2021.01.26

視点の紹介 Part2 | 「いいライフスタイルについて考える」読書会⑦

 一昨日は、いいライフスタイルについて考える読書会でした。この読書会を開いてみて分かったのは、ライフスタイルを考えるとは、自分がどういう生き方をしたいのかを考えることにつながっていくことです。たとえば衣・食・住をどんな風にしたいかを考え始めると、そもそもどんな毎日でありたいかなどというところに考えが及びます。時間の使い方についても同じように、そもそも自分はどんなことに時間を使いたいのかなどと考えることになります。「生き方」というと少し重たい感じもしますが、そこは読書会の絶妙なところで、本を読んで感想をシェアするだけなの、個人的なところにはあまり話題は及びません。どうぞあまり身構えずにご参加いただければと思います。
 前に一度、持ち寄られたテーマや本を紹介するかたちで、ライフスタイルを考える時の『視点の紹介』をさせていただきました。一昨日も多テーマ・多ジャンルの本が持ち寄られましたので、Part2というかたちで視点の紹介をしていきたいと思います。


生きがい

 生きがいとは割と普通に発する言葉ですが、実は海外には該当する言葉があまりないそうです。実際に読書会の時にGoogle翻訳に「生きがい」と入れると、「reason to live」と訳されることが共有され、なにか違うよねという話になりました。
 脳科学者の茂木健一郎氏は、日本固有的と考えられる「生きがい」について、海外で著書を出版しているそうです。その本のタイトルは、『Ikigai: The Japanese Secret to a Long and Happy Life』で、日本語版も『IKIGAI: 日本人だけの長く幸せな人生を送る秘訣』として出版されています。生きがいを仮に英語で「reason to live」と表現されても、理由というほど明確なものではないと思ってしまいます。もっとこころで感じるもので、言語化してあまりに意識的になってしまうと、それが逃げていってしまうようなものにも思えます。
 この本に関する読書感想をいただいていますが、読み返していて印象的だったのは、生きがいとは「私的な喜び」であるというところでした。生きがいとは、人から否定も肯定もされることのない、自分だけが感じられるもののようです。

愛と勇気

 愛も、生きがいと同じくらい身近だけれど、あまりしっかりとは考えたことがないものかもしれません。そういった人間にとっての普遍的なテーマは、やはりと言うべきなのでしょうか、過去に研究していた人がいたようです。
 読書会では、社会心理学・哲学などの研究者であるエーリッヒ・フロムの『愛するということ』を読んでいる方がいました。「愛される」ことよりも「愛する」という主体性について書かれていたようです。他の参加者で既に読んだことがある人がいたのですが、最後の結論としては少し厳しめの言及がなされる内容のようでした。読書感想に少しだけその片鱗が表れています。
 哲学的な本は、時に厳しい言及をしてきますが、最初はちょっとした腹立たしさのようなものを覚えつつ、少しずつ冷静になって「やっぱりそうかも」と思わせてくれることがあります。結論を知ることよりも読みながら考える過程が大事だと思いますので、もし興味が湧きましたら手にとってみるのもいいかもしれません。

笑い

 『笑いの哲学』という本を読んでいる方もいました。読書感想では「「想定している通りに進まなかった時」に笑いが生じることが多いような気がします。」と書かれています。たしかに、普通じゃない変なことを目にしたり耳にしたり鼻にしたりしたときに、笑いって起きますよね。そういう時は笑うしかないというか。笑いによって何かが発散されて、安定を取り戻しているのかもしれないと思ったりもしました。
 読書感想にも書かれていますが、最近は「これは笑いにしてもいいものなのか」という線引きにシビアになってきているように感じます。かの明石家さんまさんも普段いろいろなことを笑いにかえていますが、それが原因でネットなどで叩かれることがあるようです。先日とあるトーク番組で、「最近はSNSの時代やから、、」と半笑いでぼやいていました。
 この本は、古今東西の「笑い」を紐解き、笑いに関する考えを深めていくもののようです。笑いとは、人や社会にとって何なのでしょうか。考えを深めることで笑いに対しておおらかになり、もっと笑えるようになるのかもしれません。

