような逆転は見られると思います(もっとも主・奴という意識がそもそもないかもしれませんが)。その一方で、たしかに論理としては起こりそうだけどその逆転を力として労働者が権利や権力を持つということが現実ではあまり感じられないのはなぜだろうと思いました。
2023年10月29日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『エマ』ジェイン・オースティン
今日読んだところは、エマの姉が里帰りして、近隣の家族を訪問している場面でした。前回は、里帰りせずに家族で海に行ったことをクドクドと攻めていました。
他の方は、古井由吉さんのエッセイを読んでありました。小説の構成はものすごく単調でエッセイ風の中にさりげなく第三者的な視線が味わいが深いそうです。わかるとは思えないけれど興味がわきました。日常に目を向けると人間とは何か、世界はどんなふうになっているのか、という意見もありました。
2023年10月28日(土/午前):読書のもやもやについて話す時間
「人が生きること・自分が生きていくことに、意味を見つけられているだろうか、もしかしたらそもそも意味なんてないんじゃないだろうか」「生きづらさをどのように感じているか」といった問いをめぐって、ずっと話が続きました。
2023年10月27日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『エマ』ジェイン・オースティン
19世紀のイギリスが舞台。上下巻あり、ちくま文庫で上の途中くらいを読んでいます。21歳の美人のお嬢様エマが周りの人々をキューピットとして結びつけようとしている。反対も。それって本人たちにとってどうなのかなあ、と。そして主人公はそれを全く望んでいない。読んでいて気持ちのすれ違い?にハラハラしました。主人公の階級ってどれくらいだったのだろう?参加者から質問が来ました。
2023年10月25日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
労働の本なのに今日はなぜか意識の話でした。
正しく理解できたのか分かりませんが、最初はただ漠然ともっている意識が、あるとき揺らぐ。その揺らぐというのは、あるものに意識を向け認識はするのだけれど、その認識の対象は不確かなものであると気づいたときに揺らぐということです。例えば、昔あった出来事を久々に会った人と思い出話として話したら、その人はそんなことはなかったと言う。するとそれまで私のなかにあった現実は一気に揺らぎます。ですので、確かにあることは私が意識した対象ではなく、私の意識そのものであるということになります。これを「自己意識」と表現されていました。
自己意識から承認の話に移ります。私に自己意識があるということは相手にも自己意識があるということになります。そして自己意識というのは対象物を正確に捉えたものではなく、確かにあるのはあくまでも自己意識です。となると、仮に自分がどんなに優れた人間であると自認していたりこれまで評価されてきたとしても、相手の自己意識としてどう捉えられるかは分かりません。そこで相手の自己意識のなかにおいても優れた人間であると認めてもらおうとする欲求が働きます。これが承認の欲求であると説明されていました(たぶん)。そしてその願いが叶わなかったときにそんな相手はないものにしてやろうなどという攻撃性に発展するということも。
ここからどのように労働に結びついていくのかは分かりませんが、その承認の欲求が労働意欲に結びついていくのではないかと勝手に予想しています。もっととんでもない展開になることもひそかに期待しながら。
2023年10月22日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『矛盾と創造 自らの問いを解くための方法論』小坂井敏晶著
久しぶりに開いたら思いがけずタイムリーな内容で感想の共有もすこし憚られました。民族の問題です。
民族とは、長い時間を脈々と受け継がれてきた何らかの同一性があるという前提があると思います。遠い祖先もどこか自分と同じなのだろうと思う。
しかし今紛争の中心になっている民族は、その地を離れざるを得なくなってからさまざまに混血したのだといいます。同教と家族を形成する割合はさほど高くはないともいいます。さらには、隣国が不安定になったときには同じ民族とみなされる人とその配偶者もそこに逃げ込む権利をもっていました。だから詐称して入り込む人もいたのだといいます。
よくよく確認していくと同一性というのは崩れていく。だけれども、それをあるものとするのには理由があり、その同一性を強化するのは周囲の迫害であったともいいます。世界に矛盾はあるのだけれども、その矛盾で世界の論理が成り立ち活動が起きることがある。自分の常識や価値観だけで物事をみていてはそこにある現実には近づけないのだろうと思いました。
2023年10月17日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
今日はカントの労働に対する考えが紹介されているところを読みました。すごくざっくりと印象に残ったところを紹介すると、労働は人間を精神的に向上させるという考えが示されていました。これには、経験やスキルが身に付くという意味といわゆる精神力が向上するという意味が含まれているように記述からは感じられました。
経験やスキルというのはわかるとして、精神力の向上とはどういうことか。カントは労働とは辛いことを前提としているようですが、辛いことを続けているといつしか自信へと昇華するタイミングがくるように思います。なんとなくそんなことを言っているのかなと思いました。
少し話はそれますが、今僕たちは何のために世の中を便利にしようとしているのかと思うこともあります。それは楽をするためではないのかと。生産の効率を上げることで、労働時間が少なくて済むようになり余暇時間が増えてハッピーです。かと思えば、余暇時間ができたらその時間を使って他の人がもっと良い商品を出してきて、それに対抗するためにこちらも付加価値をつけるために労働をしなければいけなくなるのではないかとも。となると、労働は新しい労働を生むために行なっているような気もしてきて、さて何を目指しているのだろうかと疑問に思ったり思わなかったり。
ただ、カントのいうように労働や仕事は別に嫌なだけではありませんから、それ自体に人としての成長などの意味を見出して、辛いけれどもどこか楽しむ・求めるという認識をもってもいいのではないかとも思いました。何のために仕事をするのか、とは本当にいろんな視点がありそうで最近の関心ごとです。
2023年10月15日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
匿名希望さん『図解 身近にあふれる「微分・積分」が3時間でわかる本』
微分または積分によって分かることを身近な事例に当てはめて解説する本でした。2つの変数を持つ式を積分することで体積になることが、コピー用紙の事例でイメージできました。
感想共有を通じて読んだことのない作家さんの本や、他の方の最近の興味・関心ごとを知ることができ、新鮮で面白かったです。
2023年10月13日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『ボタン穴から見た戦争 白ロシアの子供たちの証言』 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 著 , 三浦 みどり 訳
絵本やさんで紹介されていました。こどもの立場ってことだと思い手に取りました。2015年にノーベル文学賞を受賞した作者は「ジャーナリスト」として受賞したそうです。
当時子供だった7歳や10歳くらいの人たちの40年後くらいに体験した戦争体験を聞き書きをした話がまとめられています。白ロシアはベラルーシのことだと今回調べてわかりました。本編は、読むのを躊躇します。
Takashiさん『年刊SF傑作集』ジュディス・メリル編 宇野利奏訳 創元推理文庫
本書はどこかの古本市で買った1960年代のSF短編集で、今日は二編ほど読んでみた。
一つは自称ユダヤ鳥だと名乗って喋るカラスの話。もう一つはタイムスリップもので、どちらも30ページくらいだった。
短編SFは着想勝負のところがあるけれど、そればかりではなく文章が読み易く話もまとまっていて、やっぱり玄人の作品なんだなあと、後からなんだか感心してしまった。
2023年10月11日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『イワン・イリッチの死』トルストイ
近々開かれる公開ビブリオバトルに参加しようと思い、読み返してみた。
最近の映画や漫画や小説では、死に至るまでの不条理さや残酷さの描写がこれでもかというくらいにエスカレートしている。しかし、ほとんどが第三者視点で描かれており、死にゆく本人の内面の心情と苦痛の描写はちょっとだけだ。だって誰も死んだことがないのだから書き様がない。
ところがトルストイ先生は違う。死にゆく人の心情と苦痛を微に入り細に入り主観的に描写する。トルストイはきっと一度死んだことがあるに違いない。
ビブリオバトルではこの辺をうまく喋りたいもんだ。
2023年10月7日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『スタインベック短編集』大久保康雄 訳 新潮文庫
本書は1930年頃のアメリカの庶民を描いた短編集だ。
例えば「朝めし」というタイトルの短編は、一所懸命働いた後、おいしい朝めしを見ず知らずの人たちと食べ、朝日のあたたかさと美しさが楽しい思い出として残るという話だ。
労働は労働後の癒しがあるから明日も頑張ろうという気になる。こんな事は皆知っている。しかし、こんな風に清々しく見せられると何だか感動してしまうのだ。
スタインベックの小説は社会のやりきれなさを描いているが、ひどいことばかりが起きるわけじゃない。時に描かれる庶民の崇高さと善意が読み継がれている理由の一つだと思う。
2023年10月4日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
いろいろな哲学書を翻訳してきた中山元氏が、哲学者の労働についての思考をつなぐことで働くことについて考えさせてくれる本です。とても読みやすいです。
今日気になったところは、労働は辛いことでありその辛いことに耐えることで人間の品位を高める考えていた哲学者がいたと紹介されていたことでした。辛いこと・ストレス・苦労に直面することで、感覚が研ぎ澄まされたり新しい発想が生まれたり自信がついたりするという肯定的な面があることは理解できます。でも、人間の品位を高めるとまで言われると、辛いことに耐えることを目的化してしまいそうで、本当にそうなのかなぁそれでいいのかなぁと思いました。まだ途中なのでこれから展開されていくことではありますが。
記憶があいまいですが、フロムが『自由からの逃走』のなかで、人間は苦役が続くとそれを美徳として昇華させることがある、みたいなことを書いていたことを思い出しました。苦労も努力もいいのだけれど、ときには少し引いて見て、本当に必要な苦労なのか確認することも大事なことのように思います。
2023年10月1日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん
僕が今日参加したブレイクアウトルームでは、哲学的な話をしましたが、プラトン、カント、マルクスは、今でも重要だな、と思いました。
2023年9月29日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『過去を売る男』 ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ「あっけない結末」:過去を作ってもらったブッフマンが架空の両親を探しに行き、なぜか母親の絵を骨董屋で見つける。架空のものが実在する?わからなくなりました。
また、「大聖堂」:Raymond Caverを原文で読んだ方が村上春樹訳もあると教えていただいたので読んでみたくなりました。
読書会後は、『MINAMATA」を昨日みたので公害についてなど話しました。
2023年9月27日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『消費社会の神話と構造(新装版)』ジャン・ボードリヤール著/今村仁司,塚原史訳 難しい表現が多く著者の真意を理解しきれていないのですが、近現代の消費行動は雨乞いをする儀式と似た側面があるみたいに書かれていました。推測を深めると、並べられた商品や広告をみて、その降ってくるままに受け取っている、自分は生産に携わらず生産過程を全く知らないけど疑いもなく受け取っているということを言っているのでしょうか。消費が、人の本来手の届く範囲から大きく外れたところで行われている、実現されてしまっているということを言っているのでしょうか。読むのが大変なのですが気になる本だと思いました。
2023年9月24日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『過去を売る男』 ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ
作者はアンゴラの人。
ヤモリが語り手。内戦後のアンゴラでヤモリが住む家の主人のところに過去を新しく作ってもらいたい人がやってくる。ヤモリは1世紀ほど人間だったこともある。ヤモリの友人たちが過去に枢機卿だったり「〜は読んだことがある」と情報交換していたりした。記憶にまつわる短い話が30くらい。人間であったことも大したことではないと書かれていて、ヤモリの目線っておもいもよらないなあと思いながら読んでいました。
2023年9月24日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『これからの「正義」の話をしよう』マイケル・サンデル
NHKでやっていた学生の討論番組と違って、本書は事例を使ってどういった考え方があるのかを順を追って解説するというものだった。
カントの格律や目的に関する解説も何ページかに渡って書いてあった。やはりカント哲学は、現代哲学において避けて通れないものらしい。
誰かが言っていたが、西洋哲学を知るには聖書とプラトンとカントは読んでおくべきみたいだ。哲学系の本であれば、この3つはどこかで必ず触れられている印象がある。
2023年9月17日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
KYさん『名探偵の掟』
面白い本ですが、ブラックジョークな話しだと思いました。特に1章 密室宣言で犯人が自殺したのでトリックがどうでも良くなり探偵が推理を聞いてもらえないのがかわいそうでした。他の参加者の方の本では、「ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー」を再読したくなりました。読書をする時間がとれ、気持ちを落ち着けることができました。また、参加したいです。
2023年9月16日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『言語の本質』今井むつみ,秋田喜美著
今日は同じグループに数学に関する本を読んでおられる方がいました。数学は様々な変換の過程を経て答えにたどりつきます。一方で言語もさまざまな過程を経てだからこうであるという結論にたどりついたりします。そういう意味で両者は似ているなと思います。
しかし、言語は感覚的に理解できる範囲で論が進んでいくような気がしますが、数学ではそんなことは関係なく進んでいくような気がします。それでも出た答えは答えとして正しいものとされる。
だからどうということもないのですが、そんな感覚から飛躍をする数学とは一体どうやって生まれてきたのだろうかと気になりました。
2023年9月15日(金/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『あなたはここにいなくとも』町田そのこ
家族がはずかしくて、大事な人に見せられない主人公。祖母の死においてもその勇気が出ない話。実家でもそのことを父に伝え「出ていけ」と言われたり。人の気持ちの細かいところを描いているなと思いました。短編が5篇のうちの1篇め。「あなた」は誰なのか。
2023年9月13日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』ジューディア・パール,ダナ・マッケンジー著/夏目大訳/松尾豊監修解説
何かが起こると「なんでだろう?」と考えて、自分なりに答えを出します。そのなんでだろうの答えは原因と言われるものです。原因を見つけることで一つの良いことが得られます。それは、次に似た状況になったときに、悪い結果は原因を改善することで良い方向へ変えることができ、良い結果は原因を維持することで同じく良い結果に導けることです。人間はきっとうまく原因を見つけることでこれまで生き延びてきたのだろうななんてことも思います。
しかし、結果に特定の原因を結びつける因果関係というものは非科学的とされる見方もあるようです。というより、近代のしばらくはそっちの方が主流だった?では何が科学的な見解なのかというと統計です。気温の高さとアイスの売れ行きには相関関係がある、以上。ということです。
なぜ因果関係は非科学的なのかということはまだ理解できていませんが、一定の理解ができるところはあります。たとえば僕がアイスの開発者だったら、自分のアイディアが原因で売上が上がったと思うだろうからです。でも単純に気温が高かったからという可能性の方が大です。人は自分が見えているものしか見えません。広い視野をもとうとか客観的になろうとか思っても、私が見ている限りは私が見えているものしか見えません。そういった主観を排除しようというのが統計でありデータなのだと思います。
とはいえしかしながら統計やデータだけでは見落とすことがある、たどりつけない領域があるというのがたぶんこの本のテーマです。因果関係の狭さと相関関係の浅さの両方を乗り越えた思考というものがあるというのを教えてくれるのだと思います(僕が理解できればですが…)。
2023年9月10日(土/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『台湾文学ブックカフェ(1)蝶のしるし』より「モニークの日記」
取り調べから始まる。不穏な感じがしました。
存在しないはずの娘の殺人容疑。
マンションの住人や小売店の売人が勝手に作り上げた私の娘のことを根掘り葉掘りきく。想像上の娘なのに、娘のものと言って買い物に行く主人公。裕福なのだとは思いました。何者か(母親)ではないと生きづらい社会を映し出しているのかなと思いました。
他の参加者が私が前に読んでいた本の映画を見て下っていました。
2023年9月10日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『台湾文学ブックカフェ(1)蝶のしるし』
ここ四半世紀の台湾の女流作家の作品8つが収められています。たまたま見つけました。今日は本の紹介後に所用があり抜けました。感想のみです。「別の生活」を読みました。舞台は上海の新幹線の列車の中。時速300キロで3時間の場所に向かう30代の女性が出会った母子。女の子の母親が戻ってこない!ハラハラさせられました。忙しい生活を送る主人公の束の間の妄想が恐怖に変わっていくようでした。
2023年9月3日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『赤い髪の女』
舞台はイスタンブル1985年高校生だった少年が井戸ほりのアルバイトをしたところから始まる。今日読んだところは、主人公が40になって、以前井戸掘りをしていた土地を自分の会社が買取をすることになるかもしれないというところ。主人公には誰にも言えない秘密があり。それをずっと抱えて生きている。辛い。けど物語は少しづつ繋がっていて目が離せなくなっているところです。
2023年8月30日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』三浦英之著
満州建国大学の人たちが特別だったという可能性もありますが、環境が人を作るということを感じさせてくれているように思います。伝えることを重んじているという点で少なくとも僕とは違うように思いました。社会のおかしいことはたとえ逮捕されるようなことがあっても言及する、信じたことは曲げない。器用に軽やかに柔らかく生きていくというようなこととは180度違う人間性をもっている人たち、あるいはそういう時代を感じました。
2023年8月27日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル(新版、みすず書房)
私にとって読書はエンジンにもなり得る。
「『生きていることにもうなんにも期待がもてない』こんな言葉にたいして、いったいどう応えたらいいのだろう。」(本書P129より)これは過酷な収容所生活の中で著者が立てた問いだが、著者の答えは普段の我々の生活にも十分あてはめることができる。
著者の言葉は日常生活の細部においてさえ私を勇気付けてくれる。
2023年8月26日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈
2021年、新潮社主催の新人賞、第20回「女による女のためのR-18文学賞」で史上初の三冠(大賞、読者賞、友近賞)を獲得した作品が2023年3月に発売されたそうです。成瀬の心が描かれていないようで、自称凡人の幼馴染の島崎の目線で語られています。思わずクスッと笑ってしまうところもあり読書会の集合時間を忘れそうになるほど夢中になりました。
よしださん『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』三浦英之著
なぜこの本を読もうと思ったのかと聞かれてなにやらいろいろと応えましたが、改めて思うところは、戦前の世界を知るともしかしたら自分もこんな人生を歩んでいたのかもしれないと思い、人間の幅みたいなことに思いが巡るからなのだと思います。縄文時代だとさすがに遠すぎるけど、自分の祖父母が生きていた頃だと思うと同じ人間なのに違う世界観・人生観であるということに変な身近さを感じてしまいます。
今日は、韓国の首相まで務めた満州建国大学出身者が登場しました。その人はおそらく元々は北朝鮮地域出身で、故郷を抜け出して日本に来てそれから満州建国大学に行き、日本で太平洋戦争を終え、故郷に帰ったけど共産国の侵食を嫌悪して韓国へ渡り士官学校に入り、朝鮮戦争では北朝鮮の侵略を食い止め、その後韓国の首相になりました。つまり戦争を自国のために戦ったことがおそらくなく、逆に自国の侵略を止める立場にあったということです。個人にとっての国とは何なのか、みたいなことに少しだけ思いが巡りました。
2023年7月23日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yukaさん『アナログ』ビートたけし
設定は現代の恋愛小説であるものの、連絡先を交換せずに毎週木曜日に喫茶店で会う恋人たちの描写やレコードやCDが登場するなど、昭和の郷愁を誘う。アナログな対面コミュニケーションの尊さや人と人との関わりを再考しつつ、読後は読み始めの疑問や不思議さが解消され、和やかな気持ちになった。
yuさん『転落』カミュ
一人称で一人語りで話が進んでいきます。結局、作者がずっと自分に語りかけてくるようです。相手のリアクションはわからないのでなお、自分に語りかけてきているようです。場末のバーの設定なので酔っ払っているのかもしれません。
2023年7月23日(日/午前):読書のもやもやについて話す時間
今回のテーマは「サードプレイスにはどんな場がある?なんで必要なの?」でした。
よしださん
サードプレイスは横文字で難しそうなんだけれども一文で説明されるとみんなに理解される、不思議な概念だなといつも思います。サードプレイスとは、「職場でも家庭でもない第三の場所」。
今回のもやもやの会でも、みなさんそれぞれに思い思いのサードプレイスの話をされていたように思います。また、webメディアでもサードプレイスをワードとして含む記事をみることも少なくありません。その説明を聞いただけで、自分が居心地いいと思えるあの場のことなのではないかとピンときているように感じられます。
でもみなさんがピンとくることにこそ、一緒に話をするときの難しさもあるようにも感じました。みんなが話をすることができるのだけれど、すでにそれぞれの人のなかにイメージがあるから微妙にみなさんの定義が違っている気がする。今回は僕が進行を務めさせていただきましたが、その点は勉強になりました。
サードプレイスに関しては、僕も関心が高く、それに関する本を読んだこともあります。今回改めて感じたのは、僕の関心はただそのときの気の赴きに合わせて話をする場であり、目的などは明確にない効用や便益がみえにくい場や時間にあるのだなと思いました。何かを目指して進むのではなく、その時々で気づきながら会話や思考が弾む、みたいな時間です。あと、人は自分の考えを言葉に出す、ただ人と話すということ自体がとても大事なことのように漠然と思っています。
2023年7月22日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん『アンラーン』
僕は今、伸びしろが少ないと思うので、アンラーンをして、伸びしろを増やしたいと思います。
yuさん『転落』カミュ
カミュの第三の小説だそうです。場末のバーで同郷の男に弁護士が自分語りを延々にする話で、自分の恋愛のパターンや友人がいないことに気が付いたのは何故かなどを延々を話して聞かせます。途中で、女性が川に落ちたのを知らんぷりしたという話があるのですが、現実なのか作り話なのかわからなくなるなあと思いながら読んでいました。
2023年7月19日(水/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『メタモルフォーゼの縁側』映画
映画を見ました。BLをきっかけとして親しくなったあと自分の寿命が7年くらいと思っている老婆と高校生のふれあい。何かに夢中になるっていうのがいいなと思いました。
2023年7月18日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yukaさん『サピエンス全史』
ホモサピエンスの特性や狩猟採集の話からブルシットジョブ等労働の話に飛んでしまいましたが、近年読む本の繋がりの面白さを改めて感じました。ありがとうございました。
よしださん『睡眠の科学 改訂新版 なぜ眠るのかなぜ目覚めるのか』櫻井武著
睡眠について脳的な観点から書かれています。それも勉強になるのですが、個人的にはなぜ眠るのかなぜ起きるのかという哲学っぽい問いがおもしろいです。
基本は睡眠状態で、腹が減ったり危険が迫ると対応しなければいけないから起きる、というのはおもしろいなと思いました。ヒトは起きている時間の方が長いですし、なんとなく寝ていると怠けているみたいなネガティブな観念もあるので、「いや、基本は睡眠状態ですよ」というのは新鮮でした。
2023年7月16日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『重力と恩寵』シモーヌ・ヴェイユ
・「重力と恩寵」はシモーヌ・ヴェイユの雑記帳(カイエ)十五の「悪」について読みました。短文で思想について書かれています。
「悪は無際限である。しかし、無際限であるこの悪は有限である」どういうことだろう・・・キリスト教の知識が必要だなと感じました。
2023年7月16日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『真夜中の子供達』サルマン・ラシュディ
午前の読書会の感想。読了しました。1947年のインド独立の日に生まれた不思議な能力を持つ子供達。0時ちょうどに生まれたサリームの語りで物語が進行しました。痰壺や糞尿など日本では表に出てこないようなモチーフがふんだんに出てきました。英語で書かれていながら英語圏にはないようなものが表現されています。
魔法使いが出てきたり、ムスリム、ヒンドウ、キリストやいろんな言語が出てきてごちゃ混ぜでした。マジックリアリズムのラテンアメリカ文学を読んでいるような気にもなりました。ともかく読めてよかったです。
2023年7月15日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『丸山眞男セレクション』杉田敦 編
丸山眞男は結構ハードルが高く見えてしまう。言い回しが難しいし、政治や思想を歴史的な観点から論じることが多いからだ。
でも、読んでみるとかなり面白い。日本人って何だ?というもやもやした部分を見事に言葉にしてくれている。これほどの切れ味を持つ批評家はそうはいない。
日本人にもやもやしている人は「菊と刀」(ルース・ベネディクト著)とあわせて読むのがおすすめです!
