2021.04.12

読書会の読書感想(4月10、11日)

 参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。4月10日(土)は5名、11日(日)は9名の参加でした。

2021年4月10日:テーマのある読書会「人の欲」

けいこさん『年収90万円で東京ハッピーライフ』
 年収90万円で暮らすというのは、よほど何か工夫があるのかと思ったけれども、そういうわけではなく、服は季節ごとに数枚ずつ、基本的に粗食、趣味は散歩と読書という感じの生活で、作者は充分に満足しているのだった。
 自分がどのくらいお金を必要としているかを逆算して仕事をしていて、結果的に週2日程度のアルバイトで賄えるのだそう。
 「自分が楽だからそういう生活をしているだけで、それぞれが自分に合うライフスタイルを見つければいい」ということを再三書かれていて、昨年からの事態を踏まえると、経済的な問題に留まらず、ライフスタイルや価値観の見直しは誰にとっても必要だと思った。この本は2016年発行だが、作者は今もコロナ騒動などものともしない普段通りの生活をされているのだろうと想像している。

2021年4月11日:読みたい本を気ままに読む読書会

つやまさん『こころと人生』河合隼雄
【内容】
Ⅲ 中年の危機
 中年期は人生の中で安定している時期だと思われがちだが、精神的な危機に陥る危険が高い時期でもある。仕事も家庭も順調で傍目には幸福そうに見えても、内面的には生きる意味や目的を見失って深く悩んでいる人が多い。人生の前半と後半ではもっている意味が違っていて、前半は社会の中で頑張って生きることが課題だが、後半は老いて死ぬことをいかに意味のあることにするかが課題になる。そのとき、今まで知っている世界を越えた深いものとのつながりを持ち心の支えにすることが大切になるが、その方法は人によって異なるため、その人なりに苦労して見つけなければならないところに大変な難しさがある。中年の危機のために人生を破滅させるような事件を起こしたりする例もあるが、うまく乗り越えられると以前より落ち着いた深い生き方ができるようになる。

【感想】
 専門家向けではなく普通の人のライフサイクルについて書かれている本ですが、河合先生の臨床経験に基づいた洞察はとても深く、読みやすいのにとてもためになります。人生には次から次に危機が訪れるそうですが、予備知識をもっておくと少しはうろたえずにいられるかなと思います。本の中で夏目漱石の『道草』や山田太一の『異人たちとの夏』といった文学作品が取り上げられており、読んでみたくなりました。

テラチさん『ソールライターの全て』

心に残った言葉。

・美の規範に対する尊敬。
 苦しみより幸福の深遠さを信じること。

・本を読み絵を描いてきたこと、
 そして心を通じ合える人と過ごす人生。

ファッション雑誌の商業写真家から、
市中の写真家として無名で生きることを選択したソールライター。

ニューヨークの路上のポートレイト。

写真、絵、言葉の一つ一つが自分に問う。

毎日の。一瞬一瞬の目の前の風景の美しさ。
過去の歴史の上に生きる謙虚さ。

長崎や広島の原爆資料館を見て感じたのは、失われた日常の美だった。
彼の作品が好きで、これからも好きなのだと思う。

Yukikoさん『蜜蜂と遠雷』
 以前、この会の雑談で後世に残る人というのはどういう人達が発見したんだろう?という話をしました。答えではないですが、この小説でコンクールの参加者の師匠がこんな事を言っています。「スターというのは以前から知っていたような気がするものだ。彼らそのものがスタンダードで世に現れたときから古典になることが決まっている。ずっと前から観客がすでに知ったものと求めていたものを形にしたものがスターなのだ」と。

 小説自体は3年前に読んだもので、そんなことが書いてあった事すら忘れ、ユーチューブでピアノを弾くピアニスト達を見て、もう一度読んでみたくなって読んだところ思わぬ発見がありました。

 それにしてもコンクール(ピアノや絵画、小説)大会(サッカー、野球、オリンピック、M-1とかどんなジャンルでもいいですが)で、優勝して賞を取るということは大変な労力と時間をかけて挑むもので、優勝者以下には膨大な人の屍累々の姿が浮かんで来ます。(イメージです)
 それでも頂点から見る景色、その一瞬の為に膨大な時間を労力をかけて挑む様々な人達の姿が見えて来ます。

 私にはそんな夢中になるものはありませんが、この小説を読んでコンクールに出場する人達それを支える人達(家族や友人、コンサートスタッフ)の気持ちが追体験出来たような気持ちです。

Takashiさん『超越と実存』(南直哉著、新潮社
 禅僧、南直哉による仏教史である。西洋哲学の言葉で語られる仏教は、仏教の言葉で仏教を説明するよりも遥かに分かりやすい・・・なのですが。

 本日の読書タイムの50分間、本書はほぼ読んでません。最初の30分は他の参加者の方からラマンライダーのご紹介があったので、なんだそれ?仮面ライダー的?みたいな興味で調べてました。
 その後、本番の読書をと思いましたが、著者ご本人の語りが幾つかYoutubeにあがってたんで、ついつい見ちゃいました。ですので皆さんとの感想シェアは60秒程度でした。

 読書会は参加することに意義があるんですよね!本書は午後ゆっくり読みました。

HIROMUさん『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』
 データから適切な意味を汲み取るのは難しいことであり、間違った読み取りをしてしまうとお金や時間を無駄にしてしまう。そのため因果関係を明確にする方法や思考は大事であるという内容だった。規模の大きいビジネスにまつわる例が多くあまり実感の湧かない部分も多かったが、別の要素の影響をどうやって排除するのかという考えは興味深かった。


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 過去の読書感想はこちらに載せています。

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(吉田)

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