反復する時間

 「時間」に関する話題は、もうこの読書会のレギュラー入りです。『モモ』のような物語を通した観念的な問い直しだけではなく、社会学・人類学的にも考察が成されてきているようです。
 読書会では、時間の分類が紹介されました。近現代に生きる人々に馴染みがあるのは、線分的・直線的な時間と分類されるようです。始まりと終わりがあり、一定の速さで後戻りすることなく進んでいくということを意味しているようです。それに対して、比較的古代的なものとして、円循環的な時間と、反復的な時間というのがあるそうです。円循環的な時間とは、輪廻転生のような死んでも生まれ変わることでこの世に戻ってくることができるというような時間であるそうです。もう一つの反復的な時間は、ちょっとイメージし難いものでした。どうやら、例えば朝と夜とは別の世界で生きているというような時間が、古代や他地域・民族ではあるようなのです。一体どういうことなのでしょうか。例えば年末が近づくとしめていくような雰囲気に世の中全体がなっていき、正月になると全体的に明るい雰囲気になっていきます。それは時間の向きのようなものが違っていると捉えることもできるのかもしれません。反復的な時間を生きているとは、そういう感じなのでしょうか、どうなのでしょうか。一日や一年を、今よりももっと心的・観念的に捉えているものなのかもしれません。
 現代は線分的・直線的とは言っても、古代や他地域・民族でそのような時間で生きている・生きていた人がいるということは、今の生活の中にもそういったものは残っているのかもしれません。少しケチくさい気もしますが、一日で朝と夜二つの世界を生きられるなんて、お得な感じもします。時間について考えを深めることは、生活や生き方の豊かさにつながっていくような気がしています。

続く学び

 大人の学びの場のデザインについて読まれた方もいました。その中では「トーカビリティ」というものが紹介されていたようで、あとからネットで調べると「話題になる力」と出てきました。2011年に出された本なので、今でいうと「バズらせる」に近いことなのではないかという話になりました。「では、バズらせることと学ぶことにはどのような関連があるのか」という話にもなりました。解釈も交えた話を少しだけ紹介させていただきます。
 バズらせるとは別の言い方をすると、他者が気軽に説明できる準備やオープンに見られる仕組みを整えておくことなのではないかと言います。そのような仕組みには、行われている学びそのものの表現が伴い、その表現の過程で学びが深まるのではないかということです。また、そのようなオープンな情報を見聞きすることで、そこから学びが始まったり、ゆるやかに終えたりしながら次につながっていくようにも想像されます。つまり、学びに深みが出るだけではなく、続くようにもなるのではないかと思いました。
 大人になってからの学びは自分で自由に選択できるため、始まりも終わりもきっちりしすぎている必要はないように思います。話題から学びが始まるというのは、主体的で自由な深ぼりや継続につながる、学校がない大人にとってのいいスタイルなのではないかと思いました。

職住遊学近接

 私自身は『まんが トキワ荘物語』を読んでいました。トキワ荘とは、手塚治虫をはじめとした名だたる漫画家が住んでいた、ごく普通のアパートのことです。住んでいた漫画家自身が、そこでどんな毎日が送られていたのかをそれぞれ描き、それらを集めた短編漫画集でした。
 仕事が忙しくなり始めた漫画家をまだこれからの漫画家が手伝ったり、漫画のアイディアを見てもらったりと、アパートなので部屋は分かれていたのですが、今でいうコワーキングスペースのようでもあります。また、お金がなければ先輩に借り、またはご飯をおごってもらい、あるいは自分がご飯を食べていたら隣の部屋から食べに来られたりなどと、シェアハウス・寮的でもあります。さらには映画好きが多かったようで一緒に映画を見に行き、帰りに喫茶店に寄って談義をし、自然な流れで3つのワードを使って3人でしりとり的に物語を作っていくという遊びも始まります。1つのワードをつかった物語の序章を1人が作り次の人にバトンタッチして、次の人が物語を考えて足していくのです。そんなことがトキワ荘の漫画家たちの間では日常的に行われていました。ある真面目な漫画家住人は、「もっときちんと学びましょうよ」と真面目に文書で訴えかけたこともありました。でも最終結論はいつも学んでるじゃんということで、さらっとその話は終わったそうです。
 仕事と住まいだけではなく、遊びも学びも一つの場所で共有されていたトキワ荘。そこには手塚治虫に始まり、さまざまな漫画家の出入りがありました。ドラえもんを生んだ藤子不二雄、仮面ライダーを生んだ石ノ森章太郎、おそ松くんを生んだ赤塚不二夫などなど、そんな漫画家たちが四畳半・風呂なしのアパートで作品を作っていたのです。(共同生活には抵抗があるけど)そんな場所で生活をしてみたい。

 「いいライフスタイルを考える」読書会は昨年12月頃から始めてみましたが、テーマが生活であるために幅広い本が読まれています。自分が読んだ本も他の参加者が読んだ本も、いい土にいる微生物のように、少しずつ溜まっていけばいいなと思っています。と、あまりいい例えではなかったかもしれませんが、ひとまずあと1ヶ月少し、2月末頃まで続けてみようと思っています。


〈読書会について〉
 読書会の情報については、FacebookページやPeatixをご覧ください。申込みをせずに直接訪れていただいても結構です。ただ、たまに休むこともありますので、日程だけはご確認いただければと思います。
Facebookページ
Peatix

 読書会の形式や最近の様子については、こちらに少し詳しく書いています。

(吉田)

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#主体性 #時間 #生活 #読書会

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