よしださん『ジェンダーと脳 性別を超える脳の多様性』ダフナ・ジョエル,ルバ・ヴィハンスキ著/鍛原多惠子訳
男女の脳の違いを検証しようと調査をしても、毎回違う違いが出てきてしまう。違う違いというのは、ある集団のなかで確かに男女の違いは確認できるのだけど、その検出される違いが研究者ごとに違うということです。それはなぜなのか。
答えは、確かに統計的に男性に多く見られる特徴と・女性に多く見られる特徴があるのだけど、その特徴の種類はいくつもあり、男性も女性的特徴をもつし・女性も男性的特徴をもつから、ということなのだそうです。男性が一様に男性的(とされる)特徴をもつわけでもないし、逆もまた然り。それぞれが男性的・女性的特徴をモザイク状に有するというのが著者の言うことです。
2023年7月12日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳』アントニオ・R・ダマシオ著/田中三彦訳
一応読み終わったのですが、自分のなかで新たな認識を得られたような気もするのですが、で何が書かれていたのと聞かれるとうまく説明できません。でも、所々納得しながら読んだはずなんです!
人の脳の働きは身体的ストレスとともにある、という感じで要約させていただきます。
話は変わって、普段話さないことを話すことについて、どんな意味があるのだろうかと気になり始めました。読書会後のフリートークの時間では死刑制度の話になりましたし、本には日常会話では出てこないようなテーマが展開されています。なんとなく、それはすごく大事なことのように思うのだけれど、それがどう大事なのかはまだわかりません。
2023年7月9日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『ハドリアヌス帝の回想』ユルスナール
・ハドリアヌスの話を書いた作者は20代で構想を重ね40代になってやっと執筆を始めたそうです。作者による覚え書きを読みました。短い文章で作者が考えたことが区切ってあり名言集のようです。やっと読了しました。
フリータイムは「ハナレイベイ」について話しました。戦争の話、終わりがベイで終わっている。お母さんの最後の救いの一言なんじゃないか、いないけどそこに行けば会えるような安心感があるのではないか。
2023年7月9日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『ハドリアヌス帝の回想』ユルスナール
昨日に引き続き昼の本を読みました。ハドリアヌス皇帝の歴史を基に作者が感情を交えて語られている小説で今日は、戦地で病になったところ、子供のような病ー鼻血が止まらなくなったところを読みました。止めるために雪山から雪を運ばせたそうです。
9人参加で3ルームに分かれて感想の共有をしました。人間失格やゴルゴ13などでゴルゴが劇画にこだわっていて200巻くらいあるそうです。ゴルゴは喋らない。また、「仕事なんか生きがいにするな」は腹から伝えると伝わるというのが印象に残りました。
2023年7月5日(水/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『転落』カミュ
・カミュ「転落」はオランダのアムステルダムの場末のバーが舞台です。フランス人が同じくフランスから来ているらしい男になれなれしく話しかける話です。
不倶戴天の的であるサルトルがカミュの作品の中で「最も美しく、最も理解されていない」作品だと評しています。この2人に何があったのか小説とは関係なく気になりました。
2023年7月4日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『ジェンダーと脳 性別を超える脳の多様性』ダフナ・ジョエル,ルバ・ヴィハンスキ著/鍛原多惠子訳
男性的特徴・女性的特徴として様々な性格や能力が分類されますが、それは本当に性別だけに関係しているの?ということが書かれている本です。たとえば、女児の方が男児より喋りが達者というのが一般的な認識だと思いますが、男児よりも女児に対して大人はよく話しかける傾向があるなどということが確認されているそうです。
本書では性別による脳の違いというのを否定しているわけではありませんが、それよりも育った環境やストレス状態や年齢などに脳は影響を受けて変化する、だから性別も違いを生む要因なのだけれどそれは複数ある要因の一つに過ぎないということを言っています。性別を主要因に挙げてその人の脳的な気質を判断しようと思っても、そこに科学的根拠はないということです。
僕はこれまで多くの誤解をしていましたし、今も多くの誤解をしていると思います。たとえば、努力するかどうかは意志次第であるとか。そういう誤解で自分や他者を縛らないようにしたいなと思っているのだと思います、たぶん。あと真実に近づいているようでおもしろいですし。
2023年7月2日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『ハドリアヌス帝の回想』ユルスナール
ハドリアヌス帝は、スペイン出身のローマ皇帝で、異常な多才の人だったようです。1人称の肉声で想像的自伝になっています。心理小説と歴史的冥想になっており文章が美しいです。今日読んだところで、あらゆる不正については諸々の天球の超和音を乱す・・の表現が印象に残りました。
2023年7月2日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『デジタルネイチャー』落合陽一
ATを駆使した疑似感覚や疑似体験は、近い将来本物の感覚や体験と融合し、「本物」と「疑似」の境い目を曖昧にし、社会システムに浸透していく。それがいかにして為されるかが紹介されている。
著者は物知りな人なので、それに紐づく文化、哲学、経済諸々の文献を注釈として大量に記載している。インデックス的に良い本だ。
2023年7月1日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yukiko ohbaさん『悪女について』
NHKで現在、ドラマでやっているので、
原作を読んでみたくなって読んでみました。
昭和58年に書かれたものですが、現代でも通じる面白さ、古さを感じさせないストーリー展開はきっと後世に残っていく普遍的な作品なんだろうなあと思いました。
主人公を回り取り巻く人物達が主人公を語るインタビュー形式で話は進んで行きます。
一人の人物、一つに事象を語っていくというそのスタイルはその人自身が自分自信を語るより、起こっている事象、心情を浮び出して神の目線を見ているようで、
面白かったです。
こういう主人公って今も生きていると思います。
多分、東京のタワマンあたりで。
思い通りに生きた主人公ですが、
思い通りにいかなかったのは、本当に好きな人との結婚と自分の子供。
人の心を変えることは自分がどうやったって、無理なものは無理ですよね?
人間って案外平等かも?と思えた瞬間でした。
2023年6月28日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『ジャパンアズナンバーワン』エズラ・F・ヴォーゲル著/広中和歌子,木本彰子訳
アメリカの社会学者がアメリカの傲慢と停滞を戒め再興を願うにあたって、日本をひとつの見本にして書いた本です。1979年に日本語訳が発売されたようです。
基本的にアメリカが衰退し日本が興盛しているという前提で書かれていますが、失われた30年を生きてきた僕にとっては今と逆だなと思い不思議な感覚に陥ります。本当に過去の日本がすごかったのか、それとも環境が変化したことで日本はあまり変わっていないのだけど結果的に衰退したのか。僕としては外的環境の変化による自己の評価の変化みたいなことに興味があり、それと日本とを照らし合わせながら読んでみたいと思っています。
2023年6月24日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『睡眠の科学 なぜ眠るのかなぜ目覚めるのか』櫻井武著
睡眠時間は、少ないほど勤勉で多いほど怠惰だと思われる、そんな指標の一つになっている気がします。でもこの本を読んでいると睡眠中も活動をしていることがよくわかります。ある実験では、あるゲームのスキルを身につけた後に眠った人と眠らない人の群に分けてゲームのスコアを測ると、眠った人の方はスコアが上がっているのだそうです。眠っている間、そのゲームはしていないのに勝手にレベルアップしているということです。だから、「なに寝てんだ!?」と怒られたら「いや、レベルアップしてたんですよ」という反論は十分に筋が通っているということです。
2023年6月21日(水/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『砂の女』 安部公房
村の家に男が労働力として閉じ込められるんだが、なぜ夜も寝ずに砂かきをしないといけないような環境の家に女は住み続けているのだろう。村の人でなく外から来た男をなぜ閉じ込めておいたのだろう。妖怪の国に紛れ込んだみたいな不気味さが続く。
カフカの変身みたいな不条理さがあるというご意見をいただいた。訳のわからないうちに陥った状況という点ではそうかもしれないなあ。
2023年6月20日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『矛盾と創造 自らの問いを解くための方法論』小坂井敏晶著
矛盾を解くことで新しい視点が生まれる、その思考の過程が書かれています。以前読んだ『社会心理学講義』もそうでしたが、著者は答えなどよりも考え方を伝えることに価値を見出しているように感じます。そういえば『答えのない世界を生きる』という本も書いていたし。
どんな理論も更新され続けるような気がするし、正しさも状況に依存するのだろうから、考え続けるというのは生きていくことに必然的に伴うことのように思いました。
2023年6月18日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『はたらかないで、たらふく食べたい』栗原泰
夜の読書会の感想です。まずタイトルに惹かれました。今日読んだところは、「他人の迷惑顧みず」の江戸の蘭学者高野長英の紹介の部分でした。栗原さんのひらがなの文体が飾らなくて等身大で思わずニヤリとしてしまいます。
他の方の読まれていた窓際のトットちゃんは日本で一番売れた小説だそうです。2023年冬でアニメ化されるようです。夏目漱石の心と太宰治の人間失格で2位を争っているようです。ずいぶん前に読んで忘れているのでまた読んでみたくなりました。
2023年6月18日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『ハドリアヌス帝の回想』マルグリット・ユルスナール
2000年前のローマ皇帝の目線で散文のように物語が進められる。食べ物に対する記述や恋愛に対する記述も事細かに書かれていて観察眼が鋭いなと思いました。
フリータイムでは。これ以上の経済成長は必要かや持続可能な社会とはやイギリスやインドの身分制度についてなどを話しました。お腹が満たされたから次は心を満たすためにインターネットが出てきて人間の自我はどう満たされるのかという話にもなりました。週休3日がいいよね。しかし労働って人類らしいかもしれないなどなど。
2023年6月17日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
tetsuさん『〈弱いロボット〉の思考 わたし・身体・コミュニケーション』岡田美智男
今日は3章「自らの視点から描いた自画像わたしたちの身体にまつわる〈弱さ〉の起源を探る」を読みました。先日の読書会の中で「どこまでが<私>なのか。身体が私なのか、心が私なのか」といった問いかけがありました。興味深い哲学的なテーマだなと記憶に残っていたのですが、3章で書かれている内容はその問いにつながるものを感じました。
具体的には、幼児の背丈ほどもない小型ロボットを遠隔操作し、ヘッドマウントディスプレーでロボットからの見え方をモニターするという試みについてです。操縦者は見え方が変化することで、自分の身体が小さくなってしまったような感覚に陥ります。その小型ロボットからの目線では、元の身体で捉えているよりも子どもたちの動きが大きく、そして俊敏なものに映ります。おそらくは、その振る舞いも小型ロボットの外見の可愛らしさに見合ったものに変化するのだろうと思います(着ぐるみのなかに入ったことのある経験上)。また、私というイメージは、自身に対する他者の反応を参照することによって見出されるという、周囲とのかかわりの中から立ち現れる自己(対人的自己)の一面も持っている。つまり、私という自己イメージは、まとっている「身体」に少なからず影響を受けるものであるし、その身体性を抜きには成り立たないものだと言えます。
最初の問いに帰ってみると、私=身体ではないものの、身体も含めた様々な要因(因果)から成り立っている。その身体が変化した時には、「私」と呼ぶものはなにがしかの影響を受けているのだろう。「私」と呼ぶこの実体は、私以外のものでできている。これは般若心経の「空」の概念であるな、と無事着地しました。
爪が伸びてキーボードが打ちづらかったので途中で切っていたのですが、こういう些細なことも含めて私というものが立ち上がっていると思うと、できるだけ丁寧に暮らしたいなと思ったりしました。今日もありがとうございました。
2023年6月16日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『砂の女』安部公房
砂丘へ昆虫採集に出かけた男が行方不明になる。男の迷い込んだ村がなんだか不気味でこの世のものではないのでは?と読み始めたばかりですが思い始めています。
他の方の紹介で「評価」についてがありました。評価は人との関係で変わってくるもで、難しいものだし、人の能力はその人だけの所有物だからあやふやな基準では測れないものではないかなと考えたりしました。
2023年6月14日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『自我の起原 愛とエゴイズムの動物社会学』真木悠介著
まだほんとうに序文しか読んでいませんが、全体を流れのように捉えることを基本として考えているように感じられます。今生きている「私」という人は、転生によって続いていく自己という存在の一時の姿にしか過ぎない。しかしその「私」が主体化し他を支配することがある、といいます。「私」を大事にするということと次へつなげていくということはなんとなく矛盾することだよな、と漠然と思ったりしました。
2023年6月11日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
ラムセス二世さん『大どろぼうホッツェンプロッツ』
手に取ることのない本のことを知ることができてとても楽しかったです。少し数学の知識も欲しいなぁとか、意外に白鯨とかの名作読んでないなぁとか、紹介された本原作の映画がお気に入りの映画館で上映予定があってラッキー!とか…..雨の日曜日、世界がちょっぴり広がってうれしかったです。
Takashiさん『仕事に役立つ数学』西成活裕
数式使って予測しました!って方がかっこいいし、なんとなく納得してもらえるし。そんな不純な動機を持っている人にもお勧めです。色んな所を省略しているとはいえちゃんとした数式を使った数式の解説本なので、ベースはちゃんとしています。西成先生ですし。
tetsuさん『〈弱いロボット〉の思考 わたし・身体・コミュニケーション』岡田美智男
このところの目覚ましいAIの技術革新を体感する中で、果たしてこうしたテクノロジーは人を豊かにするのか、どのように付き合っていくのがよいのかと、とりとめもなく考えるようになりました。以前読んだ『弱いロボット』 (シリーズ ケアをひらく)と同様のテーマと思われますが、本書にはそのヒントがあるような気がして(後に出版されている分+αがあることに期待して)手に取りました。
今日は1章「気ままなお掃除ロボット〈ルンル〉」の途中まで読みました。印象的だったのは、「目の前の対象の振る舞いを引き起こした要因を探るとき、その対象の内側で起こっていることに帰属させやすい」という人のもつ認知バイアスと、お掃除ロボット(某ル○バのイメージです)に対して私たちが抱き得る思考あるいは感情との関連が示されていたことです。ロボット側にしてみれば目の前に迫りくる椅子やテーブルの脚といった刺激に随時反応しながら「シンプルに」動いているだけに過ぎない。でも、それを見ている私たちは、ぶつかりながらも方向を小刻みに変えてごみを探し歩き、何度も同じところを行ったり来たりすることに対して「健気さ」であったり、一定のお仕事を終えたあとに少し速度を落として充電器に舞い戻っていく際の「ちょっと疲れた」様子を感じ取ることができる。ここに人とロボットとの間に成立しうるコミュニケーションの鍵があるように思いました。
若干本筋と外れた内容を挙げてしまいましたが、このお掃除ロボットのように「周囲とのかかわりを上手に利用すること」は、私たちの抱える生きづらさをほぐしてくれる可能性を感じます。そんなことに思いを巡らしながら読み進めていきたいと思います。
また、今日もハンナ・アレントの話題が出ていました。みなさん関心を持っている人物でありテーマであるようで、難解ではあるけども気になってしまうなにかを私も感じています。みなさんとハンナ・アレントの1冊を取り上げた読書会をしたら楽しいだろうなと思いました。今日もありがとうございました。
yuさん『帰れない山』パオロ・コニュッティ
山に生きる男と街に暮らす男。子供の頃からの友情があってうまくいかない時でもお互いに心の支えになっているようなところが地味に心に沁みました。雄大で残酷なアルプスの自然描写が美しいです。
2023年6月7日(水/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『世界は贈与でできている』 近内悠太
この読書会で知って読んでいます。資本主義経済の中でお金で買えないものとはなにか。私は、普段差し入れやお土産は不要だと考えていたのですがこの本を読んで考えを改めました。贈与を知らずに受け取っている。この世界は当たり前ではないんだと改めて考えました。贈与を受けたと知るのには知性がいるそうです。
2023年6月4日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん『新版ディコンストラクションⅡ』
他の参加者の感想で、金継ぎなど、日本の伝統文化には、壊れたものを修復する文化があるし、積み木や砂場など、子供は作っては壊しを楽しむ遊びがあるのに、現代社会は新品文化で、壊れないことをよしとする、人間にも反映されて、健康をよしとする文化が過度に行き過ぎるとおかしいのではないか、という指摘が印象的でした。
2023年5月31日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『みんなの当事者研究』熊谷晋一郎編
マイノリティとされる人たちは自分たちの感覚や体験をマジョリティへ共有しても、理解されなかったり異常なものとして矯正の対象とみなされたりするのだといいます。それはその出来事を意味のないものとすることであり、世界から除外し存在し得ないものとするということなのだと熊谷氏の当事者研究関係の本を読んでいると感じます。
でもこういうことはいわゆる普通とされる人たちにもあるのではないかと思ったりします。言っても理解されないことがある、だからそれを言わない。するとどんどん消えていく、みたいな。なんだか闇深い話になってしまいましたが、人生を充実させるみたいなことは、感覚を言葉にして他者と共有し世界に存在させていくということでもあるのかなと思ったりしました。
2023年5月27日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
ナカムラさん『「技術書」の読書術』
読んだ本は主にITに関する技術書の読書術について書かれている本なのですが、本日はその「選び方」の部分について読みました。
ITの技術書に限定されないような内容として、レビュー等は書いている人に注目すると良いといったことが勉強になり、変化を与えるために目をつぶって本棚からランダムに選んだ本を読む「くじ引き読書術」というものが、自分の世界が広がって面白いと思いました。
2023年5月24日(水/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『真夜中の子供たち』 サルマン・ラシュディ
インド作家が英語でインドの文化を描いている小説と後書きにありました。1章の「穴あきシーツ」を読みました。主人公が生まれて、次のページでは31歳になっていて展開が早いなと思いました。
他の方と作者が小説中に出てくるのはどうなのかという話になりました。そういえば、前回読んでいた「像の旅」もどことはすぐには出てきませんでしたがそうだったなと思いでしました。また中動態の世界に生きるのは簡単ではない、アフォーダンスに晒され続けるという話も印象的でした。受動態の方が現代人にとって楽なのかもという意見もありました。
2023年5月23日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『五色の虹 満州建国大学の卒業生たちの戦後』三浦英之著
太平洋戦争の最中、五族協和を掲げて、アジアを統治する人材を育てるべく満州に建国された大学がありました。五族とは、日本・朝鮮・モンゴル・中国・ロシアの五族です。
五族協和といっても日本の軍部は、日本に他の国々が下ることが前提です。そしてそれは実現すると勢いよく喝破する日本の幹部がいる。その一方で、現地で実際に学ぶ学生はそんなことはかなり難しいだろうと書き記す。一緒に学び議論を交わし日々寝食をともにしていて、たとえば中国人は中国の立場で考えている。満州で五族協和が成ることを一番に考えているわけではない。
各人が出身国のことを第一に考えるということで、それはあたり前のことなのかもしれませんが、思えば僕は日本人であるということをそこまで考えたことはないなと思い少し不思議な気分になりました。
2023年5月21日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『ゾウの旅』ジョゼ・サラマーゴ
「像の旅」で象はポルトガルからオーストリアまで歩きますが、昼寝をする時間があってそれに兵士や大公がイライラして短くできないか!と交渉する様が滑稽でした。人間の都合で連れて行くのに象にはなんの関係もないことなのに生活を乱されている。自分勝手な人間の様子が描かれているなあと思いました。
2023年5月21日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『五色の虹 満州建国大学の卒業生たちの戦後』三浦英之著
1938年に日本が満州につくった大学があり、そこで過ごした学生の手記や戦後や今のことを書いているノンフィクションです。
まだ序盤ですが、べつに良い意味でもなく、戦争などは人を鋭くさせる気がします。
読書会後の雑談の時間では、「みんちゃれ」という習慣化アプリで、AIのボットに褒められるとそれはそれでちょっとうれしい、というのがおもしろかったです。
Takashiさん『人間の条件』ハンナ・アーレント
皆さまに朗報でございます。なんと講談社学術文庫から『人間の条件』の新訳版が出ました。初版が今年2023年3月、第二刷が4月と哲学書にしてはおそらく異例の重版出来だと思われます。
ちくま学芸文庫の方も売れに売れた良書ですが、新訳版は更に噛み砕いた文章で注釈も増え、嬉しい限りです。
視点が一つ増えるということは、間違いなくエキサイティングな体験だと思います。そんな文庫本なので、マニアだったら講談社とちくま両方買いましょう!
