2021.06.28

読書会の読書感想(6/26,27)

 参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。6月26日(土)は4名、27日(日)は4名の参加でした(主催者含む)。


6月26日:テーマのある読書会「無意識」

てらもっちさん『脳と精神』(川村光毅)

読みにくい本。
学者が知っている知識を詰め込んだ本のように思う。


文章のリズムもなく、文章のまとまりがない。また、話がハイレベルから詳細な話まで行ったりきたりと、視点を振られる。書いてある内容は、聴覚と認識を中心として、言葉や音楽などの感受について、神経から哲学まで、散逸的に、いったりきたりだが、興味深いところもある。

渋々認めざるをえない。

ダーウィン:叫びが、歌が、言葉になった。動物と人間の情動表現は連続的である。
ルソー:情念がコミニュケーションを作った。
エンゲルス:「猿が人間化するにあたっての役割」

謝辞に笑った。
 「遂行は満足にできていないまま刊行した。」
 「注意深く読んでも不明なところがあれば、著者も理解して書いていると判断されて寛容いただきたい。」

真面目な70代の大学教授が、知っている知識を詰め込んで、集大成として作成した本なのだろう。敬意と笑いを感じている。


さて、笑いは、人類に基本的な感情であり、同時にインストールされた表現でもある。肩を揺らし、呼吸を荒くし、小さな叫び声を発する。緊張と、リラックスの交番。

 きっかけになるのは群れ的な同意。理解。発見。

 口角の上がりを制御できるのは、詐欺師ぐらいである。自分自身も同意できていない言葉を話す人は、緊張して笑えない。

 自然な笑顔で、自然な笑顔に囲まれて生きていきたい。

Yukikoさん『私は私のままで生きることにした』

インターネットで話題になった各国の中流層の基準

イギリス
1.常に公正に振る舞うこと
2.自分の主義と信念をもつこと
3.ひとりよがりにならないこと
4.弱者の肩をもち、強者に立ち向かうこと

フランス
1.外国語をひとつ以上使いこなし、広い世界を経験すること
2.ひとつ以上のスポーツを楽しむこと
またはひとつ以上の楽器を弾くこと
3.ごちそうをつくって、お客をもてなすこと
4.ボランティア団体に参加して活動すること
5.他人の子を自分の子のように叱れること

韓国
1.100m2のマンション(ただしローンではないもの)を所有すること
2.500万ウォン(約50万円)以上の月給を稼ぐこと
3.2000ccクラスの中型車をもつこと
4.1億ウォン(約1,000万円)以上の預金残高があること
5.年一度以上、海外旅行すること

こうして並べてみると韓国の基準は必ず、数字が基準です。
数字だらけの人生の中で、人は履歴書に書く数字のために躍起になり、家の大きさに応じて人間関係を線引きし、集会やストライキがあると、その主張に耳を傾けるのではなく、損失がどれほどになるか真っ先に問題し、価値を忘れて価格ばかりを重要視する、数字の人生

と作者は嘆いています。

なんかちょっと前まで三種の神器とか言って、クーラー、冷蔵庫、洗濯機とか言ってた日本と重なるのでした。

そうお隣の国、韓国も日本と同様に若者たちは上流階級、中流階級を目指し子供の頃から競争に明け暮れているのでした。

著者は最後にこう語ります。

ごく普通の人間が、
自分が自分であることをうらむことなく、
冷たい視線に耐え抜いて、
ありのままで自分で生きていきましょうと。

こんな考えが浸透したら、生きづらさが減るのかなあ韓国でも日本でも自殺率が下がるといいなあと思いました。
私はいつでも若い人たちを応援するからね!
と作者の「キム・スヒョン」さんに言いたい気持ちです。

6月27日:読みたい本を気ままに読む読書会

tomokaさん『恐怖の地政学 地図と地形でわかる戦争・紛争の構図』

 今回は第4章アメリカと第5章西ヨーロッパの半分を読みました。森博嗣さんの本を読んだ感想をmunetaさんがおっしゃっていましたが、まさにアメリカは肥沃で広大で、いろんなことに恵まれた土地を持つ「金持ち大国」という感じです。
 建国から現在に至るまで、実は州を他国からお金で購入していたりとなかなか資本的に恵まれている状態で領土を広げてきたことと、他国から攻め込まれる心配がほぼないという恵まれた土地であるために、強国になったことが書かれています。
 それに比べると西ヨーロッパはバラバラなのを無理やり一つにしようと無理に無理を重ねてEUができたなぁと思いましたが、実際に無理が重なって今危機を迎えているんだなっていうのが分かります。地政学からも国民性が見えてくるので、なかなか面白い分野だなと思います。

なかとみさん『13歳からの夏目漱石』(小森陽一)

 「吾輩は猫である」の考察を読んでいて、名前をつけるということについて考えました。飼っている生き物に名前をつけることは、その生き物との距離を決定づけてしまうのでないか。名前が無いことで、自分のもの、というより同居人(猫)というスタンスになり、そちらの方が自分には心地よいと思いました。
 また、漱石の生涯は日本や世界が軍国主義に向かっていく時代と並行していたと知りました。時代背景を知ることで、作品の理解ももっと深まるのだなと改めて感じました。様々な作品の解説はこれからも読んでいきたいです。

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 主催者は26日は『夜と霧』を、27日は『進化思考』を読みました。
 どちらもまだ途中ですが、『夜と霧』は人間の極限状態の行動から、人間の根底には何があるのかを垣間見ることができました。印象的だったのは、極度の疲労と飢餓状態にあっても、歌や詩などの芸術的な娯楽を求めることや、ユーモアを交えた会話をするということでした。必須なものは衣食住には決して限定されず、頭で考えるだけでそういったものを見定めることは難しいということが言えるのだと思いました。
 『進化思考』は、考えることがおもしろくなりそうな本だと思いながら読んでいます。たとえば、思考法として変量を変えるというものが紹介されており、既存のものを超大きく・小さく・薄く・厚く・高く・長くなどと変えていくのだそうです。超厚くだと「厚底ブーツ」とか。とりあえず極端に変えてみて、「これって何の意味があるんだろう」とコミュニケーションするのは楽しそうだなと思いました。


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 過去の読書感想はこちらに載せています。

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(吉田)

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