2024.01.08

読書会の読書感想(1/6-7)

 参加者に任意でいただいた読書感想を掲載します。6日(土/午前)は7名、7日(日/午前)は9名、7日(日/夜)は4名の参加でした(主催者含む)。

1月6日(土/午前):読みたい本を気ままに読む読書会

Takashiさん『パラレルな知性』鷲田清一
今の世の中、私的な領域がどんどん排他的になっているという。なんとなく自分もそんな感じがする。でも、自分を守ることで精一杯な生活ばかりじゃ、これも面白くないなあという感じもあるし。答えとかないですよね。

よしださん『労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか』中山元著
 今日読んだところはいろんな人が入り乱れていました。そんな中でも印象的だったのは、次のような記載です(P218)

「ブルジョワジーはプロレタリアートにたいして勤労の道徳を押しつけ、それによって労働者の労働意欲を高めようとしていたのである。」

ブルジョワジーとは、成り金・資本家的な人のことを言っており、昔から裕福であった貴族的な人ではなく産業革命によって成功し経済的・政治的地位を急激に上げた人のことを指しています。プロレタリアートとは労働者階級であり、雇われ人であると言えます。ですので、資本家が労働者階級に、雇い主が雇われ人に勤労の道徳を説き、それによって(苛烈な)労働を促そうとしていたということになります。
 この話を受けて、労働の素晴らしさを説く人は怪しいと思ってしまうかもしれません。働かせようと思ってそう言っているのではないかと思ってしまうからです。なのですが、その一方で様々な哲学者が労働そのものの素晴らしさや労働が人間を人間たらしめるみたいなことを言っていたともこの本には書いています。ですので、相手を働かせるために労働は素晴らしいと言っているのではなく、純粋にそう思って言っている人もおり実際に労働や仕事というのはただ辛いだけでも生活の手段なだけでもないように思います。誰かと一緒に働くとき、その人や組織の労働観みたいなことも気になるように思いますが、それに共感してもいいものなのかどうかの見極めは大変だけど必要なのだろうなと思いました。

1月7日(土/午前):ハンナ・アレント『人間の条件』のプロローグを一緒に読む会 #4

yuさん
「人間が作った世界の工作物は単なる動物の生活環境から人間を切り離しているが、人間の生命そのものは人工的世界の外側にあって・・・」
我々は、世界の工作物に囲まれて生きている。そんなこと考えてみたこともなかったような。3つも活動も復習しました。仕事と労働が違うと書かれていてそこを見返してみたいと思いました。

1月7日(日/午前):読みたい本を気ままに読む読書会

yuさん『万延元年のフットボール』大江健三郎
山村の村に向かう。大江健三郎さん30代の時の小説。約450ページ。安保闘争の頃に、四国の谷間の村に向かう。友人が自死をした私と、障害児を出産した菜採子、殴り殺されたS男。S男のその時の様子を空想する鷹四(現実にみたと信じてその記憶を更新し続ける)星男に蜜。
これでもかと不幸のようなものを突きつけてくるような気がしました。

1月7日(日/夜):読みたい本を気ままに読む読書会

yuさん『万延元年のフットボール』大江健三郎
小説です。小見出し:スーパーマーケットの天皇:谷間の村のスーパーマーケットの様子の場面を読みました。正月の餅を僧侶が買いに来ていたり、スーパーマーケットの店主は朝鮮人。その店主が資本の青年団の鶏が全滅してしまったり。谷間の村の個人的な出来事だけど、その時代の社会構造を描いているのかなと思い始めてきました。閉鎖的で息苦しくジメジメした雰囲気で臭いがしてきそうです。

終了後の雑談で「ニューヨーカー」物語の話がニューヨークの小説集のような感じかと思ったら「ニューヨーカー」(雑誌)発行の人々の話だったなど、ノンフィクションも読んでみたくなりました。(ダブリナーズをイメージしたりしました)

eimiさん『「ニューヨーカー」物語』ロスとショーンと愉快な仲間たち ブレンダン・ギル 新潮社
言わずと知れたアメリカの有名な雑誌ニューヨーカーに執筆していたブレンダン・ギルが、初代と二代目の編集長や編集者達を生々しく書いたノンフィクション。
次々に採用される編集者が出てくるので名前を覚えるのが大変だが、今日読んだところでは作家スコット・フィッツジェラルドの娘が出てきた。
夫が徴兵されて働く必要があり編集部に採用されたのだ。
彼女は美しく聡明な人だったらしいが、初代編集長のロスは「女はバカな方がいい」という考え方の人物だったらしく(今なら即アウト)、そういう意味ではお眼鏡にかなわなかったという感じだろうか。
ロスは文章にも細かいこだわりが強かったらしく、作家との喧嘩は日常的だったよう。
今のところは、オシャレな雑誌ニューヨーカーのイメージとは大違いの舞台裏。
副題に「愉快な仲間たち」とあるので、これからどんな登場人物が出てくるのかが楽しみ。


 過去の読書感想はこちらに載せています。

読書会参加者に投稿いただいた読書の感想です(2022年10月-)。

 

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