2023年5月20日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん『弁証法はどういう科学か』
この本は、50年以上前に書かれたとは思えないほど、平易な言葉で説明された、読みやすい本です。弁証法は意識するしないにかかわらず、日常生活にも科学にも溶け込んでいるらしい、と思ってなるほどと思いました。例えば、負けるが勝ちなど。
2023年5月17日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『性ホルモンと環境に操られる脳 男女の脳はなぜ違うのか』田中冨久子
今日読んだところは話すことに関係する脳の部位についての内容でした。ちょっと専門的すぎたのでここまででおもしろかったことを少し紹介しますと、猿社会のヒエラルキーは、動物園の猿山では見られるが自然界では見られないということです。著者の見解では、動物園・猿山の限られたリソース(餌)が主にオスの不安や恐れの心を掻き立てヒエラルキーを生んでいるのではないかということでした。人間もヒエラルキーを作りがちだと感じますが、現代では食糧とかではないもっと見えない何かを奪い合っているのかなぁなんて思いました。
2023年5月14日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『ゾウの旅』ジョゼ・サラマーゴ
21:30~の部の感想です。
470年くらい前にあった史実を元に書かれた小説です。1551年ソロモンという象がその肩に象使いをのせリスボンからウイーンへ旅立った話です。
象使いはインドの人です。旅の途中で雨が降り出して休憩しているところに象使いの宗教の話などを人種が違う人から質問などを受けている箇所を読みました。作者が道案内をしているようです。
他の方が江戸時代に日本にも像が来て長生きできなかったとおっしゃいました。人間の欲が像の運命を変えてしまって悲しいなと思いました。
2023年5月13日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『他人を支配したがる人たち』ジョージ・サイモン
読書は武器だ!
ということで、他人を支配したがる人(マニピュレータ)と話すときの武器を手にするために読み返しています。
ポイントその1 <サインを見逃すな>
・「少しは〇〇したかもしれない、でも・・・」とか「〇〇しただけ。それ自体が問題なのか?」という言葉に注意。
・Yes、Noで答えられる質問に答えず、経緯や状況を話しはじめたら注意。
・大事なことを「言い忘れていた」と言い訳するときは、周到な計算の上で言わなかったので注意。
ポイントその2 <自分の性格、つけこまれる部分を知っておけ>
・自責の念が強い
・他人を何とかしなくちゃと思いすぎる
・理屈が通れば人は納得すると信じている
・自己主張しない
頑張れ、俺。
2023年5月10日(水/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
Yamamotoさん『QJKJQ』佐藤究
「ちゃんと自分の中で消化はできてないし、なんだかよくわからなかったけど、インパクトがあってなんか気になる本」でした。同じ作者の他の本も読んでみたいです。
2023年5月7日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『重力と恩寵』シモーヌ・ヴェイユ
筑摩文庫の田辺保訳で読みました。「脱創造」のところで、「人は自分が捨てるものだけしか、所有しない」という箇所が印象に残りました。一粒の麦を例にして「自分をしばりつけておいたエネルギー」を解き放ち、物事の真の関係に預かりうるような自由なエネルギーを得るためには・・・・生きていてはヴェイユのいう高みを知ることは難しそうだと思いました。
星の王子様が話題に上がりました。みんな読んでいるようだけどどうかな?その場にいた方は読んでいました。「大事なものは目に見えない」その有名なフレーズがやはり重要なのだろうな。
2023年5月7日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
tetsuさん『ティク・ナット・ハンの般若心経』ティク・ナット・ハン (著), 馬籠 久美子 (翻訳)
今日は14章を読みました。全18章ですので、ようやく終わりが見えてきた感じです。般若心経の「空」の思想は以前から関心のあるテーマなのですが、ティク・ナット・ハン氏がやさしく説明してくださっていてもやはり難解です。挫けそうになるのを何とか踏みとどまって読み続けられているのはこちらの読書会の存在が大きいと感じています。いつもありがとうございます。
今日読んだ箇所は、「無智亦無得 以無所得故」(智慧も悟りも、独立した実体ではない。これがわかった者は、何も得る必要がなくなる)という一節です。悟りは得るものというイメージがありますが、掴むことを手放すことによって体験できるものとありました。仏陀になろうと追い求めなくても、仏性はすでに人間のなかに備わっているのだと、ここでも「相互存在」の考え方が示されています。
悟りを得ることは考えていないにせよ、今の私には何も追わずに生きることを実践するのは難しそうです。ただ、「私」は私以外のものから成り立っている、さまざまな因果を経て今の自分が立ち現れていると捉えたとき、「まあ、しょうがないか」というある種の小さな肯定感が生じるのを感じます。「これじゃいけない」と現状を否定するところから見える景色と、「それでいい」と今を受け容れたところから見える景色とはやはり違うだろうなと思いますし、同じ前に進んでいくのであれば後者の方が幸せな道になるのではないかと思いました。般若心経が示す境地とは程遠いですが、相互存在の考え方を自分なりに生かしていきたいと思います。
yuさん『重力と恩寵』シモーヌ・ヴェイユ
筑摩文庫の田辺保訳で読みました。「脱創造」のところで、「人は自分が捨てるものだけしか、所有しない」という箇所が印象に残りました。一粒の麦を例にして「自分をしばりつけておいたエネルギー」を解き放ち、物事の真の関係に預かりうるような自由なエネルギーを得るためには・・・・生きていてはヴェイユのいう高みを知ることは難しそうだと思いました。
星の王子様が話題に上がりました。みんな読んでいるようだけどどうかな?その場にいた方は読んでいました。「大事なものは目に見えない」その有名なフレーズがやはり重要なのだろうな。
2023年5月6日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
tetsuさん『ロボット-RUR』 カレル・チャペック (著), 阿部 賢一 (翻訳)
今読み進めている『分解の哲学 ―腐敗と発酵をめぐる思考』という本の中でチャペックについて取り上げられており、とりわけこの戯曲の扱うテーマに興味を惹かれ読むことにしました。
本作が誕生したのは1920年のチェコスロバキアで、今から大体100年前にあたります。この作品によって「ロボット」という言葉が生まれたと言われており、当時の人々に大変なインパクトを与えるものだったのだろうと想像します。そしてこの時代に、機械がやがて知性を持ち、人間を超えていくであろうことの予測と、人間が取って代わられるというディストピアを想像した人がいたことは驚くべきことだと思います。ChatGPTをはじめとするAIの進歩が世の中をにぎわせている今だからこそ、よりリアリティをもって迫ってくるものを感じました。
全体として、ロボットとの対立を通じて人間存在の負の側面を浮き彫りにするチャペックのシニカルで鋭い視点が強く印象に残りました。また、「人間を労働から解放することがはたして豊かな社会につながるのか」というこの作品全体に流れる問いかけには揺さぶられるものがあります。AIは「コミュニケーション」や「創造」の領域では人間に及ばないといった言説をよく耳にしますが、AIがもたらず便利さや快適さはその創造性の源となる体験を損なうことにつながらないかなど、いろいろもやもやは尽きません。
あと、今日は漫画を読まれていた方がおられ、その面白さについてお聞きできたのも新鮮でした。ファンからの根強い支持を受けている『バキ』や、映画にもなった『キングダム』、あとは『ゴールデンカムイ』といった作品名が挙がり、また手に取ってみようと思いました。今日もありがとうございました。
2023年4月8日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
こやまさん『ウクライナの心』
他の参加者の方のご闘病について、言及してしまい、
たいへん申し訳なく思っております。ご本人はあまり
気にしないとおっしゃると思いますが、
あれだけ考えてお話しされていたので、読書会のあとは
たいへんお疲れになったと思います。
うつは甘え ということなど、
極端なご意見もありまして、しかしながら、本を読むということは
そういう間違った意見を含有せざるを得ない、
リスクを背負うものと思います。
頭に浮かんだのは、やはり読書するにおいても、
日本社会というのには、かなりの縛りが前提にあるものだなと
思いました。
よろしければ、また参加させていただきたく存じます。
tetsuさん『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』 ブレイディみかこ/著
ほかの参加者の方が紹介されていた「芸術を感性の眼で見ること」という言葉が印象的でした。著者のパートナーが「この絵(ラス・メニーナスのことだったと思います)は思想的だ」と話したことに対して、著者自身が大事にしたい考えを示したものとのことです。近頃、絵画を楽しんでいる方からお話を伺うことが続いていて、一度美術館に足を運んでみたいと思っていました。私は「絵のことはわからない」と決まり文句のように言ってしまうのですが、わからないからこそ素直にその絵を感じることができるのだと思います。また、「絵を見ることは本を読むことと変わらない」と教えていただいて少し気が楽になりました。まずはその作品を感じてみる、さらに深めたくなったら画家のことを知る、作品の時代背景を知る、そういった順番で楽しんでみたいと思います。今日もありがとうございました。
2023年4月7日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
tetsuさん『<責任>の生成―中動態と当事者研究』 國分功一郎 著/熊谷晋一郎 著
今日は、第1章の「『意志』の誕生」、「意志と無からの創造」という節を中心に読みました。かつては能動態と中動態が対立していたのが、中動態の中の一つの意味に過ぎなかった受動態が下剋上を起こして現在の能動態と受動態が対立する言語に移り変わっていったこと、そしてこの言語は「自分の意思でやったのかどうか?」を強く尋ねてくる性質があることから、この「中動態の消滅」と「意志概念の勃興」には平行線があるのではないかという國分さんの仮説が展開されています。
普段、「自分の意思で決めた」と思っている事柄も、実は周囲の意見であったり、これまでの人生経験であったり、様々な因果が影響を及ぼした結果だと言えます。それなのに、なぜあえてその因果関係を断絶するような概念を用いているのか、ここに「責任」の概念が絡んでくる…というところまでで今日は時間切れでした。中動態のお話がいよいよ面白くなってきたところでこの先が楽しみです。「自己決定」を個人の権利と尊重しつつ、もれなく「自己責任」がセットでついてくるこの社会の息苦しさの正体は何なのか、かつての中動態からどんなあり方が見出せるのか、そしてどのように当事者研究とつながってくるのか。先は長いですが、読書会の場の力を借りて挫けずに読み進めていきたいと思います。
ほかの参加者の方が読んでおられた本では、うつ病の診断基準を知ることがセルフケアにつながること、また、精神症状は今の生き方では無理が生じていることを教えてくれるものという考え方が前向きで、こころの健康を保つために参考にしたいと思いました。今日もありがとうございました。
yuさん『サイボーグになる』 キム・チョヨプ×キム・ウォニョン
二人の作者は、聴覚しょうがいと、骨格系の病気があり車椅子。その二人が科学技術と障害について、語る。小説でなく交互に語る。小説家であり女性であり・・・。この話を読んでいたら私のかけているメガネも体の一部のようになっていてそういう論点から言えば私もサイボーグ。って思いました。
2023年4月5日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『つながりの作法 同じでもなく違うでもなく』綾屋紗月・熊谷晋一郎著
僕が読んでいた本ともつながる話で、「共感」の話で少し盛り上がりました。似たような体験をしていると、あるいは体験をじっくりと共有できるとなんとなくわかる部分もあるから、共感できる。共感し合えると安心感が生まれる。そしてそうした安心感があって初めて多様性に目を向けられるのではないか、みたいな話になりました。
その安心感のような土台なく多様性を尊重しようということになると、自分とは違う他者は敵に映ってしまう可能性があり、多様性の尊重どころではなくなります。不安な状態・状況では、まずは自分の身を守ることを第一に、他者を敵とみなし身構えることが安全へとつながると捉えるようだからです。なので、まずは共感し合える時間があるとか、ひとりひとりに安心感があるとか孤独ではないとか、そういうことが順番的に大事なのではないかという話が出てとても納得しました。
2023年4月2日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
Soiさん『Kim Jiyoung born 1982』 Cho Nam-Joo
<本について>
1982年に韓国にて生まれたある女性の物語。今回は幼少期から思春期にかけて読んだ。
1970年代、80年代当時男児を授かることがその家に繁栄をもたらすと考えられていたそうだ。結果妊娠時に選別が行われ、ある時期男児と女児の人口の比率の差が不自然に大きくなったという。
最近生物進化や遺伝子に関する本を読んでいた影響か、種を残すことが目的である遺伝子の振る舞いに反する行動をなぜ人間は行うのだろうか。もしくは男性が多い方が遺伝子にとって都合が良い戦略だったのか。
<読書会について>
ゴールデンカムイの本について他の参加者さんより教えていただいた。以前より興味があったので、是非読んでみたいと思った。
yuさん『説き伏せられて』ジェーン・オースティン
1770年代のイギリスの女性作家。「高慢と偏見」の映画を見たことがあり小説を読むのは初めてです。高慢と偏見、作者は22歳の時に書いたと後書きにあり驚きました。今日読んだ作品は作者の最後の作品です。身分違いの恋愛かと思いきや8年で立場が逆転しました。人は未来はどうなるかわからないものだなと思いながら読みました。身分や家計や容姿って気にしすぎるとね。
渡り鳥のエッセイが話題に出て、ヒマラヤを超えてるって、ヒマラヤが隆起する以前から渡り鳥は飛んでいたって壮大な話が印象に残りました。
さとりさん『燃えよ剣』(司馬遼太郎)
「1982年生まれ、キムジヨン」自分自身が著書とまさに同じ世代の「団塊ジュニア」です。社会的な動きで韓国と日本の共通点と相違点があったことをご紹介いただきました。持っていた印象と違う内容ということで、読んでみたいと思いました。
「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」特に日本は美の部分が弱いこと、松田の会長が従業員の協調に大切な理念「魂動」を見つけるのに1年掛かったという話がありました。カーオブザイヤーを取得できるまでに意識改革をできたのは人ベースなのかなと思いました。
「燃えよ剣」序盤の他流派との果たし合いの部分で躍動感のある文章を楽しみました。ゴールデンカムイから土方歳三に関心を持ち、彼のかっこいい生き方のルーツを見てみたいという気持ちで読んでいます。
「連帯論」5種類の連帯の形態があり、ローティ(哲学者,US)の考え方を紹介してもらいました。屈辱の感情を基盤にして大きなコミュニティでの連帯を作っているという考え方にはびっくりしました。少し深く考えてみたい主題だと刺激を受けました。
2023年4月2日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『ハリウッド映画で読む世界覇権国アメリカ』副島隆彦
私はあまり映画を見ないので、どの映画が面白いのかを教えてもらうために買った本だったが、予想していた以上に本そのものが面白かった。映画の解説に沿ってアメリカ社会の近・現代史が端的に分析されている。映画そっちのけで読んでしまいそうだ。
tetsuさん『ティク・ナット・ハンの 般若心経』 馬籠久美子 訳
今日読んだ第十一章では、眼で見ることは「目」という感覚器官だけでは成立せず、感覚器官の対象(コップなど)があってはじめて「視覚」という意識が成立するという十八界の概念が説明されていました。ここまで繰り返し述べられてきた 「一つの領域は他の領域とかかわりあう中でしか存在し得ない」というインタービーイング(相互存在)の思想にもだいぶなじんできたように感じています。
また、 見る行為は眼と対象によって引き起こされる働きであると考えるとき、見る行為は「私の内側」で起こっている過程であるとも言えるのではないか、つまり、今話題の「中動態」にも通低するところがあると感じているという感想をシェアさせていただきました。みなさんからは、どんな状況であっても主体でいることができるという坂本龍一さんのエピソードや、認知科学的知見としてオートポイエーシスの概念の紹介、「叱る・叱られる」は中動態として捉えることができるのかといった興味深い問いかけをいただき、今もよい意味でのもやもやが続いています。
私たちの物事の捉え方は、言語体系によって規定されるところがあります。今の能動態・ 受動態の二項対立の文法においては、「私が意思をもってその行為に及んだ」という責任の所在を明らかにする働きがあり、弱い立場や苦しい状況に置かれている人ほど追い詰められる窮屈な感じがしています。「叱る・叱られる」とは別に、「叱るりら(仮称)」という中動態があれば世界はもう少し生きやすくなるのではないか、などととりとめのないことを考えるなどしました。
他の参加者の方が読まれた本はどれも興味深かったですが、特に『燃えつきた地図』(安部公房著)は本も映画も気になりました!今日もありがとうございました。
2023年4月1日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
恵子さん『沈まぬ太陽 御巣鷹山編』
3ルーム 難しい本を読んでいらっしゃるんだなと!
