2021.08.02

読書会の読書感想(7/31,8/1)

 参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。7月31日(土)は4名の参加、8月1日(日)は6名の参加でした(主催者含む)。


7月31日:読みたい本を気ままに読む読書会

原さん『100分de名著 西田幾多郎「善の研究」』
 経験と労働と教育と知性が出て来るのが、ジョン・ロックあたりだと気付いた。

よしだ『自由からの逃走』(エーリッヒ・フロム) 
 読書会で読んでいる人が何人かいて、おすすめ、と紹介されたので読んでいます。人は自由であることを求めるような気がするのに、それからなぜ逃走しようとするのか、というのが興味が惹かれたポイントです。
 まだ中盤ですが、理論の舞台は、やはりというべきか、中世から近代・産業革命以後の社会への変革期でのこと。気になって手に取る本は、ここらへんの社会背景を取り上げたものが多いような気がします。近代人の必然…?
 自由から逃走するか否かには、ひとつの分岐点があるとフロムは言っているのだと思います。それは、衣食住や娯楽・教育のすべてを共にしていたといってもいい中世の共同体社会から、個人にさまざまな権利が与えられた近代的社会へ変わったとき、人は自由とともに孤独や孤立を手にしてしまった。そのときに、自分なりの個性を確立できて自由に生きられるケースと、孤独に耐えきれずに何らかの支配のもとに身をおこうとするケースがある、つまり自由から逃避するというのです。
 今回読んだところはなかなかに刺激的で、自由から逃避するにもいくつかの傾向がみられ、ひとつには劣等感にさいなまれて自分自身を小さくしようとするマゾヒズム的傾向と、もうひとつは他人を自己に依存させ絶対的な力をふるおうとするザディズム的傾向です。対極にあるように思える傾向ですが、「支配」に依存しようとしている点では変わらないということなのだと思います。
 フロムは社会心理学者という社会環境が人の心理に与える影響を研究していた人と認識しています。心理や、表に出てきているその人の性格が、決して個人の素質だけによるのではなく、周囲にある環境による部分も多くあるというのは大事な視点だと思いました。それにしても、近代化は、いろいろと劇的な変化だったのだなと、明治維新から150年も経ちますが、思います。そして、おそらくまだそこで生まれた新たな問題は解決されていないということも忘れてはいけないことなのだと思いました。(長くなった…)

8月1日:テーマのある読書会『話すこと』

Takashiさん『ザ・レトリック』(ジェイ・ハンリックス著)
 今日読んだところには、こんなことが書いてありました。「メールには感情をのせるな」「選択肢は議論できるが価値観の議論は難しい」
確かに感情をのせたメールは残って独り歩きすることを知らなければなりませんし、平行線を辿る議論は価値観に関するものが多いと感じます。
 著者は、議論には適した場と適したタイミングと適した時制が必要だと言っています。こういう本を読んだなら、なるべく実生活に引き付けて理解したいと思います。

じゃむぱんさん『シーグラス』
 
言葉のことを考えさせてくれるこの「話すこと」というテーマが、私はとても好きだと思いました。
 ふだんなかなか生活のなかに本を読む時間がとれず、こうやって本を読む時間を用意していただくと、踏ん切りがつくというか、切り替えることができます。いつも本を読むためだけの自分だけの時間になります。今日は俳句を一句一句ゆっくり鑑賞することができました。ありがとうございました。

つやまさん『<対話>のない社会』(中島 義道)
本の内容:
 『対話』とは、自分と相手が異なる価値観や感情をもつ別個の人間であることを前提として、意見が対立することや変化することを恐れずに言葉を交わしながら発展させていくことである。ところが日本社会は場の『空気』が強い力を持ち、全員の意見が一致することを重んじる文化なので、このような対話が成立しにくい。近年特に若者の間でその傾向がエスカレートしてきており、誰も傷つかないことを目指すという過剰な『やさしさ』が求められている。その結果、会話は当たり障りのないものに終始せざるをえなくなり、本当の意味での他者との関わりがなくなり、自分がどういう人間で何を求めているのかもわからなくなる、といった不幸な事態が起こっている。

感想:
 誰も傷つかないことを求めると皆が不幸になるというのは皮肉なことですが、以前読んだ自殺希少地域の本の話ともつじつまが合いとても納得しました。他の参加者の方からも、対話することで精神疾患が薬なしで治るという話や、言葉には意味以外にも感情や情景も乗せることができるという話があり、人間にとって話すことには単なる情報伝達を超えて心の健全さを保つ上でも大きな意味があるのだと感じました。読書会も本を通して見知らぬ人とも深い対話ができる貴重な場だと感じます。


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(吉田)

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