一昨日は各々が読みたい本を持ち寄る読書会、昨日はリベルのブックレット『古代人の内面とデザイン』を使った読書会でした。昨日の話は、参加いただいた方に感想を寄せていただきましたのでそちらに譲るとして、ここでは一昨日の話を少しだけ。
・参加者の読書の感想:https://note.com/liber_community/n/nb55ffa0e9cb8
私が最近読んでいる本の話になってしまいますが、最近は『人間性の心理学』という分厚い本を読み始めています。分厚くて積読になるため、この読書会の時間でだけ少しずつ読み進めています。
この本はアブラハム・マズロー(以下、マズローさん)という人が書いた本ですが、マズローさんはあの有名な5段階の欲求ピラミッドの発案者です。5段階の欲求とは、人の欲求はピラミッドのように構成されており、下から順番に満たすように欲求が働くというような理論です。下から、生理的欲求(食欲・睡眠欲など)>安全の欲求>所属の欲求>尊厳・評価の欲求>自己実現の欲求、というように構成されるとされています。
一昨日読んだところは、なぜかマズローさんの科学や研究に対する考え方がとうとうと書かれた内容でした。
マズローさんは心理学が主な専門ですが、科学の世界では、どの学問が科学的であるかという階層が形成される。例えば、物理学は化学より科学的、化学は心理学より科学的、といったような階層です。そんなことどうでもいいじゃん、学問は手段なのだから何が科学的かなんていう議論はしなくてもいいんじゃない?というような内容でした。
ほかにも、技術を追求し成果とする科学者も多いとか。
本来であれば目的や解きたい問題があって、手段としての学問・科学だから、技術の方に目が向きすぎるのは違うよね。でもそれも分かるけど…。というような内容もありました。
なぜマズローさんがこんな内容を盛り込んだのかは分かりませんが、マズローさんが生きた時代(1908-1970年)は、物理学あたりが強い力を誇っていて、その他の学問は認められにくい・目を向けられにくい傾向にあったのかななんて想像していました。
あとは、科学者としての姿勢を後世に示したかったのかな、なんて可能性もあります。(単なる愚痴である可能性もなきにしもあらずですが…それはそれで親近感?が湧く)
本からは、マズローさんが一つ一つのことに対して「なぜそうなのか」「どうあるべきなのか」と向き合っている姿勢が伺えます。あいまいな表現になりますが、なんだか哲学者っぽい印象です。
そして、一つ一つに対して精緻な思考を巡らせるマズローさんに触れるたびに、5段階の欲求という比較的シンプルな理論にどうやってたどりついたのか、それが意味する本当のところは何なのかと気になり出しています。
本当に分厚いし、一文一文が重たいのでいつ読み終わるのか分かりませんが、時折脱線する内容も面白いので、気長に読み進めていこうと思っています。
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(吉田)