原有輝さん『共同幻想論』
本の内容とは関係ないですが、読書会後の雑談で、司会進行役を募集しているらしいので、いろいろとその話で持ち上がり、興味を持ちました。僕はどちらかというと読書会では問題児なので、難しいと思いますが(笑)
やりたい人は当番制らしいので、主催者に相談してもらえばいいようです。
tetsuさん『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』 ブレイディみかこ/著
今日は、「6 再び、母ちゃんの国にて」と「7 グッド・ラックの季節」を読み進めました。「日本は移民国家ではないが、これから英国の後を追うようになる」という一文にもあるように、英国で暮らすブレイディさん一家をめぐる出来事はほんの少し先のこの国の姿でもあると思います。また、観光客も従業員も外国の方が多くなっている湯布院の温泉街の話を読んで、軽い驚きをもって捉えている自分自身に気づき、それだけ同質性の高い社会に身を置いてきたのだなと振り返るなどしました。
ほかの参加者の方が読まれていた中では、『ハムレット』にいくつかのバージョンがあり、現在知られている作品に変遷していったと思われるという話があって興味深かったです。今日もありがとうございました。
yukiko ohabaさん『麒麟の翼』東野圭吾
最近、ハマっている東野圭吾の推理小説を読んでみました。
推理小説の楽しさは個々に起こっているパズルのピースのような出来事が
クライマックスに向けて一つの物語となって繋がっていく楽しさと
最初の章では分からない、
次の章は?次の章でも?その先は?どう繋がる?
と推理していく楽しさで。
先の分からない現代も推理小説を読むように
何が繋がって、どういう物語になる?と
ワクワクドキドキしながら待っていれば、
案外、素晴らしいストーリーが現れたりするかもよ?
と思えたりするのでした。
2023年3月29日(水/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『続 横道世之介』 吉田修一
「横道世之介」を読んで、なんとなく世之介ロス?になっていたので続編を読みました。横道世之介の最後に起きた出来事は小説の中のフィクションでなくて起きたことなのでしょうか。受け入れるには時間がかかりそうです。
続編は、世之介の周辺にいた人々のその後、コモロンのその後、あの時空港で世之介と3歳の男の子に見送りをしてもらってから27年後のところを読みました。
大学進学で東京に上京してからの人生を追いかけたので、その後がとても気になりました。
新学期の季節に。
皆でした話はchatgptの話。ラケットに過ぎないのではないか。規制が必要か。やはり人工知能の枠を出ないなど。話はつきませんでした。
Soiさん『文明崩壊・下』ジャレドダイアモンド
<本の感想>
作者が本文執筆中にはアンコールワットの文明崩壊について研究できなかったが、その後現地に赴き調査研究を行った。今回はその追記の部分を読んだ。
やはりここでも他の事例同様に、崩壊に向かう理由として、人的理由、環境的理由が主な原因らしい。アンコールワットのあるシェムリアップは一見恵まれた地、気候に思えても実際には多くの問題があったらしい。また統治方針によって市民の健康を損ねたり、不満を募らせたりと文明崩壊へのある程度パターンに当てはめられる。崩壊前の当事者たちはこの崩壊への要因を本当に予想できなかったのだろうか、もしくは見たくなかったのか。と毎章ごとに考える読書となった。
<読書会の感想>
ChatGPTについて皆さんの向き合い方を学んだり自分なりに考えるとても機会となった。
中でもこの技術は”構造力学”でいう”作用点”のような使い方をしていきたい(理解が間違っていたら申し訳ない)という意見があり、その通りだと思った。一方で支点となる自分のリテラシーは?! まずはその技術とある程度お友達になる努力をしたいと思った。
などなど思っていたところ、ニュースで”GPT-4以上の開発を6ヶ月停止要求の署名運動”とのこと。AIの世界に精通している方々もこの現象は社会にとってリスクを含むと感じているのでしょう。
文明が崩壊する過程でもこのように異議や脅威を唱える人々はきっといただろう。やはり大切なのはそのことを自分の事のように汲み取ろうとする個人個人のリテラシーの高さなのではないかなあなんてことも感じました。
tetsuさん『「気づく」とはどういうことか』 山鳥重
こころは知性・感情・意志の三要素からなるという「知情意論」の考えが、かの有名な漱石の『草枕』の冒頭に使われているという箇所が印象に残りました。
「山路を登りながら、こう考えた。
(知)智に働けば角が立つ。
(情)情に棹させば流される。
(意)意地を通せば窮屈だ。
とかくに人の世は住みにくい。」
世間を生きる上では、知性・感情・意志のどれに偏っても生きづらい、あるいはバランスが大事という「こころのありよう」を表現した名文だったのだなと解釈しました。
ちなみにこの知情意論は今の心理学的にはお蔵入りだそうです。
また、他の参加者の方の本の話題では、ゴッホの登場によって絵を描くことは職業ではなく生き方になった、絵は結果に過ぎないというお話が心に残りました。今日もありがとうございました。
2023年3月28日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
fumi2さん『100分de名著 カント 純粋理性批判』
カントの著書そのものが難しく、手始めに全体像を掴むためこの入門書を手にしました。
人の認識の仕方を吟味しつくすことで、その可能性と限界を見極めんとしたカント。
その思想は現代の国際連盟、国連へと結び付く(まだまだ不完全だが)。
決して性善説ではないだけに理性、道徳そして永遠平和という言葉に説得力がありました。
よしださん『銃・病原菌・鉄(上)』ジャレド・ダイアモンド著/倉骨彰訳
今日はまだまだプロローグを読んでいましたが、印象的だったのはコロンブスがアメリカ大陸を発見した時、コロンブスの世界とアメリカ大陸の世界という、まったく異なる2つの世界が交わったというところです。しかし残念なことに先住民は奴隷とされ現地の生活は西洋の文明によって消されていきます。
同じ星にいる同じ種の生物が、まったく異なる世界を築いている、その2つが出合う。これはロマンだろ、と思うほどにその後が残念に思います。でも、自分がコロンブス側にいたら、支配したいと思うかどうか以前に、(得体の知れない、しかしそれはお互いさま)現地人を怖いと思うだろうなとも。支配や搾取などというものは、利得を得たいなどという便益だけでは語れない行為なのだろうななんてことも思いました。
2023年3月26日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『カフカ「断食芸人」<わたし>のこと』三原弟平
古典新訳文庫で「断食芸人」を読んでみたものの?が残り、他の訳者さんがの解説本を手に取りました。断食芸人が廃れた時代の断食芸人。宗教的な意味もなく見世物としての断食芸人。本当にいたのか?と質問を受けましたが調べてもカフカの「断食芸人」が出てきていたらしいと書かれているものもあり実在したのかは定かではありません。人を檻に入れて40日の断食。肉屋の三人の見張をつけて昼も夜も断食。そういう話です。解説本は3章に分けて講義形式でした。今日読んだところはサーカスの歴史。初めは1760年頃ロンドンで職にあぶれた乗馬教官が大都市で馬の曲乗りを始めたところからだそうです。
みんなでシェアの時間に美術の話で好きな画家の話で盛り上がりました。
2023年3月26日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
tetsuさん『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』ブレイディみかこ/著
この本では、前作から引き続き「多様性」がキーワードの一つになっていると感じています。「多様性のある社会」を想像すると、互いに違いを認めあう争いのないイメージを想像してしまいがちですが、実際には異質な者同士が混在する場は衝突や葛藤の連続です。異質なものを安易に排除せず、同じ場に居続けるためには「他者の靴を履く」(イギリスのことわざ)こと、つまりどこまで相手の身になって考えることができるかがカギになることをこの本は示しているように思います(まだ途中ですが)。私自身、どうにも考え方の合わない間柄に悩むことがありますが、一緒にいることではじめて世界は変えていけるもの、その過程において反発し合うことがあってもいいのだと肯定してもらえているようにも感じられました。
感想の共有をご一緒させていただいた方々の読まれた本(の箇所)は、芸術分野という点において共通性があったように思います。文学も絵画も脚本も、作り手の来し方や時代背景を知ることも含めて、その作品をあじわうということなのだとあらためて実感しました。今日もありがとうございました。
2023年3月25日(日/夜):書きたいことを気ままに書く会
- 書く会の感想
- 書いたものについて
fumi2さん
1. 初企画に初参加、緊張しながらも楽しめました
2. スピリチュラアル、信じることの大切さと危険性について、自身の周りの実話と様々な人の知見を交えて書きました
匿名さん
1. 2023年1〜3月の振り返りの意味を込めて、この3ヶ月の出来ごと、気持ちの変化、生活の手応えについて文章にしてみました。話し言葉は消えてしまいますが、書き言葉は後から読んで、自分の気持ち・考えを眺められるのでいいなと思いました。
書いている時間は、静かで穏やかなものでした。
2023年3月25日(土/午前):読書のもやもやについて話す時間「仏教を実際の生活で実践するには?」
今回のテーマは「仏教を実際の生活で実践するには?」でした。
原有輝さん
原始仏教は実践が難しい部分もあるが、マインドフルネスなど普遍性もあると思いました。
Takashiさん
不安や苦しみは無くしたいけど、美味しいものを食べたりWBC見て喜んだりもしたい。これって欲張りなんでしょうか。もやもやしますね~~。
tetsuさん
仏陀の言葉に「愛する人をつくるな。愛する人を失うのはわざわいである。愛する人も憎む人もいない人々には、 わずらいの絆が存在しない。」という言葉があるということが驚きでした。これには「思い通りにいかなくて苦しいのなら、いっそのこと…!」みたいな極論としかとらえられず、たしかにもやもやとしました。
後から少し調べていて、原始仏教で指す「愛」は我欲・執着としての愛欲を指していて、西洋的な慈愛とは異なるという説明を目にしました。また、そうでなかったのだとしても、教えというのは誰かに授けられ、委ねられる中でアップデートされていくものだと思います。
原始仏教の示す通り、人生は思い通りにならないし、大事な人ともずっと一緒にはいられない。だからこそ、限りある今このときに感謝の念をもって過ごしていくことが大事なのだと受け取りたいと思いました。興味深いもやもやをありがとうございました。
田中さん
・現代とブッダの時代との状況の違いはある。
全てを自分の生活で実践することは可能か?例えば、束縛の絆を断ち切ることは可能か?
・フロイトの快楽の分析と、ブッダの快楽の分析の違いは何か?
・自分の心の平穏を得るために、原始仏教は本当にヒントをもたらすか?(他に参考にすべき思想はないか?)
・原始仏教を現代の生活に適用した先行研究はないか?
2023年3月24日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
うさじさん『偶然の散歩』森田真生
本日もありがとうございました。平日の夜でしたが、有意義に過ごすことができました。
yuさん『全ての美しい馬』コーマック・マッカーシー
登場人物は主人公の16歳の少年と友人、13歳くらいの身元がわからない少年。テキサスからメキシコまで馬で行くんだけど、そんな西部劇の時代でもない。読んでいたらお金の価値ってなんなんだろうと思えてきました。
それより大事なことってあるよねって。
一文が長くて鉤括弧がない。
他の人が読まれていた本で、「盆土産」があったのですが、それは、鉤括弧がない部分は読み手が鉤括弧をつけないことによって感情移入をしやすいと学習指導要領に書いてあったそうです。この本は、全部ないってどういう効果なのかな?と思いました。
2023年3月22日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『銃・病原菌・鉄(上)』ジャレド・ダイアモンド著/倉骨彰訳
少しだけ読んで積んでいた本ですが、なんだか遠くを見たくなって今日手に取ってみました。
プロローグを読んだのでこの本の主題的なことが書かれていたのですが、著者がパプアニューギニアで研究していたときに現地の政治的指導者から素朴に質問されたこのような問いについて応える本でもあるようです。
「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」(P24)
文化が奪われるとはどのような気持ちなのだろうと思いました。人間にとって大事なものとはなんなのだろうか。
読書会ではChatGPTの話も少し出ました。いろいろ触りながらAIとか人間とか、その両者の関係とか、いろいろ話せる会を開けたらおもしろいのではないかと思いました。
2023年3月19日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
Soi Tomsonさん『クルアーンを読む カリフとキリスト』田中考・橋爪大三郎
<本について>
イスラーム研究者であり『日亜対訳 クルアーン』の監修者である中田考と社会学者の橋爪大三郎との対談集。前半はイスラム教、ユダヤ教、キリスト教と比較しながら橋爪さんが質問し、田中さんがこたえる形式で書かれています。敬虔なイスラム教徒による内側から見た解釈を知ることができます。
<本の感想>
本日読んだ部分はキリスト教の新約聖書、ユダヤ教の旧約聖書は編集された読み物であるが、イスラム教のクルアーン(コーラン)は神と一体らしい。よくわからない。しかし、コルアーン自体はムハンマド自身が口承で伝えまとめられたものが基本であるらしい。内容の順番も厳格に決められているという。(所説あり)
田中さんのなんだか緊張感のある説明を読み進める中で、外部の視点からあーだこーだと言えないなぁと感じた。
<読書会の感想>
たくさんの方々にご参加いただいたにも関わらずネット環境のトラブルでご迷惑をおかけしてしまいました。大変失礼いたしました。
ご参加された方に大貫妙子のアルバムをおすすめいただき久しぶりに聴きました。時間を経ても色あせてない彼女の作品でした。そして懐かしさにノスタルジックな気持ちになりました。
yuさん『重力と恩寵』シモーヌ・ヴェイユ
ティボン版の訳で読みました。彼女の著作でもっとも読まれているようです。雑記帳カイエからの抜粋で、多分生きていく上で大事なことが書かれているように思えました。真空って考えが重要のようです。神の概念が出てきて、神についてはなかなか理解が難しいなと感じました。
2023年3月19日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
tetsuさん『ニワトリと卵と、息子の思春期』 繁延あづさ (著)
近頃何冊かを併読していてそのどれもが読み終わらない中、この本は一日で読み切ることができました。それだけこの実在の物語には読み手をぐいぐいと引きこんでくれるストレートな魅力が詰まっています。それは、ニワトリという知っているようで知らない生き物との暮らし、思春期にある長男の突き刺さるような言動、儘ならない子育てと身体性も含めた母としての著者自身の在り方をめぐる心情の動きなど、実際に体験をするからこそ得られるものであると思います。生き物と触れ合うことは、私たち人間も例外ではなく生と死と再生の循環の中にいる動物であることを気づかせてくれるきっかけを与えてくれるものであり、そしてそのつながりを体感することは、安易な表現になりますが「豊かさ」と紐づいているように感じました。
また、他の参加者の方が読まれていた本では、聾学校で音楽を教えようとする教師の物語、地域の中でのいわばカウンセラー役を担ってきたイタコについてのお話が興味深かったです。今日はご家族で読書会に参加された方もおられ、ご紹介された本の内容も含めて新鮮で楽しかったです。ありがとうございました。
2023年3月15日(水/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『田舎医者/断食芸人/流刑地で』 カフカ
8話ありました。その中の「ボイラーマン」を途中まで読みました。16歳の少年が船から降りようとした時に雨傘を船室に忘れたことを思い出し取りに戻るところから話が?というふうに展開していきました。
共有の時間で中動態と当事者研究の対話の本から、「中動態」の概念って今はないだけにどう捉えていいかと思いましたが何かいい概念のような気もしています。
2023年3月12日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『すべての美しい馬』コーマック・マッカーシー
1949年のアメリカ。メキシコまで16歳の少年が馬でむかう。少年の行動が大人じみていて少年に感じない。野生の馬や途中で合流する得体の知れない少年も馬に乗っている。細かな描写や街の荒々しい雰囲気などで面白くなってきたところです。
みなさんとは障がいやいろいろな宗教の話をしました。外国にも本音と建前ってあるのかな?
2023年3月12日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yukiko ohabaさん『新参者』
気分が落ち込んだん時に読むオススメの本は?
とチャットGPTに質問したら
オススメしてくれた本です。
さすが東野圭吾。
文句なく面白かったです。
ドラマ化、映画化した理由が分かりました!
「新参者」という時代小説が藤井邦夫さんが書かれていますが、
それを踏襲して書かれているのでは?と思いましたが、
藤井さんの方の「新参者」は読んでいないので、
あくまでもそうではないかなあという主観です。
東野圭吾さんの小説だから皆さん読んでいますよね?
的なアプローチは人に本の説明をする上でよくないなーと感想の共有の場で思いました。
「新参者」の中で起こる
殺人事件の説明をするのに
絞殺なのに銃殺と話したまま
訂正しないで読書会終了。
(被害者は駒のひもで絞殺されています。
絞殺=ジュウサツと読んでいました。読み間違いです。頭の中では
ちゃんと首を絞められている画面が思い浮んでいました。)
今、気づきました。
AIでは考えられない間違い。
人間ならではの間違いで申し訳ございませんと
お詫びして、ご容赦頂きたいです。
2023年3月5日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『クオーレ』
6月の今月のお話し「遭難」以降、読書会後も少し読んで読了しました。子供達の可愛らしい様子や親子のやり取りなど書かれていて、教室で訓話みたいな話を月一で聞くような構成でした。訓話の最後が友達のために命を投げ出した少年の話。ええ。話としては立派だけど辛いなあ。あとがきでナタリア・ギンズブルグが「今日では読むに耐えない」と批判しているのは、現実感という点においてかなあなどど考えたり批判も絶えないけど読み継がれてきているっていうのも気になる本であるってことかなあと考えたりしました。
あとのかたは文化人類学や研究の本を読んであり、後書きの参考文献に著者がいちいちコメントを入れているというのをみてみたいなと思いました。
2023年3月5日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん『湯殿山の哲学』
本書の感想ではなく、他の参加者の話の感想ですが、うつや引きこもりやニートにもいろいろ種類があって、本当に無気力な人ももちろんいるけど、隠れた情熱や、エネルギーに満ちあふれていて、災害などのボランティアに精を出す人も多いというのが印象的でした。
yuさん『クオーレ』 デ・アミーチス
イタリアの子供向けの小説です。1886年に出版されたそうです。その頃の子供は大人の5分の一の賃金で平均15時間労働していたそうです。日記のように日付と出来事が書いてあります。今日は3月のところを読みました。病気の左官屋の子供に物語を届けるために書き写された物語。「ロマーニャの血」。おばあさんと孫が強盗に押し入られた話でした。この話を病気の子供に届ける感覚を当時の人に聞いてみたいなと思いました。
また、小川洋子さんの「猫をだいて像と泳ぐ」を読み始めたかたがいて読んだことある本だったのにあらすじを忘れているなあともう一度読みたくなりました。会が終了後も残って話をしました。
Takashiさん『道徳の系譜』ニーチェ
ニーチェはとにかくサービス精神が旺盛なので、強い言葉が多くて眩暈がする。しかし、何度か読むうちに頭の中が整理されてくるのだ。これは一種の快感であり、ニーチェの文章は特にこの感覚を強く味うことができる。
本文を一部要約したものを紹介する。
・上位の者が下位の者にもつ支配的感情が「よい」と「わるい」の対立の起源だ。
・惨めなる者のみが善き者であるという教えは「道徳上の奴隷一揆」だ。
・奴隷精神はまず「悪人」をつくり、次にその対照として奴隷自身が「善人」となる。
・刑罰は悪人に苦痛を与えることであり、非力な者に何の躊躇もなく自己の力を放出できるという残虐な愉悦であり、それはご馳走である。
こんな感じのどきどきする言葉が次から次へと現れる。そりゃあ眩暈もします。
2023年3月4日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
てらもっち7等兵さん『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』
人々の統計的な集団、遺伝傾向としての振る舞いが、今の企業活動に影響を与えるというのが興味深い。まだ途中までしか読んでおらず未読了なので、しっかりと読み込みたい。
2023年3月1日(水/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『クオーレ』 デ・アミーチス
1886年出版のイタリアの児童文学のようです。「母を訪ねて」の原作が収録されています。
今日読んだのは、「フィレンツエの小さな代筆屋」です。日記のように何月何日とあります。貧しい一家の物語で12歳の少年と家族の話です。少年は家族のために自分の善行を隠すのですが・・・直接目に見えることだけで物事を見てしまうなと思ったりしました。少し教訓めいている気もしました。小人と靴屋を私は思い浮かべました。「ごんぎつね」を連想したという感想もいただきました。
2023年2月26日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『すべての美しい馬』コーマック・マッカーシー
アメリカ文学。第二次世界大戦後、16歳の少年が祖父の死後、馬と共にメキシコに越境する話です。目次がなく、会話の鉤括弧がなく心理描写も少なく淡々と出来事が書かれています。今日は2章を読みました。14頭くらいの野生馬を少年が馴らす場面で馬の動きのしなやかさだとかその場の雰囲気だとかが細かに書かれているところでした。少年がここまで友人と二人で旅できるのかなと今のところ不思議です。
皆で話した時にルワンダの話になり、本に書かれているツチ族とフツ族の関係がネットと逆?かもしれないという話になり情報はわからないものだと思いました。
2023年2月26日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん『過去と和解するための哲学』
過去と和解することを問う本書ですが、まだ途中までしか読んでいないのでよくわかりません。ただ、あらゆる現実は過去であり、過去を振り返るのも、少しは積極的に意味があるということがわかりました。また、年を取ると過去が薄まってこだわりをあきらめるようになり、多少時間で癒される部分があるようです。ただ、気が付くと無意識に過去の古い問題と格闘していることがあり、時々はそれを手放すことも大切なようです。
2023年2月25日(土/午前):読書のもやもやについて話す時間「ポジティブなもやもやとネガティブなもやもやとは何か。」
今回のテーマは「ポジティブなもやもやとネガティブなもやもやとは何か。」でした。
2023年2月24日(金/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『ミゲル・ストリート』V.S.ナイポール
2001年のノーベル賞作家の初めての作品でした。年齢はわからないけど子供の僕の視点から十六人の大人たちの様子と近所の人々の付き合いが描かれている。
参加者の中で読んだ方がいて、読んだときはしょうもない大人の話だと思ってたけど話していると子供目線で貧困とか人に言えない仕事のことなどが書いてあって深い話だったのかもしれないという感想をいただきました。
翻訳文学だけど難しい文体ではないので読みやすいと思いました。
参加者の中で、「本を読む時間は必要か」という疑問をお持ちの方がいらっしやいました。ゆるく本を読む時間は、あえて作るのが私は必要だなと思っています。皆の前でうまく説明は難しいけれど少しでも読み進められたりする時間はありがたいし、反応も貴重だなと思いました。
2023年2月22日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
ロジカルさん『人間はたったの4タイプ』
自分がどのタイプか知るのに、自分の主観で選ぶとロジカルなんだなと思いました。
yuさん『風の王国』五木寛之
昭和60年代の小説。
文化人類学の参考文献が4pくらいある。
講という宗教団体。流民のネットワークがあり、巨大企業あり、暴力団あり。各国に離散した文化財あり。歴史あり。盛りだくさんの内容でした。流民の暮らしの様子などありそうでないような面食らう内容もありました。壮大なドラマでした。今日読んだところは終盤です。
読書会後ミニモヤモヤの会をしました。「自由と責任について」。
おおにしさん『アメリカ現代思想の教室』岡本裕一朗
今日は、序章と第6章について読んでみた。
序章では、トランプ大統領のポリティカル・コレクトネス(PC)批判が巻き起こした、アメリカ世論の混乱について語られている。本書ではトランプ革命がアメリカ政治思想に及ぼした影響について、アメリカの現代思想史を振り返りながら論じているようだ。
現代思想史のパートは飛ばして、第六章で書かれているこれからのアメリカの政治思想について先に読んでみた。
トレンドは「ポスト資本主義」で、階層社会、独占企業を解体して、共有型社会、金融システムの国有化を目指す、一種の社会主義。他にも加速主義という資本主義を加速発展させることでブレイクスルーしようという思想もでてくる。
どちらにせよ、テクノロジーの急速な発展を進めながら社会変革を行っていくという発想がベースになっている。
上手くいけばベイシックインカムで人々が過酷な労働から開放される自由な未来社会の到来となるが、一つ間違えればAIを使って支配するエリート層と支配される大衆に分かれるカースト社会の到来になりそうで、とても恐ろしいと思う。
2023年2月19日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『風の王国』五木寛之
流浪の民が題材で取り上げられているらしい。
あらすじを読んでも何が書かれているのか分かりにくい。仁徳天皇陵に夜集まる異形の遍路たち?
文化人類学を土台にした歴史ファンタジーなのかな。講という組織とそれを設立した人の唯一の子孫である速水卓がルーツを辿って行っているところを読みました。それにしてもフェラーリだとかマセラティだとか登場人物の乗っている車が尋常でない。
2023年2月19日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
うさじさん『標準精神医学』医学書院
本日もありがとうございました。
・幸せになるために必要なこと
・今までの場を超えて人とのつながりを大切にすること
・発達障害について
・日常に生きづらさをかかえても、自分の光をもつこと
・意識とは何か
などなど色々な学びがあって楽しかったです。
Yukiko Ohba『あのこは貴族』
東京には見えない階級差があるということを題材を描いたお話です。
となると階級と階級の対立というお話になりそうですが、
そのようなものではなく、どの階級に属していても
自分が抱える悩みは自分で解決するしかなく、
それを乗り越えて行くには、狭いコミュニティのいつもの人といつもの会話をし
いつもと同じ日常を送っていては問題は解決しませんよという
メッセージが込められています。
岡田斗司夫さんがこの小説をユーチューブでオススメしていた
意味が分かりました。
軽い読み物として、でも内容は奥深い小説です。
2023年2月15日(水/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
うさじさん『いちばんよくわかる!基本のおかず』 GAKKEN
和食の味付けに関しては、しょうゆ、砂糖、酒、みりんのバランスで乗り切れそうだということが分かりました。本日もありがとうございました。
yuさん『侍』 遠藤周作
小説です。1600年代に日本に来た宣教師が通辞として ノベスパニア・イスパニアとの貿易のために日本人の侍と商人を彼の地へと送った話。今日は、たどり着いた日本人たちを正式な使節団とするか。日本で30年布教をしたがキリスト教は日本に合わなかったという宣教師同士の問答のところを読みました。なぜ日本にはキリスト教が根付かなかったかの分析が詳しく書かれていたのが印象深かったです。
2023年2月12日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『侍』
「沈黙」の次に書かれた遠藤周作さんの小説です。鎖国前にローマ法王への親書を携えて海を渡った侍がいたそうです。史実とフィクション交えているそうですが、侍の行動はそのほとんど全てが事実と後書にありました。
作者も戦後最初の留学生で、ヨーロッパに向けて海を渡ってありその時の体験が船の描写に生かしてあるそう。鯨が出てきたり嵐にあったりして港にたどり着いたところを今日は読みました。急に君主に命令されて異国へ行くってどんな気持ちだろう。急に転勤を命じられるようなものかもしれないですが、なんせ昔なので未知すぎて、生きて戻れるかもわからないし、怖かっただろうなと思います。
神はいるのか。日本にはキリスト教は根付かないのか。
2023年2月12日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
yukaさん『群集心理』ルボン
今回読んだ本の3世紀ほど?前に書かれた本や逆に少しあとのヨーロッパにまつわる本について他の方が紹介されており、関連するかも/違いがあり面白いかもというポイントがありました。今回読んだ著者の主張や論考は、その著者が生きた時代背景や地域性(19〜20世紀初頭の、市民革命や産業革命を経験したフランス)にも影響を受けていると思われますが、歴史的な背景や教訓、考え方を知るひとつの読み物として、手にとってよかったかなと感じました。
2023年2月11日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
原有輝さん『慈悲』中村元
慈悲は仏教の道徳ですが、その萌芽は友情や愛情など、誰でもありそうな気がします。多くの人は、誰かに何か与えたい気持ちを少しは持っているでしょうから。しっかり愛された人は、しっかり愛せる人になるでしょうから。愛し愛されることで、社会秩序が成り立っていると思います。ただ無関心ということも大切で、何にでも心を動かされる訳にもいきませんが。
Takashiさん『思考の整理学』外山滋比古著
言わずと知れたベストセラーだ。
読書の種類や読み方について書かれており、大変面白かった。論旨の展開も分かりやすいし、とにかく簡潔だ。読み始めたらやめられないとまらない、である。昔何度か読んだはずなのに新鮮な印象を受けたのは、私の記憶力の無さと文章の素晴らしさの両方に理由があるのだろう。
個人的には、難解な文章であってもあきらめずに読んでみようという気持ちになった。
Haruoさん『夢も見ずに眠った。』
結婚や一緒に暮らすことへのハードルが上がっているという趣旨のつぶやきが、登場人物から漏れるのだが、そうなのだろうか?と思う。それは、その人がどういう階層にいるか?とか、どういう信条を持っているか?等によるだろう、と思った。そうか、そういうことか。この言葉を漏らしたのは、仕事をバリバリこなし、単身赴任となっても家族と離れて転勤できるくらいの女性だ。なるほど、こういう人物が所属する社会のルールにおいては、そうなんだろう。そして、そういう女性が離婚した男性と縒りを戻そうとする時の、面倒なことには関与しないよ、というのがこの話のラストだろうか。
2023年2月8日(水/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『生きるということ 新装版』エーリッヒ・フロム著/佐野哲郎訳
この本は「持つこと(to have)」と「あること(to be)」を対立させながら書かれています。
「持つ」ことは、あらゆるものを名詞化したうえで「持つ」という観念的な行為にいたります。物やお金はもちろんそうですが、もしかしたら人脈というものも持つ側の考え方によるものなのかもしれません。
「ある」ことは、ただあるのですから、自然と動詞的なもの言いになります。持つ側の例で出した人脈で比較すると「ある」側では、人と会った・話した聞いた・一緒に活動した、などと言うことになるのだと思います。
個人主義的な社会では、いろんなものを持たざるをえないし、思い返してみれば学歴などというものを持たされてきたな、などと。「ある」ことの方が変化に富んでいるのだろうと思いました。
2023年2月5日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会
Yamamotoさん『超ミニマル主義』四角大輔
10年くらい前の自分が持っているモノ・コトの量と、今の自分が持っているモノ・コトの量を比較してみたのですが、実はそんなに変わっていませんでした。今の時代は「君たちは沢山のモノ・コト・情報に囲まれすぎていている」と思い込まさせられている時代なのかもしれない、とこの本を読んで思いました。
てらもっちさん『WILDER MANN』
欧州にも日本の鬼と同様に仮装文化があることが気になった。
自分の想像が試された感もあり、なんとなく心地いい。
こんな仮装をして街を歩きたい。
祭りの非日常性、カオスは、もしかしたら、民族や国を超えた平和に役に立つのかも。
旅に来ている中国、台湾、韓国をはじめとする海外の方々には丁寧に接そうと思う。
yuさん『雨に打たれて』
アンネマリー・シュヴァルツェンバッハ作。スイスの女性作家。長い名前だなあ。
90年前くらいに生まれた人です。
ナチに迎合する両親に反発して同性の恋人と共に中近東を旅したスイス人作家。14個の短編集です。出版された時、勧められたのて手に取りました。今日は、初めの「約束の地」を途中まで読みました。パレスチナの港へ向かう船の上でイースターを祝う。ハイファでタクシーに乗り運転手との何気ない会話からも当時の様子が窺える気がしました。若くして死んでしまった後に母親から遺作は暖炉にくべられてしまったそうです。
他の方とは地震や、海外生活についての話をしたりしました。
2023年2月5日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
うさじさん『標準精神医学』医学書院
本日も色々な会話ができて楽しかったです。
ありがとうございました。
まなびや気づき
・意識ってなんだろう?
・本の解説書と原書と内容にちがいがある
・眠たい時だけ寝床に行くことで不眠症を改善
・こころを元気にすることばを小さい頃から知っておくことは大切(アンパンマン)
Takashiさん『死に至る病』キェルケゴール著
「死に至る病」の解説動画を見た。でも、多くの動画が本書に書かれていないことを挙げていて、それなのに似た話が多かった。解説は正しいのだろうけれど何故そうなっているのか興味が湧いた。
おそらく理由は受験参考書にある。本屋でいくつかの倫理の受験参考書を見たところ、動画のストーリーと同じことが書かれていた。出どころはここだ。この解説が世間のキェルケゴール像の定番になっている。
私の感想だが、本書は、自分が自分についている二重三重の嘘をどんどん引き剥がしていく痛快で熱い本だ。受験問題の正解は変えられないとしても、動画解説の人には是非そういった面も、ちょっと解説して頂ければいいなと思う。
2023年1月31日(火/午前):読みたい本を気ままに読む読書会
おおにしさん『世界史との対話(上)』小川幸司
世界史との対話(上) 小川幸司 第8講 歴史のなかのイエスを探す
最初に、イエスは西暦元年ではなく前4年頃に生まれたと書いてあり驚く。
本書ではくわしく触れられていないが、現在の歴史研究者はイエスの生年を前4年ごろと考えているようだ。
生年だけでなく、新訳聖書や現存するイエスの語録などの記述を比較したり、言及されている出来事の年代と照らし合わせることで歴史の中のイエス像づくりが今も行われている。
4大福音書は編さん者の違いで内容にも大きな違いがある。
「マルコの福音書」はイエスの語録を中心にまとめられており、
”はじめにことばあった。”という文章始まる「ヨハネの福音書」は西洋思想のルーツの1つとなった。
一方で世界は善と悪の神の戦いの場であるという記述のある「トマスの福音書」は異端とされて新訳聖書に含まれなかった。(ゾロアスター教との関連性あり?)
ローマ帝国はキリスト教を国教にしてから、一人の人間から救世主という強い存在へイエス像を作り上げていき、新約聖書の言葉を権力の都合のいいように解釈して統治に利用した。そしてローマ帝国の領土拡大とともにキリスト教も一気に広まっていったのだった。
*イエスの布教活動はたった2年間であり、直弟子も10数名で直接イエスの言葉を聞いた人はもしかすると1万人足らずだったかもしれません。人間イエスの言葉から生まれたキリスト教が世界人口の30%を信者に持つ大宗教に発展していった事実には驚きます。
イエスは実際にはどんな人生を送ったのでしょうか。歴史の中のイエスについてもっと知りたいと思いました。
2023年1月29日:読書のもやもやについて話す時間「読書と現実(悩み)」
今回の主に「読書と現実(悩み)」というテーマで話されました。
原有輝さん
読書が生活を反映しており、読み方次第では立派に現実の回答にもなり得るというところに、感銘を受けました。わからないことを人に聞いたり、相談したり、深い話をするばかりでは解決しない、自分の問題があるのだと知りました。
2023年1月22日:読みたい本を気ままに読む読書会
うさじさん『標準精神医学』
会話の中で、「自分らしさとは何か?」という問いが出ました。
・自分らしいと定義する・されること自体に意義を感じられない。
・他者との相互関係で決まってくるのではないか。
・自分らしいと感じるものも、時間や状況によって変化するのではないか。
など、色んな意見が出たことが楽しかったです。
本日もありがとうございました。
2023年1月18日:読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『バナナの魅力を100文字で伝えてください』
作者は編集者でキャッチコピーや本のタイトル次第で売り上げが異なる話が出てくる。伝えると伝わるの違いがそうだなあと思いながら読みました。タイトルの問題は5章の今でもまだ出てきていないけど本を読むきっかけなだけで出でこないかもしれないと思い始めています。また伝わらないやわからないときに質問する力もいるなあと思ったり。
てらもっち7等兵『資本主義の新しい形』諸富徹
非物質主義的展開との内容で、工場のような物理的生産から、知識などのような情報的生産に資本の比重が移ったことが語られていた。
脱炭素化についても非物質主義的展開と同様に重要な展開であるとのこと、また脱炭素化と経済成長は両立しうると記載があった。
この両立については、読書会内でも議論があったが、資本主義の成長と脱炭素化によるエネルギー節約の両立が難しいと考える自分は、これについては、懐疑的であった。
共産主義、資本主義に変わる何かが必要。という話もあり、自分は地域経済資本主義のような地域分散化と、貨幣のあり方の変容が必要である。といういつも通りの話をしたが、どのように変容させるかの方法論がまだ見出せていない以上、空論としか言いようがない。
Soi Tomson『文明崩壊』ジャレド ダイアモンド 楡井浩一訳
<本書について>中米のマヤ文明、ポリネシアのイースター島など歴史に残る文明社会がなぜ消滅してしまったのか検証し、それぞれの崩壊の工程での共通点が述べられている。
<感想>今日は第一章を読んだ。著者が身近に感じているアメリカモンタナ州の問題を取り上げられている。モンタナは緑豊かで自然資源に恵まれた土地である。そこでの第一産業であった鉱業、林業が引き起こす水質汚染、環境破壊問題について述べられていた。作者はマヤ文明などの大きな文明崩壊と比較してモンタナは問題の最も少ないケースだと前置きしながら内容は悲惨であった。大文明の崩壊はどれだけ大惨事だったのだろうか。
本日の読書では、本書の主要な問いの一つである ”どの社会のどの個人や集団であれ、社会全体に有害なことを、そうと知りながら行うのはなぜか” について考察する時間となった。
人間は自分に都合よく考えることが得意で、また思考の中のある部分を切り離すことも得意である。または資本主義社会の目的である、金儲けを最優先に考えるなど、その考慮の不十分さが悲惨なことにつながるのではないか。はじまりはある個人的、または小さな社会から始められた無鉄砲な行いは悲惨な結末を迎えた時には国もしくは世界全体の一人一人にまで被害が及ぶ可能性があるということを改めて理解した。
Haruo『モダンラブ さまざまな愛のかたち』
副タイトルにもあるように、愛にはさまざまな愛のかたちがあるのだと思う。「ある」というのは、世の中にある、という意味でもあるし、自分の身に起こりうる、という意味でもある。
21の物語のうちの一つ、「カリフォルニアキングサイズのベッド」を読んだ。幼い子二人を抱えて生活せねばならない状況、そうした中にあっても新しいパートナーを欲し、関係を取り結ぼうとする努力。「真剣につき合うことになった相手を子どもに紹介するのは、交際期間が六カ月過ぎてからにするということを離婚合意書にも文章できちんと付け加えていた」というのは、いかにもアメリカ、いかにもニューヨーカーな感じがする。でも、私たち日本人にしたって、そういうのを明確にしておいた方が余分な混乱を招かなくてよいかも。子ども達からの愛情を考えれば、自分が受けてきた愛情が少なかった、ということは決してない、というのはとても共感できる。
2023年1月13日:読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『こびとが打ち上げた小さなボール』
韓国文学です。小説で立退問題や労働問題と貧困層、中間層、富裕層それぞれの視点から物語が並行的に進んでいきます。立退といえばなんとなく「JR上野公園前。。」を思い出しながら読んでいました。またこびとは靴屋的な存在でなく家族のお父さんです。
2023年1月11日:読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『ストーリーが世界を滅ぼす ―物語があなたの脳を操作する』ジョナサン・ゴットシャル著/月谷真紀訳
なにかを記憶するとき、物語をつくりながらそこに記憶しなければいけないことをまぶすと記憶できるという技術があるらしいです。それくらい人の脳や心とストーリーというのは相性がいいのだと思います。しかしだからこそ危険、というのがこの本の趣旨なのだと思います。論理が通っているからといって正しいとはいえない。人はどうやって生きているのかということの延長で物語性に興味が湧いてきて読んでみています。
2022年12月28日:読みたい本を気ままに読む読書会
ハラ タカシさん『食べものから学ぶ世界史 人も自然も壊さない経済とは?』(平賀 緑)
この本は、岩波ジュニア新書、つまり、高校性向けの本です。
しかし、その内容は大人の私にも目を開かせてくれました。
ジュニア新書ですから、本の内容を解説するのではなく、本文冒頭と「おわり」の一部を紹介するだけで、この本の面白さが伝わると思います。
以下の冒頭で、いきなり「拳骨」を食らいました。
農耕の「神話」と穀物の役割
学校ではこう教わったと思います。
人類は長い年月、狩猟採集によって。つまり野生の動植物を集めて採って、捕まえて、食を得ていた。その後、今から約1万年前に農耕と牧畜を開始した。(中略)人びとは村をつくって定住するようになり、農耕と牧畜によって食料を増産できるようになったことから、王や貴族、神官、商人、職人など自らは食料を生産しない人たちも支えることができるようになり、やがて文明が起こり、都市、そして国家が成立した。このように農耕と牧畜によって人類は発展することができた、などと。
「神話」のように信じられてきたこの歴史観に、疑問を打ち出した説があります。(中略)日本語にも翻訳され『反穀物の人類史』というタイトルで出版されています。
こ(れら)の本は穀物に逆らって、つまり、農耕を始めたことによって人類は文明を発展させ前進させてきたという通説に逆らって、問い直しています。むしろ穀物が選ばれたのは、支配する側にとって都合が良かったのではないか。
(中略)
考えてみてください。この地球上には人間が食べられる植物が多種多様に存在するのに、なぜ、小麦、大麦、コメ、トウモロコシという4つの作物が「主食」と呼ばれ、世界のカロリー消費の過半数を占めるほどになったのでしょうか。多様性に富む方が自然にも人にも健康のためには望ましいのに。作物も動物も人間も、単一栽培や家畜化や都市化によって「蜜」になることで、病原体の繁殖と変異を許してしまうのに。
目次を紹介します。
はじめに
序章・食べものから資本主義を学ぶとは
1章・農耕の始まりから近代世界システムの形成まで
2章・山積み小麦と失業者たち
3章・食べ過ぎの「デブの帝国」へ
4章・世界の半分が飢えるのはなぜ?
5章・日本における食と資本主うの歴史
6章・中国のブタとグローバリゼーショーン(1970年代~現在)
おわりに
以下は、「おわりに」の書き出しです。
私は農家の出身でも、有機栽培や自然食品を選んでいた家庭の出身ではありません。父はサラリーマン、母は専業主婦で、子どものころの朝ご飯は、白い小麦パンにマーガリンやジャム、卵料理、果物、それに多国籍アグリビジネスの商品「強い子のミロ」という、戦後日本の典型的な食生活?でした。ただ、広島の田舎へ引っ越したあと、両親は素人ながらも家庭菜園はじめてくれました。(中略)私が東京の大学に入り下宿生活を始めたとき、スーパーで買ったきたホウレンソウを炒めて食べて「マズイ!」と思ったのが原体験のひとつでした。・・・
著者の平賀緑さんは、以下のYoutubeで知りました。
平賀緑×宮台真司×神保哲生:この食料危機に食のグローバル化リスクを再考する【ダイジェスト】(10分25秒)https://www.youtube.com/watch?v=g7oc3MfGLMo
ビデオ開始から1分10秒あたりで、著者の紹介が始まります。
2022年12月27日:読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『生きるということ 新装版』エーリッヒ・フロム著/佐野哲郎訳
ちょっとだけ読み進めていたのですが、よくわからなくなったので、また最初から読み始めました。なんとなく、物質的に豊かになっても幸福にはならない、と嘆いているように感じた著者・フロムとこの本の背景を調べたくなり調べていました。
原著が書かれたのはおそらく1976年(はじめに、の日付がそうでした)なので、アメリカではたぶん日本よりもさらに自動車や家電などは行き渡っていたように想像します。フロムが生まれたのは1900年・ドイツで、1933年にアメリカに渡り帰化したとのこと。ナチ党が政権を握ったのが1933年らしいので、それをうけてのアメリカへの帰化なのだと理解しました。
フロムは精神分析を専門とするようなので実際に患者さんに向き合ってもいたのではないかと思います。物質的には豊かになってはいるのに、幸福になっているようにはみえない(本の中では幸福ではなく福利と表現されています)。これは僕の解釈も含まれますが、モノにひたすら豊かさを求める様は、ナチス時代に起きた全体主義とも重なってみえていたのではないかとも思いました。
今回読んだなかで印象に残った言葉は「徹底的快楽主義」。中世までは衣食住などにおいて欲しいだけ得ることができたのは、一部の限られた階級の人たちだけでした。それが産業革命以降は大衆がそれを求めることができるようになります。そうした背景もあり、社会は徹底的快楽主義を社会思想として敷いていくことになる。
産業革命以前は、徹底的快楽主義を(物質的豊かさという意味で)唱える哲学者や思想家はいなかったのだそうです。それは大衆がそれを求めるのが不可能だったからなのか、それを求めても幸福にならないのが明らかだった・既に分かっていたからなのかは分かりません。後者が理由で唱えられなかったとするのがきれいな話ですが、その世界観がみえていないのに自明とするのは少し無理があるようにも思えます。
今は何主義なのだろうなと思いました。バブルの頃は、先日もテレビでその頃の様子を見ていましたが、徹底的快楽主義であったように思えます。しかし今はそこまで徹底してもいないし、モノに快楽を求めるようなところもあるようには思えません。今は何主義なのだろうか、ということをぼんやりと考えて終わりました。
2022年12月25日:読みたい本を気ままに読む読書会
うさじさん『標準精神医学』医学書院
まなび・気づき
・精神医学は、心理学だけでは補いきれない心理現象も扱っている。
・知識や考え方をシェアする時間を大切にする。
・人と争わないしくみをつくる。
・住む場所を変えることで、言葉では語られないものも含めて新しい気づきが生まれる。
本日もありがとうございました。
2022年12月24日:読書のもやもやについて話す時間
任意で持ち寄られたテーマを行ったり来たりするように話されました。
〈持ち寄られたテーマ〉
・あなたにとってコミュニテイとは何ですか?
・コミュニケーションとディスカッション
・孤独感について
・ポストモダンとは?
・戦争が始まったらあなたはどうしますか?
2022年12月23日:読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『朗読者』
ドイツの作家で法律家のベルンハルト・シュリンクの本を読みました。映画は「愛を読む人」2008年です。文庫が出ています。今日読んだところは、主人公の昔の突然姿を消した恋人と法廷で再会というより、傍聴していたら被告として裁判にかけられていた場面です。何人か被告がいますが、彼女一人に罪を被せようとしています。彼女はナチスに加担した看守として裁かれていました。そして主人公は彼女の隠していた秘密に気がつくのです。
ああ。裁判官に言えばいいのにと思ってしまいますが、彼女のプライドや尊厳の問題もあるのかな。考えさせられます。そして悲しいです。
2022年12月17日:読みたい本を気ままに読む読書会
てらもっち7等兵さん『絶望の精神史』金子光晴
明治・大正・昭和を生きた詩人。欧州、アジアを放浪した金子光晴が振り返る日本人。絶望があるはずなのに、学びが少ない日本人について語る本。
日本人は、江戸幕府、幕末、戦後、原爆、福島事故といろいろな転機があったのに、本質を見ずに変わろうとしない。いや、世界のものを取り入れ、柔軟にAdoptしていくといったほうがいいのか。
金子光晴の大正、昭和の回顧は、リアルで、人々の心の動きや生活までも身近にあるように感じた。我々が、転機や時代の変換点、世代交代などといってきたが、実際にはあまり代わり映えしない日本。彼が生きた日本は、もっと変化の大きい時代だったはずだが、金子は、その中でも変わらない日本人性を見抜く。
海に囲まれ、国家観など育ちようのないなかで、摺あわながら、そして海外ともすり合わせながら来た日本。
結局、日本人の性向自体は、今も、あまり変わっていないと感じた。
2022年12月14日:読みたい本を気ままに読む読書会
Soi Tomsonさん『サウジアラビアを知るための65章』中村 覚(編著)
本書は2007年に出版されており、現在とはかなり状況が違うがサウジアラビアという国の成り立ちを知るにはとても良い本である。
第一章で西暦500年代ムハンマドの誕生、イスラム教の始まりが書かれている。その後一気に18世紀まで時は過ぎ、その当時イスラム教はサウジアラビアのみならずイスラーム世界全域が停滞期だったようである。サウジアラビアでは部族ごとの土着の神を信仰していたとあった。それが偶像崇拝であったり、占いや願掛けが蔓延っていたらしい。
イスラム教戒律(戒律といってよいのか?)の厳しい現在のサウジアラビアの人々の生活を見ていると想像もつかないが、人間は環境の変化によってどうにでもなる生き物なのだと改めて感じた。
また、参加されている方より”野球のメッカ甲子園”のようなみんなが憧れる聖地のような意味で使われる ”メッカ” という表現は、現在の日本において公共の場では注意すべき言葉なのだとか。イスラム教国などから意見があったのだろうか。今度ムスリムの人に意見を聞いてみたい。
紹介された本の中に、探偵を探偵する本が興味深かった。お金で雇われて探偵をしその行動が結果的に殺人事件のほう助になっているような事は、現実世界でもありうるのではないかと感じた。
2022年12月13日:読みたい本を気ままに読む読書会
おおにしさん『世界史との対話(中)』小川幸司
モーツァルトの生きた時代から世界史を学ぶことは、私のような歴史嫌いには適している。
こういう授業をしてくれる先生から歴史を学びたかったと思う。
読書メモより
・モーツァルトの出身であるハプスブルグ家統治のウィーンは東西ヨーロッパの異なる文化が融合する文化都市であり、音楽家モーツァルトが才能を開花させる土壌となった
・映画「アマデウス」でサリエリはモーツァルトを殺したいほど憎んでいたライバルと描かれていたが、実際はモーツァルトの才能のよき理解者で協力者だった
・モーツァルトの不遇な晩年の原因は神聖ローマ帝国とオスマン帝国との戦いが始まり貴族たちが音楽を楽しむ世相ではなくなったこともあるが、ウィーンの聴衆が彼の音楽の斬新さについて行けなかったために仕事が減ったいうのも原因だったらしい
・モーツァルトとフリーメイソンの関係はとても興味深いので調べてみたい
*生物地理学というジャンルの学問があることを参加者から教えていただき、研究内容に大変興味をもちました。
2022年12月3日:読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『菊と刀』ルース・ベネディクト 平凡社ライブラリ
本書は80年くらい前に書かれた日本分析の本だ。
漫画やドラマでよくある、「世間がどんなに悪く言ったって、私はあなたの味方だ」というセリフは好まれるし頻繁に使われる。
しかしこれは80年前の日本では非日常だった。ひょっとしたら今でも非日常かもしれず、だからこそ憧れがあり好まれているのかもしれない。
日本人の集団の基準は外部(世間)にある。現実では外部が否定する人間は排除される。「一家の恥さらしめ!お前なんか勘当だ!」っていうあれだ。それから、”日本ってこんなに素晴らしい”というTV番組は、多くが海外から日本を賞賛する構造になっている。根っこは同じだろう。
日本人は抽象的なものに基準を置くという考え方が苦手だ。外部の評価や長く継続した集団の規範という分かりやすいものを基準にするしかないのだ。
2022年11月30日:読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『三四郎』
1908年頃に新聞連載が始まったみたいです。三四郎が熊本から東京の大学に進学するんですが、電車の中で2人のキーになる人に出会う。大学は秋入学で今のような入学式はなかったみたいです。先生が15分以上も遅れてきたり、隣の落書きしている学生がサラリと俳句?のようなものを書いていたりしたところを読みました。母への手紙を言文一致で書いたとありました。100年前くらい。
2022年11月29日:読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『菊と刀』ルース・ベネディクト 平凡社ライブラリ
本書は80年くらい前に書かれた日本分析の本だ。今日は十一章の修養を読んだ。
「死ぬ気でやればなんでもできる」という言葉は、自分もその意図するところを理解することができる。だけどアメリカ人は「生ける屍(ゾンビ)になればなんでもできる」みたいにしか理解できなくて首をかしげるそうだ。
仏教でさえ日本に入ると形が変わる。「人は死んだらみんな仏様になる」というのは日本人の常識だが、そんなの日本だけらしい。普通の仏教は悟りをひらくための厳しい教えだ。
但し、禅は日本人の実感と深く結びついた。禅の修養は徹底的に現世利益を得るためのものだからだ。日本人にとって形而上的なものはあまりピンとこない。だから現代においても、あれほどまでに宗教にマイナスのイメージをかぶせることが出来るのかもしれない。
2022年11月27日:読書のもやもやについて話す時間「生きることと死ぬこと」
今回のテーマは「生きることと死ぬこと」でした。
〈出されたテーマとメモ〉
・「生きることと死ぬこと」
人間にはいろんな出会いと別れがある。自分自身の死についてどう考えるのか。死について考えづらい。死の話題がタブーになっている。死ぬのが怖い。突然死と病死は考え方が違う。死に関して、違う意見があまりない。概念的な死と実際の死を分けていたい。
トルストイ『イワンイリッチの死』。死は考えにくいもの。自分がいる状況で死に関する認識が変わる。医者と一般人で死の認識が変わる。自分が死んだ後の世界についての想像。死と生の関係。生物学的な死と、物理学的な死。
・「テレビを見ていれば読書しなくてよいのでは」
本は時間がかかる。読書は知識を得るだけのものなのか?読書をすることによって。本は読み返すことができる。時代を超えて評価される本。テレビは人とつながるために。オーディオブックについて。スピード感の違い。
2022年11月26日:読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『ギリシア・ローマ神話』ブルフィンチ作、野上弥代子訳、岩波文庫
ゼウス、クロノス、エロス、クピド(キューピッド)、パンドラ、アポロン、プロメテウス、ポセイドン・・・。神々の名前はどこかで聞いたことのあるものばかり。これからも商品、イベント、建造物や乗り物にこれら神々の名前が冠され続けるんだろうな。
名前には何層にも重なった意味がある。気付くことができれば理解も深くなるかもしれない。
(おまけ)
本書(岩波文庫)の序文はなんとあの夏目漱石。知らなかったけど翻訳者は漱石のお弟子さんらしい。買った後に気付いてちょっと得した気分です。
2022年11月25日:読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『ソラリス』
惑星ソラリスは、生命体のようなもの。ゼリー状の海で覆われていていてたくさんの人が研究している。わたしたちの想像を超えた世界観を描きたかったのかな?死んだはずの恋人に付き纏われる。ハリーがいる。ソラリスのような巨大な概念を考えていると人間ってちっぽけな存在に思えてくる。
幽体F・ミモイド・弁証法。独自の世界観の作品でした。「未知の存在とのコンタクト」なんだけど未知すぎて頭がついていっていないと感じました。
2022年11月23日:読みたい本を気ままに読む読書会
おおにしさん『世界史との対話(上)』小川幸司
「世界史の対話」は高校教師が書いた全3巻70講の世界史講義録で、長い間積読本になっていた本。
1つの講義が13ページほどで、読書会のもくもくタイムに読むのにちょうどよい長さであることに気づいた。そこで今後は、読書会で一つずつ読んでいきたいと思う。
本日は第4講「古代民主政をになった人々」でアテネの民主政について学んだ。
アテネに民主政が生まれた背景には強力な軍隊を維持してきた共同体意識があった。
最初、貴族が牛耳っていた血縁的部族を解体し地縁的部族に再編して、階層・職業などを平均化して、平等に参加できるような基盤を作った。
国会にあたるアテネの民会は、18歳以上の男子市民全員に参加義務があった。
また、役人はくじ引きで任期1年であり、任期完了時には執務審査で不正の有無を厳しくチェックしていたそうだ(重大な罪はあれば死刑にあり)
このようにアテネの民主政は市民の「参加と責任」が特徴であった。
素晴らしく見えるアテネの民主政であるが、奴隷、在留外人や女性の参政権はなくギリシャ人はオリエント世界の一員でありながら、非ギリシャ人をバルバロイと呼んで蔑視していた。
そのせいかどうかアテネは北のマケドニアに敗れ、都市国家アテネは消滅してしまった。
しかし、アテネ市民はその後もデモクラテイア(民主政)を女神に見立てて民主政を守ろうとした。
その女神が後のフランス革命ではドラクロア描く「民衆を導く自由」となり
アメリカへ渡り「自由の女神」になったという話はなかなか感動的だった。
日本の民主主義は自ら作り上げたものではなく、戦後アメリカからもらったものであるため政治への「参加と責任」という意識からほど遠いところある。
今こそアテネに始まる欧米民主主義の歴史を学ぶ意義は大きいと思う。
小澤さん『思考の体系学 分類と系統から見たダイアグラム論』
本書はダイアグラム論という言葉が副題にあるとおり、図形を基にした思考に関する話をしています。プロローグにも記載されているのですが、「図形言語」を使うと人類共通の認識が得られやすいということは感覚的にも分かります。個人的には最近リモートワークが主流になって、図を使ったホワイトボードでの会話がしづらくなり、認識齟齬が起こりやすくなったと感じます。
第1章では図形を使った体系図の歴史的な話をしています。たとえば、昔は貴族などの祖先の図であったり、善悪を二分にした図を表したものがあったりしたようです。12,3世紀の外国の言葉で書かれた資料であっても、なんとなくニュアンスが分かってしまうのは図の力であると感じます。今回は第1章までが主に読んだところですが、第二章はチェイン、ツリー、ネットワークの話をしていて、図という言葉をもう少し構造的な観点から分類しています。
また、本書の中で分類と系統に関して「わける」と「つなぐ」という言葉に置き換えて話をしている章があります。思考とは「わける」と「つなぐ」を行うことであり、すなわち図形とは思考の具現化であるなと思い、本の表題の意味を改めて理解しました。
2022年11月20日:読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『夢宮殿』
7章あるうちの4章から5章にかけて読みました。アルバニアの小説です。夢宮殿に就職した主人公マレク・アレムに与えられた休日の一コマを読みました。以前よく来ていた珈琲店に行く。そこにいる盲人の存在について。凶眼をもつ人々に対する政令について。モスクで仕事をしている人やジプシー女の占い師、サレップという飲み物などが出てきて異国感を感じました。
他の参加者は美について、食の小説を読んでいて、食べることを共有することについて話したりしました。技術が発展しても詰まるところは人間性という話などが出ました。マッチングアプリと就活や結婚などどれも可能性においては同じようなものかな、など考えながら聞いていました。
2022年11月19日:読みたい本を気ままに読む読書会
てらもっち7等兵『百年予測 世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図』
2009年に書かれた本ですが、アメリカの覇権の継続、2020年台の日本の軍事力増強や、東欧の不安定性などの予測など、この十年の流れはある程度予測できているように思いました。AIの進展はあまり重要視されていなかったと思います。
この本では書かれていないのですが、思ったこととして、中国は、日本と同様に製造立国なわけですが、ウクライナ紛争、CO2 問題から、エネルギー価格、そして輸送費の高騰から考えると、輸出入に頼る中国の活況も、そろそろ収まるのではないかと思いました。
今後の2060年までの予測の中で、エネルギー資源を宇宙に求める方向性についても、その通りと思いました。また、各国が軍事司令部を宇宙に置くようになるだろう。ということも、メリットを考えれば、ありうると思いました。
やはりローカルにもグローバルにもエネルギーの流れがキーと思いました。
Takashiさん『サピエンス全史』 ユヴァル・ノア・ハラリ
世の中のお金が増えていく理由を読み返しました。(第16章、ハードカバーの下巻P128~129)
建設業者が銀行に預けた現金100万円をパン屋が借りて、パン屋は建築業業者に100万円払う。ここで建築業者は200万円のお金を持っていることになる。このとき、世の中のお金は200万円に増えたのだけれども、現金は100万円のままだ。
こうやって私の見えないところでお金が増えてるんですね。今日の勉強はここまで!
2022年11月15日:読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『知覚はおわらない アフォーダンスへの招待』佐々木正人著
僕は雪国生まれですが、雪が踏み固められた滑りやすい地面の歩き方を教えてもらった記憶はありません。
雪道を歩く時、その人たちはみな小股になります。自分の重心からあまり足が離れないように大腿をそっと振り出し、膝から下の下腿をなるべく地面と垂直になるように地面に接地させます。そして足の裏はなるべく裏全体で雪面に接地するように慎重に置きます。それに対して、普通の地面を歩くときは大腿を大きく振り出します。下腿は斜めの状態で踵から地面に接地させます。その方が効率的だからです。しかしそんな歩き方ができるのは地面と足との間に摩擦が生じるからです。地面に対して斜めに力が働いても摩擦によって踵が止まり、そこを支点にして重心を運ぶことができます。しかし雪道ではそんな歩き方をすれば踵がどんどんと前に行くか、勢いよく大腿を振り出した時に軸足の方が滑って、転んでしまいます。だから小股でヒョコヒョコした歩き方になるのです。
さて、こんな解説は雪道の歩き方を習得している今の僕だからできることです。おそらく初めての時、そして今でも、雪道を歩く時にこんなことを考えてはいません。体幹を緊張させ、股関節から下を慎重に動かし足を雪面に接地させます。その時の滑りの機微を感じ取り、どの程度の歩幅やスピードなら大丈夫そうかを探っていきます。その時、中心になって働いているのは体幹から下です。
もちろん、脳にその信号はいっているでしょう。しかし考えているのはどこなのか。この時、脳が考えているといえるのか。体幹と大腿と下腿と足が考えているといえるのではないか。地面とコミュニケーションをし、フィードバックを受けながらPDCAのサイクルを回しているのは体幹から下の系だといえるのではないか、なんてことも思えてしまいます。今日はスポーツにまつわる話のところを読みました。
2022年11月13日:読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『知覚はおわらない アフォーダンスへの招待』佐々木正人著
今日読んだところで印象的だったのはこの一節でした(P32)。
「環境に備わる「価値」や「意味」は、観察者の演繹なしに、直接知覚される。意味は心という孤立した領域にあるわけではなく、環境にある。」
「意味」というのは人間の特権というか、人間であるからこそモノに付けられるものであるという認識でいました。例えば、みかんは病気のときに持っていけばお見舞いの品になります。早く元気になってね、という意味合いです。それは人の心が生み出す意味や価値であるように思えます。
しかしアフォーダンスの視点に立てば、みかんには抗酸化作用があるビタミンCが豊富で、病気に良いという意味が元々備わっているともいえます。だからお見舞いの品となるのであり、その意味は元々みかんがもっていたとみることもできます。人間はみかんに備わっているその意味をすくい上げて伝達しているだけなのかもしれません。
とはいえ「お見舞い」というのは元々環境にあったというよりも、人間社会の中で生まれた慣習でしょう。これをどう捉えるか。これもあえてアフォーダンス的に捉えると、人は仲間に心配してもらっていると感じられることで心身ともに休めるのではないかと思います。反対に心配もされず孤独を感じる状態にあれば自分の身を自分だけで守らなくてはならないと感じるので休めません。ヒトは集団で生きるという方向で進化してきたので、仲間を助けるというのはあたり前の行為であり、仲間の気持ちを察する能力ももっています。となると「お見舞い」というのは、ヒトがヒトで形成される集団の中で自然と見出した行為であり、とある人の心の中でゼロから生み出されたものではないのではないかと考えられます。言い換えると、ヒトが自然淘汰のなかで獲得した集団で生きるという生存戦略、そしてその戦略の必然として生まれる集団という環境のなかに備わった意味や価値と捉えることもできます。人間はそれに「お見舞い」という名前を付けたにすぎない、のかもしれません。
私たちはどこまで自分で考えているのか、実は観察することこそが最も必要とされることでありそれで事足りるのではないか、考えるとはなにか、そんなことが巡ります。
2022年11月12日:読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『未来は決まっており、自分の意志など存在しない。』
意志はギリシャ時代にはなかったと、別の本で読んでいて、ちょうど「意志はない」とタイトルにあったので興味を持ちました。この本には、これを読むことを選んだのも私の意志ではないと書かれていました。心理学的決定論。今日読んだのは犯罪心理学で過去の事件や映画が例に出されていて難しい文体ではなく説明がなされるところがすごいなと思いました。
他の参加者アフォーダンスに関すること、美について、観念的でありながら捉えどころのないようなものを考えることは難しい、説明もできないけれど、ぼんやり世界は広がるような気がしました。全体の話で坐禅を毎日行っている参加者がいて「座禅はメタバースだ」という他の方の意見もあり「そうか脳の中は仮想空間か」座ることが入口になる?などもやもやとしていました。
うさじさん『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』櫻井大典
今日もありがとうございました。
学んだこと…めまいの原因は、主にこれらの三つがあるようです。
・脳の栄養不足で、疲労や消化不良などで脳に栄養がいかないこと。
・ストレスなどでカッとなり、怒りが熱に変わること。
・偏食などで、不要な栄養分が身体にたまること。
2022年11月11日:読みたい本を気ままに読む読書会
うさじさん『正しい家計管理』
何のためにお金を使うのか?を考えることは大切だと感じました。
yuさん『寝相』
寝相に収録されている3つの内、「楽器」を読みました。デビュー作だそうです。過去に紹介されていた方がいて、読んでいる間中迷っているようだった。と聞いて読んでみたくなりました。4人の年齢も性別もバラバラな男女が迷うことを目的として歩き回る話だと感想の時間に他の参加者にお聞きしました。なので、迷い続けているような印象は作者の狙い通りだったのでは?と思いました。文体はのんびりとした印象で人物描写が細かくて想像しながら読みました。なんでケーキ屋さんやお惣菜屋さんで買い物したのだろう。この人たちはどこに向かうのだろう。
3人で感想をシェアしました。ひろしの「一人キャンプ」ではなぜ一人なのか?や焚き火の会の話。「心理学」では、子供にはユングやフロイトの夢診断はできないなどの話をお聞きしました。道具ないですが、一人キャンプ行ってみたいです。
2022年11月9日:読みたい本を気ままに読む読書会
rieさん『最古であり最先端の個性心理学「DNA占い」』
DNAタイプによって、同じ物事でも上手くいったり、いかなかったりする。
「それでも大丈夫。あなたらしくいこう。」と優しく問いかけてくれるような本です。
よしださん『知覚はおわらない アフォーダンスへの招待』佐々木正人著
生きていくとは環境を知覚していくことなのではないか。寿司職人は魚を知覚し、その素材のうまみを最も引き出す方法を考え料理します。その料理法は職人が考えたと言ってもいいかもしれませんが、魚が教えてくれたとも言えるはずです。このような、モノに潜在的にある行為の源泉をアフォーダンスといいます。
職人ほど一つのことに神経を注がなくても、虫取りをしていれば虫を知覚しようとし、投資を始めれば株価というものを知覚しようとします。そして人は人を知覚しようとします。生きていくということは知覚の連続であるのでしょうが、知覚をしない・知覚をできないということもありえます。
少し前に、養老孟司さんとデザイナーの太刀川英輔さんの対談番組を見ました。養老さんは解剖学者なのですが、解剖などやり尽くされているからこれ以上何を知ればいいのかなどと言います。太刀川さんはイスなんてこれまで無数に創られてきたからこれ以上どんなイスを作ればいいのかと言います。しかしそんななかでも、彼らは新しい発見をしたり新しいモノを生み出したりしているはずです。
知覚はおわらない、とはそういうことなのでしょうか。もっと広く深いメッセージがありそうですが、いつもそこにある変わり映えしないものに対しても、僕の知覚はおわっていないのだろうなということを忘れないでおこうと思いました。
2022年11月6日:読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『器楽的幻想』(ちくま日本文学028 梶井基次郎より)
ピアノ演奏会に行って帰ってきたという6ページの短編だ。そこに描かれるのは梶井基次郎の主観的経験であり、張りつめた雰囲気と孤独感と世界観が大きな振れ幅で行き来する。
一文一文目まぐるしく変わる展開にもかかわらず文章に淀みが無い。「幻想」というタイトルにふさわしい内容なのだが構成が分かりやすい。
文章の玄人に、この凄さの解説をしてもらいたいものだ。
2022年11月5日:読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『兎の眼』
26の連作短編の中の16-18を読みました。小学生と新任教師を取り巻く話なのですが、登場人物の特徴もわかってきて応援したくなるような内容です。第2次世界大戦後の時代の話です。何に惹かれているのか、なぜ泣けてくるのかを考えてみたいと思います。
また意識や記憶についての話もありました。実家の隣から聞こえてきたピアノの音を思い出しました。「クオーレ」デ・アミーチス を少しずつ読んでいるという他の参加者さんもいらっしゃりどんな本かなと思ったら「母を訪ねて3千里」の原作だと分かり興味を持ちました。
Takashiさん『人形の家』イプセン 新潮文庫
「薄い」「字が大きい」「古典」の三条件が揃う本は、本屋で何となく買ってしまうことが多い。本書もそうだ。
舞台は1800年代、妻はお金持ちの夫から離れる決意をする。女性解放思想として語られる作品だが難しいことはさておき、かなり面白かった。登場人物も少なく、短い作品ながら振りが効いていて、ラスト15頁の盛り上がりは素晴らしい。まるで人形のように愛されてきた妻のセリフが心に響く。「わたしは幸福ではありませんでした。ただ面白かっただけです。」
プライベートが面白いことと人間の幸福はベクトルが違うのだ。実生活を振り返ると足元から価値観が崩れかねないくらいの怖い話かもしれない。
2022年11月2日:読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『エレホン』
19世紀イギリスの作家サミュエル・バトラーによる小説です。
架空のエレホン人が私たちの文化とは違って例えば病気は罪で牢屋に閉じ込められたり。時計は所持してはいけないものだったり。
違和感があるのは、知らず知らずのうちに、刷り込まれた文化や習慣、思い込みが私にあるからだろうなあと思いながら読んでいました。随分前に読んだ芥川龍之介の「河童」を思い出しました。
2022年11月1日:読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン著/久山葉子訳
夜道を歩いているときにガサガサと音でもしようものなら、止まって警戒しながら何がいるのか確認します。冷静にというよりもちょっとした興奮状態で。あるいは噂話なんてくだらないよね〜と言いながら聞き耳を立ててしまいます。それは集団にとっての重要な情報であると本能に刻み込まれているからです。
人間にはサバンナを生きている頃に備わったさまざまな習性があり、それは高度に文明化した今でもほぼそのままに残っているとされています。もちろん学習によって多少は変えることができますが、瞬間的に立ち上がる感情や反射に抗うことは難しいです。
スマホやSNSなどを開発する開発者はそのような人間の習性を使って私たちの時間を奪おうと攻めてきます(あえて悪く言うと)。しかし開発者は私たちを支配しようとして開発したわけでは必ずしもないようです。Facebookの「いいね」ボタンや、iPhoneの開発に携わった人たちは「とんでもないものを開発してしまった」と後悔しているといいます(P80あたり)。
本のテーマ(スマホの悪影響)から離れて工学倫理みたいな話になりそうですが、そこからも離れて「洗脳」みたいな話にもなります。読書会でもそのワードが出ました。使う方はスマホに洗脳されているのかもしれませんが、開発者も目の前の目標に洗脳されているのかもしれません。でも洗脳されているかどうかなんて渦中にいるときはわかりません。「ひとまず『スマホ脳』でも読んで洗脳を解除するか」と思っても『スマホ脳』の広告に洗脳されているだけなのかもしれません。でもひとまず「洗脳されているかもしれない」と思っておけば、何だかマズイ状態になったときに抜け出すという選択肢も浮かびそうなので、洗脳されているかもしれないと思いながら洗脳されておこうと思いました。
2022年10月28日:読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『兎の眼』
こどもと新任の先生の話。第二次世界大戦くらいで1974年に書かれた児童小説です。
ハエをペットとして飼っている無口な少年の話に、何事にも理由があり社会は決めつけや思い込みて判断されがちだなと思いました。
他の方の読んでいた90歳の否定しがちな哲学者の話や細胞が入れ替わっている話が印象に残りました。広い視野って持てたらいいけどどうしたらいいんだろうか。
よしだ『新版 動的平衡』福岡伸一著
生命観について書かれています。印象的だったのは以下の一節です(P261)。
「環境は常に私たちの身体の中を通り抜けている」
たとえば食事をするとそれがそのまま食道・胃・腸を通して排泄されるわけではありません。食べ物を構成する物質が細かく分解されて全身の細胞一つ一つに吸収され新たな細胞として身体を構成していきます。そして同時に、元からあった細胞は外に出ていきます。そうやってどんどんと身体は入れ替わっています。それを著者は「環境は常に私たちの身体の中を通り抜けている」と表現しているのです。食べ物も植物や動物といった周囲環境であり、呼吸によって取り込んでいる大気も環境です。
私を通過するのは物質だけではないはずです。人の話を聞いて誰かに伝える時、それは私を通過します。そして無意識に、あるいはサービス精神を込めて、尾ひれをつけて伝えることで話の内容は変容していったりします。誰かに何かを教えるにしても、元は誰かから教えられたことを、自分なりに理解したり経験を継ぎ足したりしながら教えているはずです。私を通過するものはたくさんあります。
そう捉えると自分がフィルターになったような気分になりまして、定期的にクリーニングしておこうと思いました。
2022年10月22日:読書のもやもやについて話す時間「読書のもやもやとはなにか」
今回のテーマは「読書のもやもやとはなにか」でした。「私達は仕事をやりすぎなのでは」も交えて話されました。
〈出されたテーマとメモ〉
1.「私達は仕事をやりすぎなのでは」
・もっと休みがあればよいのでは。なぜ人間は仕事をやっているのか。
・仕事をしていくと自分と乖離するのでは。ルーティーンが自分で決められない。
・お金が発生すると乖離するのでは。個人事業主と会社勤め。
・しんどさの種類を選びたい。ゲームのキャラクターはしんどさを感じるのか?
・お金に支配されている。グローバル化で移動できない人が辛い。
・自分の周り3メートルを見ましょう。相対的に見ると辛い。
2.★「読書のもやもやとはなにか」
言語化できていないもやもや。メタ的にならざるもえないともやもやが発生する。
もやもやを探すために読書をしている。理解していることを崩された場合もやもやが発生する。
もやもやしている方が普通。もやもやよりクリアでいたい人のほうが多い。
よしださん
今日はいつもよりは少人数でなんとなくしっぽりとした雰囲気で話されたような気がしました。
いつも通りいろいろと話は及びましたが、感想を書くにあたって僕のなかで浮かんだのは「私たちはなぜ自分が意味や価値を感じないことに時間を費やすことになっているのか」という問いであり、その答えは「グローバル化したから」というものでした。
たとえば「因数分解なんてなんで勉強しなきゃいけないの?」という問いに対する答えももしかしたら「グローバル化したから」なのかもしれません。昔は田んぼを造るなら土木の知識と自然と必要とされる数学などだけでいいというか、目の前の必要に応じた知識を身につけていたのではないかと勝手に想像します。それが今や国・数・社・理・英とまんべんなく勉強しなければなりません。これはなぜなのか。僕は学習指導要領のことなどわかりませんが、イマ・ココではなく、ミライ・アチラの方をより強く意識するようになったからのように思います。なんとなく、自分とは関係ないそういう先の方まで意識しなければいけないというか、影響を無視したままではいられないこと、つながっていくことをグローバル化と呼んでみることにします。
しかしながら人間の能力はそんなグローバル化に合わせて生物的に進化しているわけでもないと思います。GDPや幸福度ランキングは本当に自分に関係あるのか、メタバースやWeb3は関係あるのか。グローバルな流れに引っ張られすぎると自分の時間がなくなります。スマホはもはやiPhoneじゃなくてシャープのアクオスでいいのではないか。
2022年10月19日:読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『ソラリス』
作者は現ウクライナ領出身の人。1920年代生まれ」ポーランド語で書かれた原文の訳文。アメリカ的な宇宙でない宇宙を描いたSF。ソラリスって惑星の名なのだけど、その表面は意思を持った海に覆われている。意思を持った海って想像がつかないな。すでに古典になっている本だけどよくこんな発想ができたものだなと思いました。今日は、ミモイドが出てきたところを読みました。未知の世界です。
2022年10月16日:読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『孤独の科学』ジョン・T・カシオポ,ウィリアム・パトリック著/柴田裕之訳
仮に10人の集団で一生を過ごすような環境に生きているとき、僕はズルはしないと思います。100人くらいでもしないでしょう。しかしそれが10000人の集団になったらどうでしょうか。10000人であれば、なかには知らない人もいますから、そういう人たちの中で「まぁいいか」と僕はズルをしてしまうかもしれません。ズルをしてそれがバレたとしても10000人全員にそれが伝わるわけではないだろうとも思うかもしれません。あるいは10人の集団が1000あるような環境でも、ズルをしてバレても他の集団に移ればいいだけなのでズルをしてしまうかもしれません。絶対にズルをしないという信条を持っていたとしても魔が差すということもあります。魔が差しそうなときに抑止となる感情が大きな集団では働きにくいように思います。
こういうことを想像して思うことは、個人の意志や信条や人間性だけで、その人が善意ある行動をするのか悪意ある行動をするのかが決まるわけではないということです。善意ある行動をし続けていても周りの人がどんどんとどこかに行ってしまって全くお返しがないと悟ってしまったときに、その行動を続けられるでしょうか。ズルをしてバレても、そこから逃げてしまえば問題にならないのではないかと思ったら、気持ちも揺らぐのではないでしょうか。そして、そんな誘惑のなかでズルをしてしまえばたとえバレなくても本人は後ろめたい気持ちになるし、それを正当化するようにこころが歪んでいくかもしれません。だから僕は人の善意だけを信じるというのは少し違うと思ってまして、人が過度に嫌な気持ちをせずに生きていくためにはある程度のシステムやルールは必要なのではないかと考えます。
10人とか100人の集団の社会はいわゆる昔ながらの社会です。10000人とか10人×1000の集団の社会は今の社会です。以前ある進化心理学の先生が言っていたのは「裏切られないという前提で生きている人たちが、実際には裏切りが発生しやすい環境に生きているから過度に傷つく」ということでした。人を信じられなくなったとき、孤独を感じるように思います。今日読んだところには、ある投資ゲームを実験として行ったときに、罰則なしのグループと罰則ありのグループでどちらが最終的に利益をあげるのかというものが紹介されていました。前者はズルをしやすく後者はズルをしにくいということです。結果は、後者の罰則あり・ズルをしにくいグループの方が大きな利益をあげました。
経済的な利益がすなわち豊かさではないと思いますが、後者のグループはズルをする人が罰則によって少なくなることで利益を上げていきます。それは金銭面とは別に、嫌な気持ちをする人が少なくなることを意味しますしその社会が破綻しないことも意味します。少人数の中におけるヒトと大人数の中におけるヒトとではおそらく行動の質が違います。そういうことを分かっておいてある程度は割り切っていくということも、健康的に生きていくためには必要なように思います。でも割り切り過ぎてしまうのもそれはそれで違う気がするというかつまらない気もするのですよね。。そういう葛藤のなかで生きていくというのは現代人に与えられた課題なのかもしれません。
2022年10月14日:読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『JR上野駅公園口』
1933年天皇と同じ日に生まれた男が主人公。
出稼ぎのために東京駅に降り立つ人々。公園で中学生に襲われる人々。
感情移入はできにくいけど、高度成長期に起こったことや東日本大震災や津波。実際に起こったことも織り交ぜられている。天皇の行幸のたびに「山狩り」と呼ばれる特別清掃が行われることはあまり知られていないという。今日読んだところは、裕福な人がどんなふうに転落したかというところでした。そういえば何かの賞を取ってたようなで調べたら「全米図書賞」でした。知らない賞が色々あるものだなと思います。
3人でシェアをしましたが、ショーペンハウアーと若松英輔さんの本で哲学的な話で意思について、読書について、幸福について話しました。自分の意思だと思っているものは実はそうではないかもしれない。あれこれ「暇と退屈の倫理学」に書いてあったような。あれはショーペンハウアーの言ったことだったのかななどど想像しました。
2022年10月12日:読みたい本を気ままに読む読書会
おおにしさん『病と障害と、傍らにあった本』
病気や障害をかかえた人たちの読書にまつわるエッセー集。
全12編あるうち、今日は頭木弘樹さんのエッセーを読んだ。
頭木さんは20歳のとき潰瘍性大腸炎に罹って13年間の闘病生活を送っている。
腹痛と下痢が続き将来が見えず苦悩の日々のなか、彼を救ったのが本であった。
最初は中学時代に読んだカフカの『変身』。読書感想文を書くために選んだ薄い文庫本を再読してみると、「まるでドキュメンタリーだった」そうだ。
カフカは難病で苦しむ人の気持ちが分かるのだと、カフカの作品を次々に読んで文学の世界にはまりこんだ頭木さんは、次にカフカの好きだった作家ドストエフスキーに挑戦。
なんと『カラマーゾフの兄弟』がすらすら読めたそうだ。
登場人物がみな何かを悩んでいて、作品に”悩みの交響楽”を感じたとのこと。
その後同じ病室の患者さんにもドストエフスキーが感染して、一時は6人全員がドストエフスキーを読んでいて看護師をびっくりさせたそうだ。
病気に苦しみ悩む人たちがドストエフスキーに熱中できたという事実はとても興味深い。
頭木さんは難病で将来の物語が描けなくなった苦悩を、文学作品をたくさん読み、別の物語に書き換えていくことで克服した。現在、頭木さんは「文学紹介者」という肩書で、著作活動をしている。
頭木さんと比べたら五体満足で幸福な人生であった私だが、それでも人生につまづきそうになった時、本に救われた経験がある。今回彼のエッセーを読んで、本で人を救うことができるのだという確信を持つことができた。今後の私の読書推進活動に役立ていきたいと思う。
よしだ『コミュニティ』ジグムント・バウマン著/奥井智之訳
今日は自由とかコミュニティとかの流れで「安心と信頼」のことが浮かんだのでその話を紹介させていただき、そのあとも少しそのことについて考えていました。僕のなかの安心と信頼とは、山岸俊男氏の『安心社会から信頼社会へ』[1]に依るものです。今回読んだ本ではありませんが、少しだけ紹介します[1,kindle350]。
信頼は、社会的不確実性が存在しているにもかかわらず、相手の(自分に対する感情までも含めた意味での)人間性のゆえに、相手が自分に対してひどい行動はとらないだろうと考えることです。これに対して安心は、そもそもそのような社会的不確実性が存在していないと感じることを意味します。
安心の方が具体例を示しやすいのですが、安心とは例えば契約の関係です。商談などでたとえうまく話が進んでいたとしても、契約を結ぶことで「あ〜安心した」となります。契約とは法律によって縛られたものであり破れば相応の罰が与えられます。そのような罰はみな受けたくないだろうという前提のもと、あるいは相手が裏切っても損失の補填があるという計算がたつという前提のもと、安心します。言い換えると、契約によって不確実性は小さくなります。
それに対して信頼は不確実性を作為的に排除するようなことはしません。契約などを結ぶことなく相手は約束を守ってくれるだろうと信じることや、恩を仇で返されることはないだろうと考えて利他的な行為をすることをいいます。
自分にとっての不確実性とは相手にとっての自由度であると言え、逆に相手にとっての不確実性とは自分にとっての自由度であると言えるように思います。契約で縛っては仮に何かを思い立ってもその範囲を越えることができません。だから自由とは安心ではなく信頼と親和性が高いのではないかと思ったりします。
しかしながら、不確実性が高すぎて不安で仕方ないなら、その不安に常にさいなまれることになるので自由とは言えません。その場合は安心の方が自由に近くなったりするのではないかと思います。…自由とは難しい。でも、安心とは互いに縛り合うことを意味するように思えてなりません。僕の読んで本のテーマ「コミュニティ」に関連していうと、安心で成り立つ社会とは例えば「ヤクザ社会」が挙げられると山岸氏は言います。「お前、裏切ったらわかってんだろうな」という前提が不確実性を減らし安心を与えるということです。ここまで乱暴な物言いではなくても、安心を基盤とするコミュニティや人間関係というのはあると思います。それは不自由だと思います。
相手を信頼するとか相手から信頼されるというのは時間がかかることだと思います。安心と信頼とを対比させて話すと分離したことに思えてきますが、例えば仕事などにおいては安心と信頼は同居した状態で進むことも多いと思います。時間がなかったり面倒くさいと思ったりして安心だけで済まそうとすると、逆に話がもつれることもあります。話がややこしくなってきましたが、信頼とは時間がかかるし楽ではないのだけれど、信頼をベースにおいておいた方がなんとなくいい気がしています。
匿名希望さん『全ての悩みは筋トレと食事で治る』
先回参加者さんのひとりが走り込みをしている話しを聞き、私も、と始め2週間。フィジカルだけでなくメンタルも少し軽くなり。
読書会では個人的に「自由」って⁇をあらためて考えるきっかけをもらいました。答えがないからおもしろいですね。
はすみさん『一汁一菜でよいという提案』(土井善晴)
まず、お料理を作るのがたいへんと感じている人に読んでほしいと書かれている。「食事がすべてのはじまり、生きることと料理することはセット」。自分自身の暮らしに自信を持つために、一汁一菜(ごはんと味噌汁、漬物)をはじめてみよう、という提案。
島国であり、四季のある日本では独自の食文化が育まれてきた。それが味噌や漬物などの発酵食品。人間の手ではなんともできないもの。というところから、八百万の神、日本人の美意識、民藝など、文化論に。奥が深い。
食について、もっと大切に考えたいと思った。
雑談で地産地消の話も出たが、読み進めるとそのあたりの話もしっかり書かれていた。
食の安全から国際経済、コミュニティ、自由、安全と信頼… 話がいろいろなところに繋がっていって、とても楽しかった。
2022年10月9日:読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『コミュニティ』ジグムント・バウマン著/奥井智之訳
今日読んだなかで印象に残ったことは、あらゆる差異は承認を受けられる機会を均等に与えられるべきであるということです。いわゆる公正さに対する議論です。あらゆる差異とは、たとえば近年の例で言えばLGBTQなどを指すのだと思います。
まず気になったのは「承認を受ける」という点についてです。各個人がもつ差異というものははたして承認を受ける必要があるのか。少し考えてみましたが、私のなかでは承認を受けた方がいいのだろうという考えに至りました。
理由は、ひとつには、承認を受けるプロセスは社会の人々に理解してもらう機会となるだろうと思えるからです。承認を受けるプロセスとは、私のなかの想像ではメディアを通した認知や学校や家庭での教育を意味するのだと思っています。ただたんに「今日からこういう差異をこのように名づけし承認します」というような結果通知だけでは理解が進まないように思います。だから承認を受ける機会を得て承認を受けていくというのは必要なことのように感じました。
そして承認を受けた方がよいと考える理由のふたつ目は、社会から理解がされなければ生きづらいのではないかと思ったからです。人はやっぱり他者からの理解を気にする生きものであるように思います。だからできることなら承認を受けるということは大事なことのように思います。そういう意味で、社会的な承認を受けていない差異をもつ人が、それを表に出して活動することはすごいことなのだなと改めて思いました。
その一方で本の中で気になったのは、承認を受けられるか否かの判断を「価値」を基準としている点です。あらゆる差異に価値があると言っているわけではないと本の中では書かれています。無批判に承認をすることは理解をするというプロセスを省くことを意味すると思うので、最初からあらゆる差異を承認するという前提にするのも違う気がします。しかしながら価値とは誰がどのように決めるものなのか、そこは少し、いやかなり気になりました。
2022年10月8日:読みたい本を気ままに読む読書会
Takashiさん『語りえぬものを語る』野矢茂樹著
著者は日本の哲学者、論理学者。本書は言語と概念がどうやって他人と共有されるのかということについて順を追って解説している。今回は18章の感想だ。
例えば痛みという感覚。痛みそのものは他人と共有できないが、概念は共有できている。金槌で指を叩くという状況は万人に「痛い」という感覚を引き起こすからだ。では私にしか判断できない「E」という感覚と、「E」を表す私的な言語は成立し得るのか?と、こんな感じで話は進む。
本書には書いていないが、私は「E」を「霊感」に置き換えて考えてみた。真偽は別として、五感に属さない「霊感」という感覚を持つ人は少数存在する。しかしその感覚は一般に共有されるものではない。「金槌で指を叩くと痛い」というレベルの典型的な状況がないからだ。さて、それではいったいどうやって共有されない「霊感」という感覚が、共有された言葉として成立するのだろうか。
今日の読書会ではそんな話をしたのだが、案外みなさんの興味を惹いた様で面白い会話になりました。ありがとうございました。
2022年10月4日:読みたい本を気ままに読む読書会
よしださん『限りなく完璧に近い人々 なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?』マイケル・ブース著/黒田眞知訳
なんとなくいい感じの世界に触れてみたくなって先日の読書会で話題にあがったフィンランドを目指して本を探してみました。タイトルは固めだけどその分しっかり書いてある気がしていて、今日から読み始めです。
すると、タイトルは皮肉なのではないかと冒頭から思わされます。幸福度ランキング1位?うそだろ?この国(デンマーク)ではこんなこともあんなこともあったんだぜ?的な論調でスタートしました。それがなぜ皮肉なのかというと著者が住んでいるデンマークの人間像はルールに厳しく理知的という感じで語られていたから。
幸福度ランキングについて少し調べてみましたが、決して国民の主観的な感情だけではなく、GDPや社会保障などの客観的数字も合わせて点数化されているようです。日本はランキングがあまり高くないのですが、他者への寛容度という項目が低いのだとか。あるいは幸福度とは別の「レガタム繁栄指数」という豊かさに関する調査では、社会関係資本(社会や人への信頼、人とのネットワークなど)が著しく低いという結果も。日本はGDPも社会保障も安全・衛生面も良いのだけれど、そういうものを真面目に追求しすぎた結果なのかな、なんてことも思ったりしました。
デンマークでは仕事は午後4時には終わるし、休暇は長く別荘を持っている率も高いし、酒なんかも飲んだくれるよう。それでも(?)、デンマークを含めた北欧全般で産業面でも外貨を稼げるようなものがあり、それでいてあまり競争社会ではないらしいです。新しい社会のあり方というのはそこにありそうな気はしています。でも著者は、陰鬱な国というような書き出しをしていますが。でもそれでも気になって仕方がないのが北欧ということなのでしょう。もう少ししっかりと実態を知りたくなりました。
おおにしさん『信仰』村田沙耶香
短編「信仰」の感想
現実主義者の主人公永岡は友人や妹がエステやセミナーに大金を払おうとするのが許せなくて、現実を見よと説得するが結局友人も妹も縁を切られてしまう。
妹の「お姉ちゃんの『現実』って、ほとんどカルトだよね。」という言葉に、自分が今まで良かれと思ってやってきたことはカルトの勧誘だったのかもしれないと動揺しまう永岡だった。
この永岡の動揺する気持ちが私にはよくわかる。私にもカルト宗教に入信した会社の後輩がいたが、説得に失敗して彼は会社を辞め音信不通になってしまった。当時の私は彼を救いたい一心でかなりひどいことを言ってしまったと思う。もしかして私の考える「正しい現実」を彼に押し付けていただけなのかもしれない。
永岡はその後、高校の同級生斉川の地動説セラピー(なんとも怪しげなセラピー)に参加する決意をするのだが、その理由は斉川ような「信仰」している人に自分を洗脳してほしいというもの。永岡は現実から離れ、自分自身も夢を見てみたくなったのだ。
(結末は読んでのお楽しみ・・・)
このセラピーに参加しようとする永岡の気持ちも理解できる。私も自分の嫌な性格が変えられるのなら高額なセミナーに参加してもよいと思った時期があったからだ。
これほど私の心にストレートに刺さってくる小説は久しぶりだ。
*ハオズさんのストーリーテリングの話が印象に残りました。いつかハオズさんのストーリーテリングを聴いてみたいです。
2022年10月2日:読みたい本を気ままに読む読書会
yuさん『省察』
山田弘明訳で読みました。省察は第7まであり今日は第2を読みました。魂とは。物体とは。蜜蝋が例に出されるけど、「蜜蝋」って養蜂家でもないかぎり馴染みのあるものでないと重いけどその時代は例に出されるほどメジャーだったのかな?などど論旨とは関係ないように思えることを考えながら読みました。
他の方はショーペンハウエルの解説書や子供哲学、私もよく動画を見ている樺沢先生の本など読んであり親しみが湧きました。子供哲学で当たり前の常識を疑うっていうのがデカルトにも通じるようなと思ったりしました。
亀岡葵子さん『フィンランド語は猫の言葉』
私も普段読まない本が知れてよかったです。
うさじさん『岡潔 日本のこころ』
本日は、生と死に関する学びを深められたと思います。
「人が生まれ、生きて死んでいく中でどのような過程をたどるのか?」
それぞれの段階で、読書会を踏まえて学んだことをまとめてみました。
【生まれる】物事の順番が分かる→自他との境界線が明確になる→全体から個を認識する(自分とは何か?が分かってくる)→自然数1が分かる
【生きる】色んな価値観に触れる→学んだり比べたりする中で「自分とは何か?」「理想とは何か?」について悩む→他者とのつながりの中で、「自分を理解していく」「社会の中で自分の居場所を見つける」
【死ぬる】死に直面し、戸惑い、否定したりしながら→徐々に受容していく。
医療で身体的苦痛を取り除くための服薬だけでは限界→
「生きているうちにやり遂げたいこと」「人とのつながり」「宗教的・文化的な死の認識」などを含めて向き合うことで、死の受容までの過程がより穏やかになるのではないか。
色んな方が読まれた本とのつながりを考えるのも面白いなと感じました。
本日もありがとうございました。
tetsuさん『高架線』滝口悠生 著
滝口悠生さんの作品は初めて読みます。9月30日の読書会で参加者の方が読まれていた同著者の『楽器』という短編小説のお話がとても印象深く、その情景的な世界観を味わってみたいと思ったのがきっかけです。その作品が収録された本を図書館で取り寄せてもらっている間、著者初の長編小説である『高架線』を読み進めることにしました。
お聞きしていた通り、登場する人物の会話が「かぎかっこ」で閉じられていない文体が特徴的だと感じました。今のところ、物語の進行とともに語りの主体となる人物が移り変わっていくかたちの一人称小説なのですが、場面の描写や内的独白とは明確に区別されることなく登場人物のセリフが差し込まれます。すこし混乱しそうになるのですが、慣れるとこの手法の方が自然なのではないかと思えてきました。また、一人称で物語が進行する流れとは別に、その物語を話して聞かせている相手への語りに不意に変化するところも新鮮でした。
手法ばかりの感想になってしまいましたが、物語そのものもとても面白いです。うまく表現できないのがもどかしいのですが、この魅力はなんだろう…と反芻しながらゆっくりと楽しみたいと思います。
あと、フィンランドの話題から派生して、アキ・カウリスマキ監督の映画作品が有名というお話があり興味がそそられました。じっくりと自分の読書を楽しみつつ、世界を広げるきかっけに出会えることがこの読書会の魅力だとあらためて感じました。
よしださん『自由からの逃走』エーリッヒ・フロム著/日高六郎訳
今日読んだところでは「量的な自由」と「質的な自由」というワードが印象的でした。
量的な自由とは、個人を取り巻く束縛をどんどんと取り除いていくことをいいます。日本の方がイメージがつきやすいので日本を例にすると、江戸時代から明治維新を経て近現代に至るまでは量的な自由がどんどんと実現されてきたのではないかと思います。生まれながらの身分制度が解かれ、藩を出てはいけないという生きる場所の制約が解かれ、性別による参政権の違いが解かれ、、戦時中は束縛に逆戻りしたのだと思いますが、戦後は再び束縛が解かれる方向へ進んできているのだと思います。
しかしそのような束縛を解くことは同時に、自分が何者なのか、どこに所属し誰と連帯しているのかが分からなくなるということも意味します。ほかにも、自分の生き方を自分で決めなければならないという個人課題も生まれました。これは孤独に結びついていきます。社会的な束縛を受けている時はそれが解かれることをひたすらに望む。そして実際にそれを解いていく。こうして得られるものを量的な自由とフロムは表現しているのだと思います。しかしそれは孤独を生み、孤独から逃れるためにその原因となっている自由から逃走する。
だからといってフロムは自由であることを否定的に見ているわけではないのだと思います。量的な自由の追求では本当の意味での自由にはなれない。質的な自由を求めることが必要となってくる。では質的な自由とは何なのか。今日はそんなところで終わりました。
僕のなかでは質的な自由とは、マズローをはじめとする心理学者がいう自己実現に近いものをイメージしています。ちなみにマズローのいう自己実現とは、自己中心というよりも自己にとっての課題や仕事(広い意味合いの仕事)中心な生き方であり、ピラミッドの上を目指すとか成功をおさめるとかそういう意味合いでもないと理解しています。フロムがどのような自由を善として考えているのか楽しみです。
2022年10月1日:読みたい本を気ままに読む読書会
てらもっちさん『食農倫理学の長い旅: 〈食べる〉のどこに倫理はあるのか』ポール・B・トンプソン 他1名
自分の読んだ本について
食べる。という基本的な動作。欲。
自分は肉食に対し潜在的な罪を感じてきたと思う。それは肉食が生命を殺しているという人としての感覚。死は悲しみ、苦しみの対象であり、善ではなく悪である。という人間としての倫理の反映であることに今更ながら、気づいた。
この本には飢餓、肉食、貧困、飽食、遺伝子操作食品などのさまざまな問題に焦点を当てる。筆者は社会に現れる複雑な食の問題に対し単純な答えを出さない。多数の角度からの見解を見せて、自分自身の立場も複雑かつ中位の立場を描き出す。
少しシンプルな回答が無いことに苛立ちを感じる。多分であるが、食というのは生きることに直結するシンプルな事柄であるため、その本質から迫るような答えが出しにくいのであろう。
人間は肉を食べ、腸内ではフローラの腸内細菌が、吸収した食物の残渣物をたべて生きている。
同様に生態系の中では、食べる。生きる死ぬの循環があり、そして生態系は生きている。
肉食は、その中にある。
鯨を食べることも、イルカを食べることも。草食も。昆虫食も。
人の価値観の中で考えていては、答えが出せない時代になっているのだろう。
卵を採取する鶏は、飢餓環境になると羽毛が生え変わることにより、寿命が延びるそうである。これは自然界では冬季に起こるサイクルではあるが、養鶏業界では残酷であるとして人工的な飢餓環境は作っていないそうだ。残酷でも飢餓をつくって寿命を延ばした方がいいのか、一生、卵を産ませ短命で屠殺するのがいいのか。
実際の食にまつわる倫理課題というのは、生死というデジタルな問いではなく、中間的なところにある。
他の方の本について
鴨長明 方丈記 水木しげる
通信の数学的理論
日本の哲学について自然と人間を合として見る文化が特徴であることが話題になった。禅、空。
マンガ 鋼の錬金術師に出てくる 一は全、全は一なり。という言葉が引っかかった。ヘラクレイトスだったか。西洋科学、哲学の境界を作り、分けて考える考え方は、技術の発展を産んだが、複雑系やAI、行動経済学あたりから、物事をそのままに捉える見方に戻りつつある気もする。
昔、自分と世界との境界を考え、爪切りで切られる爪は、いつまで自分なのか、水を飲んだ時、その水はいつから自分なのか、腸内細菌は自分の一部なのか考えた。答えはまだないが、考えただけることで自分という像はややはっきりしてる。
多分、自分が話す言葉は自分なのだろう。
地震や火災、そして戦災さえも、無常の中に取り込み、日本は流れてきて、そして流れていくのだろう。
なんちゃって。
yuさん『方丈記』
水木しげる著 マンガ古典文学で読みました。鴨長明の方丈の庵に水木さんが訪ねるところから始まります。800年も昔の天変地異や政治の乱れの話なのに何処か今に通じるなと思いました。がんばっても自然に逆らえない無常の話です。現代語訳もそのうちに読もうと思いました。
「通信の数学的理論 」を読んでいる方がいて今のIT社会はこの作者の考えから始まった?昔の本なのに今も読み継がれるというのがいいと思いました。